Fish On The Boat

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『完璧な家』

2017-04-19 01:39:10 | 読書。
読書。
『完璧な家』 B・A・パリス 富永和子 訳
を読んだ。

全英100万部のベストセラーを記録し、
英国アマゾンレビューが6900を超えた(評価4.2だそうです)という
サイコ・サスペンスです。

ぼくはサスペンスってほとんど読まないし、
サイコ・サスペンスなんてなおさらなんだけれど、
そういう映画は多少見ているんですよ。
『ゴーン・ガール』なんかも面白かったですしね。
サスペンスは、読むより映画で見る派だったんですが、
本作を読んで、読むのも面白いものだなと思いはじめています。

たいてい、酷い目にあう主人公は頭が悪くて墓穴を掘ったり、
それくらいわかるだろってところで鑑賞者をやきもきさせます。
ある意味ドリフターズのコントでの「志村!後ろ!後ろ!」の世界。
『完璧な家』は、敵役の頭のよさでもって支配されてしまう主人公なんだけれど、
いろいろ考えて試すことに対しては、失敗ばかりになりながらも、
まあそれくらい抗うよなあという現実味は持っている。
等身大の知能なんですよね。

だからまあ、ふだん読まないサスペンスを読んで、
中盤までは、エンタメに特化した小説だし、
映画化も計算に入っている感じだし、
ジョージ・クルーニーのあて書きだろうなんて思っちゃうんだけど、
そのプロット、構築をきっちりと(当たり前だけど)
頭を使ってやってるから読ませるんだよね。

ネタバレになっちゃう感じだから、
ここ以下は読まないほうがいいかもしれないですが、
最後には、ぼくもあの部屋はどうするつもりかって考えながら読んでたんです。
でも、うまく処理したし、
ラストの数行で読後感が変わったと思った。
おもしろかったですねえ。

ただやっぱり、敵役がボロだしたところがあって、
それは直接の結末までの筋には関係がないんだけれども、
あの読後感にするためのカギでしたね。
好きな読後感でした。

ハーパーコリンズ・ ジャパン
発売日 : 2017-03-17

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