Fish On The Boat

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『アメリカインディアン 聖なる言葉』

2019-09-30 21:49:10 | 読書。
読書。
『アメリカインディアン 聖なる言葉』 ロバート・ブラックウルフ・ジョーンズ+ジーナ・ジョーンズ 加藤諦三 訳
を読んだ。

アメリカインディアンの血を引くサイコセラピストによる、
人生を導く詩です。
ときおり、ラジオ人生相談で有名な心理学者・加藤諦三さんの解説もまじります。

木や石や風や火や水……etc、
自然のあらゆるものに感謝をし、受容する、というような思想が根幹にあります。
アニミズム的なアメリカインディアンの宗教的哲学から生まれでた、
ヒーリングや励ましになるもの、のみならず、
思索のきっかけになるようなことも多く出てくるアフォリズムが
詩の形式で綴られています。

また、自然を受け入れる思想がつきつめられたためなのでしょう、
自分自身を受け入れよう、自分自身と親友になろう、肉体に感謝をしよう、
というような考え方にも繋がっていくのです。
そのどれもが、スピリチュアル的な響きを持つものの、
僕にはどっちかといえば心理学的な裏付けのある考え方にとれました。

この世界のことを精霊世界と呼び、
人は(魂は)そこへ帰っていくものだとする考え方は、
ともすると、量子脳理論で考えられている意識についての捉え方と
結びつくのではないか、
などとひらめくところがありました。
量子脳理論では、意識は宇宙とつながっている、みたいな考えになっていたはず。
精霊世界とここで呼ばれるものが宇宙世界と換言すると、
おさまりがいいように感じられる。

巻末の加藤諦三さんの解説で、
「人と親しくなることではなく、
人に優越する喜びを求め出す。
それがストレスの源泉である。」
とあったのですが、これがそうだよなあと首肯するところでした。

優越のための「マウンティング」っていうのがまずありますけれど、
マウンティングしたその次にくるのは、
マウンティングした相手への支配力や権力の行使です。
そういう構造になっているのだから、
たとえばマウンティングを野放しにして、
増していくにまかせる社会というのは生きづらいし、豊かとは言い難い。
プライベート面だったなら、なおさらではないでしょうか。

まあ、そんな調子でしたが、
少しずつ読み進めていくのがいい、みたいな本です。
ちょっと読んで、頭の中で咀嚼して転がして熟成させて、
という読書をすると沁みてくるものがあると思います。

本書にもちょっと似たようなことが書いてありましたが、
急がば回れ、なんですね。
急げば急ぐほど、こころは空っぽになる、と。
何度も経験があっても、ついつい忘れがちなことだったりしないでしょうか。


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