他人の秘密はばらしたくなるもので・・・
9月21日。水曜日。目覚ましがピーコ、ピーコ。午前9時。目は覚めたけど、ぐずぐずしていたら、ピピピピ。(こっちの目覚ましは小さいくせにうるさいなあ・・・。)あ、今日はマイクが池を壊しに来る日だったんだ。建設業の1日。はだいたい午前7時に始まる。家の改装工事だと、途中で材木屋などに寄ってその日の作業に必要な資材を仕入れたりすると、現場到着は8時ごろということになる。ワタシたちにとっては丑三つ時ということで、マイクとしては大いに譲歩して「午前9時以降」。それで、今日は午前9時に起床ということになった。(実際にマイクが現れたのは11時に近かったけど・・・。)
狭い庭に重機を持ち込むのに、2メートル以上ある生垣のシーダーを何本も掘り起こしたり、内側の塀の一部を壊したりするのは大きな手間がかかるし、市の歩道を傷めるリスクもあるということで、マイクは人力でやるのが一番効率的で安上がりと判断したとのこと。重機をトラックから下ろして車道から歩道に上げるときにコンクリートの縁石が欠けたり、舗装にひびが入ったりすると、市の土木部から修理費の請求が来る。これはワタシたちも家の新築工事のときに歩道のコンクリートが割れて、今の価値にしたら10万円を超えるくらいの修理代を取られたことがある。(自然にひび割れた歩道はなかなか修理しないのに、こういうときは迅速すぎるくらい迅速なのがお役所・・・。)
今日は人工の岩壁を一ヵ所だけカレシの希望で装飾的に残すことになっていて、その周りを崩す作業。元々鉄筋で全体のフレームを作って、金網を被せた上にコンクリート流してから、左官用のこててかなり自然な「岩場の滝」を成形してあるから、中は大部分が空洞。ちょっと肥満気味のマイクが「いい運動だよ」と言いながら大ハンマーをふるって、ガンガンと壊して行く。元々大工としてこの道に入って、(我が家の新築から付き合いの)ケンが会社を売って引退したのを機に独立したので、自宅のオフィスに座っていると体がうずうずして来るんだそうな。小型でも重機のレンタルは高いから、使わずに済めば客にはコストの節約になっていいし、裏庭へのアクセスはゲートハウスの裏庭側の板壁を剥がすだけで済むし、夜の間は合板を打ち付けて塞いでおけば、早朝から作業に来ても剥がせばいいだけなので、ワタシたちも早起きをしないで済む。もっとも来週は削岩機を持って来るそうだから、果たして寝ていられるかなあ・・・。
早く起きすぎたので、なんだか仕事のテンポがつかめないから、しばらくはさぼりモード。新聞サイトを見ていたら、九州のどこかの町の役場の管理職が自分のブログに職場の女性の容姿について実名で悪口を書いたり、役場の発令前の人事異動を公表したり、はては職務上のメールまで公開したりして懲戒処分になったという記事があった。思わず先日エアフォース・ワンのフライトプランなどを公表しいていた羽田の航空管制官のことが頭に浮かんだ。羽田の管制官も自分のポジションでなければ手に入らない特殊な情報を航空マニア仲間に見せびらかしたかったんだろうと思う。役場のオジさんの場合は「読む人が喜ぶ内容にした」そうなんだけど、人の容姿の悪口は喜ばれるという認識だったのかな。あんがいどっちもアクセスやランキングがブログの目的になってしまっているのかもしれない。
役場のオジさんは46歳、航空管制官は50代だった。男の人生で大人の責任感を最も重く感じるはずの年代のオジさんたち、何だってこうもたがが緩いんだろう。おまけに自分の立場さえ目に入らないらしい極度の視野狭窄症と来ている。そういう人が、ちょっと注目される(と思っている)職業だったり、部外者には知りえない情報に触れる職場にいたりすると、つい「ど~や、すごいだろ」と言ってみたくなることはあるだろうな。(勝手に管制室のツアーを企画した人たちも同じ心理だったんだろうと思う。)そこんところはワタシも部外者立入禁止の職場で「TOP SECRET(極秘)」、「CONFIDENTIAL(部外秘)」とスタンプを押してある警察情報を扱う仕事をしたことがあるからわかるんだけど、上から守れと命じられる「ヒミツ」には、なんともくすぐったくて、体中がかゆくなるところがあるから厄介。何となく「レアもの」を持っているという気分になって、意識していなくても「コレクター心理」が働いて、人に見せて羨ましがられたい誘惑に駆られやすい。
もっとも、そういう悪気がないというか、あっけらかんと他人のプライバシー侵害をするブロガーは年代や人種や国を問わずたくさんいると思う。ソーシャルメディアの隆盛で、深く考えずに情報を垂れ流す風潮になって来たし、匿名掲示板などでは、自分と他人の境界がわかっていない人が増えているな感じもする。まあ、ひと口にブログと言ってもテーマや目的は千差万別だけど、日本語のブログに断然多いといわれる個人の「日記」ブログでは、自分のことを書いているつもりでも、孤島で暮らしているのでもなければ、家族、友人、知己、知らない人といった人たちも記事に登場することになる。距離感の違いに関わらず、軽い気持で悪口や愚痴を書こうものなら、「中傷だ」、「プライバシー侵害だ」と非難されて、ブログは炎上、友情は断絶、悪くすれば名誉毀損で訴えられかねない。特に狭小な海外の日本人村では、ちょっとした描写で「あの人だ」とわかる可能性は高いと思う。
他人に関する情報がネガティブであれば、なおさら大胆になる傾向があるのは、スキャンダルをすっぱ抜く特ダネ記者の心理なのかな。まあ、匿名だから何を書いても「自分」だとはわかるまいという安心感のようなものがあるのかもしれない。人をほめない文化というのもあるかもしれない。書かれる方が(書き手にとって)非常識で不快なんだから、批判されるのは自業自得だという意識もどこかにないとは言えないだろうな。そういうところには、「注目される」ことしか眼中にない役場のオジさんよりも怖い悪意が潜んでいるように思う。でも、ブログは閲覧を制限していない限りは不特定多数の目に触れるわけで、悪口を書かれた人が「自分のことだ」と気づいて、逆襲してくる危険もあると思うんだけどな。ま、人の口に戸は立てられないというから、自分の口の戸締りを心がけよう・・・。
出たり入ったりの忙しい日だったけど
9月22日。木曜日。午前11時30分に目覚まし。早起きの予定が入るたびにいちいち時刻をセットするのがめんどうで、ベッド脇においてある時計はカレシの英語教室がある毎週火曜日に合わせて「午前11時30分」にジジジジ。旅行用の小さい時計はその日の予定に合わせてピーコ、ピーコ。だけど、独身時代から数えて何十年もの勤め人生活では目覚まし時計で起きるのが普通だったはずなのに、いったん目が覚めた時に起きる生活が身についてしまったら、目覚ましで起こされるのがおっくうでしょうがない。ま、人は易きに流れるもんだから・・・。
今日は、カレシが午後1時にヘアカットの予約で、ワタシが午後5時20分に歯医者の予約。午後は仕事になりそうにないから、カレシにくっついてモールへ。途中で別れて、ワタシはベイが新しいクレジットカードと一緒に送ってきた割引クーポンで買いたいものが頭にないままの「浮遊」ショッピング。めったにいかない二階売り場に上がったら、どうやら婦人靴のセール。ちょこっと見てみるけど、元よりワタシの足に合うサイズはない。それにしてもまあ、最近のヒールの高いこと!となりが「おちびサイズ」の売り場なので、何となく見ているうちに目を留めたのがポンチョ風デザインのおしゃれな黒いTシャツ。Vの字にカットが入った首まわりと袖から裾までの縁取りが真っ赤な刺繍で、胸の辺りには点々と光もの。79ドルは高いと思ったけど、ここで25%オフのクーポンを使用。となりの(ベイの)ディスカウントショップの家庭用品の棚を見ていたら、2人分を料理するのにぴったりのサイズのスロークッカー。ま、13ドルに15%オフのクーポンを出してもあまり得していないような気もするけど、鴨のコンフィを作るのに便利そうだから・・・。
カレシと青果屋で落ち合って野菜を買い足し。カレシはヘアドレッサーのアントニオから前からの約束だったイチジクの苗をもらってご機嫌。庭に植えてから3年くらいすると甘いイチジクの実がなるんだとか。スーパーでも青果屋でもイチジクは季節限定で地元では栽培されていないし、日持ちが悪いらしくていつも目玉が飛び出るほど高い。そのまま食べてよし、ジャムにしてよし、肉や魚のソースにしてもよし。桃栗3年というけど、早く実をつけるようになるのが待ち遠しいなあ。
歯医者の予約がなぜか午後5時20分という変則的な時間。実は右下の臼歯のオーバーレイに傷でもできたのか、この2、3週間ほど舌の横が荒れてひりひりしていたので、念のために見てもらうことになっていた。見るだけだから時間はかからないだろうということで、カレシがタクシーサービスをしてくれることになって、ラッシュの中をウー先生のところへひとっ走り。中国系の若いウー先生、まずオーバーレイを調べて「歯は問題なし。舌を出して」。ワタシの舌はけっこう短めだから、そんなにべろっと出てこない。ガーゼに包んで引っ張り出して、右にひねり、左にひねり。「う~ん、赤くなっているところがあるし、ちょっと白っぽいかな」ということで、口腔病理学の専門医に見てもらうことになった。「念のためにね」って、舌ガンの兆候がないか診てもらうってことでしょと言ったら、「心配なさそうだけど、念のためにね」と。ところが、紹介状をもらって帰って来たら、ひりひり感がほとんど気にならなくなって、このまま治ってしまいそうな感じ。ゲンキンだなあ、ワタシ。ま、診てもらって得はしても損はないから、予約は取っておこう。
ヘンな時間にヘンなお出かけをしたから、夕食はいつもより1時間以上の遅れ。そこでささっとできてしまう非常食ということで刺身。マグロはビンナガ、サケにハマチ。大根を桂剝きにして、残った芯は真ん中を刳り出して、昆布出汁でさっと茹でて冷ましたのにイクラを載せてカイワレで飾ってメインコースはできあがり。松茸であっさりした澄まし汁。ほんのちょっぴり柚子の汁を落としたら、これがすごくおいしい。ご飯はほのかに青竹の香りがする緑色の竹香米。
帰り着くなり、カレシが「腹減ったあ。何でもいいから早く~」と騒いでいたのが、30分ちょっとで非常食が一転してごちそう風になった。冷蔵庫に残っていたオレゴン州の濁り酒を出してきて、ご満足のカレシは「Good(うまい)」の連発。(日本のテレビのうまいもの番組にタレントとして売り込んであげようか・・・。)さて、今夜のランチは太短いとうもろこしにしようね。雨が降る季節になって、今年はもうこれで新鮮な地物はおしまいかな。
秋の初日、原始平成のハイテクが生きていた
9月23日。金曜日。3日。ぶりに目覚ましをかけなかったら、正午過ぎまで寝てしまった。それでもまだ眠いから困るなあ。やっぱり季節の変わり目というのは何となく生理的にもスイッチの切り替えに迷うときなんだろうか。今日23日。は秋分の日で、公式の「秋初日」。ゆうべテレビの天気予報で「明日から秋の初日が始まります」と言っているのを聞いて、カレシが「で、いつ終わるの?」と突っ込んで、「んったく、近頃の英語は乱れとる」とご隠居グチ。たしかに、「明日は秋の初日です」という方が正しいんだけど・・・。
今年の初めからずっとカナダドル高が続いていたのが、きのうあたりから一転してカナダドル安。アメリカドルで収入を得ているために実質的な賃金カットになっていたワタシとしては願ってもない状況で、さっそくアメリカドル建ての口座からまとまった資金を移動。もう少し下がったらさらに残りの半分くらいはカナダドルに振り替えようともくろみ中。別にFX投資をやっているわけじゃないから、アメリカドルでもらってそのままアメリカドルで使う分には為替相場なんかどうでもいいんだけど、カナダで生活しているからカナダドルに変換しなければならない。そこで、カナダドル高になると、たとえば1000ドルの報酬が950ドルにしかならず、逆にカナダドル安になると、同じ1000ドルが1050ドルになる。(その分申告する所得の額が増えて、税金も増えることになるけど・・・。)
あさってから始まる近くのカレッジの「アクリル画手法ワークショップ」で必要な画材のリストが先週の初めにメールで来ていたのをすっかり忘れていて、あわてて印刷。こまごまと2ページもある。まず最初は絵の具。指定の色は7つ。同じ「色」でも暖色系と寒色系があるし、同じ温度でも顔料の成分によって色合いがが違う。さっそく絵の具箱を開けて点検したら、厳密に足りないのは2色だけど、指定のLightの代わりにMiddleがあるから、とりあえずそれで間に合わせられるかも。後は絵筆もナイフも揃っているし、まっさらのカンバスもある。「コ」の字のオフィスの反対側で何年も資料やカタログの山に占領されてきたワタシの小さな「スタジオ」、久しぶりに芸術の秋の花が咲くかな。へたの横好き流の「お絵かき」にはスタイルも何もあったもんじゃないから、さて、どんなインスピレーションがわいて、どんな絵ができあがるか・・・。
カレシが裏庭のコンクリートの塊や土を前庭に移動している間に、ワタシは仕事を始める。まとめてフォルダに入れてどんと来たファイルのうちで一番大きいやつ。文字数を原稿用紙に換算したらざっと45枚になるから、4日。はかかりそうなんだけど、動植物の名前が続々と出てくる。辞典はたくさんあるし、ググれば見つかるだろうけど、なんだかめんどう・・・と思案していて、90年代の半ばに日本で買って来た電子辞書で『科学技術用語大辞典』というのを使っていたのを思い出した。検索は漢字変換なしの原始的なものだけど、動植物や魚類、鉱物の名前がけっこう入っていた。問題は肝心のキカイが動くかどうか。何しろ15年も前のハイテクは今や博物館の陳列物にしかならない。それでも、キカイに真新しい電池を入れて、探し出した辞典のディスク(MDというサイズ)を入れて、うんともすんとも言わないのをリセットしたりなんだりとあちこちをいじっていたら、おおっ、動いた。ガタガタ、ジイジイといかにも古ぼけた音がするけど、まだ使えるではないか。
それにしても、15年前はこのキカイを使って、「世の中、便利になったもんだなあ」とシアワセな気分で仕事をしていたんだなあ。オンライン辞書もグーグルもない時代だったから、何でも屋翻訳業のワタシは、日本へ行くたびに紙の辞書と一緒にCD-ROMの辞書を買い漁っていた。あの頃は円が高かったから、すごい「設備投資」になったけど、今になってこのキカイ(ソニーのData Discmanというやつ)を見ていると、これだって平成の産物だというのにほんっとに原始的で、なんだか感動すらわいて来るような・・・。
道具の価値は使いようで決まる?
9月24日。土曜日。明るいな、けっこう。先に起きていたカレシが「うへ、蒸し暑いぞ~」と。そうか、インディアンサマーというやつね。とっくに夏の乾燥期は過ぎているから、気温が上がるとそんなに暑くなくても体感温度は5、6度高くなる。今日みたいに昼過ぎに20度まで行っていると、ほんとに蒸し暑い。
朝食の後、おととい買って来たスロークッカーに鴨の足のコンフィをセットして、画材屋のOpusにでかける。ここで買い揃えて学生番号を提示すると10%割引になる。昔いつも行っていたのはグランヴィルアイランドの美術学校の向かいにある店だけど、今はダウンタウン外れの老舗デパート跡地にも支店ができているらしい。どっちも地下鉄の駅から歩いて行ける範囲。乗ってからあれこれ考えて、グランヴィルアイランドの行き慣れた店に行くことに。オリンピックヴィレッジ駅で降りて西へてくてく。初期の都市再開発でできたコンドミニアムやタウンハウスとフォルスクリークの間にスタンレー公園から延々と続く遊歩道/サイクリングロードがあって、油の匂いが混じった海風に吹かれながら歩くのは気持がいい。港町育ちにはなつかしい「香り」・・・。
うろ覚えにどこかの掲示板に地下鉄駅から徒歩30分で行けると言う投稿があったので、地下鉄の駅まで15分、駅から駅まで10分弱、そこから徒歩30分はまあまあかと思っていたら、投稿者の足が遅すぎるのか、ワタシの足が速すぎるのかわからないけど、地下鉄を降りて20分でアイランドのコミュニティセンターの裏に着いてしまった。いや、便利になったもんだオリンピックの前だったら、バスで(そんな距離でもないのに)途中で乗り継いで1時間半はかかったから、これなら天気のいい日にはカレシを誘い出して、運動がてらの買い物に来られそうだな。自動車は個々の目的には便利だけど、便利すぎてしまうと逆に不便なことが多くなる。特に車が増えすぎた都会ではどんどん不便になるという皮肉な現象も起きる。
目指すOpusはコミュニティセンターからすぐのところ。いつもながらごちゃごちゃと乱雑な感じの店で、手持ちがなかった絵の具やら、(必要ないのに)新しい絵筆やら、2Bから8B の鉛筆のセットやら、画用紙やら、あれやこれやを買い込んで、学生割引10%でしめて130ドル。書く方の講座なら罫線を引いたパッドだけで済むけど、美術系はちゃんとした材料を買うと高いなよあ。カレッジから送られて来たリストには「20本セット20ドルの絵筆は買わないこと」、「学童用の絵の具は買わないこと」なんてこまごまと注意書きがある。まあ経験から言って、「弘法、筆を選ばず」という通り、道具の良し悪しを問わなくてもいいのは、どんな劣悪な道具でも使いこなせる技量を持ったプロであることはたしかで、初心者こそ初心者向けよりもちょっと上のレベルの道具で始めた方が無難なような気がするな。もっとも、初心者が「道具」そのものに凝ってしまっては本末転倒もいいところだと思うけど。
トートバッグがずっしり重くなった帰り道はストレートに大通りまで出て駅まで一直線。くねくねと曲がる遊歩道と違ってまっすぐだから時間を短縮できるかと思ったら、反対の南側にしか歩道がない。結局のところ、駅までの所要時間は20分。時間的にほぼ同じだったら、対岸のダウンタウンの風景を眺めながら、(時たまおバカなサイクリストにヒヤリとさせられるけど)海風に吹かれて遊歩道を歩く方がずっと楽しめる。それに、車で来ると駐車スペースを探すのがけっこう大変なので、めんどうくさがりのカレシは初めからアイランドの外の何ブロックも離れたところに駐車して10分くらい歩くことが多い。帰りの地下鉄の中であれやこれやと「分析」して、グランヴィルアイランドへは地下鉄と徒歩が最も効率的である、と結論・・・。
帰ってきたら鴨の足がちょうどいい頃合になっていて、後はつけ合せの野菜を洗って、切って蒸すだけ。お出かけして、帰ってきたら夕食のメインができているなんて、こんないいことはないな。衝動買いした名もないブランドのたった13ドル(約千円)のいかにも安っぽそうなスロークッカーだけど、ふむ、かなり役に立ちそうな感じがする。つまりは、選んでも選ばなくても、しょせん道具の価値は使いようで決まるってことなのか・・・。
へただからこそ楽しめるへたの横好き
9月25日。日曜日。正午に目覚ましが鳴って起床。だって、アクリル画のワークショップ第1日。目だから寝坊して遅刻したら嫌だもの。起きてみたらかなりの風が吹いていて、しかも雨。困るなあ、持っていく荷物がどさっとあるのに・・・。
午後1時を過ぎて、ちょっと本格的な雨になって来たので、ゆうべ2つのバッグに詰めてあった物を全部出して、ジッパーが着いている大きなトートバッグに移した。これならぬれなくて済みそうだけど、絵の具箱は重いし、ジェッソだのバーニッシュだのメディアムだのと半液体のものが多くて、そこへカンバスやらパレットやら何やらと入れたら、いやっ、重~い。感謝祭のメタボ七面鳥よりも重いから、10キロ近くはあるだろうな。これを担いで雨の中をよろよろと行くのか・・・と、何となくため息をついていたら、カレシが車が外に置きっぱなしだから送ってあげるといってくれた。学校と言っても、我が家からカレッジA棟の南側にある教室まではせいぜい300メートルという近さなんだけど、トートバッグをよっこらしょと肩にかけると、うう、重いなあ。
生徒はワタシを含めて6人。男性2人、女性4人。アジア人が3人で、白人が3人。教室の後ろにあるイーゼルをそれぞれに持って来て、アトキンソン先生のテーブルを囲むように配置したテーブルに道具を並べて、筆洗に水を入れて、準備完了。各自の自己紹介から始まる。ワタシのとなりはイギリス訛りのあるウェンディ。職業は映画撮影のマイクの操作監督。バンクーバーはハリウッドの映画やテレビ番組の撮影が多いから、そういう珍しい仕事もあるんだな。フリーランスの自営ということで意気投合。ひと回りしたところで、半分が初めてということでまずは道具の簡単な説明。その後で、とりあえず描き始めようということになって、先生が貝殻を3個ずつ配って回る。深く考えずに見えるがままを描きなさい。(考えずにと言われても・・・。)所要時間は5分。ええっ、5分!?
それ~っと5分で描き上げたのが、これ↓[写真]
題して「3つの貝殻」。縦にしても横にしても貝殻には見えっこないなあ。みんなのはスタイルこそ違ってもちゃんと貝殻に見えるのに、ワタシのはカラフルな渦巻き。でも、先生の評は「貝殻の特徴を良く捉えている」。あはは、ワタシは渦巻きを描くのが好きなの。というよりは、実は具象画が大の苦手。だから、デッサンもかなり苦手。たまにはやるけど、目に見える通りには描けないから、中学の美術の時間にやらされた胸像のデッサンなんか似ても似つかない人物の顔になっていた。(これでも小学校時代は子供絵画展みたいなのに何度か入選したんだけどなあ。)色彩だって、寒色、暖色の見分けが何となくつく程度で、補色、反対色といったことはまだよく理解できていないから、適当に絵の具を混ぜてみて、気に入った色を使っているようなところがある。このあたりは極楽とんぼ亭のシェフの流儀に似ているな(あたりまえだけど)。だから、もう少
し基本的な知識やテクニックを学ぼうということなんだけど、さて・・・。
カレシが「モデルになってあげてもいいよ」と言うけど、やめておいた方が良さそうな。ピカソの絵のようになってしまうかもしれないよ。ひょっとしたら、昔のロバート・レッドフォードの写真を見ながら描いたら、あんがいカレシの肖像のように見えるかもしれないな(まさか)。ま、ワタシのスタイルはあくまでも門前の小僧が覚えたお経をラップで唱えてみるようなもので、絵の具だらけになるのが気分がスカッとしてすごく楽しい。そこそこに才能があればまともな作品ができるだろうけど、他人にああだこうだと批評されることが多くなる。だけど、へた過ぎればみんな唖然として何も言わない(言えない?)から、せっかくの自己満足に水を差されることがない。つまり、へたはへたなりの流儀でやればいいのが、「へたの横好き派」に属する極楽とんぼ流画道の楽しさなんであって、だからやめられないんだなあ、もう。
結婚しないうちに馬脚を現す花嫁さん
9月26日。月曜日。目が覚めたら、ベッドルームは暗くて寒い。そろそろ毛布を取り替えなければ、なんてつらつら考えながら起きてみたら、嵐だ。雨はじゃあじゃあ降っているし、風もすごい。これがやがて来る「雨期」の前兆じゃないといいけどと思いつつ、テレビの天気予報を見たら、どうやらこの嵐、日本方面からやって来たらしい。東京の上を通り過ぎて北海道の沖まで行った台風ロケ(15号)のお流れがここまで来てしまったということか。遠いところをわざわざ・・・。
いつものことでジンクスのようになっているんだけど、なぜか少し余暇ができたかと思って趣味に乗り出すと仕事がどさどさと降って来る。ちんたらやっていて少々遅れ気味になりそうな大仕事をまだ余裕はあるしぃ~とよけいにちんたらやっていたら、閉店間際の駆け込み仕事やら、割増料金つきの特急仕事やら、来るのかどうかあてのない引き合いやら・・・。おまけにニューヨークの会社から法律関係の翻訳者募集のコールがあって、つい「OK」と返事を出したら4ページもある登録用紙を送ってきた。大学はどこだ、専攻は何だと何かこまごまと質問があるけど、1日。当たりの処理語数を聞いてもレートのことは何も書いていない。おまけにワタシの仕事内容を問い合わせたいから取引先を最低2つだと・・・おいおい、トライアルをやればいいだろうに。ワタシはどの取引先にも他にどこと取引しているかは教えない方針。ふむ、こういうところはめんどうなこと多いから、どうしたもんかなあ。やめとこうか・・・。
法律や会計の分野の日英訳は、やる人が足りないのかどうか知らないけど、不景気になっても何の資格もないワタシのところにけっこう仕事が回ってくる。まあ、証券や金融と違って、法律も会計も専門家は「士」がつくから、本業に精を出す方がずっと実入りがいい。弁護士も会計士も1時間何百ドルと請求して年収何十万ドルだけど、翻訳業はその足許にも遠く及ばない。だから、翻訳が好きで副業としてやっている人の方が多いのかもしれない。小町などでよく「翻訳の勉強をしたいが、どの分野がいいか」なんて能天気な質問が出るけど、この稼業、教育歴や職業経験の有無がけっこうものを言うから、「翻訳をやるなら○○の分野がいいよ」なんて答は出てこないと思うんだけど、どの分野が「一番仕事が多くて実入りがいいか」という基準でアドバイスが寄せられる。まあ、得意不得意、向き不向きを考えずに「○○は高収入だから」と大学の専攻分野を決める人もいるわけで、生活の糧を稼ぐんだからそれはそれでいいとは思うけど。
だけど、世の中、やっぱりお金がものさしなんだなあと思う。小町にも最近は男性からの彼女や妻に関わる「お金」の相談トピックが増えている。小町には「男性発」というタブがあって、女性の上げるトピックがつまらなくなって来たので、男性の相談事を集中的に見たら、これが実におもしろい。色恋沙汰は相変わらずだけど、彼女・婚約者とお金のことでもめて相談しているトピックがけっこう多い。親が資産家だとわかったとたんに慎ましかった彼女が豹変したり、、逆に親の遺産を相続しないことにしたら彼女に婚約解消を言い出されたり。何というか、二十一世紀の金色夜叉たちの婚活攻勢に戸惑っている男たちの悲鳴が聞こえて来そうな感じで、今どきの日本の独身男性って、ほんとにかわいそうだな。
それにしても、いざ結婚することになってからお金でギクシャクするカップルが多いな。そういうところを付き合っている間に話し合って、価値観が合うことを確認したからプロポーズしたんだろうになあ。どうやら女性たちの猫かぶりの方が一枚上手だったということなんだろうか。たいていは「結婚前に彼女の本性がわかって良かった。別れなさい」のアドバイスがずらりと並ぶ。たし
かに悩める花婿のお相手にはお金に目が眩んでいるとしか思えない手合いが多いけど、そこで不思議なのは、どうしてそういう動機を正式に結婚する前に露呈して元も子もなくしてしまうのかというところ。セレブ奥様の自分を想像して気が緩むのか、あるいはひょんなことから裕福な暮らしは望めないとわかってパニックになるのか、いずれにしても結婚式までもう少しというところで馬脚を現してしまうのは賢い女性とは言えないだろうなあ。だけどまあ、猫をかぶり通すというのは明晰な頭脳ときめ細かな心配りが必要だと思うから、人のお金に目が眩むような賢くない彼女たちには難しいのかな。ま、閑話休題ということで、仕事に戻ってちょっと稼ぐか・・・。
朝ごはんは点心、晩ごはんは玄米酢入りおでん風
9月27日。火曜日。今日は明るい。台風一過というところか、青空はほんとに秋のブルー。気温も少し上がりそう。コーヒーだけを飲んで、短い半袖のTシャツだけで正午過ぎにおでかけ。
今日は午後の英語教室の「野外実習」。いつも使う教室が今日だけ別のプログラムに使われるので、中華レストランで飲茶をしようということになって、生徒さんたちが選んだのが我が家からそう遠くない「フラミンゴ」(中国語の看板は「紅鶴酒家」と書いてある)という中華レストラン。商店街から離れたところに場違いな感じでぽつんとあるんだけど、もう何十年も前から点心がおいしいという評判の老舗。ワタシたちもワタシが日系商社の小さな子会社(総勢10人)に勤めてい
た頃に会社のパーティで行ったことがある。もう30年以上も前の話だけど・・・。
起きて早々から飲茶というのはちょっとばかり「ん?」な感じで、カレシは「きついなあ~」とぶつぶつ。でも、みんなにとってはランチタイムなんだし、みんな中国系なんだからランチは飲茶というのは普通の発想でしょうに。来ていたのは女性ばかり7人ほど。カートが回ってくるたびに食べ物がどんどんテーブルに貯まる。おしゃべりをしながらもせっせと食べる。太くて長くて重い中華箸と格闘しながら食べている間に湯飲みはいつもお茶が満々。お皿の上にスペースができたら、すかさず誰かが料理を取り分けてくれてしまうもので、起き抜けの胃袋はさぞかしびっくりしただろうな。でも、話の中でワタシがコンジー(中国粥)が大好きだといったら、いつの間にか注文してくれたらしく、しばらくして出てきたほかほかのお粥のおいしいこと!今まで食べた中で一番おいしいコンジーだった。(レシピ、どこかにないかなあ・・・。)
はちきれそうなおなかを抱えて帰って来たらもう3時近く。カレシを夜の部に送り出すための早めの夕食のしたくにかかるまでの間、メールをチェックしたら、ありゃ、また仕事が増えている。明日の午後5時の期限に2つも重なってしまった。日本も秋風と共に節電の夏から解放されて、どっこいしょと腰を上げで仕事に精を出し始めたのかな。それは喜ばしいことだけど、ひとつは(時節柄)放射能に関係があって、もうひとつは貿易と法律に関係がある。はあ、右脳と左脳を使い分けて同時進行できたらいいのになあ。実際に、昔はある種のてんかんの治療に右脳と左脳をつなぐ脳梁を切り離す方法を使っていたことがあるそうで、分離すると左目で見て右脳に伝わった物体の情報が言語中枢のある左脳に伝わらないために物体の名前を言葉で表せなくなるということだった。てことは、脳の両側に英語と日本語の言語中枢を作っておかない限り、右目で
しか仕事ができないってことか。なあんだ・・・。
ま、カレシを送り出してから仕事に突進することにして、まずは夕食。おなかが減ってないんだけど、カレシが帰ってくる9時近くまでは持ちそうにないから、「何か」作ることにする。フリーザーを開けたら一番上におでんセットがあって、閃き。フリーザーの底の方にいつ作ったのか覚えていないおでんの汁の残りがある。よし、Hマートで買った韓国風さつまあげがあるし、大根があるし、白菜が残っているし、ごぼうがあるから、今日はなんちゃっておでん。ガチガチに凍ったおでんの汁を鍋に放り込んで液化している間に、ごぼうを切って、水に漬けてあく抜き。そこで酢をたらすつもりがうっかりしておでんの鍋の方に!でも、玄米酢をたぶん大さじ1杯くらい入れたと思うんだけど、恐る恐る味見をしたら、おでんの汁に何だかコクのようなものが出てきたからびっくり。おでんお汁に「コク」があるべきかどうかは知らないけど、まさに怪我の功名。ついでにしらたきもひとつかみをざくざくと切って放り込んで煮込んでいる間に、ししとうを焼いて、冷凍しておいた松茸ご飯の残りを電子レンジでチンして、これが極楽とんぼ流「吹き寄せ(集め)」料理。カレシはおでんのスープがおいしいと言って、浅いお皿に盛ったのをきれいに飲んでしまった。
では、カレシがおでかけして、静かになったところで、腕まくりをして仕事にかかる。いくつあるんだっけなあ。とにかく、納期が一番近いものからちゃっちゃと処理しないことには・・・。
さびしいからと浮気をしたら本当にさびしくなるかも
9月28日。水曜日。いかにも秋晴れという空模様。本当は雨の予報じゃなかったのかなあ。ま、乙女心と秋の空というから、天気予報官も大変だな。ワタシは乙女から果てしなく遠い年代になったもので、もう秋空のごとくころころと心変わりすることはなくなった(と思う)けど。はあ、眠い。就寝は午前5時過ぎ、納期の順位が一番早いものを仕上げて送ってから。ぎりぎりまで頭をこき使っていると、いつまでもニューロンがあちこちでパチパチと火花を散らしていて、なかなか寝つけなくなる。かといって、水曜日はシーラとヴァルが掃除に来る日だから、いつまでも寝ているわけには行かないので、やむなく正午に起床・・・。
ヴァルがいつも気を利かせてワタシのオフィスをいの一番に掃除してくれるので、きれいになったところで(と言っても、竜巻発生現場並みの有様なので、本棚の埃を払って掃除機をかけるだけ)、午後5時期限のもうひとつの仕事をやっつけにかかる。約3時間を想定して、3時間で完了、納品。ひとまずしゃんしゃんと手を打って、夕食は何にしようかと考える。期限が午後5時というのはかなり気持の余裕を感じるけど、これがあと1ヵ月とちょっとで時計が標準時に戻ったら自動的に午後4時になって、気持の余裕なんて吹っ飛んでしまう。ま、近年は標準時の期間の方が短いからいいけれど。ひと息つけるかと思ったら、寝る前に終わったはずの仕事の続きがどかっと入ってきて、棚上げ中の大きな仕事はそのまま棚上げ。このままだと納期まで残っている時間枠の最後の方にぎゅぎゅっとアコーデオンプリーツになってしまいそうなんだけど。なんでこう急に忙しくなるんだろうなあ、もう・・・。
とりあえず、夕食が終わってから最初のセクション。眠気がして来るけど、これはわりと簡単だったからささっと済んだ。そこで眠気払いに小町横町を散歩。いつものように、結婚しようかしまいか、離婚しようかしまいか、行くも地獄、戻るも地獄なのが小町横町の世相。どんな泥沼劇が展開されようがちっとも変化がないという点ではある種の安心感があるのかな。でもまあ、『妻の不倫がどうして私のせいなのか』と聞いている人がいる。なんでも、妻の不倫が発覚して、離婚前提で実家へ帰したら、向こうから話し合いに来いと言われ、離婚の条件のすりあわせかと思って行ったら「出来心だから水に流せ」と言われ、はては仕事が忙しくて妻をかまってやらなかった夫にも責任があると言われてしまった。その程度で浮気が許されるのなら世の中は不倫だらけになるではないか、と。まさに・・・。
浮気や不倫の言い訳はいろいろとあるけど、「かまってくれないでさびしい思いをさせたそっちが悪い」というのは、どうやら洋の東西を問わず普遍的なものらしい。オンナノコに夢中だったときのカレシも「キミがボクにさびしい思いをさせたからだ」と空涙を流して見せてくれた。(そうそう、「妻(夫)とうまく行っていない」というのも、カレシも活用した世界共通の浮気コール。)でも、相手が家計(または子育て)のために身を粉にしているときに、忙しくてかまってくれないから「外で遊んで来る」と言うのは大人のすることじゃないし、それが許されるんだったら夫婦をやっている意味がない。ちなみに「夫婦でいる意味がなくなったから」というのは、カレシが離婚したら家族や友達にワタシが「自分の大事な趣味」を受け入れなかったせいだと説明するつもりだと脅して?おいて、「キミはどう説明するつもりだ?」と矛先を向けてきたときのワタシの返事。だって、一方があさってのほうを向いたままだったら、もう夫婦でいる意味がなくなったということで、他のどんな説明も不要だと、ワタシは思うから。
一生懸命に働いて疲れているかもしれないパートナーを尻目に「恋愛ごっこ」を楽しんだあげくに、ばれたら「さびしい思いをさせたそっちが悪い」はないだろうと思うなあ。まあ、悪いことをして「悪いのは自分じゃない。自分にそうさせた方が悪い」と言う責任転嫁も人類に共通の心理であることは間違いない。だけど、原因が何であれ夫婦でいる意味がなくなったのなら、浮気だの不倫だのとひと騒動を起こして人生をややこしくするよりは、天下晴れての独り身になって堂々と理想のパートナーや新しい人生のポテンシャルを追求した方がいい結果に遭遇する可能性は高いと思う。夫婦でいたくない相手にぶら下がったままでは二進も三進も行かなくなるし、ストレスも溜まる一方だろうし、不毛なけんかにエネルギーをとられてしまうし、浮気や不倫の相手も優柔不断な「恋人」にイライラするかもしれないし、何にもいいことがない。もっとも、夫婦を解消したら、かまってくれなかった人もかまってくれる人もいなくなって、ほんとに「さびしい人」になることもありえるけどな。Be careful what you wish for(軽率な願いごとは怪我のもと)・・・。
ストレス太りしたり、ストレスやせしたり
9月29日。木曜日。ごみ収集車の音で一度何となく目が覚めて、また眠りに落ちて、目が覚めたら午後12時40分。カレシを肘で軽く突いたら、パカッと目を開けて「ヘンな夢を見てた~」。ここんところ、老朽化してもうろくしたコンピュータと格闘していたから、カレシの脳もデフラグが必要になったのかな。「ボクたち2人とと、顔のわからない2人とでリゾートのようなところにいて、顔のわからないやつが特別サービスをさせるとか何とか言っていて・・・」って、なんかおもしろそうな夢。
起きてバスルームの秤に乗ったら、きゃっ、きのう増えていた分がまだ残っている。ふむ、おとといの飲茶の影響がまだ抜けていないのかなあ。体重は毎日欠かさず就寝直前と起床直後に同じ条件(下着のみ)で計る。夜と朝の体重の違いが寝ている間の基礎代謝量の目安になっていて、それを数年続けていると自分の新陳代謝のパターンがある程度わかって来る。だいたいのところ、日課的に運動をしているときは夜と朝の差が大きいし、運動をさぼっていると差が縮まり、かなり長いことさぼるとまじめに運動をしていた頃の半分になって、同時に体重がじわ~っと右肩上がりになる。ときどきは急に体重がパターンを外れて跳ね上がり、だいたい2日。くらいで何となく元に戻ることがあるけど、浮かび上がった共通点がなぜか出汁(の中のいわゆる「旨味」成分)や醤油のようなナトリウム分の多い調味料を多用する料理。ということは、ふだんがわりと低塩の食生活なので、急にたくさん食べたら一時的に「むくみ」が起きる・・・のかな?
もちろん、ストレスがかかっているときはすぐに空腹状態になるから、食べる量や回数が増えて体重が増えることもある。徹夜などしようものなら、2日。くらいは冬眠から覚めた熊みたいな状態になって、普通に食事をしていても30分も経たないうちに「おなか空いた~」ということになる。この頃は精神的なストレスを感じることが少なくなって、やけ食いをすることもなくなったんだけど、年とともに肉体的なストレスには敏感になって来たということかな。思えば、在宅自営業が多忙な上に家事も100%やっていて、おまけにカレシからの精神的なストレスがどんどん高まっていた1990年代にはBMIが25まで行った。あの頃の写真を見ると、ほんとに「太って」いた。マッチ棒のようなオンナノコと比べたら百年の恋(があったとして)が冷めるのも理解できると思ってしまうくらい「どっしり」していた。何であんなに太ったのかって、カレシが家にいないランチタイムに、インスタントラーメンを2つも食べるというような大食いをしていたことに尽きるんだけど、あれはまさにストレス太り。
逆に、急激に強いストレスに襲われると食欲がなくなるから、当然やせる。カレシご狂乱の場になって、半年でBMIが20まで急降下したのはまさにそのストレスやせだった。何しろ口論が始まったらいつ終わるのかわからない。終わりそうになってはまた始まるという繰り返しで、食事時が近いと食べる気が失せる。夜だと空が白んでくるまで延々と続くから、翌日は寝不足で仕事。最悪のときには2日。がかりで大喧嘩をしたこともあった。表向きは普通に仕事をしていたから、大量の仕事をこなしながらうつ病の治療とカウンセリングを受け、頻繁に派手なけんかをやり、合間にオンナノコが「ひょっとしたら」の期待感に胸を膨らませて日本からノコノコとやって来るし、夜のお仕事のオンナには「同じ」日本人として恥ずかしいと攻撃されるし、しまいにはカレシがストーカーまがいの行動に出るし・・・うん、ワタシにとっては破壊されそうになっている自分という「人間」の生存をかけて戦っていたような気がするから、ストレス食いなどしていられなかったんだろうな。
それが10年前で、今のBMIは22。おなかのあたりがちょっとぽっちゃりして来たように思うんだけど、まあ、着るもののサイズを変えないで済んでいるうちはいいか。体重増加の大半はお酒だということ(つまり、酒量を減らせばいい)はわかっているし、ストレス食いに気をつければ「メタボ」は回避できるだろうし、人間、年を取ると服のサイズよりも何よりも中身の健康だから。
スマート何とかはほんとに賢いの?
9月30日。金曜日。午前11時40分起床。きのうとは一転して暗い。もうインディアンサマーも終わりかな。今日で9月は終わり。夏至の頃と比べると、日の出は2時間遅いし、日の入りは2時間以上も早くなって、これからどんどん目に見えて日が短くなる。バンクーバーの日の出から日の入りまでの昼の長さは夏至前後でだいたい16時間半、冬至前後では8時間とちょっと。夏は日が長い上に晴れ上がる日が多いから、バンクーバーの夏はすばらしい!ということになり、冬は日が短いところへ雨や曇りの日が多いから、よそから来てうつっぽくなってしまう人が多いんだろうな。
今日はワタシはダウンタウンのOpusへ行きたくて、カレシはネットブックを買いたくて、地下鉄で出かけた。終着駅まで行って、まずはOpusまで。昔Woodward’sのデパートがあったあたりと見当をつけて行ったけど、うっかり道路を反対側に渡ってしまったので行き過ごして逆戻り。デパートの跡地が再開発されたおかげで、ずっとさびれていたこのあたりも少し活気がでて来たような感じがする。Woodward’sはバンクーバーの地場企業で、札幌なら(まだあるのかどうかは知らないけど)「丸井今井」のような存在かな。北米のデパートとしては珍しく地下に食品売り場があって、カナダに来たての頃はよくカレシとよく行った。古いレンガの建物で、木の床が歩くとぼこぼこと音を立てたもんだった。ダウンタウンの中心が西へ移って周囲がさびれ始めたときに動かなかったために取り残され、経営者一族の内紛もあって創業100年目についに倒産してしまった。もうずいぶん昔のような・・・。
ダウンタウンの中心までの間は英語学校やら留学生目当ての専門学校がやたらとたくさんある。一時はダウンタウンだけでも百何十校もあった英語学校だけど、最近はどうなんだろうな。留学生目当てのいわゆる専門学校的な「何とかカレッジ」というのがずいぶんあるのは、英語だけでは生き残れなくなっているのかもしれない。でも、わざわざカナダまで来てESLでネイリストだとか客室乗務員のお勉強をしても、帰ってからのキャリアに役に立つのかな。せいぜい3ヵ月か半年の英語留学じゃ婚活にもならないだろうし、どこまで英語を伸ばせるのかも疑問。相当な費用がかかっているんだろうけど、日本でまともな英語学校に行った方が成果が上がるんじゃないかな。まあ、そういうグループとはまったく接点がないから、ワタシにはわからないけど、留学することに意義があるということなのかもしれないな。それが「国際化」だったりして・・・。
ワタシの買い物はあっさりと済んで、今度はカレシのネットブック探し。Future Shopにはしばらく前までいくつもあったのが今は2機種だけ。ネットブックが並んでいたところはタブレットがずらり。でも、質問しようにもスタッフが見つからないので、それではとStaplesの方へ回ってみたら、ここもタブレットが主流。なんかスマートフォンとネットブックの融合したのがタブレットという感じだな。それでも、ネットブックは4機種あって、ひとつに触っただけで「ご質問は?」とスタッフが近づいてきた。ワタシが新しいキーボードを選んでいる間に、あれこれ質問していたカレシはHPの一番安いのが気に入ったようで、「この値段なら練習用にちょうどいい」とお買い上げ。どうやらボストンへ持って行くつもりのようだけど、順調に操作できるようになるまではワタシの後ろで何が動かない、何がうまく行かないと、うるさいことだろうなあ・・・。
ワタシの方はワイレスのマウスはうまく行ったけど、ワイヤレスのキーボードがうんともすんとも言わない。ふん、仕事が終わったらゆっくりいじってみるか。スマート何とかもいいけど、入れ替わり立ち代りで目まぐるしく変わる技術に追いつくのがそろそろめんどうになって来た気もする。初めてPCを買ったのはもう24年も前だけど、なんだか24年も「過渡期」が続いていたような観もあって、ほんとに進歩しているのかどうかもわからない。人間同士の係わり合いも歩調を合わせて大きく変わりつつあるのはたしかだけど、果たして良い方に向いているのかどうか。いや、人類がほんとに進歩しているのかどうかもあやしいような・・・。
そうだ、電力会社が「スマートメーター」を取り付けに来ると通知してきたな。電気の使用量がリアルタイムで電力会社に送信されるんだそうな。(検針員がいらなくなって経費節減か。)自分の電気の使用パターンをネットでチェックして節電できるっていっても、そんなヒマないけどな。何でもかんでもスマートって、ほんとにsmartに(賢く)なっているのかなあ・・・。