リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2013年5月~その2

2013年05月30日 | 昔語り(2006~2013)
1年後の今はもっと幸せ

5月16日。木曜日。首が痛くて、頭痛がして、目が覚めたら、まだ午前7時。「痛いの、痛いの、飛んで行け」の心境で、ひたすら目をつぶっていたら、どうやら何とか眠りに戻れたらしい。午前11時半の目覚ましで起床。頭痛はほとんど消えていた。

英語教室午後の部にでかけるカレシを送り出して、ゆうべどんとまとめて送られてきた校正担当者からの質問に回答する。何しろ、日本にしかない諸制度の細々とした決まりを訳そうということで、「文化や制度習慣の違い」としか言えないものが多いけど、この場合はそれでは回答にならないから悶々・・・。

終わったところで、gooのメールボックスにかなり貯まっていた「1年前の記事」のお知らせメールの処理。何だか1年前の今頃もやたらと神経の疲れる仕事につかまってカリカリしていたような感じ。その中で、ワタシとカレシの実質的な結婚記念日である「5月12日。」の記事は、読み返してみて、アップした写真を見て、なんだかまたまた目がうるうる・・・。[記事リンク]

お父さん子の甘ったれで、幼いときはいつも父におんぶしてもらっていたらしいワタシにとっては、父の背は原風景の中でも特別な存在で、今でも父の背の匂いが鼻の奥に記憶されているように思う。あの匂い、あの感触はまさに「安心感」そのものだったんだろうな。よく病気をしたし、ほんとに手の焼けるヘンな子だったと思う。小学校2年生の時に全校での読書力検査と知能検査があって職員室が大騒ぎになるようなスコアだったという話を聞いたことがあるから、何となくアスペっぽい子だったのかな。それで、よく学校でひと悶着を起こして先生を困らせたのかもしれない。(小学校ではほんとにいい先生に恵まれた。)中学2年で生まれ育った土地を離れてからは、(思春期でもあったけど)どこへ行っても居心地が悪い感じで、学校が大嫌いなのに「できるのになぜやらないのか」と言われ続けたな。(不登校にならなかったのが不思議。まあ、ぐうたらなところがあるのも確かだけど、英語だけは楽しかったな。)

今年の38周年の記念日は脳みそが焦げそうな仕事をやっているうちに過ぎてしまった。27歳で日本を離れて、カナダで38年。そうか、今年はカナダ国籍になってからの年数が日本国籍だった年数より1年長くなるのか。ワタシには、カナダの社会や制度は優しかった。あの、転校してからの居心地の悪さは、海を隔てたカナダでは感じたことがない。子供はできなかったけど、包容力のある家族に恵まれた。学歴はないけど、天職と言えそうな仕事にも恵まれて、持っているものを目一杯に活用して満足できるキャリアを築くことができた。おかげで、老後の不安もない。去年と同じくやっぱり「今が幸せ」。いや、今月から年金受給が始まって、もう自分の経済基盤を確保するという人生の肩の荷が下りたようなもんだから、今年の「今」は去年よりずっと幸せだと思う。

少しずつ仕事を離れるにつれて、意図しなくても日本語が遠くなっていくかもしれない。完全に翻訳の仕事を離れたら、いつかは日本語を忘れてしまうかもれないな。まあ、ワタシはカナダ人としてカナダで死ぬんだから、それでも不都合はないと思う。だって、ワタシの日本語は38年前の日本語のままだから、ワタシが38年後の今の日本語を「わからなくなって来た」と感じるように、それが40年前、50年前のものになる頃には、もう日本の人たちに通じないバージョンになっているかもしれないもの。

山も谷も、雨も嵐もあって、辛い時もたくさんあったけど、それでもだんだんに良くなって来て、最後には「幸せだった」といって死ねたら本望というところかなあ。

健康のために、歩きながら読書

5月17日。金曜日。起床は正午ぎりぎり。何となく湿っぽい天気で、ちょっとばかり肌寒い。真夏のような天気が続いたのは先々週だったっけ?明日からヴィクトリア・デイの三連休。非公式に「夏解禁」の週末ということになっていて、園芸センターが大賑わいするんだけど、この分だとどうなるかな。

カレシは午後2時半に歯医者の予約。2日くらい奥歯がすごく痛んだときがあったので、診てもらうことにしたそうな。へえ、歯が痛いとか何とか文句を言って、ワタシに歯医者に行ったらと言われる前にさっさと予約を入れたのかあ。どうりで雨が降るはず・・・?ま、いってらっしゃ~い。

今日の郵便の中にワタシのカナダ年金(厚生年金)の金額の通知が入っていた。もうひとつの老齢年金と合わせるとまあまあの金額で、掛け金の払い込みを停止した後で最終的に調整されると書いてあった。実質的には先月で年金掛け金の払い込みは停止したわけだけど、自営業の場合は4月に所得税申告のときに1年分をまとめて払うので、そのときに停止時期を申告することになる。つまりは、今年4ヵ月分の掛け金を勘案して調整した金額になるのは来年の夏くらいか。たぶんそのときに1年分の調整差額を払ってくれるんだと思う。でもまあ、こうして通知を見ていると、いよいよ「pensioner(年金生活者)」になるんだなという感慨みたいなものがわいて来ないでもない。

今日の郵便のもうひとつは最近購読し始めたThe New Yorker。活字満載で読むのに1週間かかるけど、さすがという感じ。今日来た号には、トレッドミルをデスクと組み合わせて、歩きながら仕事をする「デスクトレッドミル」と言いう奇抜な発想の記事があった。有名なメイヨクリニックに勤務する医者が考案したんだそうで、大汗をかいてがんがん走るような激しい運動をするよりは、できるだけ立って歩き回っている方が健康保持のためにずっと効果的ということだった。アメリカではすでに専用にデザインしたトレッドミルを製造販売しているメーカーがいくつかあるそうで、グーグルなどの大企業で採用されて、希望する社員に支給しているというからすごい。

デスクトレッドミルは、客に仕事の電話をしていて息切れしたりしないように、PCのキーを打ったり、字を書いたりしやすいように、時速約2キロ前後のスピードでゆっくり歩くようにできているという。記事の著者は「一番の問題は、電話していてつい、今トレッドミルで歩きながら仕事をしているの~と言いたくなること」と書いている。携帯電話が登場したときにも、用もないのに誰かに電話しては「今、携帯電話からかけてるんだ~」と言っていたのと似たような心理だな。でも、欧米には昔から立ったままで使うデスクがあって、IKEAなどでも売っているそうだし、人間の体にとっては、一点で立ちっぱなしというのも問題だろうけど、座りっぱなしでいるのは有害でしかなく、歩いている(動いている)のが自然だということかな。(おとなしく座っている子よりも。うろちょろする子の方が将来的に健康ってこと?ま、親も後追いして動かざるを得ないだろうから一石二鳥か。)このデスクトレッドミル、何だかおもしろそうだから、いつか試してみたいな。

実は、傷めたふくらはぎも回復したので、きのうから当分はトレッドミルに乗っても走るのも超早足で歩くのもやめて、時速5キロ半くらいの楽々ペースで15分ほど歩くことにした。そのスピードでデッキの勾配を2%くらいに上げてみたら、かなりの汗をかいたけど、膝や股関節にはあまり負担を感じなかったし、脈拍もちょうどいいレベルまで上がったもので、ま、美容体操しているわけじゃないんだから、まだ若いつもりでがんがん走ることもなかろうとの結論に達したところだった。そこで、立ち上がって記事を読みながらキッチン中を歩き回ってみたら、うん、これがけっこういい感じ・・・。

まあ、一定の場所で固定された道具を使って仕事をする必要があるから「デスク」トレッドミルなんで、歩き回りながらでもできることであれば、トレッドミルがなくてもいいわけだな。歩きながら、こうやって読書ができるし、タブレットで新聞を読むこともできる。読みながら歩いていてものに躓かないように気をつける必要があるけど、そこはごたごたあるものをちょっと片付けてすっきりさせれば問題なし。ついでに整理整頓の習慣も身に付くかもしれないな(と、希望的観測・・・)。それでトレッドミルで歩くのと似たような効果があるんだったら、これからは家中をうろうろ歩き回りながら読書することにしようかなあ。はて、どこかにそういう銅像があったような・・・。

セントへレンズだ噴火から33年

5月18日。土曜日。何となく明るいけど、ほんとは雨を降らせたいんだか、晴れたいんだかわからない空もよう。

今日5月18日はお隣のアメリカ、ワシントン州でセントへレンズ山が大噴火して満33年。もうそんなになるのか。やっぱり年月の経つのはけっこう早い。あの日は日曜日だった。前日に6ヵ月住んだヴィクトリアからバンクーバーに戻って来て、引越し荷物に囲まれて朝食を食べていたな。噴火の音が聞こえたとは思わないけど、耳の奥に何となく妙な風圧のようなものを感じたのを覚えている。食後にラジオのニュースでもうすぐ危ないと言われていたセントへレンズがついに噴火したことを知った。翌朝にはタウンハウスのパティオが灰でうっすらと白くなっていたのを覚えている。

セントへレズの北斜面を眺望する場所の観測点にいたアメリカ地質調査局の若い火山学者デイヴィッド・ジョンストンは、「This is it!(ついに来た!)」と噴火の瞬間を伝えた数秒後に火砕流に直撃されて遭難死した。今、セントへレンズに近い火山観測所には彼の名前がついている。あの日からテレビには想像を絶する映像が何日も何日も流れた。雪を被った姿かたちが自慢だった山は、北斜面が一気に崩落して、400メートルも低い惨憺たる姿になってしまった。湖の辺の山小屋に住んでいたハリー・トルーマンというおじいちゃんは頑として避難を拒否して、愛する山で火山灰に埋もれて死んだ。火山噴火がどんなものかを知らない故に、「その瞬間」を見ようと警告を無視して山に入って行って、火山灰や泥流に埋もれて死んだ人たちもいた。降り注ぐ熱い火山灰の中を逃げる過程をテープやビデオの記録に残して死んだ人たちもいた。

でも、早くから立入りを制限したり、その他いろいろな要素があるんだろうけど、あれほどの山体崩壊を伴った火山噴火で死者が57人だったというのは奇跡に近かったと思う。数年前、ラスベガスからの帰りにセントへレンズの真上を飛んだことがあって、噴火でできたクレーターの大きさを空から見て、改めて火山の威力というものがわかった。セントへレンズは北のシアトルから150キロ、南のオレゴン州ポートランドからは100キロに満たないところにある。半径100キロ以内には、日本人移民が「タコマ富士」と名づけたレーニア山(4392メートル)や、「オレゴン富士」と名づけたフッド山(3429メートル)があるし、ときどき我が家の二階の窓からちらっと見えるベーカー山(3286メートル)は国境のすぐ南にあって、いずれも噴火したら巨大災害を引き起こすと言われている。

いずれも富士山級の山で、同じような構造の成層火山。富士山も東京首都圏から約100キロだし、この3つの火山も規模は違うけど大都市圏から近い。もしもベーカー山が噴火したら、風向きによってはわずか80キロしか離れていないバンクーバーにも大量の灰が降るだろうし、郊外に広がる農業地帯は壊滅的な被害を受けるだろうな。もしもそんなことになったら経済的な打撃もすごいことになる。小学生の頃に雌阿寒岳が噴火したことがあったけど、釧路市内で灰が降ったかどうかは覚えていない。ワタシの原風景の中では、遠い地平線でいつも煙がたなびいていたという記憶しかなかったから、セントへレンズを上空から見下ろすまでは、別に怖いものという認識はなかったと思う。

予想を超えた大噴火から33年経った今、厚く火山灰や泥流に覆われていたセントへレンズの山腹にも、なぎ倒された木々の間から芽が吹き出し、新世代の若い森林が広がっているというから、生命のパワーはすごい。自然はちょっとやそっとのことでは簡単にへこたれないんだな。自然には底知れない破壊力と同時に、人間とは比べるべくもないくらいの強靭な回復力を持っているんだと思う。その破壊力と復元力への畏怖から、人間の心に「見えざる大きな力」への信仰心が生まれて来るんだろうと思うけど、近代世界の人間はいつからその素朴な信仰心を無くして、「見えざる力」を侮り、自分の支配力を過信して、果ては競い合うような生きものになったんだろう。だから母なる自然が怒っているのかな・・・。

宝くじで大金が当たったら

5月19日。当選者が出ないまま賞金がどんどん膨れ上がって、とうとう何と6億ドル(600億円)にもなってアメリカ中が熱狂していた大型ロト「パワーボール」。どうやらフロリダ州の小さな町で当選が出たらしい。何と1億7500万分の1の確率だそうで、当選チケットは1枚だけというから、600億円独り占めかあ。まあ、600億円を丸々もらえるわけじゃないけど、それでもすごい金額・・・。

「600億円当たったら、どうする?」と、一度も宝くじを買ったことがないカレシ。
う~ん、気絶するなあ、まず・・・。
「自家用ジェット旅客機が買えるらしいけど、宝くじが当たったら買う?」
買わな~い。それよりもファーストクラスの座席をぜ~んぶ買い占めちゃうか、チャーターする。バーやシャワーがついているやつね。
「それじゃあ、明日行こうと思い立っても無理だよ。ふつうにファーストクラスのチケットを買うのが一番楽だと思うよ」。
あはは、何だか庶民的・・・。

大企業の決算書類なんかでけっこう見慣れている桁の数字だけど、いきなり600億円なんてお金がどんと入って来ても、想像力たくましいワタシでさえどうしていいかわからないだろうな。ぜいたくは好きな方だけど、自分の好みに合わないぜいたくはしてもつまんないから、使い道に困るかもしれない。あちこちに寄付はするだろうけど、恩恵を施したくないところにはしないかな。でも、寄付お願いの電話が昼夜かまわずかかって来るだろうな。いるとは知らなかった親戚が続々と名乗り出てくるかもしれないな。あんまり途方もない金額で、怖いような気もするし・・・。

去年だったか、アメリカで宝くじが大当たりした直後にぽっくり死んだ人がいて、毒殺されたんじゃないかということになって、遺体を掘り起こして調べる騒ぎがあったし、カナダでは何年か前に、賞金の受取り期限ぎりぎりに名乗り出たはいいけど、半年前に離婚した奥さんが婚姻中に当たった賞金だから半分もらう権利があると名乗り出て、独り占めするために、当選を内緒にして離婚したことがばれた男がいた。ついでに、同棲していたという不倫相手にまで分け前を要求されて、お金、たかがお金、されどお金・・・。

「ねえ、キミはまだ6/49を買ってるの?」
うん、1組だけ。何ヵ月分かお金を預けといて、当たったら知らせてねってシステムで。
「でもさあ、宝くじって、むだだと思うけどなあ。ま、もしも当たったらどうするか想像して楽しむところに価値があるんだろうけどさ」。
そうねえ。絶対に当たらないとわかっていたら買わないな。でも、買わなきゃ、当たる確率は絶対にゼロだからねえ・・・。

カナダのロト「6/49」はワタシの唯一の賭け事。水曜日のロトの賞金は7億円になっている。はて、もしうっかり当たったらどうする?

義理ママの96歳の誕生日

5月20日。月曜日。咳が出て良く眠れなかった。どうも、いつか忘れたくらい昔にかかったひどい風邪の後遺症というのか、慢性の副鼻腔炎が残ったらしく、めったに鼻をかむ必要がないワタシだけど、寝ているときは鼻水が喉の方に流れて、その刺激で咳が出る。まあ、いつもベッド脇に用意しておく水を飲んで、しばらく咳き込んでいたら、治まって眠りに戻ったようだけど、何とかしないとダメかな。

起きてみたら、おお、いい天気。三連休最終日の今日はビクトリアデイの祝日。ビクトリアはもちろんビクトリア女王のこと。今年はうまい具合にママの96歳の誕生日と重なった。予告をしてあったので、トラックでおでかけ。ハイウェイを飛ばして約1時間。カレシが3時頃には着きたいというので、迷子にならなければの話、と釘を刺しておいた。何しろ、カレシの運転はちょっと込んでいると言っては、衝動的に横道に反れる癖がある。でも、街中の道路と違って、郊外のは横道に入ったらそれっきり軌道を外れた人工衛星みたいなことになるから困る。それでも、今日はまじめにハイウェイに入って、車線変更の標識を見逃さないように気をつけて、何とか迷子にならずにメープルリッジに到着。

ママの部屋にはジムとガールフレンドのドナ、前妻のマリルーとパートナーのロバートが来ていて、ほどなくしてジムとマリルーの娘夫婦のセーラとロブが子供たちを連れてやって来たもので、小さなアパートは4世代が集まって満員御礼。ママには孫娘にあたるセーラはワタシがカナダに来て3週間くらい後に生まれたので、もうすぐ38歳になる。日本的に言うとアラフォーだな。アメリカの不況とカナダドル高の最中でもジムから引き継いだ会社をしっかり守っているから偉い。でも、細面の顔にはさすがに年が現れているような。ママにはひ孫に当たる息子のエイダンは9月から6年生、娘のアナベルは4年生。イケメンのパパによく似て2人ともルックスは抜群にいい。

100歳のお祝いの話をしていたら、ママが亡きパパの母方の家系図と思い出話をまとめたファイルを見せてくれた。カレシの曽祖父母のヘンリーとメアリーのエヴリット夫妻の結婚100年を記念してもう20年近く前にエドモントンに住む子孫が作ったものだそうな。カレシの祖母のローズは8人兄弟姉妹の7番目。15歳で結婚して男児をもうけ、17歳で未亡人になり、18歳でカレシの祖父と結婚して2人の息子をもうけ、30歳そこそこでまたもや未亡人になり、バンクーバーに移って極貧の中で息子を育て、40代後半になって長年の居候と3度目の結婚をしたけど、数年でまたまた未亡人。ほとほと男運のない人だったようだけど、どうやら金銭感覚も常識もないに等しく、生活もかなりめちゃくちゃだったらしい。「でも料理はうまかった」と、カレシ。子供が8人となると、子孫の数も相当なもの。家系図を辿ってみたら、カレシの名前の横にワタシの元の名前が並んでいて、「1976年結婚」と記してあった。

大人はロブが持って来たビールを飲みながら、ぺちゃくちゃとおしゃべり。何しろ、話題が2つも3つも同時進行するもので、ほんとににぎやかったらない。みんなでケーキを食べて、またひとしきりおしゃべりをして、おいとまは5時。途中のモールのセーフウェイに寄って、遅くなった夕食用に電子レンジて温めるだけのローストビーフと野菜少々、コーヒーを買い、帰り道も横道に反れずにすんなりと帰宅。久しぶりに家族が集まってぺちゃくちゃ、がやがやと、今日はほんとに楽しかった~。

タブレットは新しいおもちゃ

5月21日。火曜日。よく眠って、午前11時半に起床。今日は何だか寒い。小雨もようのせいかな。ポーチの温度は正午でやっと10度。寒い~。

寒いからどこにも行かないことにして、仕事もないことだし、今日は大まじめにタブレットの使い方のお勉強(というか、徹底していじりまくる)。

初めてコンピュータを買ったのが、まだDOSを使っていた時代の1987年。1990年に自営業になってからは、PCとマックを並行して使って来て、やっとマックをお払い箱にできたのが1998年。それからは、ラップトップやノートも買ったけど、ずっとウィンドウズのデスクトップ1本でやって来た。コンピュータ歴26年。そこへ現れたのが、ワタシの65歳の誕生日にカレシにプレゼントされたタブレット・・・。

サムスンのGALAXY Note 10.1という、手になじむ大きさと重さ。でも、スイッチを入れてびっくり。タッチスクリーンはPCで使い慣れているけど、それ以外は何から何まで勝手がぜ~んぜん違うぅ~っ!インターネットやカメラはあちこちいじっているうちに何となく使えるようになった。仕事の合間にPCでダウンロードしたマニュアルを読んでいたら、少しずつ要領がわかって来た。キカイには強い方だと思っていたのに、寄る年波ってやつかなあ。でも、午後いっぱいあちこちをいじくり回したおかげで、かなり進歩したかな。

☆フライトモードをオン/オフにできるようになった。
☆ブックマークをテーマごとのフォルダに整理できた。
☆gメールを使えるようになった。
☆S Noteの使い方がわかって来た。
☆The New Yorkerの電子版に登録できた。
☆プロジェクトグーテンベルク(Project Gutenberg)のサイトから気に入った本を見つけて、オフラインで読めるようにできた。(保存の方法はまだ・・・。)
☆Google Playで「無料」の本をゲットできた。

元々新聞や本を読むのとメールが狙いだったので、ここまで来たら目的はかなり達成したと言えるかな。後は、Polaris OfficeというMS Officeに似たアプリケーションの使い方をマスターしたところで80%くらい。日本語表示はできても、入力用のアプリが付いていないので日本語は入力できない。(どうしてだろうね。)まあ、日本語のメールを送れない程度の不便だし、アプリがあるらしいから、そのうちに、そのうちに・・・。

それでも、新しいおもちゃをいじっていると、何だか子供に返ったようで、好奇心の赴くまま、時間の経つのも忘れてしまうなあ。

情報も使い捨ての時代?

5月22日。水曜日。今日もやけに肌寒い。平年より5度くらいは低いかもしれない。午前11時50分の目覚ましで起床。1時近くなってシーラとヴァルが掃除に来た。どうやらこの2人、ちょっとしたけんか状態にあるらしい。だいたいは何となく元の鞘に収まるんだけど、2人とも「頑固ばあさん」なもので、袂を分かって別々に仕事をしていたときもある。ワタシは2人の顔を見て「ああら、またなのぉ?」 2人とも何となくばつの悪そうな顔だったから、まっ、この次に来る頃には仲直りしているだろうな。

2人が黙々と?掃除をしている間に、ひとっ走り保険屋に行って、旅行保険をかけた。アメリカで万が一病気や怪我をしたら優雅な老後どころじゃなくなるもの。ついでに、レンタカーの保険はクレジットカードと州の自動車保険でカバーされていることを確認して、ひと安心。レンタカー会社の保険はぼったくりもいいところだから。後は、明日ワタシが銀行へ行って当座のアメリカドルを引き出して来れば、残る準備は持って行く物を集めて、荷物をまとめるだけ。今日はカナダドルの対米ドルレートがぐっと下がったけど、アメリカドルで入ってきたのをそのままアメリカで使うので、為替差損はなし。まあ、丸々3日しか残っていないから、急かされるような気分。旅行の前ってのは目的が何であっても、何となくストレスを感じる。

新規の仕事は帰って来るまでないと見込んで、ひねもすタブレットでお遊び。何とか使えると思えるところまで来たようなので、サムスンとグーグルのアプリストアを覗いてみた。へえ、あるもんだなあ。有料、無料のが、ものすごい数。ゲームは当然「うわ~あるある」という感じだけど、「これ、何をするの?」と首を傾げるようなものずいぶんある。それでも、お試しのつもりでサムスンにアカウントを作って、PCで遊びなれているソリテアとマージャンの無料アプリをダウンロードした。Google Playでは本をもう1冊(ジョン・バカンの『39階段』。ちなみに、バカンはイギリス貴族で、カナダ総督だったことがある)。

後は、予めインストールされて来たアプリを開いては「見学ツアー」。まあ、アプリの大半は使い道も興味もないので非表示にしてしまったけど、どれを見てもPCには当たり前にある保存機能が見つからない。まあ、ファイルを開いたり、保存したり、なんてのはこてこてのウィンドウズ思考なのかもしれないな。まあ、SDカードに保存できるらしいけど、別に買ったUSBコネクタを使えばUSBメモリーに保存できるのかな。ドロップボックスというアプリがついて来ているけど、何だか自分のものをそこら辺に置いてある箱にポイっと入れるような感じで、ちょっとなじめない。だけど、どれを見てもメニューには簡単に「保存」する手段がないのは、ドロップボックスのお試し版を使わせておいて、いずれはサービスを売ることになっているからかな?なるほど、ITの世界はそういう方へ進んでいるのか・・・。

でも、あれこれといじり回していて、ふと思った。タブレットは(スマホもだろうけど)元から情報を「保存」することを考えて作られたものではないのだ、と。つまりは、情報を一時的に取り込んで「見る」ために作られたものなんだろうな。その時々の「最新情報」を見たり、聞いたり、共有できればそれでいいんだろうな。なるほど、情報も使い捨ての時代になって来たのかもしれないな。使い捨てなんだから、深く考えさせるようなものはめんどうくさい。手軽に使えるものの方がいい。このままだと人間の思考パターンも変わって来るかもしれないな。これから10年先、20年先の地球人は物事をどんな風に考えて、どんな風に互いに伝達するのか?未来はSF小説の世界のようになるのかなあ。そういえば、ブラッドベリーが1950年代に書いた『華氏451度』には、タブレットの原型のような道具が出てきたっけ・・・。

銀行のスマイル攻め作戦?

5月23日。木曜日。午前11時30分に目覚まし。今日はやや明るい空模様。出かける日は雨が降っていない方がいいな。でも、もう5月も末だというのに、まだ薄いジャケットがいるのはどうしてなんだ?

カレシを英語教室午後の部に送り出して、まずは空調会社に電話。(たぶんかなり前から)甲高い鳥のさえずりのような音が聞こえるようになって、先週点検整備をしてもらったばかりの換気装置がまた「さえずり」始めた。エレクトロニクスとは無縁の完全に機械的なものだから、何かがどこかでまだ緩んでいるのかもしれない。無視しようと思えば無視できないことはない音量だけど、機械設備の「異常」は根本原因まで突っ込んで解決しないとね。来週は留守なので、ちょうど2週間後の木曜日午後に予約をくれた。それまではまた装置をオフにして、留守番のシーラには窓を開けて換気してもらうことにする。

カレシとモールで落ち合うので、頃合いを見計らっておでかけ。日は差しているけど、中途半端な暖かさ。まずは銀行で、ATMからシーラに払う留守番料を下ろし、ちょうど空いたカウンターでアメリカドルを下ろす。窓口係の若いお兄ちゃん、飛びっきり愛想がよくて、終始にっこにこ。スマイルキャンペーンでもやっているのかと思ってしまった。いかにも手の切れそうな新品の20ドル札25枚。「新しいのでちょっとくっつきますから、お支払いの時には気をつけてくださいね。知らずにチップを弾むのは悔しいですよね」。ついさっきまで帯封がしてあった札束から抜き出したようなピンピンのお札だから、それ、ありえそうだな。

他には?と聞くので、思いついて銀行に登録してある郵送先住所を変更するにはどうしたらいいか聞いてみた。オンラインで可能だけど、家計管理をワタシに丸投げしているカレシがアクセスを設定していないもので、共同名義の口座は変更できない。私書箱は7月末の更新時期に解約の予定なんだけど・・・。「あっ、ここで今すぐできますっ」。ほお。お兄ちゃんがくれた紙に自宅住所を書いて渡したら、笑顔のままでキーをカチャカチャやって、上司らしい人に変更を承認する操作をしてもらって、「はい、完了ですっ」。へえ。でも、クレジットカードはカード会社にリクエストするんでしょ?「いえいえ、当行にお持ちの口座の住所はぜ~んぶ変更になりますっ」。へえ。「でも、共同口座のご主人の記録の変更はご本人にいらしていただきませんとっ」。あっ、じゃ1時間くらいで連れて来るけどっ。「ではっ、私は昼休みで席を外しているかもしれませんが、他の者が承りますので、いつでもどうぞっ」。

うはっ、こんなに顔中がスマイルぴかぴかの人って、初めてだ。それがこのお兄ちゃんだけじゃない。デパートとスーパーで買い物をして、カレシと落ち合って、荷物を車のトランクに入れて、一緒に銀行に戻ったら、お兄ちゃんは昼休みでいなかったけど、隣の窓口の女性が「はぁ~い、今日のご用は~」。あのぉ、1時間前に住所変更をしたんだけど、共同口座はワタシのだけできるということで、えっと、これがパートナーご本人。「はぁい、ご主人さまでいらっしゃいますねぇ」。ワタシはアクセスカードをスワイプして、PINをピッポッパ。「では、ご主人さま、ご自宅のお電話番号はぁ~」 カレシが電話番号を言うと、住所のメモを見ながらカチャカチャカチャ。前と同じ上司の女性が来て、ポンポンとキーを押して、「はぁい、ご主人さまの記録もぜ~んぶ変更しました ぁ~。ご来店、ありがとうございましたぁ~」。

うはぁ、こんなに顔中にスマイルを貼り付けられる人たちって、すごいなあ。もう間違いなしだな。絶対にスマイルキャンペーンをやっている。いやあ、一石二鳥で懸案が解決して、助かった。でも、ちょっとスマイルが過剰で、何だかくたびれちゃったなぁ・・・。

作りっぱなし、やりっぱなし、思いっぱなし

5月24日。金曜日。久しぶりにぐっすり眠った。ずっと夢を見ていたような気がするけど、目が覚めたとたんに忘れてしまった。カレシも一度も目を覚まさなかったというから、何なんだろうな。晴れたり、曇ったりの空模様で、気温もやっと平年並みに戻ったらしい。向かいのゴルフ場に何本かあるcottonwood(ヒロハハコヤナギ)の大木が今年も盛大に種を飛ばし始めた。綿毛があるので、ふわふわとまるで雪が降りしきっているような光景。ピークには歩道の芝生が白っぽくなるし、見ているだけで鼻がむずむず・・・。

朝食が終わってのんびりしていたら、電話。発信元表示は「カナダ政府」。おいおい、と思いつつ取ったら、地元の税務センター。「住所変更願いを受け取ったので確認させてください」と。ビジネス関連の税務処理には私書箱を「営業所」の住所にしていたので、変更願いを送ってあったんだった。ビジネスだからと、事業者番号だけを書いて、個人の社会保険番号は書かなかったので、それを聞いてきたのかと思ったら、「所得税の住所と同じになるわけですね?」と。私書箱を閉じることにしたもので~と説明したら、「わかりました。変更手続きをしますので、次回の四半期申告の通知は新住所に送られます」と、あっさり確認。はい、ありがとさん。だけど、急に「政府」からの電話って、何となくぎょっとするよねえ・・・。

ゆうべ、お隣のワシントン州のインターステート5号線でスカジット川にかかっていた橋の桁が崩落したと聞いてびっくり。I-5は北はバンクーバーからの州道99号線と国境で接続して、南はメキシコとの国境まで、アメリカ西部を縦断する総延長2200キロを超える大動脈。崩落した橋はバンクーバーとシアトルの中間あたりにある。鉄骨で枠を組んだだけで、通るたびに何となく頼りなさそうに見えたけど、約60年前にできたというから、老朽化していたところに、通過中のトラックの大型貨物がゴンッとぶつかって、崩れてしまったらしい。何にでも寿命というものがあるんだけど、鉄骨とコンクリートのものは「半永久的」だと思い込んで安心してしまうのか、つい手入れをサボるところがある。まあ、何であっても、長持ちさせようと思ったら、手入れにけっこうなエネルギー(とお金)がいるもんだけど、人間にはそこがね・・・。

でも、高速道路の橋が崩れて、川に落ちた車が2台だけで、乗っていた3人は大きな怪我もなく救助されたというのは、まさに奇跡と言えるだろうな。この週末はアメリカではメモリアルデイの三連休で、どっと行楽の車が押し寄せるから、橋が落ちるのが1日か2日遅かったら、大惨事になっていたかもしれない。そう考えると、やっぱり世の中には、人間の思惑や願いとはまったく関係のないところで働く不思議な力があるのかなと思ってしまう。それがたぶん「運」というものなんだろうけど。でも、現実には、カナダ、アメリカ、メキシコを結ぶ経済の大動脈が断裂したわけで、当面の物流はどうなるんだろうな。迂回するとしたら相当な距離になるし、応急処置としてベイリーブリッジという鉄骨のプレハブ橋を持って来るという話だけど、へたをすると1車線を上下線が交互に使うことになるかもしれない。渋滞するだろうなあ。野菜などは季節的にまだカリフォルニアやメキシコに頼っているから、もしかして値上がりするかなあ・・・。

まあ、何であれ、作りっぱなし、やりっぱなしはいかんぜよ、マインドレスじゃいかんぜよ!ということかな。もっとマインドフルでなくちゃ。そうは言っても、人間世界ではそういう生き方がだんだんに難しくなりつつあるような感じがしないでもないなあ。それでも、マインドフルでないと周りはキケンがいっぱい。もっとも、「マインドフルに」と思っても、これがまたけっこうなエネルギーを必要とするもんなんで、つまるところは、思いっぱなしになるのかも・・・。

旅立ちの準備完了、ハワイへゴー

5月25日。土曜日。いよいよ今日1日になった。何だかやることがまだたくさんあるような・・・。

朝食後のいの一番は月末処理。インボイスを作って送って、5月の業務ログを閉めて、累計を出して・・・。終わったら、階段下の納戸にある金庫に経理関係の書類と家計の書類を入れて、パスポートを出して、ロック・・・。

納戸の奥からワタシの小さいスーツケースを引っ張り出して、二階の寝室へ運び、戸棚からカレシご愛用のスポーツバッグを出して、これも寝室へ。カレシが現れて、自分の下着やらTシャツ、ドレスパンツなどを集めてベッドの上に積んだので、それを圧縮袋に入れて渡す。自分の荷物は自分で詰めないとね。たった1週間だし、常夏のハワイだから女性の衣類はみんな小さい。おかげでワタシのスーツケースはすっかすか。でも、お酒を買えば、帰りは手荷物としてで預けるので、いつものように小さいスポーツバッグを予備に入れておいた。機内持ち込み荷物には数の制限があるので、財布やパスポート、デジカメを持ち運ぶ旅行用のショルダーバッグは、ひと回り大きい手提げバッグの中にタブレットやビデオカメラと一緒に入れて、ダブルアップ。旅は身軽が一番・・・。

メールをチェックできるようにウェブメールのアクセスをタブレットに設定。カウアイ島ではレンタカーを借りるので、リフエ空港からホテルまでの道順をGoogle Mapで調べ、ストリートビューでだいたいの景色を見ておいて、主要交差点の風景写真つきで道順を印刷。いや、便利な世の中になったもんだな。でも、ハワイの地名は舌を噛みそうのがたくさんあるな。印刷した道順の裏に、大きなフォントで打ち出したものを印刷しておいた。ここらでタブレットの電池がちょうどよく15%。充電器をつないで、ついでにビデオカメラの電池もチェックしたらほとんど空だったので、これも充電。デジカメとビデオカメラのメモリーカードも点検。カレシはカレシで大きいカメラとiPod Touchをいじっているし、うは、何だか知らないけど、やけに重装備・・・。

でも、旅立ちって疲れるなあ、ほんと。あれをしなきゃ、これをやっておかなきゃ、とついバタバタするから、いざ出かける頃には疲れた気分になる。遊びに行くというのにストレスがたまるなんて本末転倒だと思うけど、元から2人ともそれほどの旅行好きとは言えないからねえ。ゆうべなんか、来年の会議に合わせて、最後になるかもしれない日本行きの日程を1ヵ月くらい取ろうという話だったのが、カレシは菜園の繁忙期に1ヵ月も家を離れたくないと言いだし、ワタシは1ヵ月も日本語をしゃべるのはストレスだし~なんて言っているうちに、日本行きはお流れになりそうな雲行きになって来た。まあ、来年の今頃の話なんだけど、そのときはまたひとつ年を取っているわけだし・・・。

夕食後、カレシがエアカナダのホノルル行きとハワイアン航空のカウアイ島行きのフライトにチェックインして、搭乗券を印刷。やれやれ、これでまずは出発の準備が完了して、ハワイへゴー!というところ。タブレットでは日本語を入力できないから、ブログもお休みにして、さて、後は寝酒かな・・・。


2013年5月~その1

2013年05月16日 | 昔語り(2006~2013)
もしも、亭主ロボットや嫁ロボットがあったら

5月1日。水曜日。今日から5月。今日からごみ収集方式が変わって、今日は堆肥ごみとリサイクル品だけを回収。我が家は堆肥ごみに出すものがなくて、リサイクル品だけ。普通ごみは毎週出さないことが多かったから、方式が変わっても問題はない。何だか静かだったようで、いつものようにトラックの轟音で目が覚めずに、正午ぎりぎりまですやすや。でも、普通ごみも回収する日は、リサイクルトラックが1回、堆肥ごみのトラックが1往復、普通ごみのトラックが1往復。ということは、へたをすると、ダブル収集の日の朝は早朝から5回も目を覚まされる可能性が・・・。

今日はまず大洗濯から。ランドリーシュートは積み上がった洗濯物に押されてドアが開き始めている。このままだと洗濯物のなだれが起きそう。家事をさぼるとこうなるのはわかっちゃいるけど、カレシに洗濯するからベッドルームに積んである汚れ物を落としてよ~と言ったら、いそいそと二階へ上がって行って、シャツやらジーンズをどさっ。ほんとうにシュートのドアが開いて大なだれ。うはあ・・・。

洗濯機を回しておいて、キッチンの床掃除。カウンターやテーブルの上のごみやパンのくずを盛大に払い落として、ルンバ君にお任せ。洗濯をしてくれるロボットを作ってくれる人、いないのかな。まあ、大昔は盥と洗濯板でごしごしやっていたことを考えたら、「洗濯機」がそのロボットなのかもしれないけど、色物と白物を選別して、洗濯機に洗剤を入れて、適切な設定を選んで、スイッチをオンして、洗い終わったら乾燥機に入れて、乾いたらアイロンのいるものはアイロンをかけて、きちんと畳んでくれるロボットが欲しい。昔、誰にだったか忘れたけど、そんなことを言ったら、「嫁さん、もらえばいいじゃん」と返された。う~ん、お嫁さんはいらないなあ、ワタシ。だって、ロボットの方が楽しそうな気がするもの。

小町横町を見渡してみたら、『婚活市場でどうすれば売れるか』という質問。猫も杓子もコンカツ、コンカツの日本。「市場で(自分を)売る」というところからして、まさにmeat marketの観。スラングとしての意味はあまり芳しくないので日本語は省くけど、「婚活」も自由経済市場の原理で動くとすれば、当たらずと雖も遠からずかも。では、どうすれば売れるのか・・・難しい問題だな。買い手が重要視するのは何かを見極めなければ、「売れる」商品作りは難しい。買い手市場だとすると、pricing(価格設定)か、packaging(包装)か、status(ブランド)か、あるいはutility(使い勝手)か。場合によっては、買った後で維持費や運転費用その他のコストが発生するから、availability(稼働率)やdurability(耐久性)という要素も考慮に入れないと「無駄な買い物」になってしまうこともある。

お買い得セールというのもあるかもしれないけど、そういうのはあまり選べないから、「安い!」と思って買って後悔ということもありそう。もちろん、買ってみたら「買い得」だったとか、「掘り出し物」だったということもあるだろうけど、そういうのはたぶん、街を歩いていてふと目に留まったものが気に入って衝動買いしたとか、ちょっと規格外れだけど思いがけずぴったりフィットしたという場合かなあ。そういうのに意外と永く愛用するようなものが多いんじゃないかと思うけど、brand(結婚)が目的だとそれを見つける確率は低そう。流行は飽きやすく、移ろいやすい、ブランドは所詮持って歩いて人に見せるものだし・・・。

でも、今どきの結婚って、そんなにドライなものなのかなあ。まず好きな相手がいて、その人と一緒にいて人生を分かち合いたくて結婚するという形はもう廃れてしまったのかなあ。結婚したい!と思って、誰かいないかなあとカタログから相手を探すのが婚活だとすると、こてこての昭和育ちでロマンチストのワタシにはムリだな。まあ、出会いを待っていられない世の中なのかもしれないけど、だったら日本が誇るロボット技術の粋を結集して、結婚相手ロボットを開発したら、好みのスタイルに作ってもらえて、好みのタイプにプログラムもできるから理想的かもしれないな。(マリッジロボットだから「マリンバ」とか。)まあ、あまり夢のある話とはいえないけど・・・。

西も東も春の雪なのに夏の陽気?

5月2日。木曜日。午前11時30分に目覚まし。ふむ、何だかちょっと曇りがちのような感じ。週末にかけては真夏のような天気になるという話だったけど、どうしちゃったんだろう。

カレシは英語教室ダブルヘッダーの日。朝食を済ませて、いつものように「あれがない、これが見つからない」とひとしきりバタバタして、「じゃあな」と午後の部にお出かけ。

ワタシはきのう洗ったものが山のようになっている洗濯かごから一階に置くものだけを引っ張り出して、たたんで、しまって、夕食の食材をフリーザーから出して、さて、仕事。いつものことではあるけど、日本はゴールデンウィークで、日本にいる人たちは行楽に出払ってしまうから、その間の仕事はみんな太平洋のこっち側にしわ寄せ。連休明けに納品してね・・・はあい。いいなあ。日本ではみんな遊んでいるってのに、その分こっちはねじり鉢巻のたすきがけで仕事・・・。

カレシが帰って来て、夜の部の準備をしている間に、ワタシはトレッドミルで運動。今日からは時速4マイル(6.5キロ)でスロージョギング。このスピードだと、早歩きはちょっときつくなって、走る方がずっと楽な感じ。時間を15分に設定して、1.6キロ。けっこう汗をかく。このペースで1週間くらい足馴らしをしたら、時速8キロになるまで、少しずつスピードを上げて行くのが目標。脇腹から胃のあたりについていたぷよぷよが心なしかちょっ~とばかり減ったような、減っていないような。走り終わったら、熱い1分間シャワーで汗を流して、夕食のしたく・・・。

天気予報によると、明日から1週間くらいずっと晴天で、土曜日から月曜日あたりまでは最高気温が20度を超えるらしい(平年並みは15度前後)。内陸の郊外では25度を超えるだろうな。明日は半袖を通り越して、スリーブレスにするかなあ。日照時間は日の出から日の入りまでたっぷり15時間で、いかにも夏だ!という感じ。そうそう、エアコンを始動させなくちゃ。でも、5月に入ってからの始動はいつもより遅い。去年も4月の末だったし、ここんところなぜか春がいつまでもだらだら続いているような。でもまあ、この週末はご近所中からバーベキューのおいしそうな匂いが漂って来そうだなあ。

我が家の前庭は、藤色の原種チューリップ、ブルーベルとホワイトベル、ヒヤシンス、すずらんがいっせに、でも雑然と花を咲かせて、枯れたと思っていたボケまでが3つ、4つ花をつけている。見上げればライラックも満開に近くなったし、アメリカハナズオウも赤っぽいつぼみがたくさん。このハナズオウはアメリカ東部が原産地で、バンクーバーには数えるほどしか植えられていないらしい。ほんとに今ごろは、桜の季節こそ八重桜が盛大に散ってほぼ終わったけど、道を歩けばあちこちでシャクナゲとモクレンが真っ盛り。こういうのを文字通りの百花繚乱というのか、外を歩くのが楽しくなる。

でも、この週末のバンクーバーにはちょっぴり時期外れの夏の到来だけど、州の内陸部やアメリカ中西部は時期外れの大雪で、ミネソタ州やウィスコンシン州では30センチも積もったところがあるらしい。何だか申し訳ないみたい、と思ったら、北海道でも雪が降っている。オホーツク海側の紋別では6センチも積もったそうで、札幌でも21年ぶりの5月の雪になったそうな。もっとも、釧路に住んでいた子供の頃には、ゴールデンウィークに雪が降るのはあまり珍しくもなかったように思う。よくぼた雪をかぶった傘をさしてメーデー行進をしている写真が新聞に載っていたな。(テレビはまだなかったような・・・。)

それにしてもまあ、どこもかしこも何かヘンな気候だこと。だいじょうぶか、地球・・・?

勝手に人生相談承ります

5月3日。金曜日。起床は正午ぎりぎり。何かすっきり目が覚めなくて、寝起きが良くないような。でも、予報の通りにいい天気で、庭仕事に出て行ったカレシは30分もしないうちに、「暑くてやってられん」と、汗びっしょりになって家の中に入って来た。(水を飲んだほうがいいよ~。年寄りになると脱水状態になっていても気づかないらしいから。)

ワタシは今日も仕事日。ゴールデンウィークの日本はみんな出払ってしまって(あんがい50キロの渋滞にはまっていたりして)、メール前線は静か。(嵐の前じゃないといいけど。)でも、全体の予定を見ると比較的余裕がある(ようにに見える)ので、ちょっとやってはだらだら。大あくびが出るたびに(頭じゃなくて)モニターの画面を切り替えて、小町横町のタイトルだけを眺めて、勝手に人生相談回答者の帽子を被って、突っ込みを入れてみる。たとえば・・・

「チョコケーキやアイスが苦手」――アイス(クリーム)の食べ過ぎは日本人の低体温化の要因のひとつらしいですよ。低体温になるとウィルスやがん細胞が喜ぶだけです。苦手を善しとしましょ。

「グーグルマップで家が小さいのがバレた!」――まさか「うちは大きすぎてお掃除がタイヘンなのぉ」なんて言ってなかったよね。へたな見栄は張りすぎると風船ガムみたいにパチンと弾けて自分の顔にべちゃっと貼りつくんですよ。

「出会いの方法」――出会うことです、はい。

「海外在住。日本の友人との関係」――去るものは日々に疎し・・・。

「アメリカ人の夫とくだらないことで喧嘩になった」――アメリカ人でなくても、みんなしょっちゅう夫とくだらないことで喧嘩してますって。それが夫というものなのです。

「好きになれない子供のタイプ」――自分の子供がそのタイプじゃないといいですね。

「2年間がんばったけど、彼女に昇格できませんでした」――「カノジョ」というのは、がんばって「昇格」する地位だったのですか。それはそれは、お疲れさま。でも、マゾっぽくないですか?次、行きましょ、次。

「アラフォーの恋の始まり方・・・これはありですか?」――恋の始まり方って、実に何でもありです。恋が始まってからも何でもあり・・・。

「電車内で爆睡するひと!」――うん、たっくさんいますね。電車に乗った時のマナーかと思いました。

「40代女性。無資格で離婚します。収入を得るには」――離婚する資格が必要とは知りませんでした。収入を得るには、働くしかないでしょうな。銀行強盗というのもあるけど、不安定そうだし、すごい体力がいりそう・・・。

「40代、年を取っていいことありますか?」――40代はまだダメです。60代になれば何だかんだと割引があったり、電車の優先席に座れたり、言いたいことをずけずけ言っても年寄りのことだからと大目に見てくれるし、いいことずくめになります。あと20年、がんばって生きてください。

「ねむ~い。とにかく眠たい」――おやすみぃ~。Nighty-night. Sleep tight.

はて、ワタシ、こんなことやって遊んでいる暇があったんだっけ?

今日はスターウォーズの日なんだって

5月4日。土曜日。ああ、よく寝た。今日もいい天気。(予報では向こう1週間ずっと「いい天気」。)天気予報サイトのポイントキャスト(我が家のある区域のピンポイント予報)によると、午後2時半の気温は23度で、湿度39パーセント。こりゃ「夏爛漫」だ、もう。

今日5月4日は、何と「(国際)スターウォーズデイ」なんだって。日付を英語で言うと「May the Fourth」なので、ジェダイ騎士のあいさつ「May the Force be with you」に引っかけた、しゃれっ気たっぷりの日。世界中でスターウォーズに因んだイベントがいろいろとあるらしい。こういう遊び心たっぷりの「国際何とかデイ」もあっていいよね。

一番最初のスターウォーズ(後のエピソード4)をカレシと見に行ったときはすごい感動だったな。オープニングタイトルの「A long time ago in a galaxy far, far away....」を見たとたんから胸がわくわく。「むかし、むかし、はるかなたの銀河系で」というあれ、なぜか子供の頃に近所に来ていた紙芝居屋さんの口上を思い出したけど、宇宙船やロボットが登場するSF映画のストーリーを「むかし、むかし」で始めるという発想は新鮮だったな。そうなんだ、あの映画は何もかもが新鮮な感動だったと思う。同じ時期にスティーブン・スピルバーグの『Close Encounters of the Third Kind』(日本題は『未知との遭遇』)もヒットして、インテリ気取りは「Close Encounters」の方を評価して、「スターウォーズは子供っぽすぎ」とこきおろしていたもんだった。まあ、スターウォーズは基本的には古典的なアメリカ西部劇なんだけど。

でも、ああいう映画はめったにない。砂漠の星タトゥーインの地平線に沈んでいく「双子の太陽」のイメージは今も記憶に鮮明だし、ルークがハン・ソロと出会うバーでは奇妙な異星人たちのバンド演奏が強烈な印象として残っている。最後はすごいスピード感に、手に汗を握って座席の縁まで身を乗り出していた。後でテレビで製作過程のドキュメンタリーを見たけど、今のようなCG技術がまだ存在しなかった時代にあれだけの特撮をやってのけたジョージ・ルーカスは天才だと思ったな。あまり映画は見ないワタシだけど、あるいはそのせいかもしれないけど、スターウォーズは映画として類まれな傑作だと思う。

スターウォーズに登場するキャラクターでどれが好きかと聞かれたら、ワタシは何と言ってもチューイーことチューバッカが1番。何だか雰囲気全体に一度仲良くなったら絶対に裏切られることはないだろうという安心感がある。「頼りがいのある人」って感じかな。「かわいい」って感じもするし・・・。2番目はR2D2で、3番目がヨーダ。後のポケモンのピカチューにはR2D2を思わせるところがあると思う。(一人で家で仕事をしていて、よく英語版のポケモンを見ていたワタシ・・・。)

そういえば、スターウォーズを見た映画館は、今Arts Clubのスタンリー劇場になっている。これも何かの縁なのかなあ。ま、May the Force (Fourth)be with you!

激安のモノはどうして激安なのか

5月5日。日曜日。暑い!目が覚めたら汗をかいていた。きのうはエアコンを起動して、ファンに設定して1日運転したので、今日はさっそくクーラーをかける。窓の多い二階は日光がいっぱい。我が家は断熱性が良すぎて、日中暑くなると、夜になってもなかなか温度が下がらないのが悩み。

バングラデシュでのビル崩壊事件。軟弱な地盤の改修もせずに建てられたビルには本来の建築用途ではない縫製工場がいくつもあって、ミシンの数は1000台とも2000台ともいわれる。死者の数は600人以上、負傷者は2千人を超え、そのほとんどが女性。母を亡くした子供たちがどれだけいるのやら。子供を養うために必死で働いていたシングルマザーたちも多いだろう。その子供たちはこれからどうなるのか。違法建築、違法操業を平気でやるような雇用主が保険に加入していたとは思えないから、障害を負ってしまった人たちは補償もないままこれからどうやって生きて行けばいいのか・・・。

先進国からの仕事がなければバングラデシュのような後進国はどうやって自国民の生活を向上させられるんだと言う人もいる。正論ではあるかもしれないけど、こういう議論には「恵んでやっている」という傲慢さがプンプンする。かって、親しい友だちが集まったパーティで海外旅行の話をしていて、費用の安さを理由に貧しい国へ遊びに行くことの是非を議論をしていたら、ある人の奥さんが「でもさぁ、貧乏な国がないと、あたしたち中流階級がバケーションに行けるところがないじゃないの」と口をとがらせて反論して座が白けてしまったことがあったけど、同じ思考なんだろうな。流行のモノが欲しいけど、高くて買えない。でもそれを身につけてファッショナブルな人間だと認定してもらいたい。そんなときに、「そこのファッション感覚抜群の方、お安くなってますよ~」と囁くグローバル商人・・・。

日本にも、発展途上だった明治時代には若い女性たちが鉄格子を設えた製糸工場で毎日13、4時間も埃にまみれて働き、偏った食事や劣悪な労働環境で結核などの病気で倒れて行った「女工哀史」があった。(最近は「女工たちはどっちかというと恵まれていた」と評価したがる向きもあるらしいけど、たぶん「denial」という、自分にとって嫌なことや気まずいことは信じたくないという否定心理がどこかで働いているのかもしれないな。)そうやって先進国になった日本は今、「外国人研修制度」の大儀名分で発展途上のアジア諸国の労働者を劣悪な条件や差別の下で働かせているらしいけど、日本の一般社会はそういうことには無知なのか、あるいは「後進国の人間を働かせてやっている」という思考で見て見ぬふりなのか、そういう「ブラック企業」を蔓延らせているような観もある。

消費経済のウォルマート化(日本だとユニクロ化かな?)というのか、最新ファッションを安く手に入れるのは「権利」があるかのように洗脳された先進国の消費者もけっこう罪深いと思う。モノやサービスにはそれを生産するためのコストというものがあって、その中には人件費という、業種によってはかなり大きな比重を占めるものもある。何らかのコストがかかっていないものなどありえない。安いものはそれなりにそのコストのどこかを削っているわけで、それ自体はビジネスの常套手段として悪いことではないけど、安く買えてあたりまえと刷り込まれた消費者の要求を満たすためにさらなる「激安」を追求して、どこかで一線を越えてしまうと問題が起きて来るし、ときには倫理問題にも発展する。

ワタシは社会主義者でも社会活動家でもなくて、けっこう俗物的な人間ではあるけど、長いこと自分で自分を「雇用」して自分の経済基盤を確保するおひとりさま自営業で生計を立てて来たし、仕事の上でさまざまな日本企業や欧米企業が華やかさの裏に隠し持っている「本音」を垣間見ることも多かったから、明らかな売れ残り品や見切り品ではなくて、初めから意図的に「激安」と銘打って売られているものを見ると、「安い!」と喜ぶ前に、つい何となくなぜそんなに安いのか、コストのどこを削ったのか、誰がその代償を払っているのかを考える。買うかどうかは別の次元の意思決定だけど、あまりにも安いと感じたものは直感的に買うのをやめることが多い。

でも、一般の消費者には目の前にあるモノがそこに到達するまでの「供給連鎖」は見えないのが普通だから、ここは各段階の供給者がその連鎖の上流、下流のもう少し先の方まで目配りすることを要求するしかない。それでモノの値段が高くなるとしたら、今までどこかで妥当な以上にコストを削っていたから安かったんだと納得すればいいんだけど、はたしてウォルマート化された消費者が納得するのか・・・。

トラブルはだんご3兄弟でやって来る

5月6日。月曜日。今日は20度ちょっとで、あまり暑くないはずの日。それでも平年よりは5度くらい高いという予報。きのうは内陸の郊外で30度を超えたところがあったとか。

エアコンを午前11時起動にセットしておいたので、快適に眠って、快適に目が覚めて、身支度をしていたら、キッチンから、「おい、コーヒーメーカーがスタートしないぞ~」とカレシの声。キッチンに降りて行って、あれこれいじってみたけど、ほんとにうんともすんとも言わない。ここのところ少々不調だったけど、いよいよジ・エンドか。

「コーヒー、どうするんだよ」と、少々苛立たしそうなカレシ。
「エスプレッソ用のポットがあるからだいじょうぶ」。
「それだとほんの少ししかできないじゃないか」。
「あっ(と、電球がポッ)!フレンチプレスがあるよ」。
「何だ、それ?」
「コーヒーを入れて、お湯を入れて、プランジャーを押すコーヒーポット」。

ということで、キャビネットの一番上の棚においてあったボダムのフレンチプレスを出して来て、とりあえず問題解決。カレシ曰く、「この方が簡単だし、おいしいから、もうコーヒーメーカーは買わなくていいよ」。

――

カレシは暑いからと庭仕事はやめて、その代わりトレッドミルで10分。カレシが走り出すとフレームの中でカチッ、カチッという音が頻繁にする。あれ、ねじか何かが緩んでいるのかな。でも、その後ワタシが走ったときは初めに3、4回聞こえただけだった。跳ねるように走ってみても、1回だけカチッ。カレシは昔から足取りが重いし、体重が20キロ以上違うし。「チェックしてもらおう」と、電話に飛びつくカレシ。そうそう。

――

「コーヒーメーカーとトレッドミルと、次は何かなあ」と、サラダを作っていたカレシ。
「ワタシのスチーマー!容器のひびが下まで行っちゃったの。オーブンは去年からダメだから、今のところ4つね」。
「そういえば、家電がばたばたと故障したことがあったな」。
「そうそう、VCRとか何とか、3ヵ月くらいの間に8つも壊れたよねえ」。
「8つも?じゃあ、4つはまだそう悪くはないってことだな」。
「ええ?だけど、これ以上壊れたら買い替えの費用がタイヘンだよ~」。

午後4時のポーチの温度計はまだしっかり25度。何かみ~んなヘンだ・・・。

トラブル、もうひとつ

5月7日。火曜日。ほんの少し気温が下がって、今日は爽やかなそよ風。でも、寝つきが悪かったもので、何となく眠い。ゆべはどういうわけか両足の膝から下がパンパンに腫れて、カレシによると顔までちょっとむくんでいた。急に暑くなったせいかと思ったけど、カレシは「いきなりトレッドミルでバンバン走るからだよ」。そうかなあ。今朝はちょっとよくなっていたけど・・・。

きのうは仕事の関係でいけなかったので、今日新しいコンタクトレンズを取りに行った。うっかりレンズを流してしまってから1年近く古いのを使っていたので、帰って来てさっそく入れてみたら、あ~ら、辞書の小さな字がちゃんと読めるではないか!これで、辞書を調べるたびに大きなルーペを持たなくてもよくなるし、老眼鏡をかける必要もないな。ばんざ~い!

新しいレンズで世の中の展望がちょっぴり明るくなった気分で、仕事、仕事。やり慣れた契約書だから楽だけど、ワタシの後ろでカレシが英語教室の生徒さんとスカイプで話をしたり、またぞろ「あれがない、これが見つからない」とうろつき回ったりするので、気が散ってしょうがない。あのね、何をどこに置いたか知らないかって、置いたのはアナタなんだから、ワタシが知ってるわけがないでしょ?

ご飯を食べて、また仕事。寝るまでに終わるかな?アイスホッケーのプレーオフ、バンクーバーカナックスは今年も第1ラウンドで4連敗して、あっさりと脱落。いつもなら窓口に長い行列ができて、ダフ屋が儲かるプレーオフのチケットが、今年はオーナー会社が割引販売したくらいに売れ行きが悪かったとか。ふむ、こっちももしかしたら修理不能の故障かな。Fair weather fan(勝ってる時だけファン)のカレシは「Who cares!」(知らんよ、もう!)

そのうち、オフィスの中でしきりに鳥がさえずっているような、どこかで電話が鳴っているような音が聞こえるから、2人して、耳を澄ましてあっちこっち。どうやら換気装置の給気口からとわかって、ワークショップにある換気装置を調べたら、う~ん、どうもトラブルのおだんごがもうひとつ・・・。仕事を中断されたついでに開けて調べたら、モーターは動いているけど、制御装置のあるあたりが熱い。あした、サービスを呼ばなきゃ・・・。

こういうトラブルって、どうしてこう、だんごみたいに次々と起きるんだろうな。去年から壊れっぱなしのオーブンも入れると、トラブルだんごはこれで5兄弟。もうひとつ故障して6つになったら、もしかして半ダース割引・・・なんてことは、まあないだろうけど。

カレシは「みんな同じ組合に入ってるからなあ」と冗談に言うけど、ワタシは組合に入ってないから、せいぜい「故障選手」の仲間入りをしないように自衛しないとね。

難しい日本語はほんとに難しい

5月9日。木曜日。この2、3日寝酒をグラス1杯(1オンス)だけにして、肴もクラッカー程度で少量にして、就寝時間も1時間くらい早めたら、目覚めの時間はあまり変わらないけど、何となく睡眠の質が良くなった感じ。足もほとんど浮腫まなくなった。右のふくらはぎの下の方の痛みがまだ取れないので、トレッドミルはひと休み。軽い肉離れでもしたのかな。やっぱりカレシの言うように、長い間休んでいたトレッドミルをいきなり昔のペースに近いレベルで再開したのが良くなかったのかもしれないな。うん、過信は禁物・・・。

英語教室の午後の部に出かけるカレシを送り出して、今日から最後に残った一番大きなファイルと格闘。ゆうに5日はかかりそうな量あって、カレンダーの上では6日あるけど、月曜日は交響楽団のシリーズの最後のコンサートだし、火曜日には不調のトレッドミルと換気装置の両方の修理屋が来るし、おまけに冷蔵庫の食料が品薄になって来たし、あ~あ。これって、「半隠居」どころか「25%隠居」にもほど遠いじゃないの、とため息をついてみるけど、あ~あ。まっ、生活ってのはそんなもんだけど。

カレシがお出かけで静かなオフィス。仕事に集中したいのに、きのうから校正担当者が飛ばしてきた質問メールがいくつもあって、まずはそっちの対応に追われる。たいていは英語思考的な観点から説明するか、ちょっとの手直しであっさり解決するんだけど、ときには「ん?」と考えさせられる質問もある。元からやたらと複雑な漢字言葉をちりばめてあって、中には日本語の辞書を引いても出て来ないようなレア?な語まで使っているから、校正担当者さんと二人三脚で解決して行かなければならない。けっこう日本語思考の勉強になるという感じもするけど、納期の関係で翻訳と校正が同時進行するようなときは、メールのたびに思考が中断されるから、疲れることはなはだしい。

でも、お役所的なところの事務方の人たちの「作文」はいつも頭痛の種であることには変わりがない。日本の学校ではもう作文の授業はやってないのかな。大学では論文とか書いたんだろうになあ。まあ、最近は英語人の英語作文もひどいもんだけど、日本語人の日本語作文もそれに輪をかけたくらいにひどくなっているという印象。特に難解な漢字言葉など、もしかして漢字検定とやらの勉強テキストで覚えたのを使ってみたんじゃないかと疑ってしまうようなのがあって、そのまま訳すと意味がおかしくなる(齟齬する)から、ほんとに意味を理解しているんかいなと首を傾げることも多い。(まあ、エライ人はエライ人なりに自分の地位に「相応しい」文章を書きたいのかもしれないけど、読み手に通じないんじゃムダな骨折りだろうに・・・。

何と言うか、高級な道具類は揃えたけど、使い方がよくわからないか使いこなせていない、という感じで、英語の語彙と文法を英語人も敵わないほどばっちり極めたのに、英語人との会話について行けないと嘆く人と似ている。まあ、道具の使い方をマニュアルで覚えただけのうちは簡単そうに感じるけど、マニュアルを卒業して、自分の想像力を使ってその道具で何かをする段階に入ったら、使い勝手が悪いと言い出すようなものかもしれない。生半可に覚えた小難しい言葉も同じことかな。人間と言う生きものが、人間同様に「生きもの」である言語を使って意思伝達を図ろうとするわけで、機械的に文法に従って単語を並べても、「話」として通じないこともあるってこと。

まあ、日本語の字面にこだわらずに文章全体の流れで読み取った方がいいよ、と校正担当者さんに勧めてみたけど、日本語浦島になりつつあるワタシが見落としやすい日本語の行間にまで目配りしてくれる人だし、校正編集という立場上、どうしても「この語はこの訳でいいのか」を考えるのはいたしかたがない。日本語と英語とをすんなりと1対1で置き換えられたらどんなに楽だろうと思うけど、もしもそうなったら、ワタシの商売は立ち行かなくなる・・・よね?ま、文句を垂れている暇があったら、鉢巻を締め直して、いざ、仕事だ~。

甥の肝っ玉嫁さんが・・・

5月10日。金曜日。起床は午前11時50分。いい天気だけど下り坂の予報。まだ、5月の半ばなんだから、夏の陽気は早すぎるな。足のむくみはやっぱり急な気温上昇のせいだったのか、今日はすっかり普通に戻って、1キロ半跳ね上がっていた体重も元に戻った(といっても、まだ自己目標を2キロオーバー・・・。)

今日はねじり鉢巻の仕事日・・・と、意気込んで、でもコンピュータの前に座ってまずメールをチェックして、新聞サイトを一巡し、フェイスブックを開いたら、あれ、タイヘンだ。甥のビルの姉さん女房のサンドラが足首を骨折!サンドラはヘアドレッサー。識字障害のあるビルの書き込みは綴りがめっちゃくちゃだけど、何とかつなぎ合わせたところでは、サロンで仕事中に何らかの事故があったらしい。身体障害のある客がいたそうだから、介助をしていて足首を捻ってしまったということなのかな。何にしても、ヘアドレッサーは立ち商売だから、その足を骨折しては仕事にならない。(腕だともっとタイヘンか・・・。)

サンドラはサロンに勤務しているのではなくて、椅子を借りて商売をしているから、労災補償はあるのかどうか。最初は全治数週間の診断だったのが、明日土曜日に手術でピンを挿入して、日曜日に退院で、全治するのに3、4ヵ月はかかるとか。よほど複雑な骨折なんだろうか。まあ、ワタシが足の中指1本を捻挫しただけでも、普通の靴を履いて歩けるようになるのに3ヵ月かかってしまったから、特に複雑にできている足首の骨折となるともっとタイヘン。でも、肝っ玉母さんのサンドラのことだから、ギプスをした足を引きずってでも仕事に復帰するだろうな。

ワタシがカナダに来たとき7歳だったビルは、今では白髪交じりの中年おじさんになっているけど、識字障害(学習障害)の診断が遅れたため、高校時代はかなり荒れた時期があった。その人生が好転したのは何とか高校を卒業して建設現場で働いていたときに出会った4歳年上のサンドラ。イギリスはロンドンの下町生まれで、コックニー気質そのままの「気風のいい姐御」みたいな、超ぽっちゃりでいかにも肝っ玉母さんといったところがワタシは好き。(コックニー訛り丸出しだった両親も心根のいい人たちで、船乗りだったお父さんとは初対面で意気投合してしまったっけ。)まさに「男の人生は選ぶ女で決まる」を絵に描いたようなビルとサンドラ。未だにビルとラブラブだし、よく稼ぐし、子供たちのいいお母さんだし、もしもワタシに息子がいたら、三顧の礼でお嫁さんに迎えたいくらいの人。

ちなみに、サンドラのお兄さんはプロのサッカー選手で、若い頃はロンドンのチェルシーに所属していたとか。北米サッカーリーグでバンクーバーやシアトルの選手としてプレーした経歴があって、今もサッカー界で選手育成の仕事をしている。さっそくフェイスブックのサンドラのウォールにお見舞いのメッセージを書き込んだら、娘のテイラー(ボクシングをやっている18歳)が「いいね!」を押していた。ちょっと落ち着いた頃を見計らって、お見舞いの電話をしようっと。

さて、仕事、だんだん待ったなしになって来たから、ひとつがんばるか・・・。

夫がいるのか、子供がいるのか

5月11日。土曜日。天気は下り坂。今日はねじり鉢巻3本にたすきがけの仕事日・・・。

そんなときに限って、カレシはまた「かまってチャン」になる。参っちゃうなあ、もう。

「野菜の種をまいたぞ」。
(えらいねえ・・・。)

「おい、換気装置を止めてあるせいか、空気が悪くなって来たと思わない?何かやたらと咳が出るんだよなあ」。
「ん・・・?窓、開けてみたら?」
(あの、悪くなるのはこっちの空気の方なんだけど・・・。)

「おい、給湯タンクがもれているんじゃないのか?」
「ええ?床に水でもたまってるの?」
「いや、タンクの横に、錆みたいな色のしみが上から下までついているから」。
「だいぶ前からそうなんだけど・・・」。
(もれていると思うなら、さっさと配管屋を呼んでよっ!)

「なんかさ、温室の隅の方で雨漏りがし始めたみたいなんだけど・・・」。
(はあ・・・。)
「まあ、20年近く経つから、傷みも出てくるよなあ」。
(ん~!。)
「何だって、永久にはもたないよなあ。しょうがないよなあ」。
(ん~!!)
「ところで、今日の夕ご飯は何?」
(ん~、もうっ!!!!)

明日の母の日にちなんでの新聞記事に、ある夫婦が子供の数を聞かれて、夫は2人と答えるのに、妻は3人と答えたというジョークがあった。ある調査によると、家庭を持つ女性にとっての最大のストレス要因は子供ではなくて夫なんだそうな。わかる、わかる、よ~くわかるっ!

あのね、4日分くらい残っている仕事をあと2日半でやっつけようってところなの。ほら、お母さんは忙しいんだから、あっちでおとなしく遊んでいてくれない?お母さんのお仕事が終わったら、2人でうんと遊ぼうねえ。ん~、ほんっとに、もうっ!

トラブル2つ、解決

5月14日。火曜日。午前10時前に目が覚めて、結局11時過ぎには起き出して、早い朝食。予報に反していい天気。今日はトレッドミルと換気装置の修理屋が来る日だし、州議会総選挙の投票日でもある。でも、うんうんいっていた大仕事を、交響楽団のシリーズ最後のコンサートもすっぽかして仕上げてしまったので、いろいろある今日はうれしい余裕・・・。

まずは、正午過ぎということになっていた空調会社から正午と午後12時半の間に到着するという連絡。修理のような訪問サービスの予約にはこういうのが多い。初めから「何時」と決めても、1日1ヵ所というわけじゃないから、想定外の問題があったりして1ヵ所で長引いたり、交通混雑に出くわしたりすると後続のスケジュールにしわ寄せが来る。それで、「何時と何時の間」というだいたいは2時間の枠を設定しているんだと思う。(トレッドミルの修理は「午前11時から午後1時の間」になっている。)でも、換気装置は緊急事態ではないので大雑把に午後ということにして、近くまで来たら連絡してもらうことにしてあった。

のっぽのお兄さんが現れたのは12時15分。さっそく換気装置のドアを開けて、熱交換フィルターを引っ張り出して、ファンモーターを外して手際よく分解し始めた。毎日24時間のろのろとファンを回して外気と屋内からの排気の間で熱交換しながら換気して来た我が家の「肺」は、過去25年で修理はこれが2度目。寿命はどのくらいかと聞いてみたら、「半永久的かな」。ふ~ん。のお兄さんは、大きなフィルターを外に持って行って、ホースで水をスプレーして汚れを落とし、ファンモーターも掃除して油を差し、換気装置を元通りにして、ドアを閉めて運転再開。あ、静かになった。少しして、家の中の空気が違って来たのがわかる。修理(というよりは全面的な整備)は成功。満足したお兄さんは「請求書は会社から送ります」と言って帰って行った。

換気装置の修理が進んでいる間に、トレッドミルの修理屋から「後15分以内に着く」という連絡があって、。こっちは「11時から1時の間」の予約で、小太りのロシア人のおじさんが到着したのは12時50分。最近は家電などの修理屋にはロシアやウクライナ、東欧から移民が多いなあ。きっとソビエト時代に故障したら自分で何とかしていた一種の「自助の文化」を持って来たんだろうな。マニュアル通りにしか修理できないような今どきの若い人たちと違って、機械の本質をよく知っていると言う感じ。あちこちを揺すぶって、ねじの締まり具合を調べて、自分で走ってみて、「ベルトが緩いんだね」。道具箱からアレンキー(六角レンチ?)を出して、ローラーを調節して、おじさんがもう一度自分でドンドンと勢いよく走ってテストして、「オッケー」。

東欧系の人は話好きなのかな。おじさんは私たちが知らなかったことをいろいろと教えてくれた。中でも目からうろこだったのは、寿命が2、3年というのは真っ赤な嘘で、ベルトとデッキを交換すれば10年以上は使えるということ。値段が高いのはモーターとエレクトロニクスで、ベルトやデッキは安い部品で簡単に交換できるので、労賃を払っても買い替えるより修理したほうが安いこと。そっか、買い替えなくてもよかったのか。でも、「Bremsheyはちょっと問題が多いから、買い替えてよかったよ。このメーカーのはかなりよくできているからね」と、おじさん。売る人と、修理する人とでは、言うことがずいぶん違うなあ・・・。「ベルトが偏ったら自分でローラーを調節するといいよ」と、使ったアレンキーをくれて、カレシにサインオフさせて、おじさんも業務終了。

やれやれ、トラブルが2つスムーズに解決して、やっとリラックスした気分・・・。

あり得そうにないことがあり得た選挙

5月14日。州議会総選挙の投票日だった。与党の自由党はクラーク首相の前任者のキャンベル首相の頃からえらく不人気で、1ヵ月ほど前の世論調査では、支持率が野党の新民主党に22ポイントもリードされる有様で、投票する前から「惨敗」が決まっていたようなものだった。

クリスティ・クラーク首相はキャンベル政権の閣僚で、離婚してシングルマザーになってからはいったん政界を離れてラジオのトーク番組のホストをやっていたけど、キャンベル首相が辞任した後の党首選に殴り込みをかけて党首の座を勝ち取った人。(カナダでは、オンタリオ、BC、ケベック、アルバータを含めて、女性首相に率いられた州の方が多い。ちなみに、オンタリオ州のウィン首相は公然たるレスビアン。)クラーク首相の弁舌はさすがメディア界にいただけあって実にさわやか・・・なんだけど、なぜか女性にはあまり人気がないらしい。

一方、野党の新民主党のエイドリアン・ディックス党首は、1990年代後半のグレン・クラーク(同じ苗字だけど無関係)首相の首席補佐官だった人。(ちなみに、労働組合幹部出身のグレン・クラークは収賄疑惑やら何やらのスキャンダルにまみれて辞任。失業状態のところをカナダで指折りの億万長者のジム・パティソンに拾われて系列広告会社の課長になり、今では3万人以上も雇用するパティソン・グループの社長にのし上がって、パティソン会長の後継者と言われているから、人生、何がどっちに転がるか、わからないもんだと思う。)そのクラーク政権で、ディックス党首はスキャンダルもみ消しのために証拠になるメモの日付を改ざんしてクビになった過去がある。眉間に深い皺があって、ちょっと陰気な印象・・・。

つまり、ブリティッシュコロンビア州には、他の州から見たら、まさに「何でもあり」のクレイジーな政治風土があって、「何で?」ということがよく起きる。さて、投票所は、前回まではメインストリートを渡ったコミュニティセンターだったけど、今回はカレッジ。(選挙区の境界は国勢調査の結果に基づいて、人口分布の変化に合わせて調整されることが多い。)まあ、距離的にはカレッジの方がほんの少し家に近いし、幹線道路を渡らなくてもいいので楽だけど。カフェテリアの一部を仕切った投票所では、細かく分かれた投票ブロックの指定されたテーブルに行って、投票券を渡して、運転免許証で本人を確認して、選挙人名簿にサインして、折りたたんだ投票用紙をもらう。

投票用紙には候補者の名前と党名がアルファベット順に印刷されていて、横の白丸に×印をつければいいだけになっている。(正式な政党は4つだけど、今回はヘンな名前の泡沫政党の候補も2人)。投票ブロックごとにダンボールで囲ったテーブルがひとつしかないので、先に用紙をもらったカレシが「記入」するのを待つ。あれ、何だか誰に入れようか決めかねている様子。ワタシは置いてある鉛筆で支持する政党の現職候補の名前の横にささっと×印をつけておしまい。用紙を元のようにたたみ直して、投票箱のところへ持って行って、係の人に照合用タブを切り取ってもらってから、自分の手で投票箱にポトン。

投票は午後8時に締め切って、即刻開票。ブロックごとの票数が少ないので開票は猛スピード。ブロック○○番はA候補が何票、B候補が何票と、ブロックごとに票数が報告されるので、よほどの接戦でもなければ、1時間もするとほとんどの選挙区の「当選」や「当確」がわかる。今回は9時過ぎには大勢が判明して。それが何と「与党自由党が過半数」。え!?惨敗するはずじゃなかったの?久々に新民主党政権になるはずじゃなかったの?ひと月前には20ポイントもリードされていたんでしょ?投票日が近づいて急に差が縮まった言われていたけど、いくらなんでも「過半数」はありえないでしょ?

ま、そういうあり得そうにないことがあり得るのがBC州の政治で、不人気で負けが決まっていたはずの自由党が85議席中50議席を取ってびっくり仰天の勝利。ところが・・・党は余裕の過半数で政権維持を決めたけど、肝心のクラーク首相は二転三転の大接戦の挙句に僅差で「落選」。ほんと、何がどっちに転がるかわからないもんだ。世論調査なんて信用できないという証拠だな。ちなみに、トリノで車椅子からオリンピック旗を振ったサリバン前バンクーバー市長は自由党から立候補してみごとに州議会初当選。バンクーバー市長から州首相になる例は多いから、もしかしたら・・・?

もしからしたら、叫びたいのかも

5月15日。水曜日。予報に反して晴れ。今夜は『Dreamgirls』のオープニングナイトのレセプションとショーがあるから、雨具を持っていかなくてもいいのはうれしいな。これを楽しみにして、交響楽団の最後の最後のコンサートをすっぽかして仕事を終わらせたんだもんね。

ブロードウェイで1980年代の初頭に初演された、モータウンとシュプリームスをモデルにしたミュージカルだけど、せりふがほとんど歌で交わされるから、ちょっとオペラのような感覚。ステージにはツアーで製作中のものを見た「タワー」が4本。コンピュータで角度を変えたり、ライトの色を変えたり、時にはイメージを投射したり。作業場で見たときはまだ角材で「建築中」だったけど、なるほど。映画のセットと違って、舞台のセットはすごい想像力と高いデザイン力が要求されるけど、観客もかなりの想像力を要求される。映画はどっちかと言うと一方通行といった感じがするのに対して、「舞台劇」というのはある意味で舞台と客席の共同作業のようなところがあって、そこのところがたまらなく魅力なんだけど。

シュプリームスをクビになったフロレンス・バラードは失意のうちに若死にしたけど、彼女をモデルにしたドリームズのエフィーはカムバックを果たす。エフィー役の俳優のパワーはすごかった。最後の方は何か感動してしまって、涙がぽろぽろ。(ワタシってなぜかこういうところでは涙もろい・・・。)カーテンコールではほぼ総立ちで大喝采。シュプリームスの時代を知らない若い観客が多かったし、この分では2ヵ月の間、大入り繁盛というところだろうな。モータウンの歴史などに凝っていたカレシは「筋書がつかみ難かった」と、ちょっと不満そうだったけど、リサーチしすぎたもので、現実の逸話と「劇」の区別がつかなくなったのかもしれないな。シュプリームス、ベリー・ゴーディというモデルはあるけど、あくまでもモデル。(実際に、ダイアナ・ロスも事実と違うと大むくれだったとか。)ドキュメンタリーやリアリティショーじゃあるまいし、芸術にはpoetic license(詩的許容)というものがあるんだけどなあ。

ワタシは脳みそがふにゃふにゃになりそうな仕事と格闘した後だったから、心行くまで楽しめてうれしい。でも、他人さまのさっぱりわからない日本語の思考を読み解いて、英語でわかるように書き出す作業を続けていると、なんか「よくわからなくなってきた」という感じがして来る。まあ、ブログなるものを書いて、まだ大丈夫だと自分に言ってはいるけど、ときには日本語はもういいやという気分になることもある。でも、ときにはその他人さまのわからない思考にハイジャックされて、自分の思考が檻に閉じ込められているような気分になって、豊かな言葉や色彩や音色の中で手足を伸ばしたくなる。無性に自分を表現したくなる。また(ものにならない)芝居を書こうかな?ハチャメチャに自己流の絵を描こうかな?何かしたいな。

人間の心はいくつになっても自由な空間が必要なんだろうな。