Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『やらなきゃゼロ!』

2014-07-02 00:10:26 | 読書。
読書。
『やらなきゃゼロ!』 鈴木直道
を読んだ。

サブタイトルは「財政破綻した夕張を元気にする全国最年少市長の挑戦」です。
最年少市長の座には岐阜県のどこかの市長さんが新しくついたはずですが、
その岐阜県の市長さんはわいろで逮捕されたような…。
1981年生まれの夕張市の若い市長さんはそのようなことはなく、
日々、前を向いてガツガツと頑張っておられる様子。

東京都の職員だった鈴木さんがなぜ夕張の市長選にでることになったのか、
そのなれそめや選挙の様子、当選後の市政についてなどを
ご自分の言葉で(きっとライターさんが直しているのでしょうが)
語ってらっしゃいます。

読んでいると、その頑張ってきた彼の人生の様子、
人となりが伝わってきくるし、なかなか平静な語り口なのにアツい内容なので、
そうかそうか、と面白く読めてしまいます。
そのあたりは、政治家としての資質を満たしている、と見ていいのでしょう。

後半になると、市政の様子が書かれていますが、
これがなかなかすごい。クリエイティブなんです。
本文には書かれていませんでしたが、コンパクトシティというコンセプトもしっかりあって、
高齢化率44%でさらに人口がどんどん減少していく夕張市の状況に合わせて、
少ない出費で効率良く幸せに暮せる街を作ろうとしています。

告白すると、僕の住む街がこの夕張市なんですが、
これまでどうにも地に足がついた市政というものが見えてこなかった中で、
この本の著者の鈴木市長については、なんだか骨のある政治をしてくれているように
思えるんですよ。というのも、こういう本を読んだから市政等の中身がわかったからだ、
とも言えるのですけど。
まぁ、体感的にはまだ、良くなっただとかそんなに感じられはしませんが、
閉塞感が増した感じはしないです。
なにより若い人ですからね、それだけで何か希望を感じさせるものがあったりします。

政治家はなるだけ信用しないようにしていますが、
都職員時から200万円も年収が下がるのにわざわざ夕張の市長になろうと
してくれた熱い人なので、出来れば応援したいですよねぇ。
以前、発展途上国への支援を例にして、夕張を発展途上国のように考えてこうしたらどうだろう、
というようなアイデアをメールで市長さんに送ったことがあるのですが、
そのときには、ありがとうございます、というような返事をいただきました。

石原慎太郎さんや猪瀬直樹さんと密な連携のできる鈴木市長さんだったので、
その系譜からはずれた舛添新都知事さんはどうなんだろう、夕張との連携・支援は、
気になっていますが、本当にどうなんだろうと思いますよね。

鈴木市長にはぜひアグレッシブにいろいろやってもらいたいです。
市が借金を返済するまであと15年くらいですかね、それまで街が無くならないよう、
それどころかしっかり将来が担保されるような街づくりができていると素晴らしいです。

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『15歳から、社長になれる。』

2014-07-01 01:32:53 | 読書。
読書。
『15歳から、社長になれる。』 家入一真
を読んだ。

会社を作るためには、「登記」という手続きをしないといけないのですが、
その「登記」ができるのは15歳からということで、
このようなタイトルの本になったようです。
本当だったら、何歳からでもいいんだよ、したいことをするならば、
という論調にも読める本書です。
そこはすごく「自然」であることを大事にする考えで、
「~するべき」「~するのが常識」「~しないといけないものだ」
というような、最初から、範囲や可能性を狭めるような考え方は違うよね、
というようなことを述べています。

著者は、僕も使っているのですが、あのブクログの創業者であり、
楽天とはまた一味違うネットショップの集合体BASEや
クラウドファンディングのキャンプファイヤーなどに関わった方です。
その他、シェアハウスやカフェを作られたり、
人の集まる場所、人の居場所をつくることを使命としておられるような感じがする方です。
このあいだの都知事選で立候補されていましたが、僕はその時にやっとお名前を覚えたクチで、
実にネットビジネスなどにうといのですが、
本書には、もっと僕のうとさを思い知らせるような、
若くてやる気も能力も抜群のIT起業者のインタビューが何本か出てきます。
それを読んで、若い人(15~25歳くらいまで)ってこんなにすごいのか!やるんだな!って
いまさらながらびっくりしました。
捨てたもんじゃないですよ、この国の未来は。

そして、彼らの言葉のシンプルでシャープで、妙な思惑のない屈託のなさが好かったです。
おいおい、そこはちょっと青いぜって思う部分もありはしましたし、
そこは経験で僕は勝っているのだ、と大人げなく薄気味悪くニヤけもしましたが、
おしなべて、立派でしたね。
それでもって、そのインタビューを読んでいると、僕の中でふにゃけてきている若さの部分が刺激されて、
そうだった、そういうモチベーションってあったんだったと再確認させられたりしました。
自分も、もうちょっとやれるよな的に元気になったくらいです。

順序が逆になりましたが、第二章のインタビュー集の前に
家入さんによる起業の順序と、なぜ起業なのかという思想が語られます。
とてもフランクな調子の文体とざっくりとした中身ながらも、
そうであるがゆえに家入さんとサシで話をしているかのようで、
響いてくるものがあるんです。きっと、共鳴する部分があるのだと思います。
とはいえ、きっと、起業したり投資したりして成功している人なので、
随分厳しいなぁという部分はあるはず。そう見受けています。

最後に、「保護者へ」「学校の先生へ」という短い章があります。
ここもまた、本質を柔らかく射抜いているような考えで、面白く読めました。

男女問わず、若い人たちにおすすめできる本ですよ。
30代を過ぎて、「なんか違うんだよなぁ」と行き詰って、
悩んだり迷ったりしている人も、読んだらいいのかもしれない。
中学校あたりの図書室には必ず所収されていないと、
と思えるほどその年代ではマストとも言える本かもしれない。

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