6月あたりから書店に行くたびに『出てるかな~』とチェックしていたはずなのに、ちゃっかり8月に出てたんですね(*^^*ゞ
待望の『海街Diary』4巻でございます。前巻から1年半ぶりだそうな・・・。長い・・・。
鎌倉の四季の中、四姉妹を中心に優しく、温かく、そしてちょっぴりやるせない人間模様が紡がれていく作品。3巻までのあらすじはコチラで。
今回も、末っ子のすずの目線で四つの物語が進んでいく。
一話目『帰れない ふたり』
いちばん上の姉・幸の後姿に、家庭のある男性を愛してしまった自分の母親を重ねて見るすず。今まで誰にも話したことがない母のことを、風太に語る。自分の両親が不倫から始まって自分が生まれたこと、一緒に暮らそうと言ってくれた3姉妹の父親を奪ったのが自分の母親であること・・・に悩むすずに、風太は
『おれは浅野がこの世に生まれてくれて良かったって思ってるから』
いやあ~~頼りなかった風太が『男』へと成長していってるんだなあ。しかしリアル中学生ではなかなかこういう発言は出てこないと思うが。
二話目『ヒマラヤの鶴』
3巻までは単なる脇役? でしかなかった、三女・千佳の彼氏であるスポーツ店店長の、あの外見からは想像できないようなシリアスな登山での体験が語られている。
病気で片脚を失った裕也へのコトバが印象的。
『風太たちだって、自分たちがどうすることもできないことはわかってるんだ。それでもじっとしていられない・・・それで十分なんじゃないの?』
裕也は『なんてなぐさめていいかわかんないって顔される』のがウザイと言う。その気持ちも本当だし、そういう顔になってしまう周りの子たちの気持ちも本当。
でも、
脚がある人間には脚を失った人の気持ちなんてわからない。
目が見える人には見えない人の気持ちなんてわからない。
健康な人には病気の人の気持ちなんてわからない。
それでも、
友達だから、家族だから、大切な人だから、何もできないけれど、じっとしてはいられない。そう思ってくれる人が居るだけで十分なんだよな、多分。
それにしてもこの話で店長の株がぐぐっとあがったw子どもへの思いやりと上から目線でもなく子どもに媚びるでもない適度な距離感が、すごくいい! こういう大人になりたいと思うが・・・無理か(*^^*ゞ
三話目『聖夜に雪降る』
四姉妹それぞれのクリスマス。彼氏(店長)が居る千佳ちゃんや、風太が気になっているすずに対して、不倫関係にピリオドを打ったばかりの幸と年下彼氏と別れたばかりの佳乃にも新しい恋の予感が。しかも、ふたりとも元の彼氏とはまったく違うタイプなんだよねー。これからどうなるのかな~。
そしてお互いのクリスマスプレゼントを何にしようか思い悩む、すずと風太。この間までは平気だったのになぜか突然意識してしまって戸惑うすず。あー、中学生くらいの時ってこうなんだよなー。ホントにこの作家さんは十代のココロを描くのがウマイ!
四話目『おいしい ごはん』
個人的にはこのハナシがイチバン好き♪心に・・・というか、お腹に残った(*^^*ゞ
四姉妹と彼女たちの周りの人たちが、それぞれの食べ物にまつわる想い出を語るストーリー。
『海猫食堂』のアジフライ、香田家のおばあちゃんの味『ちくわカレー』、すずや風太が所属しているサッカーチームの監督・ヤスの一度しか食べられなかった『屋台の焼きそば』。
特に印象深く、多分この中でイチバン重要なのが『しらすトースト』。
サッカー仲間と入った喫茶店『山猫亭』で、父親がよく作ってくれた想い出の味『しらすトースト』と母親が好きだった『ジンジャーミルクティ』『ジンジャークッキー』に出合ったすず。もしかしたら自分の両親は、鎌倉にいた時にここを訪れていたかもしれない・・・。
不倫から始まったふたりは追われるように鎌倉を出て行くしかなく、すずの両親にとってこの2つは鎌倉の思い出の味だったのだろうか。
『お父さんたちはここへきたかもしれないし、こなかったかもしれない。でももう、それはわかんなくてもいいかなって
あたし、ここがすき。お店のふんい気も、おじさんも』
食べ物で忘れていた記憶がよみがえる・・・誰にでも、きっとあるはず。
それはおいしくなくても懐かしい味。食べてきたものと、それにまつわる想い出が、ひとを作っていくんだなあ・・・ということを実感できる。
『いろんな偶然が重なった奇跡の一皿』というセリフがあるが、
これが四巻のキーワードかな。
料理だけじゃなく、人の出会いもすべて偶然が重なる奇跡。
すずは、まだ子どもなのにあきらめてしまってることが多いように思う。もちろん子どもだから達観してるわけはなく、そういう『フリ』をしているだけだったんだろう。子どもであることを許されなかった暮らしをしてきたすずが、鎌倉へ来てからだんだん子どもの表情になってきているのがすごく印象的。いろいろな人との出会いや、さまざまな出来事を通して、今まで自分の中に隠していた想いや苦しさを少しずつ浄化していって、今回まぶしいくらいに成長して見えるすず。そして風太が、イケメンの裕也に負けないくらいにどんどんイイ男の表情になってくる。ああ、中学生っていいな。
今回の表紙は、鶴岡八幡宮の大銀杏。去年、強風で根元から倒れてしまった大銀杏は現在移植中だとか。作者は震災による喪失と再生(この作家さんのテーマでもありますね)への希望を想像して、あえて元気な大銀杏を描いたそうな。
生きるってことは、うまくいかなくて、やるせなくて、あきらめることも多いけれど、それでも前を向いていかなきゃな~・・・なんてことを思える作品です。こういうマンガがあるってことに、本当にほっとする♪
あとは幸の後輩ナース『アライさん』がいつ登場するのかが気になっておりますw
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