マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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下田鹿島神社結鎮祭礼

2007年03月06日 08時04分31秒 | 香芝市へ
香芝市下田の鹿島神社では年頭行事のひとつである「結鎮(けっちん)祭礼」が祭事されます。

鎌倉時代の建久7(1196年)から連綿と伝わる「結鎮」は結束を固め、神を鎮めるといわれており、同神社に奉仕する宮座の座衆(結鎮座)の伝統行事です。

宮座は上十人衆と下上十人衆の祭祀組織で構成されていますが、結鎮祭礼神事は上十人衆で行われます。

一行は参道(伊勢参り街道)を古式ゆかしく行列し、鹿島神社の分霊を迎え参ることから始まります。

同神社の拝殿で神遷し神事を終えると、再びお旅所となっている頭屋宅へ渡御。

神霊御幣を持って先頭を行くのが三老、唐櫃を担ぐのは九老と十老と役目が決まっています。

結鎮の儀式は元々、法楽寺の行事であったと記録されている仏事行事。

勧請によって始まった鹿島座と二座が合体して現在の結鎮座に発展したと考えられています。

結鎮祭礼は一年間分霊を祀る頭屋が本来の主役。

昔はブリの煮物にゴボウとカズノコを添えたものと角飯(かくめし)、夜には塩(餡)餅を振る舞われたといいます。

ムシメシ(蒸し飯)とも呼ばれる四角と丸い形に模られた角飯は応仁の乱の頃から下田に伝わる料理で、急いで作らねばならなかったから蒸した状態で武士が戦に持って行った携帯食だったといわれます。

戦中の食糧事情の悪化とともに、今ではブリの煮物、ゴボウ、塩漬カズノコもなくなり、塩餅も紅白餅に変わって餅を配るだけになってしまったと長老はおっしゃる。

お旅所となる頭屋の家ではヒモロギを作り鹿島大明神を奉り、その前にムシメシなどの神饌が並べられる。

結鎮宮座の一老は奉奏文や由緒祭文を浪々と歴代の故事を読みあげて神事が執り行われます。

そのあと神主のお祓いで清められ、自治会長、神主、頭屋の玉串奉奠。

厳粛に神事を終えた座衆らは神さんとともに語らい食事する直会で寛ぎます。

なお、現在まで延々と記録されている『結鎮座入衆記録』は奈良県の指定文化財になっています。

(H19. 1.26 Kiss Digtal N撮影)