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雲南の特産料理・過橋米線6

2008-11-15 10:01:14 | Weblog
写真は文山のお隣、広南の市場でミーシエンを食べる人々。早朝の一仕事を終えた人やこれから一日が始まる人が次々とミーシエンを食べていく。10月半ばのためか、半袖から長袖の重ね着までさまざまな服装が入り乱れていた。

【階級闘争説】
もう一つが「階級闘争説」と呼ばれるもの。これはいささか漫画チックなお話です。

 とある汚職官吏が雲南のとある地に赴任してきました。さっそくムチャなおふれを出して、カネ集めをはじめます。

「まちの厨師すべてに告ぐ。一日で奇特な食品を作り出せ。その食べ物は生のまま長い橋を渡り、火を一切使わず、橋を渡るとたちまち煮込まれて食べることができる、とのいうものだ。もし、作り出せないならば、今後10倍の税を払うべし。」

 おふれを見た一流の腕前を持つイ族の厨師ガーさんは、この畜生官吏を懲らしめようと、おふれを剥ぎ取り、挑戦を受けることを承諾したのでした。

 翌朝、太陽がようやく湖面からその弓なりの一隅を出したころ、ガーさんの長い一日が始まりました。とにかく忙しく活動を始めたものの、寒い冬の日で寒風が音を立ててなり、魚を捕ることも難しい日。ミーシエンをどうやって煮込むかの見当すらつかない状態でした。

 昼になり、どうにもよい考えが浮かばない苦しい時、早暁に奥さんが差し入れた鳥のスープを食べていなかったことに気づいたガーさん。どうせ冷めているだろうと思いながら手にとると、なんとお椀はまだ、温かい。驚いて子細に観察すると、スープの表面には黄色い油が浮いていました。そこで閃いて、さっそく肥えた鶏肉のスープをつくり、超絶の技で生魚と生肉を紙のように薄切りにし、他の材料も細切りに仕立てたのでした。

 一椀に冷たい生魚と生肉と生ミーシエンをのせ、別の椀に黄色い油の浮いた鳥スープを用意し、ゆっくりと長い橋を渡り、くだんの官吏の前に置きました。
スープ椀に生魚や生肉、ミーシエンを入れると瞬時に煮込まれ、なお、スープは熱々の湯気を放っていました。

 人々は一口、食べると、その繊細にして鮮やかな味わいの虜となり、汚職官吏は驚いて目をぱちくり、口はあんぐり、となって、厨師の一本勝ちとなりました。
(『中国食品報』1984年7月27日)
コメント (6)
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