リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

演劇大好きにはたまらなくいい日だった

2022年11月17日 | 日々の風の吹くまま
11月16日(水曜日)。🌫⛅🌤。起きてみたら、見渡す限り五里霧中。道路を隔てた後ろのマンションが見えなくなるくらいの濃霧。霧の都の(崖の上だけど)ウォーターフロントで生まれた釧路っ子だけど、釧路の霧は塩気を含んだ重い霧で、夏の風物詩。メトロバンクーバーの霧はシルクのように繊細な軽やかな霧で、秋から冬にかけての風物詩。まあ、どっちも「濃霧」のレベルになるとすっぽり五里霧中で、なぁ~んにも見えないのは同じこと。特に高層階から眺めると、まるで何だか閉じ込められたような感じで、ほのかに人寂しさが忍び寄って来るし、外に出て道路から見上げる我が家も霧の中。霧が薄くなっておぼろげに外界が見えて来ると、あ、世界はちゃんとそこにあったんだという不思議な気分になる。



今日は11時から即興演劇クラス「Community Jam」がある日。もっとたくさんの人に演劇に興味を持ってもらおうと、Arts Clubの教育・コミュニティ活動部門が演劇に興味のある一般市民を対象にズームを使ってやっている無料のコミュニティサービス。誰でも登録するだけで参加できるプログラムで、最初の2回は都合が悪くて登録できなかったけど、今回の3回目と来年1月の4回目に登録してあった。しばらく使っていないラップトップをしっかり充電して、10分前にレクルームのミニチュア工房のテーブルにセットして、水のボトルと目薬を用意して、メールで送られて来ていたリンクから「教室」入り。今日の参加者は6人で、サンディとキンバリーは過去のクラスやワークショップでおなじみ。まずは顔をマッサージして筋肉をほぐして、腕を振りまわしながら発声練習をして、みんなリラックスしたところで、最初のレッスンは正反対の感情の切り替え。ヒラ先生が「笑って」と言うとみんな一斉にゲラゲラ、ワハハとやって、先生が「シフト」と言ったら即座に大泣きに切り替えて、次に「シフト」と言ったら笑いに戻るというもの。泣き笑いと言う言葉があるくらいだから、「笑い」と「泣き」の切り替えはわりと楽だけど、次の「うれしい」と「がっかり」、「勇気」と「臆病」は意外と切り替えにひと呼吸入っていた感じ。

次はペアを組んで、ディナーパーティでの初対面の人との会話のシーン。ひとりが途中で思いがけない情報を暴露するという設定で、ワタシと相方は「お仕事は」から入って、ワタシは毎日が同じでつまらない仕事で、人を退屈させたくないから言わないけど、あなたは?と振ったら、相方が「実は私のおじいさんはエルヴィス・プレスリーだったの」。そこで、わっ、すごぉ~いとやって、ステージを離れたプレスリーはどんな人だったのと質問したら、「生まれる前に亡くなったから、ものすごいお金を残してくれた人としか知らないの」。あらら。ペアワークの2回目の相方は道化師だったというおじいちゃんで、求人の面接で「不採用」の宣告と言う場面。応募者と面接者の役を入れ替えてやるので、2通りのストーリーができる。ワタシが面接役になって、「この仕事はあなたには向いていないと思いますよ」とやったら、おじいちゃんが「そんな仕事はやりたくねぇよっ。お前はいつから面接をやってんだ」と怒鳴ったので、「きのうからだけど、この仕事は嫌い」と返して、おじいちゃんは「だったらオレがやる。おまえはクビだ」。いやぁ、めちゃくちゃ楽しい1時間半だった。何だかドライアイも治っちゃったみたい。

晩ご飯の後で新聞サイトを回っていたら、Vancouver Sun紙に、地元の劇作家ドロシー・ディトリッチの『The Piano Teacher』が今年のGovernor General’s Literary Award(カナダ総督文学賞、通称GG)の戯曲部門で最優秀賞を獲得したという記事。Arts Clubが執筆を依頼して5年前に初演した作品で、関節炎でピアニストの道を諦めたピアノ教師のところにピアノに触れることもできなくなっていたピアニストが「またピアノを弾けるようになりたい」と言って来るストーリーで、今年出版されて(日本の芥川賞に匹敵する)GG受賞となったもの。ドロシーとはArts Clubのレセプションでいつか日本語に訳したいという話をしたことがあって、何だかワタシも急に夢の実現に向けてがんばりたくなっちゃった。大先輩の東京のY先生に見込みがあるかどうか相談してみようかな。うん、五里霧中でだらだらするのはすっぱり止めて、鉢巻きを締め直そうっと。自分に残された時間をしっかり見据えなくちゃね。