珍しく第1回から最終回までくじけることなく、面白く観たドラマだった・・・。
14日に最終回を迎えたドラマ『重版出来!』。最後までホントにいい作品だった。
非常に単純な話で、うまくいきすぎのはずなのに、なぜか(`д´)ケッ と思わず観ることができたのは、
『セリフの力』ってのもひとつの理由かもしれないなあ。
各回に、それぞれとても印象に残る名ゼリフがあったように思える。それは後ほどとして、
振り返るのも悲しいんだが、まずは最終回の感想から(つд⊂)エーン
新人・中田伯の『ピーヴ遷移』連載がスタートして半年後。
子どもの頃の虐待が原因で、人とうまく接することのできない中田くん、アシスタントをつけても『怖い』と言ってみんな辞めてしまう状態が続いていた。
中田くんはアシスタント無しでひとりでやると言い出し、寝食を忘れて執筆に没頭する。
そんな中『ピーヴ遷移』が世の中ではすごい話題になっていき、コミックス第1巻の発行を早めるだの、サイン会を開催するだの、編集部は大盛り上がり。
でも当の中田くんはふらふら状態。
担当として心配する心。心配だから、つい母親のようにあれこれ言ってしまい『僕を支配しようとするな!』と突っぱねられてしまう。
『編集者失格です・・・』と落ちこむ心。
中田くん、心の居ない時を見計らって原稿を編集部に置きにくる。
心のデスクに貼られた『目指せ!重版出来!』の文字に目がとまる。
同じマンガ家の大塚に『重版出来。黒沢さんいわく、出版業界のみんなが幸せになれるコトバだそうです』
悩んだ中田くん、三蔵山先生のもとへ。奥さんがおにぎりを作ってくれる。
『僕の仕事はマンガを描くことです。僕は、僕のためにマンガを描いている。間違っていますか? それじゃダメなんですか』と問う中田くん。
三蔵山先生『君は君のために描いていい。私たちは常に自由だ。原稿用紙の上では』
そして、奥さんが作ったおにぎりを指して、
このおにぎりを作るのに、米作りから考えると、水を270リットル使っているそうです。
その水にほとんどの人は気づかない。でも、見えない水を想像すると世界は広がる。
中田君、君が思っているより世界はずっと広いよ。
と優しく諭す。ああ・・・三蔵山先生、ホトケのようだ。ここでもうるうるきてしまった。
そう・・・どんなに能力があってもたとえ天才だとしても、ひとりでは何もできない。
描く人、一緒に作る編集者、売るために知恵をしぼってくれる営業、協力してくれる書店、それらが一体とならないと本を売ることはできない。
人間、ひとりなんだけど、ひとりでは何もできないんだよな。
そして家に帰り、持たせてくれたおにぎりを頬張る中田くん。
その顔が『おいしい』って顔で、とてもいい表情だった。
コミックスの表紙案を持って再び中田くんを訪ねる心。『この間はごめんなさい!』と頭を下げる心に、同じように頭を下げる中田くん。
やっと、マンガ家と編集者として対等の立場に立てた瞬間だったんじゃないかなあ。
『重版出来、それが黒沢さんの目標ですか』
『はい。全員が幸せになれるコトバです』
『全員の幸せは無理です。でも、黒沢さんの目標ならかなえてあげたい。僕にできることはありますか』
今まで自分のためにしか生きてこなかった中田くん。それが心のために何ができますか、と聞けるようになった。
人は、人と関わって、人のために何かをする。
もう、中田くんの表情が最初の苦しんでいた時と全然違うんだよね。それだけでうるうるしちゃうオバサンである(* ̄з ̄)ププッ
そして『ピーヴ遷移』第1巻発売。新人のコミックスでなんと初版5万部。
発売記念イベントとしてサイン会を行うことになったが、中田くんは絵は下手だから名前だけでいいですか? という約束を心としていた。
しかし、会場の書店には店員が手作りしたステージ。そして、自分の本を買ってくれて長い列を作る人々。それを見た中田くん。
『やっぱり、絵描きます。下手でも・・・描きます』
『マンガは自分のために描くもの』と頑なに信じていた中田くんが、初めて『誰かのために描く』という気持ちを持った瞬間だった。
同じ頃、近代芸術文化賞のマンガ部門で大賞を受賞した三蔵山先生の受賞記念パーティが行われていた。この三蔵山先生の受賞スピーチで、うるっときてしまった 。(*^▽^*)ゞうるっときたので、長いけど載せる!
オワコンの三蔵山です。終わったコンテンツ。もう必要ないという言葉です。
オワコンだとあきらめ、筆を折ろうと思っていました。それがいま、こんな場所でここに立っている。
人生、全くわかりません。ですが、わかっていることもあります。
私と出会い、血となり肉となってくれた人達。
必死に走っている時、共に走ってくれた人達。
彼らがいたから、私は今、ここに立っている。
一人ではここには立てなかった。
みなさんとともに手にした賞です。本当にありがとう。
「ドラゴン急流」はまもなく終わります。その終わりを持って、長きに渡るドラゴンシリーズも終わりを迎えます。
同時に、ドラゴンに捧げた我が漫画家人生に、終止符を打とうと思います。
えっ、まさかの引退宣言? と思わせておいて、ここからがすごい。
これより私は、新しいマンガを描く!
ここにいる、どのマンガ家も描けない、見たことのないマンガです。
私の受賞に対し、ベテランジジイの功労賞に過ぎないとたかをくくっている君たちに勝負を挑む!
天才も凡人も年齢も性別も人種も国境も関係ない!
必要なのは、面白いマンガを描くというその一念だ。
私は、私をあきらめない。
今日この日、この場所が、私の新たなるマンガ人生のスタートです!
若いマンガ家にも『負けないからね』と言ってのけ、ライバル心むき出しだったという手塚治虫さんを思い出させるようなスピーチ。
自分の立ち位置さえしっかりしていれば、いつだって、誰だって、そこから始めることができる。
そう思わせてくれるセリフだった。
このスピーチを聞いた中田くんの
『一日最低二食、食べます。ちゃんと寝ます。マンガ描きます』と言った表情のなんと素直でかわいかったこと。
そしてアシスタントもきちんとつけ、新たなステージへ向かう中田くん。
ついでにスピーチの後で人気マンガ家・高畑一寸が『クソジジイ・・・』とつぶやいたのもステキだった♪ このドラマの滝藤さん、なんかよかったなあ。
全裸シーンもあったしヾ(o^▽^o)ノあはは♪
そして『ピーヴ遷移』の重版が決まって、湧き上がる編集者たち。その中での心のつぶやきでほろほろと・・・。
いつか、挫けそうになったとき、道に迷ったとき。思い出そう、この日のことを。
たくさんの心が震える瞬間を。
誰かのために働く、自分のために働く、何のためにでもかまわない。
誰かが動けば、世界は変わる。その一歩が、誰かを変える。
毎日は続いていく。
今日もまた生きていく
そんなキレイごとや理想で仕事がうまくいきゃ苦労ねえよ、カネ稼ぐってそうじゃねえよ、と思っちゃう時もあるわな。
まあ、甘っちょろいセリフなんだろうけれど、でもこういうことを信じていたい。
少なくとも、信じたいと思う気持ちは持ち続けていたい。
過去の栄光を懐かしんで今を嘆いて立ち止まっているのではなく、
過去の輝きがあるから、この先何があっても続けていけるように。過去の頑張りや、過去の喜びが、いまを、これからを生きる力になるように。
ラストで、心が発売されたばかりの週刊バイブスの匂いをかぐシーンと、
中盤で、中田が『ピーヴ遷移』のコミックス表紙の校正刷りの匂いをかぐシーン。
そして第1巻が刷り上がってきた時に、心がコミックスの匂いをかぐシーン。
これもお見事。ここでも泣きそうになった。
何話か前で電子コミックの話があったが、それでも本のインクの匂いにこだわる人々。
デジタルの時代に、アナログな紙とインクという演出にこだわったのが、なんだかうれしかった。紙媒体って、絶対になくしちゃいけないんだよな。
人間関係、金銭関係、病気、思いどおりにならないことだらけ、そんなこんなで毎日生きていくのは結構大変だ。
けれど、周りの人のコトバや物事の見方、そして自分の心の持ちようによって、
人生はいくらでも楽しいものにできる。
別に一発大逆転を狙わなくたって、大金持ちになって人から羨まれなくたって、楽しい人生にするかどうかは、自分次第だ。
それを届けてくれた10話だったと思う。
実際、毎週観終わると、明日からまた仕事頑張ろう! という気持ちになれたという人が多かったらしい。なるほど。
なんだかこう、仕事をちゃんと、丁寧にしたくなる(家事だって仕事だ)ドラマだったなあ。
そしてココロに残った名ゼリフをちょっと挙げてみたい。単に自分が忘れないためにだ 。(*^▽^*)ゞ
思いかえれば、毎回どこかで、何かのセリフで泣きそうになってたワタシ(* ̄з ̄)ププッ
<第1話>興都館の面接に臨む心のコトバ。
面接は柔道と同じだ。たった10人の採用。私は周りを蹴落とすんじゃない、10人に選ばれる!
<第2話>本当は編集がやりたかったのに営業に配属され、やる気なし。『ユーレイくん』と呼ばれている営業担当・小泉のコトバ。
頑張れって言葉、嫌いなんだよね。頑張れ頑張れって、頑張れのインフレが起きて、うんざりする。
営業部長・岡が小泉に言ったコトバ。
俺たちが売っているのは本だが、相手にしているのは人だ。
伝える努力を惜しむな。マンガはどんなに面白くても売れるとは限らない。勝手に売れる作品なんてない。
売れた作品の裏には、売った人間がいる。俺たちが売るんだ。
<第5話>
装丁デザイナー・野呂のコトバ。
僕はデザインの師匠に言われたことを守ってるだけ。
『世の中を良く見ろ。世間は遊びであふれている。書店へ行けば途方もない数の本が並んでいる。
その中から一冊を選んでもらう魔法は…ない。だから考えろ。
考えて考えて決められた予算の中で出来うる限り最大最高の仕事をしろ』
<第6話>数字至上主義の安井さんが、熱血編集者からツブシの安井に変わったエピソードの終わりで語られるコトバ。
理想だけで仕事ができる人は この世にどれだけいるのだろう。
いい作品を作ることだけに向き合えるのなら どれだけ幸せだろう。
<第7話>
ムロツヨシ演じる三蔵山のアシスタント・沼田が、マンガ家の夢を諦めるという決断をした時に、三蔵山に語ったコトバ。
ハタチから倍も経ってしまいました。倍もの時間、闘わずに来てしまいました。
いつか理解してもらえる、いつかいい編集者に巡りあえる、いつか認めてもらえる。
そうやって本気で闘わないまま、ここまで。
そのくせ同級生のサラリーマンには言ってたんですよ 偉そうに。
モノづくりはこうじゃなきゃいけない、クリエーターはこうであらねば
夢を追いかけている自分は他の人とは違う、そう思いたかったんです。
マンガ家を目指してる間は 特別でいられた。特別な人間でいたかったんです。
<第8話>
濵田マリ演じる書店員の河さん。中学時代の彼女を救ったマンガ『100万オトメバイブル』からのコトバ。
『私たちはみんな見えない羽を持っている。
立派な羽を育てたければ本をたくさん読みなさい。
本の形って 鳥の形でしょう?
読めば読むだけ強くてしなやかな羽になる。 そうすればどこまでも飛んでいける』
この『100万オトメバイブル』は、いくえみ綾さんが作画でした~。
<第9話>
オダギリジョー演じる五百旗頭が心の中でつぶやくコトバ
今まで生きてきた時間をはかりにかける。成功と失敗 どちらが多いのか。
よい行いをすると運をためられる、そんなおとぎ話を守る理由は、はかりを傾けたいからだ。
正しい道を選べるように 少しでも運を味方につけられるように。
そして『生みの苦しみ』にもがく中田くんと、彼を編集者として支えようとする心の映像にかぶせるような五百旗頭の独白。
彼らの上に幸運を。努力と苦しみに見合うだけの成功を。
彼らが紡ぐ物語を大切に、壊さぬように。
看板マンガ『ツノひめさま』の作者・高畑一寸が引き抜きを図るエンペラーの副編集長・見坊に宣言するコトバ。
俺は見坊さんが言うような天才じゃなくて きったねえチャリンコだったんだよ。
それがいま、ジェット機になってみんなを乗せて飛べてんだ。
俺はまだまだ「ツノひめ」が描きたい。こいつらみんな乗っけて飛びてぇんだ。
いや~~やっぱりセリフに力があるなあ・・・。他にもいろいろあるんだけど、ここまで♪
視聴率は結局一度も二ケタに届かなかったそうだが、ホントによくできた、ひさかたぶりに『気持ちのいい』作品だった。
ここまでど真ん中直球なドラマって、最近少なかったもんね。
『続編出来!』を希望したいのだが、続編をやらない(やれない?)TBSだから無理かなあ・・・。
火曜日の夜10時が楽しみだったのに、来週からどーしましょ。
14日に最終回を迎えたドラマ『重版出来!』。最後までホントにいい作品だった。
非常に単純な話で、うまくいきすぎのはずなのに、なぜか(`д´)ケッ と思わず観ることができたのは、
『セリフの力』ってのもひとつの理由かもしれないなあ。
各回に、それぞれとても印象に残る名ゼリフがあったように思える。それは後ほどとして、
振り返るのも悲しいんだが、まずは最終回の感想から(つд⊂)エーン
新人・中田伯の『ピーヴ遷移』連載がスタートして半年後。
子どもの頃の虐待が原因で、人とうまく接することのできない中田くん、アシスタントをつけても『怖い』と言ってみんな辞めてしまう状態が続いていた。
中田くんはアシスタント無しでひとりでやると言い出し、寝食を忘れて執筆に没頭する。
そんな中『ピーヴ遷移』が世の中ではすごい話題になっていき、コミックス第1巻の発行を早めるだの、サイン会を開催するだの、編集部は大盛り上がり。
でも当の中田くんはふらふら状態。
担当として心配する心。心配だから、つい母親のようにあれこれ言ってしまい『僕を支配しようとするな!』と突っぱねられてしまう。
『編集者失格です・・・』と落ちこむ心。
中田くん、心の居ない時を見計らって原稿を編集部に置きにくる。
心のデスクに貼られた『目指せ!重版出来!』の文字に目がとまる。
同じマンガ家の大塚に『重版出来。黒沢さんいわく、出版業界のみんなが幸せになれるコトバだそうです』
悩んだ中田くん、三蔵山先生のもとへ。奥さんがおにぎりを作ってくれる。
『僕の仕事はマンガを描くことです。僕は、僕のためにマンガを描いている。間違っていますか? それじゃダメなんですか』と問う中田くん。
三蔵山先生『君は君のために描いていい。私たちは常に自由だ。原稿用紙の上では』
そして、奥さんが作ったおにぎりを指して、
このおにぎりを作るのに、米作りから考えると、水を270リットル使っているそうです。
その水にほとんどの人は気づかない。でも、見えない水を想像すると世界は広がる。
中田君、君が思っているより世界はずっと広いよ。
と優しく諭す。ああ・・・三蔵山先生、ホトケのようだ。ここでもうるうるきてしまった。
そう・・・どんなに能力があってもたとえ天才だとしても、ひとりでは何もできない。
描く人、一緒に作る編集者、売るために知恵をしぼってくれる営業、協力してくれる書店、それらが一体とならないと本を売ることはできない。
人間、ひとりなんだけど、ひとりでは何もできないんだよな。
そして家に帰り、持たせてくれたおにぎりを頬張る中田くん。
その顔が『おいしい』って顔で、とてもいい表情だった。
コミックスの表紙案を持って再び中田くんを訪ねる心。『この間はごめんなさい!』と頭を下げる心に、同じように頭を下げる中田くん。
やっと、マンガ家と編集者として対等の立場に立てた瞬間だったんじゃないかなあ。
『重版出来、それが黒沢さんの目標ですか』
『はい。全員が幸せになれるコトバです』
『全員の幸せは無理です。でも、黒沢さんの目標ならかなえてあげたい。僕にできることはありますか』
今まで自分のためにしか生きてこなかった中田くん。それが心のために何ができますか、と聞けるようになった。
人は、人と関わって、人のために何かをする。
もう、中田くんの表情が最初の苦しんでいた時と全然違うんだよね。それだけでうるうるしちゃうオバサンである(* ̄з ̄)ププッ
そして『ピーヴ遷移』第1巻発売。新人のコミックスでなんと初版5万部。
発売記念イベントとしてサイン会を行うことになったが、中田くんは絵は下手だから名前だけでいいですか? という約束を心としていた。
しかし、会場の書店には店員が手作りしたステージ。そして、自分の本を買ってくれて長い列を作る人々。それを見た中田くん。
『やっぱり、絵描きます。下手でも・・・描きます』
『マンガは自分のために描くもの』と頑なに信じていた中田くんが、初めて『誰かのために描く』という気持ちを持った瞬間だった。
同じ頃、近代芸術文化賞のマンガ部門で大賞を受賞した三蔵山先生の受賞記念パーティが行われていた。この三蔵山先生の受賞スピーチで、うるっときてしまった 。(*^▽^*)ゞうるっときたので、長いけど載せる!
オワコンの三蔵山です。終わったコンテンツ。もう必要ないという言葉です。
オワコンだとあきらめ、筆を折ろうと思っていました。それがいま、こんな場所でここに立っている。
人生、全くわかりません。ですが、わかっていることもあります。
私と出会い、血となり肉となってくれた人達。
必死に走っている時、共に走ってくれた人達。
彼らがいたから、私は今、ここに立っている。
一人ではここには立てなかった。
みなさんとともに手にした賞です。本当にありがとう。
「ドラゴン急流」はまもなく終わります。その終わりを持って、長きに渡るドラゴンシリーズも終わりを迎えます。
同時に、ドラゴンに捧げた我が漫画家人生に、終止符を打とうと思います。
えっ、まさかの引退宣言? と思わせておいて、ここからがすごい。
これより私は、新しいマンガを描く!
ここにいる、どのマンガ家も描けない、見たことのないマンガです。
私の受賞に対し、ベテランジジイの功労賞に過ぎないとたかをくくっている君たちに勝負を挑む!
天才も凡人も年齢も性別も人種も国境も関係ない!
必要なのは、面白いマンガを描くというその一念だ。
私は、私をあきらめない。
今日この日、この場所が、私の新たなるマンガ人生のスタートです!
若いマンガ家にも『負けないからね』と言ってのけ、ライバル心むき出しだったという手塚治虫さんを思い出させるようなスピーチ。
自分の立ち位置さえしっかりしていれば、いつだって、誰だって、そこから始めることができる。
そう思わせてくれるセリフだった。
このスピーチを聞いた中田くんの
『一日最低二食、食べます。ちゃんと寝ます。マンガ描きます』と言った表情のなんと素直でかわいかったこと。
そしてアシスタントもきちんとつけ、新たなステージへ向かう中田くん。
ついでにスピーチの後で人気マンガ家・高畑一寸が『クソジジイ・・・』とつぶやいたのもステキだった♪ このドラマの滝藤さん、なんかよかったなあ。
全裸シーンもあったしヾ(o^▽^o)ノあはは♪
そして『ピーヴ遷移』の重版が決まって、湧き上がる編集者たち。その中での心のつぶやきでほろほろと・・・。
いつか、挫けそうになったとき、道に迷ったとき。思い出そう、この日のことを。
たくさんの心が震える瞬間を。
誰かのために働く、自分のために働く、何のためにでもかまわない。
誰かが動けば、世界は変わる。その一歩が、誰かを変える。
毎日は続いていく。
今日もまた生きていく
そんなキレイごとや理想で仕事がうまくいきゃ苦労ねえよ、カネ稼ぐってそうじゃねえよ、と思っちゃう時もあるわな。
まあ、甘っちょろいセリフなんだろうけれど、でもこういうことを信じていたい。
少なくとも、信じたいと思う気持ちは持ち続けていたい。
過去の栄光を懐かしんで今を嘆いて立ち止まっているのではなく、
過去の輝きがあるから、この先何があっても続けていけるように。過去の頑張りや、過去の喜びが、いまを、これからを生きる力になるように。
ラストで、心が発売されたばかりの週刊バイブスの匂いをかぐシーンと、
中盤で、中田が『ピーヴ遷移』のコミックス表紙の校正刷りの匂いをかぐシーン。
そして第1巻が刷り上がってきた時に、心がコミックスの匂いをかぐシーン。
これもお見事。ここでも泣きそうになった。
何話か前で電子コミックの話があったが、それでも本のインクの匂いにこだわる人々。
デジタルの時代に、アナログな紙とインクという演出にこだわったのが、なんだかうれしかった。紙媒体って、絶対になくしちゃいけないんだよな。
人間関係、金銭関係、病気、思いどおりにならないことだらけ、そんなこんなで毎日生きていくのは結構大変だ。
けれど、周りの人のコトバや物事の見方、そして自分の心の持ちようによって、
人生はいくらでも楽しいものにできる。
別に一発大逆転を狙わなくたって、大金持ちになって人から羨まれなくたって、楽しい人生にするかどうかは、自分次第だ。
それを届けてくれた10話だったと思う。
実際、毎週観終わると、明日からまた仕事頑張ろう! という気持ちになれたという人が多かったらしい。なるほど。
なんだかこう、仕事をちゃんと、丁寧にしたくなる(家事だって仕事だ)ドラマだったなあ。
そしてココロに残った名ゼリフをちょっと挙げてみたい。単に自分が忘れないためにだ 。(*^▽^*)ゞ
思いかえれば、毎回どこかで、何かのセリフで泣きそうになってたワタシ(* ̄з ̄)ププッ
<第1話>興都館の面接に臨む心のコトバ。
面接は柔道と同じだ。たった10人の採用。私は周りを蹴落とすんじゃない、10人に選ばれる!
<第2話>本当は編集がやりたかったのに営業に配属され、やる気なし。『ユーレイくん』と呼ばれている営業担当・小泉のコトバ。
頑張れって言葉、嫌いなんだよね。頑張れ頑張れって、頑張れのインフレが起きて、うんざりする。
営業部長・岡が小泉に言ったコトバ。
俺たちが売っているのは本だが、相手にしているのは人だ。
伝える努力を惜しむな。マンガはどんなに面白くても売れるとは限らない。勝手に売れる作品なんてない。
売れた作品の裏には、売った人間がいる。俺たちが売るんだ。
<第5話>
装丁デザイナー・野呂のコトバ。
僕はデザインの師匠に言われたことを守ってるだけ。
『世の中を良く見ろ。世間は遊びであふれている。書店へ行けば途方もない数の本が並んでいる。
その中から一冊を選んでもらう魔法は…ない。だから考えろ。
考えて考えて決められた予算の中で出来うる限り最大最高の仕事をしろ』
<第6話>数字至上主義の安井さんが、熱血編集者からツブシの安井に変わったエピソードの終わりで語られるコトバ。
理想だけで仕事ができる人は この世にどれだけいるのだろう。
いい作品を作ることだけに向き合えるのなら どれだけ幸せだろう。
<第7話>
ムロツヨシ演じる三蔵山のアシスタント・沼田が、マンガ家の夢を諦めるという決断をした時に、三蔵山に語ったコトバ。
ハタチから倍も経ってしまいました。倍もの時間、闘わずに来てしまいました。
いつか理解してもらえる、いつかいい編集者に巡りあえる、いつか認めてもらえる。
そうやって本気で闘わないまま、ここまで。
そのくせ同級生のサラリーマンには言ってたんですよ 偉そうに。
モノづくりはこうじゃなきゃいけない、クリエーターはこうであらねば
夢を追いかけている自分は他の人とは違う、そう思いたかったんです。
マンガ家を目指してる間は 特別でいられた。特別な人間でいたかったんです。
<第8話>
濵田マリ演じる書店員の河さん。中学時代の彼女を救ったマンガ『100万オトメバイブル』からのコトバ。
『私たちはみんな見えない羽を持っている。
立派な羽を育てたければ本をたくさん読みなさい。
本の形って 鳥の形でしょう?
読めば読むだけ強くてしなやかな羽になる。 そうすればどこまでも飛んでいける』
この『100万オトメバイブル』は、いくえみ綾さんが作画でした~。
<第9話>
オダギリジョー演じる五百旗頭が心の中でつぶやくコトバ
今まで生きてきた時間をはかりにかける。成功と失敗 どちらが多いのか。
よい行いをすると運をためられる、そんなおとぎ話を守る理由は、はかりを傾けたいからだ。
正しい道を選べるように 少しでも運を味方につけられるように。
そして『生みの苦しみ』にもがく中田くんと、彼を編集者として支えようとする心の映像にかぶせるような五百旗頭の独白。
彼らの上に幸運を。努力と苦しみに見合うだけの成功を。
彼らが紡ぐ物語を大切に、壊さぬように。
看板マンガ『ツノひめさま』の作者・高畑一寸が引き抜きを図るエンペラーの副編集長・見坊に宣言するコトバ。
俺は見坊さんが言うような天才じゃなくて きったねえチャリンコだったんだよ。
それがいま、ジェット機になってみんなを乗せて飛べてんだ。
俺はまだまだ「ツノひめ」が描きたい。こいつらみんな乗っけて飛びてぇんだ。
いや~~やっぱりセリフに力があるなあ・・・。他にもいろいろあるんだけど、ここまで♪
視聴率は結局一度も二ケタに届かなかったそうだが、ホントによくできた、ひさかたぶりに『気持ちのいい』作品だった。
ここまでど真ん中直球なドラマって、最近少なかったもんね。
『続編出来!』を希望したいのだが、続編をやらない(やれない?)TBSだから無理かなあ・・・。
火曜日の夜10時が楽しみだったのに、来週からどーしましょ。