マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

油阪と芝辻の野神さん

2009年07月31日 07時41分38秒 | 奈良市へ
今年が最後だという注連縄を張った楠を奉る油阪の野神さん。

道路拡張の話しがでていて取り壊される運命にあるという。

所在地は私有地なので所有者の意向でどうなるか判らないが、今年で最後になってしまいそうだと仰る連合会長のYさん。

四人で行われてきた油阪の野神さんは記念写真を撮って暗渠になった水路清掃に向かっていった。

油阪から近鉄新大宮の駅を通り抜け東に向かうと芝辻の野神がある。

かつては水田が広がる地だった芝辻。

楠の大樹に注連縄を張って、その下にお神酒、洗い米、塩に御供モチを供える。

灯明に火を点けて縦一列に並んだ野神講の方は般若心経三巻を唱える。

御供はかつてチマキだった。

材料の萱は平城京跡に生えていた。

それがなくなった現在はモチに替わった。

復活させたい気持ちはあっても難しいと総代のNさんは仰る。

(H21. 5.31 訪問)

石川町の祭礼

2009年07月31日 07時38分58秒 | 大和郡山市へ
大和郡山市石川町では体育の日の前日が八坂神社秋祭りの宵宮日。

昔は10月14日だった。夕刻に宮座の六人衆がお宮さんに集まって夕飯を食べる。

1時間ほどの直会を済ませると西と東にあるノガミさんに行って御幣を投げるように納めるという。

大御幣は本社殿に納める。

その御幣は館に入れられて本トーヤと次年度トーヤが抱えてお渡りをする。

座衆は50人。長男が継いでいくそうだ。

六人衆は長老で引退しない限り役目を担うのだと昨年まで一老だったYさんはいう。

今年の本トーヤはもう一人のYさん。

祭礼の詳しいことは後日に尋ねてみよう。

ちなみに石川町では春日さんのおん祭と関係があり行列には毎年参加しているという。

抽選で役目が決まる行列。

その関係で八坂神社の祭礼には春日大社から神職を迎えていた。

田んぼの苗代供えも春日さんでたばったもの。

が、3年前からは柳澤神社の宮司に替わったそうだ。

(H21. 5.23 聞き取り記)

瀧倉庚申さんのトアゲ

2009年07月30日 08時15分37秒 | 桜井市へ
旧暦閏年(五月が二回ある年の旧暦五月一日)の庚申さんの塔上げ(トアゲ)といって村の行事が始まった桜井市上の郷の瀧倉地区。

3年ぶりのトアゲに昼からは各垣内で分担してオソナエを作る。

かつて上垣内、鳥居堂垣内、中垣内、峠垣内の4垣内だったが鳥居堂垣内の住民が上垣内に移ったころから統合して3上垣内で作られるようになった。

庚申さんのオソナエは丸竹三本仕立ての「花立て」、箒をひっくり返したような形状に上から藁で編んだ円形のものをつけた「ゴクダイ」、青面金剛に帰依する杉の葉を付けた「青面金剛杖」の三本からなり、現在はその一対で構成される。

「青面金剛杖」は幹を削って「天地、日、月、木、火、土、水奉供養、金剛天下国家五穀成就、無病息災、交通安全、講中垣内(名)」と墨書されている。

裏には「平成二十一年五月二十四日塔上斎行」が記される。

以前は「ゴクダイ」の円形の上に細長い重箱(コジュウケイと呼んでいる)にモチを入れて供えたという。

四月に大勢の花見客が訪れた瀧倉の権現桜から急な細道を100mほど下っていくと薬師堂の前にある庚申さんの石仏が現れる。

庚申さんの周りに一対の「花立て」「ゴクダイ」「青面金剛杖」を挿し、お灯明や線香に火を点けて長老六人衆が般若心経3巻唱えます。

広げたシートに座った村人たちも手を合わせて静かに祈るトアゲの会式。

雷が鳴っていつ雨が降り出すかと心配されたが会式は無事に終了した。

平野部では落雷や雹が降るなど被害があったというが上の郷は庚申さんのご加護があったようだ。

なお、近村の芹井でも同じようにトアゲのオソナエを奉っている。

それは旧暦三月一日(二十七日)に行われたようだ。

いずれもオソナエは朽ちるまでそのままにしておくという。

ちなみに前回のトアゲは平成18年4月16日。旧暦で三月十九日だった。

(H21. 5.24 Kiss Digtal N撮影)