デブ夫婦のビバ!お気楽人生&ぐーたら生活

体重合計約150㌔のちょっぴりデブ夫婦です♪毎日ぐーたら暮らしているお気楽夫婦のゆる~い日常を綴っています。

『重版』ロスになりそうよ・・・(つд⊂)

2016-06-18 00:20:56 | テレビ番組
珍しく第1回から最終回までくじけることなく、面白く観たドラマだった・・・。
14日に最終回を迎えたドラマ『重版出来!』。最後までホントにいい作品だった。
非常に単純な話で、うまくいきすぎのはずなのに、なぜか(`д´)ケッ と思わず観ることができたのは、
『セリフの力』ってのもひとつの理由かもしれないなあ。
各回に、それぞれとても印象に残る名ゼリフがあったように思える。それは後ほどとして、
振り返るのも悲しいんだが、まずは最終回の感想から(つд⊂)エーン

新人・中田伯の『ピーヴ遷移』連載がスタートして半年後。
子どもの頃の虐待が原因で、人とうまく接することのできない中田くん、アシスタントをつけても『怖い』と言ってみんな辞めてしまう状態が続いていた。
中田くんはアシスタント無しでひとりでやると言い出し、寝食を忘れて執筆に没頭する。
そんな中『ピーヴ遷移』が世の中ではすごい話題になっていき、コミックス第1巻の発行を早めるだの、サイン会を開催するだの、編集部は大盛り上がり。
でも当の中田くんはふらふら状態。
担当として心配する心。心配だから、つい母親のようにあれこれ言ってしまい『僕を支配しようとするな!』と突っぱねられてしまう。
『編集者失格です・・・』と落ちこむ心。

中田くん、心の居ない時を見計らって原稿を編集部に置きにくる。
心のデスクに貼られた『目指せ!重版出来!』の文字に目がとまる。
同じマンガ家の大塚に『重版出来。黒沢さんいわく、出版業界のみんなが幸せになれるコトバだそうです』
悩んだ中田くん、三蔵山先生のもとへ。奥さんがおにぎりを作ってくれる。
『僕の仕事はマンガを描くことです。僕は、僕のためにマンガを描いている。間違っていますか? それじゃダメなんですか』と問う中田くん。
三蔵山先生『君は君のために描いていい。私たちは常に自由だ。原稿用紙の上では』
そして、奥さんが作ったおにぎりを指して、
 このおにぎりを作るのに、米作りから考えると、水を270リットル使っているそうです。
 その水にほとんどの人は気づかない。でも、見えない水を想像すると世界は広がる。
 中田君、君が思っているより世界はずっと広いよ。

と優しく諭す。ああ・・・三蔵山先生、ホトケのようだ。ここでもうるうるきてしまった。
そう・・・どんなに能力があってもたとえ天才だとしても、ひとりでは何もできない。
描く人、一緒に作る編集者、売るために知恵をしぼってくれる営業、協力してくれる書店、それらが一体とならないと本を売ることはできない。
人間、ひとりなんだけど、ひとりでは何もできないんだよな。

そして家に帰り、持たせてくれたおにぎりを頬張る中田くん。
その顔が『おいしい』って顔で、とてもいい表情だった。

コミックスの表紙案を持って再び中田くんを訪ねる心。『この間はごめんなさい!』と頭を下げる心に、同じように頭を下げる中田くん。
やっと、マンガ家と編集者として対等の立場に立てた瞬間だったんじゃないかなあ。
『重版出来、それが黒沢さんの目標ですか』
『はい。全員が幸せになれるコトバです』
『全員の幸せは無理です。でも、黒沢さんの目標ならかなえてあげたい。僕にできることはありますか』
今まで自分のためにしか生きてこなかった中田くん。それが心のために何ができますか、と聞けるようになった。
人は、人と関わって、人のために何かをする。
もう、中田くんの表情が最初の苦しんでいた時と全然違うんだよね。それだけでうるうるしちゃうオバサンである(* ̄з ̄)ププッ

そして『ピーヴ遷移』第1巻発売。新人のコミックスでなんと初版5万部。
発売記念イベントとしてサイン会を行うことになったが、中田くんは絵は下手だから名前だけでいいですか? という約束を心としていた。
しかし、会場の書店には店員が手作りしたステージ。そして、自分の本を買ってくれて長い列を作る人々。それを見た中田くん。
『やっぱり、絵描きます。下手でも・・・描きます』
『マンガは自分のために描くもの』と頑なに信じていた中田くんが、初めて『誰かのために描く』という気持ちを持った瞬間だった。

同じ頃、近代芸術文化賞のマンガ部門で大賞を受賞した三蔵山先生の受賞記念パーティが行われていた。この三蔵山先生の受賞スピーチで、うるっときてしまった 。(*^▽^*)ゞうるっときたので、長いけど載せる!

 オワコンの三蔵山です。終わったコンテンツ。もう必要ないという言葉です。
 オワコンだとあきらめ、筆を折ろうと思っていました。それがいま、こんな場所でここに立っている。
 人生、全くわかりません。ですが、わかっていることもあります。
 私と出会い、血となり肉となってくれた人達。
 必死に走っている時、共に走ってくれた人達。
 彼らがいたから、私は今、ここに立っている。
 一人ではここには立てなかった。
 みなさんとともに手にした賞です。本当にありがとう。
 「ドラゴン急流」はまもなく終わります。その終わりを持って、長きに渡るドラゴンシリーズも終わりを迎えます。
 同時に、ドラゴンに捧げた我が漫画家人生に、終止符を打とうと思います。


えっ、まさかの引退宣言? と思わせておいて、ここからがすごい。

 これより私は、新しいマンガを描く!
 ここにいる、どのマンガ家も描けない、見たことのないマンガです。
 私の受賞に対し、ベテランジジイの功労賞に過ぎないとたかをくくっている君たちに勝負を挑む! 
 天才も凡人も年齢も性別も人種も国境も関係ない! 
 必要なのは、面白いマンガを描くというその一念だ。
 私は、私をあきらめない。
 今日この日、この場所が、私の新たなるマンガ人生のスタートです!


若いマンガ家にも『負けないからね』と言ってのけ、ライバル心むき出しだったという手塚治虫さんを思い出させるようなスピーチ。
自分の立ち位置さえしっかりしていれば、いつだって、誰だって、そこから始めることができる。
そう思わせてくれるセリフだった。
このスピーチを聞いた中田くんの
『一日最低二食、食べます。ちゃんと寝ます。マンガ描きます』と言った表情のなんと素直でかわいかったこと。
そしてアシスタントもきちんとつけ、新たなステージへ向かう中田くん。
ついでにスピーチの後で人気マンガ家・高畑一寸が『クソジジイ・・・』とつぶやいたのもステキだった♪ このドラマの滝藤さん、なんかよかったなあ。
全裸シーンもあったしヾ(o^▽^o)ノあはは♪

そして『ピーヴ遷移』の重版が決まって、湧き上がる編集者たち。その中での心のつぶやきでほろほろと・・・。
 
 いつか、挫けそうになったとき、道に迷ったとき。思い出そう、この日のことを。
 たくさんの心が震える瞬間を。
 誰かのために働く、自分のために働く、何のためにでもかまわない。
 誰かが動けば、世界は変わる。その一歩が、誰かを変える。
 毎日は続いていく。
 今日もまた生きていく


そんなキレイごとや理想で仕事がうまくいきゃ苦労ねえよ、カネ稼ぐってそうじゃねえよ、と思っちゃう時もあるわな。
まあ、甘っちょろいセリフなんだろうけれど、でもこういうことを信じていたい。
少なくとも、信じたいと思う気持ちは持ち続けていたい。
過去の栄光を懐かしんで今を嘆いて立ち止まっているのではなく、
過去の輝きがあるから、この先何があっても続けていけるように。過去の頑張りや、過去の喜びが、いまを、これからを生きる力になるように。

ラストで、心が発売されたばかりの週刊バイブスの匂いをかぐシーンと、
中盤で、中田が『ピーヴ遷移』のコミックス表紙の校正刷りの匂いをかぐシーン。
そして第1巻が刷り上がってきた時に、心がコミックスの匂いをかぐシーン。
これもお見事。ここでも泣きそうになった。
何話か前で電子コミックの話があったが、それでも本のインクの匂いにこだわる人々。
デジタルの時代に、アナログな紙とインクという演出にこだわったのが、なんだかうれしかった。紙媒体って、絶対になくしちゃいけないんだよな。

人間関係、金銭関係、病気、思いどおりにならないことだらけ、そんなこんなで毎日生きていくのは結構大変だ。
けれど、周りの人のコトバや物事の見方、そして自分の心の持ちようによって、
人生はいくらでも楽しいものにできる。
別に一発大逆転を狙わなくたって、大金持ちになって人から羨まれなくたって、楽しい人生にするかどうかは、自分次第だ。
それを届けてくれた10話だったと思う。
実際、毎週観終わると、明日からまた仕事頑張ろう! という気持ちになれたという人が多かったらしい。なるほど。
なんだかこう、仕事をちゃんと、丁寧にしたくなる(家事だって仕事だ)ドラマだったなあ。

そしてココロに残った名ゼリフをちょっと挙げてみたい。単に自分が忘れないためにだ 。(*^▽^*)ゞ
思いかえれば、毎回どこかで、何かのセリフで泣きそうになってたワタシ(* ̄з ̄)ププッ

<第1話>興都館の面接に臨む心のコトバ。
 面接は柔道と同じだ。たった10人の採用。私は周りを蹴落とすんじゃない、10人に選ばれる!

<第2話>本当は編集がやりたかったのに営業に配属され、やる気なし。『ユーレイくん』と呼ばれている営業担当・小泉のコトバ。
 頑張れって言葉、嫌いなんだよね。頑張れ頑張れって、頑張れのインフレが起きて、うんざりする。
営業部長・岡が小泉に言ったコトバ。
 俺たちが売っているのは本だが、相手にしているのは人だ。
 伝える努力を惜しむな。マンガはどんなに面白くても売れるとは限らない。勝手に売れる作品なんてない。
 売れた作品の裏には、売った人間がいる。俺たちが売るんだ。

<第5話>
装丁デザイナー・野呂のコトバ。
 僕はデザインの師匠に言われたことを守ってるだけ。
 『世の中を良く見ろ。世間は遊びであふれている。書店へ行けば途方もない数の本が並んでいる。
  その中から一冊を選んでもらう魔法は…ない。だから考えろ。
  考えて考えて決められた予算の中で出来うる限り最大最高の仕事をしろ』

<第6話>数字至上主義の安井さんが、熱血編集者からツブシの安井に変わったエピソードの終わりで語られるコトバ。
 理想だけで仕事ができる人は この世にどれだけいるのだろう。
 いい作品を作ることだけに向き合えるのなら どれだけ幸せだろう。


<第7話>

ムロツヨシ演じる三蔵山のアシスタント・沼田が、マンガ家の夢を諦めるという決断をした時に、三蔵山に語ったコトバ。
 ハタチから倍も経ってしまいました。倍もの時間、闘わずに来てしまいました。
 いつか理解してもらえる、いつかいい編集者に巡りあえる、いつか認めてもらえる。
 そうやって本気で闘わないまま、ここまで。
 そのくせ同級生のサラリーマンには言ってたんですよ 偉そうに。
 モノづくりはこうじゃなきゃいけない、クリエーターはこうであらねば
 夢を追いかけている自分は他の人とは違う、そう思いたかったんです。
 マンガ家を目指してる間は 特別でいられた。特別な人間でいたかったんです。

<第8話>
濵田マリ演じる書店員の河さん。中学時代の彼女を救ったマンガ『100万オトメバイブル』からのコトバ。
 『私たちはみんな見えない羽を持っている。
 立派な羽を育てたければ本をたくさん読みなさい。
 本の形って 鳥の形でしょう?
 読めば読むだけ強くてしなやかな羽になる。 そうすればどこまでも飛んでいける』

この『100万オトメバイブル』は、いくえみ綾さんが作画でした~。

<第9話>
オダギリジョー演じる五百旗頭が心の中でつぶやくコトバ
 今まで生きてきた時間をはかりにかける。成功と失敗 どちらが多いのか。
 よい行いをすると運をためられる、そんなおとぎ話を守る理由は、はかりを傾けたいからだ。
 正しい道を選べるように 少しでも運を味方につけられるように。

そして『生みの苦しみ』にもがく中田くんと、彼を編集者として支えようとする心の映像にかぶせるような五百旗頭の独白。
 彼らの上に幸運を。努力と苦しみに見合うだけの成功を。
 彼らが紡ぐ物語を大切に、壊さぬように。

看板マンガ『ツノひめさま』の作者・高畑一寸が引き抜きを図るエンペラーの副編集長・見坊に宣言するコトバ。
 俺は見坊さんが言うような天才じゃなくて きったねえチャリンコだったんだよ。
 それがいま、ジェット機になってみんなを乗せて飛べてんだ。
 俺はまだまだ「ツノひめ」が描きたい。こいつらみんな乗っけて飛びてぇんだ。

いや~~やっぱりセリフに力があるなあ・・・。他にもいろいろあるんだけど、ここまで♪
視聴率は結局一度も二ケタに届かなかったそうだが、ホントによくできた、ひさかたぶりに『気持ちのいい』作品だった。
ここまでど真ん中直球なドラマって、最近少なかったもんね。
『続編出来!』を希望したいのだが、続編をやらない(やれない?)TBSだから無理かなあ・・・。
火曜日の夜10時が楽しみだったのに、来週からどーしましょ。
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見栄と見得と。

2016-06-13 23:00:07 | つれづれ日記
デブ夫婦はテレビ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』をよく観る。
関係のない他人、しかも芸能人の『しくじり』なので、所詮は他人事だからおもしろいっていう曲がった根性もあるんだが 。(*^▽^*)ゞ、
登場する『しくじった人』たちが、しくじり前と同じ状況には戻れなくても、それなりに立ち直っているのが清々しかったりするもんで、
なんだか観てしまう番組でもある(あと中田あっちゃんのコーナーが好きw)。

先日は俳優の野村宏伸さんが先生として登場していた。
『おお、何だかひさかたぶりに見たなあ』と思っていたら、しくじっていたんですね・・・ヾ(o^▽^o)ノあはは♪
野村さんの『しくじり』は、こんな感じらしい。

妹が応募したオーディションでいきなり人気女優の相手役としてデビュー、その後も当たり役を得て順風満帆。
20代にして月収数千万という成功を手に入れた野村さん。
一度の成功で、これがずっと続くとその時は本気で思っていたそうだ。
成功の証として豪邸を建て、クルマを何台も持ち、お金は1000万円からが金だと思っていたらしい。すげー( ´ー`)フッ
まさに、家とクルマが成功のステータス。クルマを衝動買いするなんざ当たり前だったらしい。すげー。
けれど当たり役の『なよなよした』イメージから、どうしても抜け出したかった。
で、当時は人気もあったもんだから次々とオファーが来た。
そこで、勘違いをしてしくじったわけだ。

見栄を張って、自分のやりたい役しか受けなかった。
見栄を張って、自分のステータスを下げられず、俺は主役じゃなきゃ、とばかりに脇役のオファーなんて断った。
そして、そんな状態でも知人に大金を貸し、結局一円も帰ってこずその総額は1億円。
なぜ返すように催促しなかったのかというと・・・、
『ケチな奴と思われたくなかった』という見栄。

徐々に仕事がなくなっていき、月に1、2回ほどしか仕事がない時も出てきて、
妻に『仕事大丈夫なの?』と聞かれても、家族にすら見栄を張って『大丈夫だから』と答えていたそうな。
結果、仕事もほぼなくなり、離婚。
今思えば、妻はすべてを打ち明けてほしかったのかもしれない・・・とわかったが、遅かった。
そんなこんなで、見栄を捨てられなかったという『しくじり』の話であった。

まあ、男たるもの見栄のひとつも張りたいのはわかるし、ハッタリをきかせにゃできないことだって時にはある。
が、程度問題だよね・・・。
特に、最初に始めたことであれよあれよと成功しちゃうと、無意識のうちに見栄を張り続けることになるのかもしれない。

さて、そんな『見栄』とはなんだ?? 辞書によると・・・、
 人の見た目を気にして、うわべ・外見を実際より良く見せようとする態度。
 見た目の姿を意識して、実際以上に良く見せようとする態度。


要するに、他人に対してするものなので、他人にどう見られたいかという気持ちの表れである。
カッコよく見られたい、金持ちに見られたい、アタマよく見られたい、センスよく見られたい、できる人に見られたい・・・。
まあ、ちょこっと盛ったり見栄を張ったりするのはカワイイもんだと思うが、
それこそ『ないのにある』ふりをしちゃうと、ゴーちゃんとかマクアードルさんになっちまう。
結局は、いまの自分の身の丈以上の言動をすると、自分自身に返ってくるってことなんだわなあ。

見栄とプライドをごっちゃにしている人も居るが、プライドってのは『矜持』というコトバに近いように思う。
ブレないもの、捨てないもの。これがプライドじゃないかと。
見栄を張っていると、張った見栄に見合わないことが起きた時=自分の見栄が満たされない時に、
それは怒りや八つ当たりや絶望につながるんじゃなかろうか。
見栄を張りたがる人は、本当は弱くて自信がない人だという話もよく聞く。

そうそう、ちょっと話がそれるが・・・この間知人がこんなことを言ってた。その人の知り合いの話なんだけど、
『ぶれない人ってのは、何があっても立ち位置が決まってるから大丈夫なんだよね。
仕事で大当たりしてすごい儲けて、その時は浮かれて家買ってクルマ何台も買う。服や時計もブランドで揃える。
そりゃ、物欲はあるからね。
でも、一度それらを所有して満足すると、仕事が減ったら減ったでそういう人って意外に簡単に手放しちゃう。
一台しか運転できないんだから一台でいいや、別に都心に住まなくたっていいや、って思える。
その時の身の丈の生活がちゃんとできて、それを別に不幸だと思わない。
それは、自分がやりたいことや自分の価値観がしっかりあって、自分がブレてないからだ』と・・・。なるほどねえ。
ドラマ『重版出来!』の中でも、
『今は時代が変わって、どうしていいかわからんことだらけです。
でも、あの頃になんて戻れないし今ここで、私ら生きていかにゃならんでしょう』
というセリフがあった。
どういう状況でも、あの頃はよかった、あの頃の自分がイチバン幸せだったと嘆いたところで、戻らない。
いま、これからを懸命に過ごしていくしかないのだ。
さっきの『しくじり先生』の中でも、野村宏伸さんはすべてを失ってやっと
『今の自分は負け組。泥水すすってでも這い上がろう』と決心できて、
人に助けてもらう覚悟ができて、今があると言っていた。

さて、辞書で調べると『みえ』にはふたつの文字が当てられている。
『見栄』と『見得』。
最初の『見栄』は上で書いたとおり。見た目や体裁、という部分が大きい。そして後の『見得』のほうの意味は、おなじみですね。
 歌舞伎の演技・演出の一。劇的感情が高まったとき、俳優が、一時その動きを静止してにらむようにポーズをとること。

ふたつの『みえ』って、こういうことなのかもしれない。
『見栄』は、自分の身の丈以上のことを言ったりやったりしようとして、背伸びしていること。
こんないいもん持ってる自慢、過去の武勇伝自慢、こんなすごい人知ってる自慢、自分お金持ち自慢などなどは、
やっぱり他人に対する見栄。

『見得』は、いざ、という場面において格好をつけること。
自分がどんな状況だとしても、格好をつける。まっすぐに、やるべきことをやる。背伸びなどしない。
つまり、自分に対する見得。

自分の周りに対して出すことだから、見栄は『張る』と言い、
自分の内なるものから出るものだから見得は『切る』と言う・・・んじゃないかと思ったりする。違うかもしれないけど。

珍しくこんなことを考えたのは、先日、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの会見を見たからなのだ 。(*^▽^*)ゞ
奥さんが重い病気を患っていた。それを2年近く公にせず、家族で支えあって、今も一緒に頑張っている。
病気の本人がイチバン辛いのは当たり前だが、周りで支える家族も辛いはず。そして、子どもたちも含め家族それぞれが辛いと正直に言葉に出した。
強がるわけでもなく、嘘を言うわけでも、もちろん『見栄』を張るわけでもなく、
気丈に、自分の言葉で、きちんと説明をしたあの姿勢こそ、ここぞという時の『見得』なんじゃないかなあと思ったわけで・・・。

見栄を張るから、苦しくなる時もあると思う。
それでも・・・例えば病気を持っていてもできる仕事をしている人はたくさんいる。
会社を経営していて事情があってそれを止めても、家族のため、自分のために会社員に(一時的にでも)戻っている人もたくさんいる。
それは、見栄ではなく見得の部分もあるんじゃなかろうか。もちろん、現実的にそうせざるを得ない、というところも大きいだろうけれど。
でも、生き方として見得を切ってるんじゃなかろうか。それこそ見た目や他人にどう思われるかではなく。自分たちのために。

そう思うと、みえって張るものじゃなく切るものなんだなあと。
とはいえ、それができる人ってなかなか居ないよね・・・。そういう矜持を持った大人になりたいものだが、
いつまで経っても未熟者で苦労が足りない人間なので、まだまだ・・・。
張るほどの見栄もない2号嫁のような人間は、せめてここぞという時に見得を切ることができるようになりたいと、
ちょっぴり憧れたりもするのである・・・。
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海街diary7 あの日の青空@吉田秋生/生きるってことは前を見続けることなのかも。

2016-06-08 11:35:19 | 読書感想・レビュー
6月に入ったと思ったら、日曜日には関東甲信地方が早くも梅雨入り。
洗濯物も乾かず、うっとうしい毎日が続くと気持ちも( ̄_ ̄|||) どよ~ん・・・となりがちではあるが、
湿気に負けずココロを奮い立たせて過ごしていこうと思う今日この頃である。

さて、おなじみ1年半~2年にやっと新刊が出るのんびりコミック『海街』。
あまりに間が空くので、発売されたことすら知らず、書店に並んでるのを見て『おお、出たんだ』と気づく始末である(*^^*ゞ
先日、実写映画もテレビで放送されていて、やっぱり観てしまったが・・・まあ、あれはあれ・・・かな。
広瀬すずちゃんは可愛かった♪ あと意外に(?)千佳ちゃん役の夏帆ちゃんがピッタリ合ってた♪

というわけで何だかんだで7巻。今までの謎が少しずつほどかれていく巻でもあった。今回は4つの物語が綴られている。
ネタバレがかなり含む&かなり詳しく書いてしまったので、未読の人は飛ばしてくださいね~。

『同じ月を見ている』
中学校最後の年を迎えたすずの進路の話がメイン。地元のサッカーチーム『湘南オクトパス』で
エース級の活躍をしているすずに、静岡の高校から特待生の話が舞いこんでくる。
普通なら喜ぶべき話なのだが、すずは思い悩む。
不倫から生まれた自分、父親の再婚によってどこにいても自分の居場所がなかった日々。
異母姉たちと出会い、鎌倉に来て、仲間もでき、家族もでき、やっと自分が居てもいい場所を見つけたのに、
ここを出て行って姉たちと離れることで、自分はまたひとりぼっちになってしまうんじゃないか・・・という怖れ。
迷うすずのもとに、次女・佳乃の元カレで、高校を中退して鎌倉から小笠原へ旅立った朋章からのメールが届く。
複雑な家庭環境に、自分さえ居なければ・・・という思いから、かつて入水自殺を図ったことのある朋章。
冷たい海に入っていく時に月が出ていたおかげで発見されて、今ここに生きている。
あの時、海水にむせびながら見た月と、今自分が見ている月は違うと思っていたが、
月はいつも、ずっと同じように闇を照らしてくれていた。
違ったのは、自分の気持ちだけ。それに気づけただけでも自分は生きていてよかった・・・と。
メールの最後には『月が君の道を照らしてくれますように』
そう・・・太陽も月も、海も、風も、当たり前のようにそこにある。けれど、自分の心持ちでそれは違ったものになってしまう。
何時間も炎天下を歩いていれば、太陽の光は苦しいだけだし、
絶望的な気持ちの時に見る月を、きれいだとは思えないかもしれない。
失恋して海に来たら、心穏やかではいられないかもしれない。
人間は弱い。それでも、立ち上がることはできる。
月は、どこで見ても、どんな想いで見ても、同じように人間を照らしている。
そして、風太の『おまえがどこで暮らしたって お姉ちゃんたちがおまえのお姉ちゃんなのは変わらないって
おまえがそう思えるから おまえはひとりぼっちじゃない』
という言葉にも背中を押され、
すずは特待生の話を受ける決意をする。
いや~~風太がどんどんカッコよくなっていくね♪中学生だけど(笑)。
同じ月を見ていた三女・千佳の
『きっといろんな人が いろんな気持ちで おんなじ月を見ているんだろうね』という意味深は言葉は、次の物語への伏線・・・。


『パンと女子と海日和』
長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の恋の進み具合を描いた物語。
幸は、同じ病院のリハビリ科に務める理学療法士・泰之と恋人のようなメシ友達のような関係からなんとなーく一歩踏み出しつつあるところ。
佳乃は、職場の課長・坂下に片思い中。しかも何だか最近避けられてる? と感じていて、『恋の狩人』としては諦められない。
千佳は、勤務するスポーツ店のアフロ店長・三蔵とラブラブ・・・のはずなのだがいろいろあるんだな。
かつては有名な登山家だった三蔵。エベレストで両足の指を失ってから第一線から退いていたが、
現役の時に世話になったシェルパが事故(しかも山ではなく川で溺れて)で亡くなり、
その追悼式に出るためにネパールへ行くことになった。
あの8000メートルの世界にもう一度行ってしまったら、もう彼は帰ってこないのではないか・・・
その思いが、千佳を不安にさせている。
さて、三姉妹の恋はどうなっていくのか・・・。

『あの日の青空』
重いです。ついに、佳乃の上司・坂下と『山猫亭』のマスター・福田さんの過去が明かされる。
山猫亭の福田さんの担当が坂下から佳乃に代わることに。坂下は引継の挨拶のため山猫亭を訪れる。
ちょうどその日は、福田さんと懇意にしていた『海猫食堂』のオーナーだった二ノ宮のおばちゃんの月命日。
福田さんと坂下は、ふたりで二ノ宮さんの好物だった豆大福を食べながら話をする。
そこで、坂下が初めて口を開く。
『都市銀行に勤めていた頃 担当していた方が自死してしまったことがありました』
理由は借金だったがそれはメドがついたところで、何とかやっていけると相手も喜んでくれた矢先のことだった・・・と。
そんな坂下に福田さんは『あんた 話す相手を間違ってるんちゃうか』と言う。佳乃が話を聞いてくれるんじゃないか、と。
口ごもる坂下に対して、福田さんが初めて自分の過去を語る。

父親は小さな工場を経営していたが、妙な商売に手を出して借金が膨らみ、
たったひとりの妹にも借金を断られ、首を吊って死んだ。よくある話だ、と。
残された母親は債権者に頭を下げて回り、2年と経たないうちに亡くなった。
そして自分は父親に対して『何もかも放り出して自分だけ楽になりよって』と許せない思いを抱き続ける。
大嫌いな父親、あんなしょーもない男に金貸さない方が当たり前だ、そう思っていた。
なのに、父親の妹の息子に危ない相場に手を出させ、ヤクザの紐付きだとわかっていて金貸しを紹介し、
息子はマンションから飛び降りて亡くなった。ひとり息子に死なれた叔母は精神を病んで長い入院生活の末に亡くなった。
自分は何がしたかったのか。借金を断った叔母への復讐か。
叔母は小さい頃自分を可愛がってくれた。息子ともよく遊んだ。
なのに、自分はなぜあんなことをしたのか。今でもわからない。
『おばちゃんに話すはずやったんや』福田さんは『あたしでよければいつでも話聞くよ』と言ってくれていた二ノ宮さんに、
いつかこの話をしようと思っていた。けれど、彼女はそれを聞くことなく亡くなった。
『話聞いてくれるいう相手はもうおらん だから見てみい あんたなんかに話してしもたやないか』
そして坂下に、話を聞いてくれるという人が明日も同じように笑ってくれるという保証がどこにある、
話を聞いてくれると言ってくれる人がいつまでもいると思っているのか、思い上がるな、と声を荒げる。
せつないです。
いつか二ノ宮さんと分かち合いたいと思っていたのに、イチバン話を聞いてほしい相手が、もうこの世に居ない虚しさ。

そして坂下は、佳乃に真実を打ち明ける。
都市銀行時代のお客さんが電車に飛びこんで亡くなった。
その人は事業に失敗して負債を抱え、その処理を担当したのが坂下だった。
ほとんどの資産を処分するしかなかったが、なんとか負債だけは残さないようにして、
その人も『ありがとう、これで息子に借金残さないで済む』と言ってくれたのだという。
ある梅雨の晴れ間の日、坂下は偶然その人と会った。その人は気づいて手を振ってくれた。
しかし、彼はその足でまっすぐ線路に向かったのだという。
坂下は自分に問いかけた。
できる限りのことはやったつもりだった。奥さんや子どものことも考えたつもりだった。
なにがいけなかったんだろう? 僕は何を間違ったんだろう?
あの時返済計画がどうのと言う前に『生きてナンボです!』って言ってあげられたら、もしかしたらあの人は死なずに済んだんじゃないか・・・。
そんな後悔をずっと抱えていたことを、佳乃は知る。
ようやく自分の心を解放し、坂下と佳乃はお互いの想いを伝えることができた。

『遠い雷鳴』
長女・幸と泰之の恋は遠雷とともに一歩前へ。佳乃は坂下と一気にラブラブモード(⌒▽⌒)アハハ!
そして千佳は・・・。
偶然すずが見つけてしまった、封の切られた妊娠検査薬と千佳の関連は・・・というところで次に続く。
これまでコメディリリーフ的な役割だった千佳が、初めて思い悩む。これまで見せなかったような表情で千佳の抱えている不安が語られている。
幸と泰之が初めてキスするシーンでの幸のモノローグが印象的。
『時はいろいろなものを変えていくのだろうか 思い出も 傷も』

相変わらず、何でもない日常を愛おしむように描いているこの作品。
彼氏と別れたり新たな出会いがあったり、誰かが生まれたり亡くなったり、
そんな『当たり前』の日々の出来事は、生きている誰かにとっては大切なこと。
もちろん、生きていくことは綺麗事だけじゃ済まない。
それでも今生きている人は、例えばどんな栄光の過去があっても、そこには戻れない。
無理にでも、恥ずかしくても、前を向くしかない。
それを作者はよくわかっているのだと思う。
そうそう、この巻でもさまざまな食べ物が登場するのだが、それがどれもうまそーでヾ(o^▽^o)ノあはは♪
コロッケにコロッケパン、シューマイ、きんつば、ドイツパン、煮魚定食、アジフライ定食、カブのクリームスープなどなど・・・。
かまくらカスターなんてもう何年も食ってないんだけど、これを読むと食べたくなる 。(*^▽^*)ゞ
感動するんだけど、腹も減るという作品なのであります。
さて、この先はまた・・・1年半後~? そろそろこの物語もラストが近いのかもしれないな。
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