マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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月瀬大神神社風の祈祷

2012年11月06日 08時35分14秒 | 奈良市(旧月ヶ瀬村)へ
8月から9月にかけて行われている風の祈祷行事は県内各地で見られる。

この日に訪れたのは奈良市月ヶ瀬月瀬に鎮座する大神(おおが)神社。

一年間に亘る神社祭祀を勤める長老十人衆も健在だが、数年間の間には欠員も生じた。

そういうことになれば次の年長者が新たに加わって十人の大人衆組織を維持してきた。

十人衆は黒紋付の和装姿。

夏の季節は涼しさを感じる白和装の身姿になる人もいる。

尾山の宮司が到着すれば始まる風の祈祷。

拝殿に登って本殿石棺型の神前に御供を供える。

先に石棺祠の御簾を上げていた本殿だ。

三方に置いたお札は「奉祈祷悪風雨除大麻」の祈祷札。

宮司の話によれば「大麻」の文字は「お札」の意味であるという。

始めに当番の施主(一年神主)が祓戸社で祝詞を奏上する。

当番の施主(一年神主)は欠員が生じた2週間後に加わったそうだ。

年功序列の決まりで平成23年の9月に「まわり講」の入講儀式を経て就いたという。

祓えの神事を終えれば尾山の宮司に替る。

神前に神饌やお札を供えての神事は一同が揃って唱える大祓詞。



神事を終えれば参籠所に場を移して祈祷したお札を青竹に挿す。

祈祷札は風雨に曝されても崩れないように竹の皮に包んでおく。



そのお札は4本。

月瀬の周囲の4か所に挿しておく。

その作業は直会が終わってからだ。

この日は稲荷会式も行われる。

それからになるというから数時間後である。

風の祈祷の直会はめいめいが持参した缶詰を肴に酒杯する。

サバ缶、焼き鳥缶などさまざまだ。

昔からこうしているという。

「昭和の初めころやったら最高のごちそうやった」と口々に云う。

風の祈祷は二百十日、二百二十日の大風に合わないようにと祈る行事。

祈祷の札は集落四隅にそれぞれに挿す。

神事や直会を終えた4時間後。

施主(一年神主)はそれぞれの場に足を運んで札を挿す。

そこには前年に挿した札がある。

一年間も村を守ってきたお札だ。



交換して新しいお札を挿して次の場に向かっていった。

お札は集落の北、南、東、西の4か所。

疫病や大風が村に入ってこないようにと願いを込めて集落の外に向けて挿した。

尾山の宮司や十人衆の話によれば、月ヶ瀬辺りの神社ではそれぞれが風の祈祷を行っているという。

前日の27日には嵩の八柱神社で、29日には尾山の八王神社で行われるそうだ。

嵩は3か所にお札を挿す。

尾山では風雨除けをせずにお札を竹に挿すだけだという。

このように風の祈祷札を挿す地域は近隣の山添村の大塩春日地区でも行われている。

(H24. 8.28 EOS40D撮影)


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