ミャオの家より

今はいないネコの飼い主だった男の日常

飼い主よりミャオへ(51)

2009-05-06 17:57:12 | Weblog



5月6日
 拝啓 ミャオ様

 もう2週間になるけれど、ミャオはひとりで元気に暮らしているだろうか。この連休の間、あの静かな九州の山の中にも、たくさんの人がやって来たに違いない。
 クルマも人も嫌いなオマエは、じっとどこかに隠れて過ごし、空腹に耐え切れなくなると、あのおじさんの所に行って、エサをもらっていたのだろうが・・・。
 本当に、苦労をかけて申し訳ないと思う。しばらくの間、辛抱してくれ。

 私もこの連休の間、家に居た。オマエと同じように、混雑したクルマや人々の中に居るのは、イヤなのだ。私が、ミャオに似たのか、ミャオが私に似たのか・・・。
 しかし、私には、やるべき仕事がいっぱいあった。まず、冬の間に、たくさんの枯れ枝などが落ちている、林内を片付け、そして雪の重みで曲がったまだ背の低い樹に、支柱を取り付け、さらに新たに、カラマツやシラカバなどの小さな苗を、あちこちに植えつけていく。
 庭木に巻きつけていた、荒縄を取り外す。これは、冬の間に、樹の皮を食べに来るエゾシカ対策のためのものだ。
 そして、わが家の小さな畑の、雑草を取り除き、畑起しをして、石灰をまいた後、自家製の堆肥と肥料を入れて、苗床を作り、野菜苗やジャガイモを植えていく。やれやれ、まだまだ色々と細かい作業が残っているが、一休みといった具合だ。
 今年は、私が帰ってきた時に、チラリと冬将軍が姿を見せたが、その後は、すぐに入れ替わって、明るい春娘の一人舞台だった。
 この一週間は、毎日、初夏なみの20度を越える晴れた日が続いて、あっという間に、新緑の、花の季節になってしまった。
 ついこの間まで、冬の枯れ枝のままだったカラマツは、いっせいに新緑のツボミを開いて、緑の樹に変わってしまった。
 エゾムラサキツツジの後にキタコブシの花が咲き、昨日はついに、家のエゾヤマザクラの花も開いた。庭のチューリップのツボミも出揃って、今日はもうその幾つかの花が開いている。シバザクラの小さな花も、チラホラと咲き始めた。
 家の仕事の合間に、近くの野山を歩いてみる。ヤチ(谷地)と呼ばれる湿地には、点々とミズバショウの清楚な白い花が咲いている(写真)。
 さらに、水の流れる沢沿いには、黄色いエゾリュウキンカ(ヤチブキ)の群落が、連なって咲いている。その斜面には、エレガントな紫の小さな花をつけるエゾエンゴサクや、あのオオバナノエンレイソウの白い花も見える。
 今日は、そんな山歩きをして、いつものところで、春の山菜採りの楽しみの一つ、アイヌネギ(ギョウジャニンニク)を、袋いっぱいになるほど採ってきた。傷みやすい下のハカマの部分を取り除いて(手間のかかる仕事だが)、そろえて、小分けにして、袋につめる。その幾つかは、冷凍で保存しておく。何もない時に、貴重な野菜として、取り出して食べるためである。
 さらに、これからは、タラノメ、ヨモギ、ウド、コゴミ、フキ、ワラビなどと、忙しい山菜採りの日々が続くのだ。

 連休の間の好天続きと、高い気温のために、遠くの見通しがきかず、すっかり霞んでしまい見えなかった日高山脈の山々も、今日になって、気温が16度にまで下がり(それでも平年以上)、やっと、その姿がはっきりと見えてきた。
 長々と続く稜線付近は、まだまだびっしりと雪に被われていて、美しい冬山の姿のままだ。その姿を、間近で見るために、連休を過ぎて、再び静かになった山々に登りに行きたいのだが、そのためには、絶好の天気になってくれないと・・・。
                        敬具 飼い主より


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