リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2008年7月~その2

2008年07月31日 | 昔語り(2006~2013)
いいから早く光を!

7月16日。水曜日。ほんとにいい天気が続く。ダウンタウンの大停電も、どうやらほぼ完全復旧に近づきつつあるようで、臨時休業をやむなくされたビジネスから損害賠償の声が上がり出した。わかるなあ。レストランなどは2日も、3日も売上がなかっただけじゃなくて、冷蔵庫やフリーザーに在庫してあった食材が使いものにならなくなるという損害も出ている。小さな店だったら死活問題になりそう。Hマートだって、大きな冷凍食品のセクションがあって、他にも肉や魚のフリーザーもあるから、それが全部だめになって廃棄処分ということになれば、損害はすごい額になるだろうなあ。まあ、郊外にある別の店に避難させたかもしれないけど。

2日目のきのうは、午後になって電話設備の予備電源が切れるところが続出して、電話会社が充電したバッテリを届けて回ったという。バンクーバーの観光案内所は天気がいいことだしということか、歩道にテーブルを出して仕事。コンピュータが使えない、案内書やパンフレットをめくりながらのサービスだったらしい。現場に近い大きな教会では、ステンドグラスを通して燦々と差し込む太陽の光の中で昼のミサ。集まった信者にはすごく感動的だったとか。ろうそくの明かりを頼りに店を開けたブティックやコンビニもレジが使えないからキャッシュオンリー。パンパシッフィクホテルでは別のホテルに移動しないで残った宿泊客に懐中電灯や誘導灯を配ったという。宿泊料は半額にしたとか。

ある大手不動産会社の商業リースの担当者は奥さんのEメールのアカウントを借りて自宅から顧客と連絡を取ったというし、ある投資会社はラップトップや書類を抱えたトレーダーたちがそっくり影響のないホテルに移動して営業を続行したという。また、別の証券会社は在宅勤務社員のリモートアクセス権を自宅待機のトレーダーに回したり、社長の自宅に社員を送り込んで株の売買を続けたというからすごい。超高級住宅地にある社長の自宅にそれだけの設備があるというのが驚きだけど、会社の「緊急時対策計画」で決められていた通りの処置だったというから感心する。だって、電力会社は火災の発生現場に近い本社ビルが停電したままで、2日目になってもまだまっくら。「優先順位が低いので後回し」なんてのんきなことをいっていたけど、緊急用の発電機のひとつも設置してなかったんかいな・・・やれやれ。

悲喜こもごもの大停電。木曜の朝までにほぼ全面的に復旧の予定というから、週末にはすべて平常に戻れるってことらしい。ワタシの方はネットの接続がダウンしたと言っても、たまたま風太郎をやっていたときだったから別に困らなかったけど、これがオリンピックの最中だったらえらいこっちゃではすまなかっただろうなあ。また、停電が起きたのが週末明けの月曜日だったからビジネスの損害は少なくて済んだと言う人もいるけど、被害を被ったほうにしてみれば、少なかろうがなんであろうが損害は損害。ちなみに、ダウンタウンにはコンドミニアムが林立しているので、大停電の9ヵ月後によくある「出生率増加現象」を予想する人もいるらしいけど、そりゃよけいなお世話じゃないかなあ・・・

BCハイドロさんや、すでに電気料金の値上げが承認されているんだから、さっさとグレードアップに取り組んでちょうだいよね。だって、バンクーバーは世界中の人たちが住みたがっているといわれる「地上の楽園」なんだからさっ。

のんべんだらり、是好

7月17日。木曜日。今日も引き続き晴天で、引き続き風太郎。(和英辞書では漢字で「風太郎」と書いて、見出しは「ぷうたろう」になっていたけど、最近語では「プータロー」とカタカナ化して書くらしい。まあ、どうでもいいけど。)のんべんだらりのこの暮らし、いつから始まったっけ。たしか先週だったから、もう1週間かなあ。だんだんに慣れて来ると、このまま引退しちゃうのも悪くないなあ、なんて心の底でむずむずし始める。人間て、楽に暮らせるんだったら、もちろんそっちの方がいいに決まってるもんなあ。

会話教室に出かけたカレシとモールで落ち合うべく、頃合いを見計らって出かける。なんだか急に「売家」の看板が増えたような気がする。こういう光景が登場すると住宅ブームも下火なんだとわかる。まだ上がると期待して待っていた人たちが、値下がり必至というニュースにあわてて売りに出すわけで、結果として供給過剰になって、自作自演の予言みたいに家の値段はど~んと下がる。辛抱強く待っていた買い手の出番だ。私たちが今の住処を買った1982年の夏もそんな「潮目」だった。その前2、3年ほどは家の値段がどんどん上がっていた。今のうちに買わなければという心理状態になった人たちが列を作っていたという。インフレは二けたになり、賃上げも二けたになり、インフレ退治で金利も二けた。銀行の普通預金に14%も利子がついた、なんかすごい時代だったなあ。

早めに出たので時間があるからと、下着を買うことを思い立って、めったに行かないデパートの二階へ上がったら、ちょうど靴の半額セール。しかもワタシのサイズがずらっと並んでいる。これは見過ごすわけに行かないと、あれこれ物色しているうちにワインレッドのスエードのハイヒールを見つけてしまった。赤い靴が欲しかったんだ!あんまりうれしかったもので、ついでに同じデザインのサンダルを白と黒の2足、買ってしまった。大きな袋を受け取って、さて、肝心の下着を~と思ったところで、カレシから電話。あわててクリニークの売り場へ行って、そもそもお目当ての化粧品を買って、落ち合う先のスーパーへ直行。下着は買い損ねたけど、前から欲しかった赤い靴が買えたから、いいや。

のんびりとニュースを見ていたら、野茂が引退するという記事。そうか、もう40才が目前。引退の潮目なんだろうなあ。トルネード投法はすごくセンセーショナルだった。野茂がいたからこそ、今やメジャーは日本人選手がずらり。脂の乗った選手がみんなメジャーに来て、落ち目のメジャー選手が日本へ行っているような感じさえする。イチローはもはや「日本人選手」というよりは、メジャーリーグベースボールの大スターで野球殿堂入りは確実。ヒデオ・ノモも殿堂入りするといいなあ。ノモさん、おつかれさま。

最近新しくできた「Japan News Junkie」と言うサイト。英字新聞の日本関連記事のリンク集のようなもので、アホくさい「オトモダチ募集」欄がないのがいい。その中で目に付いたのが「ネイルポリッシュが電車を止めた」という記事。シンナーのような異臭がすると言って何十人もが電車を降りてしまったんだそうで、結局は全員を降ろして電車の運行は取りやめ。異臭の発生源は不明だけど、マニキュアをしていた女性が目撃されていたそうな。揺れる電車の中でマニキュアって、すごい。それにしても、たかがネイルポリッシュごときで電車の乗客がみんな降りてしまうとは、やっぱり今どき日本人の鼻は嗅覚が超鋭敏という証拠。で、「異臭がする!」とパニックになって電車を降りてしまったのなら、繊細な神経も超過敏ってことかなあ。日本は「超過敏症の時代」ということかもしれないなあ。

言の葉の裏側は

7月18日。今日は薄雲が出て、少し涼しい。夏、一服というところかな。もっとも、東京やトロントの人が聞いたら、「え、これで夏のつもり?」と呆れられそう。でも、20度を超えたらほんとに陽射しが暑いんだけどなあ。プータロー暮らしは1週間でおしまい。日本は三連休なんだそうで、向こうの金曜日の終わりに週明け期限の仕事を置いていかれてしまった。ここらあたりが在宅稼業の辛いところ。でも、仕事が途切れたところで「カチッ」と休みモードにスイッチが入らないのと同じで、仕事が入って来たから「はい、カチン」と仕事モードに切り替わるわけじゃない。ま、週末にやっつければ上々と、いつものようにたかをくくって、ファイルの段取りをしたり、パズルをしたり、小町をのぞいてみたりと、休みと仕事の間のグレーエリアをうろうろする1日。これも楽しからずやなんだけど、いいのかなあ。

小町では「この表現が苦手」というおもしろいトピックが盛り上がっている。この場合の「苦手」は意味がわからない表現じゃなくて、要するに「不愉快だ」とか「嫌いだ」ということ。そうならそうとはっきり言えばいいものをと思うけど、これも今どき表現らしい。(う~ん、ワタシとしてはこの手の「苦手」が苦手かなあ。)流行語が使われすぎてうんざりするのは洋の東西を問わずのことなんだけど、いろいろあるんだなあ。おかげでワタシの日本語ボキャブラリがわっと増えたけど、ふむ、あんまり役に立ちそうもないなあ。こんなボキャがあたりまえみたいに翻訳原稿に登場するなんてこと、ありませんように。

まずは、あっと驚く新ボキャの数々: ベビ(思わず「へび」と読んでしまったけど)、ガン見(意味不明)、おねだリング(男はつらいなあ、きっと)、アラフォーにアラサー(じゃあ、このワタシはアラシ?)、授かり婚(できちゃった婚とどう違う?)、ヘビロテ(Huh?)、めちゃモテ姫系ワンピ(そんなの着て街を歩けるのかなあ)、愛され服(えっと、新宿駅で見たフリルいっぱいの幼稚園ファッションのこと?)、され妻(愛が抜け落ちるとこうなる・・・)、婚外恋愛に恋愛体質(男がいないとダメだってことでしょ?)、真逆(読めない、わかんない)、妊娠菌(ぞぞっ~)、隠れ家的(ちらかっていて友だちを呼べない状態のこと?)。

わははとひっくり返るケッサク語の数々: おつり様(インフレで格上げ?)、妊娠発覚(ふむ、ナイショでやってたのにばれちゃった?黙っていても早晩ばれるけどなあ)、号泣(大山鳴動して、なみだ一滴?)、わんこににゃんこにやたらに「この子」(で、実の子供は姫と王子に底上げ?)、ダー(知らぬはダーリンばかりなり・・・か)、旧帝大卒(格差社会を作るって、大変なことなんだなあ)、ボリューミー(おいおい、変なエイゴを発明しちゃって)、おねだり(いや、ほんっとに男はつらそう)、自分磨き(すり減って地金が出ないといいけど)、「なんとか王子」(いつの世も白馬の王子様を夢見る乙女の願望はひたむきだ)。

 なんとなく苦手な理由に同感してしまう苦手表現の数々: ドン引き(「心理的なつな引きのことを言う」狭辞苑より)、「なかったことにする」(ずるい逃げ言葉)、「~じゃないですかぁ」(はあ?)、「欧米では/アメリカでは」(たしかに、ごく限られた経験や記憶だけで言っていることが多いとは思うけど、なにしろ「海外在住」とセットになって垂涎のアイテムと思われているらしいからなあ)、「情報を世界へ発信していきたい」(バカのひとつ覚えっていうよなあ)、「あたし」(おつむが空っぽなことをひけらかすこともないだろうけど)、「日本人離れした○○」(これ、もろにマゾっぽい。日本人が日本人離れするわけないって日本人がいっつもいってるじゃん!)、「○○ですけど何か?」はけんかの売り言葉にしか聞こえないし、「いかがなものか」はワタシもぞっとする。これも上から目線てやつなんだろうけど、どうしてすなおに「聞きたくねぇ、うるせぇ、黙れ」といえないのかなあ。

今どきの女性たちの似非ていねい語や、何にでも「お」をつけてみせる傾向は、「バブル時代の栄光よ、今一度」といった、成金ハイソサエティ回帰志向が感じられて、なんだか涙ぐましいなあと思ってしまう。言葉を生業にしているもので、何語であれ、その裏にある心理や思想が好奇心マンマンのワタシにはたまらない魅力。だけど、こんなところで突っ込んでるひまがあったら、仕事せなあかんで、おい・・・

花丸をめざそう

7月19日。土曜の朝なのに何気なく郵便受けを開けてみたら、雑誌1冊と封書2通、それに歩道脇の芝生を刈りに来てくれるガーデナーの請求書。金曜日は郵便がないことが多いからチェックを忘れてしまったらしい。昔は「mail man‘」と呼んでいた郵便配達さんだけど、今は男も女もいるからごく中性に「letter carrier」。だけど、運んでくるのは雑誌とカタログとチラシみたいなジャンクメールばかりで、レターは、もっぱら請求書。それも最近はグリーン化でEメールで来るところが多くなって来たから、ひょっとしたら、「郵便屋さん」は絶滅危惧種になってしまうのかなあ。

封書のひとつはService Canadaから。連邦政府各省庁の窓口業務を一本化した機関で、いうなれば「窓口業務庁」ってところ。(連邦政府に「なんとかCanada」という、あまり英語っぽく聞こえない省庁が多いのは、フランス語とちゃんぽんになった未来のカナダ語のプロトタイプみたいでもある。)この窓口機関は全国各地にオフィスがあって、年金や失業保険の手続きを始め、国民の生活や雇用に関することは何でもござれでやってくれるらしい。カレシの年金受給手続きの申請用紙だって、こっちから頼まないうちにさっさと送って来たから、お役所としてはなかなか感心なところ。今日のは「高齢者所得補助金」の申請手続き完了のお知らせ。添付して送った結婚証明書もいっしょに返送されてきた。「拝見いたしました」ってことらしい。もっとも、27ドル払って取り寄せたものだから、返してもらってあたりまえ。証明書を出せといわれるたびに27ドル払って時間をかけて取り寄せるわけにいかないでしょうが。

もうひとつの封書は州の保健省からのもの。カレシに新しい医療保険カードを送って来たんだけど、なんとゴールドのカード。クレジットカードだったら金持ちが持っているクラスじゃないの。65才になって、「ゴールドメンバー」の仲間入りしたってことらしい。よく見たら小さな文字で「for senior(高齢者用)」と書いてあったけど、ゴールドカードになってどんな特典がつくのかなあ。まあ、この国の政府は上も下もけっこう年寄りをよいしょしてくれるなあ。ふむ、ワタシはあと5年待ちぼうけかあ。でも、共同名義のものは、銀行の口座も固定資産税も州の自動車保険も、カレシのシニアの特典にワタシが便乗しているから、ひと足先に優待してもらっているわけなんだけど、スーパーでは毎週火曜日がSenior’s Dayで割引になったりするから、なんだか早く65才になってみたいような気もするなあ。

結婚証明書は後生大事に金庫に戻した。でも、「Name of Bride」欄の名前が「改名した新しい名前+ミドルネームになった元の名前+日本の旧姓」になっているもので、いつ見ても我ながら奇妙な感じがする。なんだかカレシが結婚した「ワタシ」じゃないようでもあるけど、よく考えてみれば、カレシが嫁さんにした(と思った)のは「仮想的日本女性」であって、ワタシという人間ではなかったのかという感じもまだ消えていない。まあ、名前を変えてから6年経って、カレシの口からもすらすらと出てくるようになったことだし、今の証明書に載っているワタシがカレシの「伴侶」ってことで正解なんだと思えば正解なんだろう。人間は一生変わることがないのなら、これが本来のワタシなんだし、人間は変われるということなら、これが自分で変えたワタシなんだから、どっちにしても、今は人生の「最良の時」を生きているということなんだ。もしも死亡証明書に「備考欄」があったら、そこにでっかい三重花丸を残したい・・・

おいおい、つらつら変なことを考えていないで、仕事、仕事!

姿見をひっくり返せば

7月20日。日本関連英語記事サイトのリンクをクリックして、「世論What Japan Thinks」というおもしろいブログサイトを見つけて、そこから、2週間くらい前に書いた「日本や日本人の最高に良いところは何だと思うか」の元ネタにたどり着いたら、何とgooのランキング。灯台下暗しってこのことだ。元のタイトルは「日本/日本人はココがイケてると思うことランキング」。なるほど、「日本/日本人がイケてるところ」かあ。「最高にいいところ」とは何となくニュアンスが違うなあ。「いいところ」というと「美しい日本」とか「折り目正しい日本人」のイメージにつながりそうだけど、「イケてるところ」といわれると、なんか「イケてない」という反対語の拒絶性につながってしまうんだけど。

そこは言語商売のワタシで、元ネタを見たからには、ランキングの日本語と英語を経た(ワタシ訳)日本語と比べて見る。その結果、ニュアンスが少し違うと思ったのは「四季を感じる(季節感)」、「まじめ(勤勉)」、「最先端技術を生み出せる(最新技術の創造)」、「義理堅い(義務感の強さ)」、「気配り(思いやり)」、「もったいない精神がある(ムダに敏感)」、「控えめ(保守性)」、「おしとやか(女らしさ)」。言語解釈の微妙な難しさを感じるところだなあ。英語は同じでも、義理堅さと義務感、気配りと思いやりでは性質が違うし、控えめと保守性も同意語ではない。「ムダに敏感」は駄訳中の駄訳だけど、もったいない精神という言葉があるのを知らなかったから。「もったいない」はわかるけど、「精神」をつけてしまうとなんだか身構えてしまって聞こえるなあ。おしとやか(女らしさ)にはつい笑ってしまったけど、ランキング全体が自己申告なんだから、どっちでもいいか。

このgooランキング、「世の中のトレンドはここでつかむ!」というキャッチに釣られてあれこれのぞいてみたら、これがまたランク付けが好きな日本人らしく、ジャンル別になんでもござれ。おかげで、おもしろがっているうちについ午後いっぱい仕事をサボってしまった。(野次馬とんぼだよなあ・・・。)特に興味を引いたのは、「日本にいる外国人が行うとびっくりする行動」のランキング。電話の相手におじぎをするとか、片手チョップで人ごみを通り抜けるとか、納豆を食べるとか、日本語を流暢にしゃべるとか、箸を上手に使うとか・・・実は、外人サイトでよく盛り上がる「~するとき、日本に長居しすぎたと思う」という、日本に住み着いていつのまにか日本の風習や動作を身につけた外国人たちの自嘲スレッドとそっくり。ガイジンたちは日本の風習に染まったと思っていても、ニッポン人から見ると「へえ、ガイジンなのに」ということになる、そのギャップの大きさが愉快でもあり、ちょっと悲哀でもある。

数年も日本で暮らせば、特に日本人の配偶者がいれば、誰だってそのくらいの「ニッポン人」レベルに達すると思うんだけど、日本人が「びっくり」するのは、外国人にはできっこないという先入観があるからだろうなあ。(「我々日本人」・・・。)これをひっくり返して、「外国にいる日本人がやるとムカつく行動」のランキングをやったらおもしろいだろうなあ。小町によく出てくる「日本人の心を忘れた日本人」に対する批判が並ぶことはうけあい。外国人が日本化?できるんだから、長年外国で暮らしている日本人だって知らないうちにその土地の言葉やボディランゲージを身につけるだろうと思うんだけど、その日本人の外国化?に「ムカつき」を覚えるらしいのは、「日本人は死ぬまで日本人で変わるはずはない」という、強烈な先入観があるからだろうなあ。日本の美の底流にある無常観とはもろに矛盾するけど、そこが人間の心理のおもしろいところ。まあ、いちどそういうランキングを見てみたい気もするけど、とりあえずニッポン万華鏡みたいなこの何でもランキングのサイトをお気に入りに入れておこうっと。

角出せ、槍出せ、山の神

7月21日。今日もまたいいお天気。ポーチの温度計の気温は正午で21度。今日で雨ゼロが連続16日だそうな。これがバンクーバーの夏なんだから驚くことでもないけど、カレシはけっこう早めに起き出して庭の水遣りに忙しい。雨なし連続43日とかいう夏があったのはいつだったかなあ。まちがいなくそんな年があったはずなんだけど。日本も梅雨明け、三連休明けということで、仕事の一部を送って残るところあとひとつ。このまま遊びモード再開になるかなあ。ワタシだって夏休みが欲しいもんなあ・・・

掃除をしている間オフィスを追い出されて、何気なく窓の外を見ていたら、カレシが池のゴミをすくうネットを振り回している。何をやっているのかと思ったら、ありゃ、モンシロチョウを追い回している。でも虫取り網とは勝手が違うから、いくら追い回してもモンシロチョウはあっちへひらひら、こっちへひらひら。まあ、モンシロチョウはCabbage mothといって、こっちでは野菜類に卵を産み付ける害虫扱いだからなあ。キャベツやブロッコリを植えているわけじゃないけど、レタスの類に卵を産み付けられるのは困る。カレシの周りをうろちょろ飛んでいるスズメバチはモンシロチョウを食べないのかなあ。

去年から次々と打ち上げられて話題になったスニーカーを履いた足。これまで右足が4本、左足が1本。そのうちの右足1本の身元がDNAの分析で判明したそうな。バンクーバー周辺の人で1年ほど前から行方不明になっていたという。事件に巻き込まれた形跡はないらしいけど、うつ病だったという噂もある。残る4本のうち、3番目に見つかった右足と1本だけ見つかった左足は同一人物(男性)のもので、一番最後に見つかった右足は女性のものであることがわかったという。科学ってすごいもんだなあ。

小町に「相方と呼ぶのに反対」というトピックがある。だいぶ前から立っていたけど、「相方」が何なのかわからなかったもので、興味がわかないままになっていた。なんと自分の「配偶者」のことをいうらしい。こっちでたまに聞かれる「パートナー」から派生したのかもしれないけど、思わずカレシの方を見て、「相方なんて、口が裂けたってイヤだなあ」と思った。「だんな」というのだって憚られる気持がするのに、「相方」なんて気色がワルイ。だって、「相方」も「旦那」も、ずっと昔に遊郭で使っていた言葉でしょうが。「相方」というのはその夜の相手をする遊女/花魁のことで、「旦那」を妾が自分を囲っているパトロンのことを言ったんじゃなかったっけ?まあ、戦後「遊郭」というものがなくなっただけで、今の時代もそういう関係はちっとも変わっていないんだろうけど、だったらなおさらのこと、口にしたくないなあ・・・

だけど、それじゃ「主人」に代わる適当な語はないのかと言われると、悲しいかな日本語は上下関係が一目瞭然な言語だからなあ。英語ならワタシはカレシのことを「my husband」と言うし、カレシはワタシのことを「my wife」と言い、相手の夫氏のことなら「your husband」で済んでしまうから簡単でいい。男嫌いじゃないないかと思うようなフェミニストが暴れていた頃に、wifeもhusbandもその語源に男尊女卑の思想があるからけしからんということで、「my partner」と言う人が出てきたと思うけど、やっぱりなんかしっくりしない感じがした(今はやりの「違和感を感じる」ってやつ)。でも、今は同性婚カップルが使う以外は、一部の事実婚カップルがいいかっこしいみたいに使っている程度かな。「夫」と「ご夫君」でいいんじゃないのかなあ。

英語はストレートでいいとしても、日本語ではカレシのことを何て呼んでるかなあ。フォーマルには「夫」、少しくだけたときは「連れ合い」、うんとくだけたときは「カレシ」。家族や友だちには「名前」。まあ、カレシが話題に上るような日本語の会話なんてめったにないから、もっけの幸いで悩まずにすんでいるのかもしれない。カレシが日本人だったら、ワタシのことを何て呼ぶんだろうなあ。「家内」かなあ?(まあ、年中家にこもって仕事してるから当たってないこともないけど。)それとも、「女房」?「細君」?(それじゃ太るに太れないじゃん。妻君ならいいけど。)それとも「うちのかみさん」?あんがい、「うちの山の神」なんて言ってたりして。ふ~ん、角、出さずにしまってあるけど、出すぞ・・・

くれぐれも気をつけたほうが

7月22日。けさは目が覚めてみたら、うっ、なんだか寒い!寝るときに6時間後にエアコンがオンになるようにセットしておくんだけど、サーモスタットの温度計は約24度。エアコンの設定温度以下で、もう少し下がったら暖房が入ってしまう。冗談じゃない、とばかりにあわててオフ。7月も下旬に入ったんじゃなかったかなあ。そういえば、今年はまだ夜通しエアコンをかけたことがない。やっぱり冷夏なのかなあ。まあ、週末にはまた暑くなるらしいから、まだ夏は滞在中らしいけど、今日はかなり風がある。

日本でまた無差別殺人があったそうな。犯人は「むしゃくしゃしていた」んだそうな。あ~むしゃくしゃする。誰でもいいから殺してやれ。そんな理由で命を奪われる方はたまったもんじゃない。たしかに、おちおち街を歩けないような感じがするけど、こういう犯罪の被害者になるのを未然に防ぐ手立てはないと思う。たとえば、一定の人種や一定のタイプの人間を見たら反射的に警戒するという「ステレオタイプ」が通用しない。だって、みんな同じ日本人。同じ言葉をしゃべり、同じ文化を共有しているはずの日本人。毎日、路上で、駅で、電車で、店ですれ違う、自分と同じような顔で、同じような服装をした何百万もの日本人。これじゃ一億総不安神経症になってしまうのもわかるような気がする。

だ~いぶ昔に聞いた名前がまたぞろ登場した。ボイエ・デ・メンテという、第二次大戦後すぐにアメリカのCIAの諜報部員として日本へ行って、その後は日本通を売り物にした本をやたらと書いて一世を風靡?した御仁。今ごろは少なくとも80才にはなっていて、アメリカのどこかに引退して、聞かれもしないのに「日本の女はよかったねえ」とうんちく?を傾けているのかと思っていたら、「外国人男が日本大好きな理由(それは女だよ)」とかいう、長ったらしい「昔話」で再浮上して来たからびっくりするやら、ムカつくやら、あきれるやら。

とどのつまりは、戦後の日本経済発展の原動力になったのは外国人と「交わった」(水商売の)日本人女性だったという話。日本女性はチャーミングで小柄でやさしくて男を喜ばせるのがうまくて、「世界一女らしい女性」だと持ち上げているけど、どうやらその筋の女性しかご存じないらしい。まあ、終戦後の「進駐軍」に所属していたわけだから、水商売の女性としか交流がなかったんじゃないかなあ。それで、「日本女性は・・・」か。日本女性を侮辱したと毎日の「WaiWai」を潰したにいちゃんねらに聞かれたどうするんだろうなあ。あぶない、あぶない。

ちなみにこの御仁、日本では英語関係、アメリカでは日本のビジネス作法の本をかなり出版したけど、アメリカで一番のベストセラーになったのは「Bachelor’s Japan」という、いわば独身男のための日本ガイド。本が出版されたのは1960年。日本経済が本格的な高度成長期に突入したのは1960年代に入ってからだったなあ。それにしても、なんで今ごろ出てきたんだろう。高齢者ともなればかっても栄光も何もないだろうけど、男のこういうところは年令を問わずらしいから、ご当人にはそれなりに思うところがあるんだろう。だけど、21世紀の日本には、生れたときから豊かな日本に育って、大日本帝国の栄光を信じて疑わない「にいちゃんねら」というおっかない人たちがいるから、特に日本女性に関する発言にはくれぐれも気をつけたほうがいいンジャないかなあ。年寄りの冷や水は体に悪いから・・・

欧米ではってどこの話?

7月23日。今日も涼しくてエアコンがいらない。電気料金の請求書を見たら、去年同期(2ヵ月)と比べて消費量が3kWh少ない。請求書の横っちょに1日平均の消費量が7期分棒グラフで示してあって、その下に請求期間と前年の同じ期間の1日平均の消費量が数字で書いてある。電力料金は単価が変わっていくし、やたらといろいろな付加料がついてくるから、こうやって消費量で比較を示してくれると、消費量の差が大きければ何が原因かをまじめに考えてみるきっかけになって便利この上ない。真冬の期間に一気に真夏の倍になるのは、電気暖房ということもあるけど、最大の元凶は温室で使う電気ヒーター。ソーラーヒーターを導入するのがカレシの夢だけど、現在のところ、技術はあっても設置できる人がほんのひと握りしかいないそうで、さっそく注文というわけにはいかないのが悩み・・・

続発する無差別殺傷事件に関連して、派遣労働制度の実態に関する記事があったので読んでみた。どうもやっぱり日本の「派遣」はカナダやアメリカの「temp」とはかけ離れた労働形態のように見える。こっちで建築現場で雇われる「日雇い」に近いのかもしれない。でも、この人たちはシャベルで穴掘りをしたりといった、大工がやらない単純な作業をするために雇われる。製造業では労働組合の力が強いから組合員じゃない「日雇い派遣」を常用することはないけど、日本の製造業では景気の変化に対する安全弁のつもりで使っているらしい。読んでいてびっくりしたのはその待遇、処遇のひどさ。人間として見てもらっていないのではないかとさえ思える。派遣先の休憩室を使わせてもらえないというのは序の口で、正社員にスタンガンで脅されながら働いたという、戦前のタコ部屋同然の凄惨な話まであった。カナダでそんなことをしたら、訴えられてスキャンダルになるけど、日本では誰も何も言わないんだろうなあ。めんどうはいやだから、自分がかわいいから、見てみぬふり、なかったことにする・・・か。

年金制度なんて、潤沢な順に公務員の共済年金、大企業雇用者の厚生年金、「一般人」の国民年金。欧米式の格差社会になる(大変だ~)とか騒ぐずっと前からちゃんと格差社会が作られているじゃない。しかも社会保険が所得に比例していないらしいから驚き。つまり、日本では労働制度も社会保障制度も昔からしっかりと階級社会になっていたわけで、その上に規制緩和のかけ声で、「欧米では~」を錦の御旗にして、その本家本元の欧米にもないような格差/階級社会を作っているように見えるけどなあ。だいたい、格差、格差と騒いでいるのは上と比べて妬み、下と比べて優越感に浸る「一億総何とか」の中流階級くらいのもんじゃないのかなあ。

で、こういう事件があると、必ず教育界の偉い先生が出てきて、「何とかしなくちゃ」論をぶち上げるんだけど、「欧米では」と来る。その欧米でやっているという「市民性教育」って何のこと?日本も似たようなシステムを取り入れる必要があるって、日本は欧米と違うんじゃなかった?日本には日本の考え方があるんじゃなかったの?ったくもう、どうりで嫌われるはずだなあ、この文句。欧米だって千差万別だし、ピンからキリまであるんだけどなあ。どっかへ視察ゴルフに行ったついでにちょこっと学校をのぞいて、「なんか新しいことらしい」とよくわからず仕入れてきただけなんじゃないの?それで「欧米では」って・・・

えらい教育者先生にはそれなりの理論があるんだろうけど、教員採用試験に絡む汚職といい、続々と逮捕されるエロ教師といい、なんだか日本の子供たちがかわいそうになってくる。個性尊重とか何とか言って、「いやなことはしなくてもいい。無理はしなくてもいい」と刷り込まれて、大人になれないままで「嫌なこと」や「無理難題」がわんさとある社会に放り出されるんだもの。で、上手に泳げなくて溺れたら「自己責任だ」と見殺しにされる。このまま行ったら、日本はほんとに内部崩壊してしまうよ。

おいし~く煮詰まって

7月24日。夏の間は英会話教室が週一ということで、目覚ましが鳴るのは木曜の朝(といっても11時だけど)だけ。自然に目が覚め時間とそれほど違わないのに、夢の真っ最中だったりするとなんとなく寝起きが悪くていけない。今日はなんとなくそんな日。目が覚めたとたんに忘れてしまったけど、なんかへんな夢を見ていたらしい。夢のレコーダーがあって、起きてから再生できたらいいなあ。もちろん、いい夢だけね・・・

今日は仕事がないから、カレシが出かけた後のひとりきりの時間を「今のうちにやっておこう」ということに集中できる。まずは、カレシとワタシの合同バースデイディナー。予約を申し込んだレストランから希望の8月23日。に暫定的に予約OKの返事が来ていた。その日の1週間前までに予約金250ドルを払えば確定ということになるらしい。プライベートルームは最大18人までということで、一応14人を予定しているから、問題なし。ディナーパーティ用に3コースのメニューがあるけど、特別に5コースくらいのお試しメニューを希望するならシェフと相談できるから、詳細は2週間前までに決定してほしいとのこと。さっそく招待予定の人たちに連絡を取って、人数を数えなくちゃ。

カレシのビッグバースデイまであと2週間。今から注文すれば配達はぎりぎりになるけど、とにかく家の中に散らばっているカタログを集めてきて、お買い物。ガソリンスタンドのようなノズルがついている6ガロン入りの容器。シュレッダに給油するのに便利そう。ビデオテープをPCにコピーしてDVDに変換するキカイ。エレクトロニクスはある意味過渡期にあるもので、最近はカセットテープやレコードからCD、VHSからDVD、ネガやスライドからDVDといった「メディア変換装置」が多い。保存しておきたいビデオテープのセットがけっこうあるからなあ。充電式バッテリとソーラーパネルがついたポータブルの電源。これはデッキが(いつか)完成したら役に立ちそう。それと、屋内から履いたまま外へ出られるスリッパ。怪しい物音に速攻で対応できるぞ。最後は、手でハンドルを回して充電して使うラジオ。懐中電灯にもなる。温室でフットボールやホッケーの中継を聞きながら作業ができる。さて、包み紙とリボンをたくさん買っておかなくちゃ。

文化庁の調査によると、日本語表現の誤用が多いらしい。まあ、誤用も定着してしまえば「正規」になるわけで、言語はそうやってだんだんに変化するものなんだけど、「論陣を張る」かわりに「論戦を張る」、「足をすくわれる」という代わりに「足下をすくわれる」というのは、なんとなく奥が深いような感じがする。計画が「行き詰まった」のではなくて「煮詰まった」というのは、焦げ付いたなべを連想させておもしろい。行き止まりで立往生しても、引き返して別の道を探すといった打開策があるけど、煮詰まってなべ底にまっ黒に焦げ付いてしまったら一巻の終わり。なんか切迫感があるなあ。

「琴線に触れる」ことを「相手の怒りを買うこと」だとする回答が正しい回答と肩を並べているあたりは、ここでも時代が反映されているような感じがする。意外だったのは、「憮然とする」。「失望してぼんやりする」が正答なんだそうな。ワタシはてっきり「ムッとすること」と思っていたけど、調査でも回答者の70%が「腹を立てている様子」と思っていた。だけど、よ~く「憮然」の「憮」の字を見るてみると、りっしん(立心)べんに「無」。なるほど、心が空っぽの状態か。漢字は表意文字なんだから、やっぱり文字の構成まで見なければいけないんだなあ。でも、耳から「ブゼンとする」と聞くと、どうしても腹を立てて「憤然」としているような印象になってしまうんだけど・・・。

今日見たgooのランキングは「恋人に作ってもらいたい手料理」。トップ5は、「カレー」、「ハンバーグ」、「肉じゃが」、「チャーハン」、「味噌汁」。それってファミレスの味?今どきの恋人たちってかわいいなあ。ついでに「1000円を超えると高いと思うもの」。トップは「ラーメン」だった。「安くてうまい」の代表選手。東京で食べたおいしいラーメンは290円だったなあ。笑えたのは12位に入った「義理チョコ」。こっちは100円でも高いと思うんじゃないかな。(もらってしまった方には、「タダほど高いものはない」・・・。)

異人種の双生児

7月25日。金曜日なんだけどなんか土曜日のような感じがしてしょうがない週末。ま、日本はとっくに土曜日だからいつもながらなんだけど、慣れてしまってもっと混乱してくるといけないから、「う~ん、なんかヘンだ」と感じるあたりで思考をストップしておく。で、1日中、なんかヘンだけど、ま、いっか・・・

イアンが引っ越した先のコンドミニアムの自転車置き場の改装が始まることになって、その間うちの庭で預かることになって、カレシがまずトラックで出かけて行った。自転車を庭に入れるにはガレージを通るのが一番手っ取り早いから、出かけたらすぐにエコーを外に出しておけという。ディナーに呼ばれているから、自転車を下ろしたらイアンを乗せてエコーで行くことになっているんだってそうな。そういえば、ゆうべは5分おきに電話が行ったり来たり。一番「ロジカル」な手順を相談していたらしい。指示の通りにエコーをガレージから出したのはいいけど、バックミラーもサイドミラーも調節しないままだから、歩道の縁が見えなくて、みごとにハブキャップを縁石にガリガリ。あんまりかっこよくないけど、ま、いいか。

イアンとバーバラのコンドは築後30年。今どきのデザインと違って、ちょっと日本の団地に似ていなくもないのっぺりした建物。バーバラのお母さんが介護ホームに入ったときに買い取って、キッチンやバスルームを改装してから引っ越した。それほど狭く見えないし、ワンレベルだから階段の上り下りがなくて楽だというけど、ショッピングセンターのすぐそばだからけっこう交通量が多い。バルコニーはガラスで囲ったサンルームに改装されていて、カレシはさっそく園芸好きのバーバラと「ブラインドを居間に移して、ここを温室にしたらいい」とプランを練り始める。3棟ある15階建ての建物を見ると、窓を付けて室内に変換したバルコニーが多い。

ディナーは娘夫婦が加わってにぎやかになった。アーニャは妊娠6ヵ月。赤ちゃんは男の子の二卵性双生児だそうで、ぽこんと丸くなったおなかに触らせてもらったら、赤ちゃんの動きが手のひらに感じられた。予定は10月初め。かなり長い出産育児休暇を取れる職場らしいけど、それでも初めての育児でいきなり赤ちゃん二人は大変だろ。二卵性ということで、イギリスとドイツで異人種婚カップルの間に生まれた双子の話になった。どちらの場合も、双子の一方が父親(白人)に似て、もう一方が母親(黒人)に似ているというケース。つまりはメンデルの法則を地で行っているようなものだけど、人間の兄弟はえんどう豆じゃないから、どんなふうに育つのか興味がある。というのも、ママになるアーニャは白人で、パパになるブライアンはフィリピン人。ヨーロッパ系の顔の子とアジア系の顔の子が双子として生まれる可能性はあるわけ。アーニャはかわいいし、ブライアンはとってもハンサムだから、どっちに似てもかわいい赤ちゃんが生まれることは間違いないんだけど。

がやがやとおしゃべりをしながら、大皿いっぱいのブルーベリーを平らげ、イアンの秘蔵の「メタクサ」をとうとう空っぽにして、8月のディナーパーティの出席OKを取り付けて、夜中過ぎに帰宅。おしゃべりをしすぎて、ちょっぴり声がかれてしまったみたい・・・

シェフ自慢のおまかせ料理

7月26日。うわ~、どうなってんだろう。7月もほぼ終わりだってのにこの涼しさ。朝の10時過ぎにオンになるようにセットしておいたエアコンの寒さで目が覚めて、あわててオフに。来週は8月、ひと月もしたら新学年が始まる「秋」だってのに、日本全国津々浦々猛暑でうだっているというのに、なんでバンクーバーはこう寒いの?熱い空気と冷たい空気をうまく混ぜ合わせて、不公平のないようにちょうどうまく分配できないものかなあ、ほんとに。

もうひと眠りして起きたら正午。いつものようにニュースを見ながら朝食。そうか、今日は花火コンペの第2回目で、今夜はアメリカチーム。タイトルは「Love Will Change the World(愛は世界を変える)」。水曜日に先頭を切ったカナダチームは「Attack」というタイトルで、伊福部明作曲の「ゴジラ」のテーマを使った。(ちなみに、伊福部明は生まれ故郷がワタシと同じだから同郷ってことになるのかな。)アメリカのは何を使うのかな。たった30分足らずの花火ショーで日本人にはもの足りないらしいけど、浴衣がけでは震えてしまいそうなバンクーバーじゃ納涼花火という感じもないから、光と音楽のショーということでいいのと違うかなあ。

午後いっぱいダラダラして、ディナーにおでかけ。花火のせいでダウンタウンは避けてブローでウェイの、すっかりお気に入りになったTojo’sへ。いつも2ブロックくらい行き過ぎたところに車を止めてしまうから不思議なんだけど、ブロードウェイはあまり目立つものがないせいかもしれない。(住所を覚えておけば問題はないんだけど、そこはほら・・・。)でも、よく見るとほぼ向かいに巨大な「BOWMAC」のネオンがある。20年くらい前まではBowell MacLeanという老舗の自動車ディーラーがあって、このネオン塔は50年代から60年代にかけてのバンクーバーのネオンサイン全盛時代に「北米一」の大きさを誇った。ディーラーはなくなってネオン塔だけが残り、どういうわけか「市の遺産」に指定されたのはいいけれど、跡地にオープンしたトイザラスが「歴史遺産」のネオン塔の上に自分の看板をくっつけてしまったから、目も当てられないくらいアホくさい構築物になってしまっている。それでもまあ、この次からはTojo’sの場所を見つける目印にはなるから、いいことにしておくか。しげしげと見なくたっていいんだし・・・

いつもの通り早目の予約なのに、今日はいつもより早くから客が入っている。どうやら食事を済ませてからキッツの方へ花火を見に行こうという人たちらしい。6人ぐらいのグループが多いのは、夏だから家族親戚が遊びに来ているんだろうなあ。バンクーバーといえばスシ。高級ジャパニーズレストランとなればやっぱりTojo'sの知名度は抜群ということだろう。今日は新潟産のオーガニックの冷酒で乾杯。氷の入った小さな容器に小瓶を入れて持ってくる。これをしゃれたショットグラスで飲むのが今はやり。地元産の大吟醸なんてのもあるからすごい人気のほどがわかろうというもの。同じ冷酒でも日本のは少々甘酒っぽく感じられるのはお米そのものが甘いせいだろうか。

いつものクラスの「おまかせ」を注文したら、着物姿の威勢のいいサーバーさんが「前にもいらっしゃいましたよね」と聞く。へえ、覚えられていたのかと思いつつ、4回目だといったら、「前にも同じお値段のおまかせだったでしょう」と。そうだと言ったら、注文をとって引っ込んで少ししてから、「シェフに料理を変えてもらいましたからね」と言いに来た。メニューがあまり変わっていないので前と同じものを食べることになる。それではバンクーバーの名物シェフのプライドが許さないということらしい。私たちは前にすごくおいしかったから、同じ料理でもちっともかまわないといっても、サーバーさんは「おまかせね」。

おかげで、最初のマグロの後は、ウニとホタテをのりで包んで薄い衣をつけて揚げたものにしし唐の天ぷら添え(うわっ、おいし~い!)、カニとマンゴーと春雨のサラダ、本マグロのステーキ!にシメジのソース、ギンダラの煮物に柚子を添えたもの(み~んな、美味、美味)。最後のお寿司もいつもの凝ったロールとエビ天の手巻きの他に本マグロや甘エビの握り。デザートは抹茶のクレムブリュレ。内容から考えると、お店の方は足が出たんじゃないかなあ。チップをはずんで、シェフのところへ行って念入りにお礼を行って、満足、満足で帰ってきた。ああ、ほんっとにおいしかった~

どういうわけかヘンな日

7月27日。やれやれ今日はヘンな日だ、あい変わらず今の時期としては涼しすぎる。もっともワタシはアウトドアタイプじゃないから、インドアで快適ならそれで文句なし。眠れないのかかなり早くから起きだしたカレシ。ゆうべ寝る前にワタシが食洗機のスイッチを入れるのを忘れたもので、ワタシが寝ている間に洗っておこう、と気を利かせてくれたのはいいけれど、勝手がわからなくて設定のボタンをあれこれと押しまくったらしい。結局はよくわからないまま中止。起きだしたワタシがスイッチを入れたけど、なんだかサイクルが狂っている感じがする。なんとか洗えたことは洗えたけど、念のため、リセットボタンを押して、いったんスイッチをオフにしてから、洗剤を入れずにディスペンサーを閉めてスイッチをオン。普通のサイクルにセットして回してみた。リセットされたのかどうか、まじめに回っている感じだけど・・・。

日本では週末明けなので請求書を書いていたら、やたらとしつこいせきが出る。しつこさが増してくると、全身でせきをするような猛烈なのがでることがあrんだけど、今日はそれが息もつけないような感じで、やっとのことで大きな息をついてホッとしたところで、急に胃のあたりが微妙。ん?あれ?と思って立ち上がったとたんに中のものがそれこそ一気に噴出してしまった。ほとんど液体だけど信じられない量で、その中に立っているワタシを見て「具合が悪いのか」と一瞬青ざめたのはカレシ。別にどこも具合は悪くないけど、あっという間にドボッと出て来ちゃったの。とりあえず、バケツとモップを持ってきてもらって、床の掃除。オフィスの床には椅子のキャスターで傷が付かないようにプラスチック樹脂のチェアマットを敷いてあるので、後始末は簡単なんだけど、そばのスタンドに開いてあった辞書にちょっと被害が出た。もしキーボードに向かっていたら激甚災害になっただろうなあ。ひょっとしたら、なんかの虫の知らせでキーボードから離れたのかしらん。

掃除が済んだところで、バスルームで手足を洗って、食洗機を点検。こっちの方はどうやら正常状態に戻っていた。吐いたと言ってなんとなく胸焼けっぽい感じがする以外消化器系統はピンピンしている。激しく咳き込んだときに嘔吐するのは特にめずらしいことでもないらしい。せきの中枢と呼吸中枢と嘔吐中枢はどれも脳の延髄にあって、いわばご近所さん同士みたいに近いんだそうな。それでせきがあまり過激だったもので、嘔吐中枢まで刺激されて、胃の方へ「ぜんぶ出しちゃえ」という勘違い指令を送ったために、突発的にゲッとなったわけ。何か病気が隠れている兆候ではなさそうだからいいけど、せきはTPOを選んでくれないから、気をつけなくちゃいけないなあ。一件落着してみたら、今度はしゃっくりが止まらない。やれやれ、しゃっくり中枢までご近所さんなんじゃないだろうなあ・・・

思いがけず朝食抜きのようなことになったもので、夕食の支度の時間を待たずにおなかがグー。ああ、やっぱり健康で元気なんだとヘンに安心したところで、少しょっと早めの夕食となった。きのうとおととい、外でのごちそう続きだったから、今日はハンバーガーにしちゃおう。大きな冷凍ハンバーガーは1個が150グラムもあるけど、サーロインを使って脂身が少ないからカロリーは350と低め。もっともそれに、たまねぎ1個を全部スライスして、戻して刻んだポルチーニを加えてたっぷりのバターでゆっくり炒めたものを一緒にはさむから、結果的に高カロリーかな。バンは大きなカイザーロール。(どうして日本ではハンバーガーバンを「バンズ」と複数形で言うようになったのかなあ?)あとは蒸したインゲンとサラダ。簡単だけど、独特の香りのするポルチーニが加わるだけでちょっぴり「高級な味」がでるから不思議。組み立てたら高さが10センチ以上もあるようなハンバーガーをぎゅ~っと押さえながら精一杯の大口を開けてかぶりついたら、しゃっくりのほうもびっくりして退散してくれた。

ほんとうに今日はヘンな日。カレシは、「外へ出ると秋のような雰囲気がする」という。火曜日には嵐が来るらしい。夏の盛りの7月だっていうのに、もう少し夏になってくれないとトマトがかわいそう・・・

電話の話あれこれ

7月28日。月曜日(だよね)。エアコン天気かなと思ったけど、水銀柱が伸び悩み。寒暖計はデジタルだから、伸びなくてイライラしている水銀柱はイメージだけ。うん、デジタル世界はやっぱりちょっとだけ趣が足りないような感じだなあ。あしたから雨の予報で、しばらくは秋口のような天気が続きそうなので、カレシはひと山の園芸クズをシュレッダにかけるのに忙しい。雨で濡れてしまうと乾くまで待たなければならないけど、シュレッダにかけてしまえば、雨に濡れればコンポストとしての分解が早くなる。このコンポストのおかげで我が家の野菜は殺虫剤どころか化学肥料も使わない完全オーガニック。汗とシュレッダくずにまみれて入って来たカレシ、自分のシャツを嗅いで「うわっ、くっせぇ~」。だけど、それはグリーンのカレシの匂い。今晩はゆっくりお風呂に入ろうよ。

KDDIが国際電話のオペレータによるサービスを2010年3月で終了することにしたそうな。この会社、ワタシがまだ日本にいた頃は「国際電電」と呼んでいなかったかなあ。ダイアル直通になったのはカナダに来てからのことだったから、それまではカレシとの電話はぜんぶオペレータを通っていた。まず国際電電に電話して、「どこそこの何番の誰それに指名電話(Person-to-person)」と申し込んで、いったん電話を切って、国際電電の方から電話がかかって来て、誰それさんにつながったので「お話ください」とオペレータに言われるのを待たなければならなかった。もしも運悪く回線が混み合っていればつながるまでに20分も30分も待たされた。それで3分単位で何千円という料金だったから、長々と愛を語らっていることもできない。恋人たちにはもどかしいことこの上ない「不便な」時代だったけど、今どきの若い人たちは送ったメールにすぐに返事が来ないと苛立ってしまうらしいから、あの「待ち」のじりじりするような長さはきっと想像もつかないだろうなあ。

今の時代は格安料金でピッポッパッと簡単に電話がかけれられるようになったのに、どういうわけか、おしゃべりに生まれついたはずのワタシはちょっとした電話嫌い。かかってくるのはいいんだけど、かけなくてすむ電話ならまず絶対にかけない。友だちや家族には、かけようかなあと思いつつも、いつまでたってもかけない。おまけにおしゃべりなわりには筆不精と来ているから、こんな不義理な友だちはいないわけで、小町流に言うなら「疎遠にする」候補のトップに挙げられてしまうかもしれない。会えばまさにノンストップでしゃべりまくるし、こうやってブログも饒舌なのに、なぜ電話や手紙を敬遠するのか、う~ん、自分でもよくわからない。誰かに心理分析してもらおうかなあ。

一応は時代の流れに乗って携帯も持っているんだけど、でかけることがないし、さして出先から電話をしなければならない相手もいないから、持っているというだけの話。街では時計代わりに電源を入れる。カレシはモールで落ち合うときくらいしか使わないし、テキストメッセージなどは二人とも使い方を知らない。だったらどうして安くもない料金を払って使わない携帯を持っているのかということになりそうだけど、要するに「公衆電話ボックス」。携帯電話の普及でバンクーバーでも公衆電話が希少な存在になってしまって、いざというときの重要な「通信手段」が急速に姿を消しつつある。これではほんとうに「いざ」というときに困るから、月50何ドルかで「自家用公衆電話ボックス」を担いで歩いているわけで、一種の保険といえるかもしれない。もっとも、カレシはその「いざ」というときにかぎって家に忘れていったりするからなあ・・・

蟹工船の時代と今と

7月29日。予報どおりの雨。それも商売っ気たっぷり(本気)の雨。気温は15度というから、ひょっとして寝ている間に夏が終わって秋深しになってしまったんじゃないかと思ってしまう。家の中とはいえ、この寒いのにスリーブレスでいるのがあほっぽく思えてくる。(かといって、めんどうだから着替えようとは思わないんだけど。)それでも、今月はほとんど雨が降らなかったから、庭の樹木にはうれしい潤いだろう。久しぶりの雨の日の空気はなんとなくやさしい匂いがする。日照が続くと人の気持まで乾いて来るのかなあ。

ゆうべやり残した仕事を仕上げて納品。ちょこちょこと仕事がある状態も慣れてくるとペースがつかめて悪くないと感じるようになる。月末処理が待っているし、また例のごとく消費税の申告のために大車輪で3ヵ月分の帳簿を整理しなければならない。まあ今期は徴収した消費税がゼロだから、経費にかかった分が戻ってくる勘定で、政府の方も還付があるときは少々遅れてもあまり文句はいわないらしい。もらうときは「今すぐ」、払うときは「後で」というのはあんがい人間的な心理じゃないんだろうか。

新しいgooランキングに「職場で実践して欲しい経費節減」というのがあった。トップにランクされたのは「残業廃止」、それに「休日出勤廃止」が続いている。うん、残業や休日出勤をやめてしまえば光熱費のような経費が減って、ついでに二酸化炭素の排出量も減るだろうなあ。働く人たちは残業や休日出勤はやめたいのだ。会社だって、光熱費だけじゃなくて残業にかかわる人件費も節約できる上にエコ企業をアピールできるとしたらいうことなしだと思うんだけど、そこがよくわからないニッポン。どうしてそれほど残業をしなければ仕事が終わらないんだろう。企業に人材を見る目がなかったのか、でなければ経営管理がまずいから残業を強いることになるのか。まあ、こっちで働く日本人が口をそろえてカナダ人は怠け者だというところを見ると、そうやって「勤勉な日本人」をアピールしているのかもしれないけど。

ほんとうに毎日みんなが残業をしなければならないほど仕事が滞っているんだったら、人手が足りないことは明白だろうに、どうしてもっと人を雇わないんだろう。そういえば、ワタシが高校卒業を前に就職先を探していた頃、求人票に給料は「残業を含めて」月何万円と書かれていた。就業時間外の臨時労働であるはずの残業が、実際は暗黙のうちに就業時間と給与に組み込まれていたわけで、ようするに労働基準法が何と言おうとも、労働時間は1日10時間、12時間の方が「平常」なんだということらしい。ワタシが初めて働いた会社では、当時は女性や未成年者の深夜労働が禁じられていたにもかかわらず、午後7時になると上司に言われるままタイムカードに「退社」と記録し、会社が安食堂から取る出前の食事をして、あとはなにごともなかったように真夜中まで(あるときは午前1時まで)仕事を続けたけど、午後7時以降は一銭も残業代をもらえなかった。そうしてワタシの19の春は月に100時間近い残業と重なる日曜出勤で過ぎてしまったのだった・・・やりたいことがいっぱいあったのに。

戦前に書かれた小林多喜二の『蟹工船』がベストセラーとして復活しているという話は、ある意味、働くだけの生活を強いられる人たちと働きたくてもまともに働けない人たちの「がまん」が限界に来ているということかもしれない。日本は表向きこそは世界に誇る経済大国になったけど、政治風土も企業文化も、人間を「人間」として見ていないという点では「蟹工船」の時代と変わりがないような感じがする。社員を人間としてみていないから、表向きは「家族的経営」とか何とか言いながら実は残業の名目で数え切れない家族から父親を奪って、実質的な母子家庭社会を作ったのが日本の大企業。働く母親を見て育つほんとうの母子家庭と違って、夫の給料は確実に入ってくるから、生活に困らない母親はもてあましたエネルギーを子供に向ける。教育ママとかママゴンとか、いたっけなあ。バブル景気の狂乱で崩壊した人間としてのモラルは、おそらくはこの頃からすでに崩壊への道を進んでいたのかもしれない。

どんなに難しい社会問題が山積みになっていても、何か破局的なことが起きるまでは誰も危機感を感じなかったり、あるいは危機感は持っても何もしないのが人間の性。でも、たまりにたまった怒りや不満を一気に爆発させるのも人間の性。この先、日本の人たちは何かやれるのかなあ・・・

人も車の動いてなんぼ

7月30日。青空が戻って、ちょっぴりだけと夏復活。今日はエコーのオイルチェンジの予約がある。ディーラーの方から「そろそろ」といった葉書が来るんだけど、なにしろ3年かかって走行距離がやっと7千キロだから、必要があるのか、ないのか。それでも、運転席側のドアでキーを二度回すと全部のドアのロックが解除されるはずなのに助手席側だけ開かないことが2、3度あったので、念のため調べてもらうことにした。「たいした問題じゃないけど」というと、「来月いっぱいで保証期間が終了するので今のうちに点検しておきましょう」とのこと。最近の自動車ディーラーは車の販売よりもサービスの方で利益を上げているという話。ガソリン代高騰で車の売れ行きは落ちるばかりだから、売った車を整備することで稼がなくてはならないのかな。

ワタシがエコーを運転して、カレシが後からタコマでついてくる。ディーラーは5分くらいのごく近いところなもので、運動がてら歩いて帰って来ることもできるんだけど、野菜類が底をついてきたから、出かけるついでに買い出しに行こうという算段になった。ワタシの方が先について、ちょっと待ったけどカレシは影も形もないので、中へ入った。愛想のいいおじさんが、「おたくのエコー、走行距離が極端に少ないのでちょっと勇名なんですよ」と言って笑った。そ、なんせ3年乗って7千キロ弱だもんねえ。ドアのロックの話になると「使わなさすぎかもしれない。車は乗らないとねえ」。ははあ、ここでも「Use it or lose it」の原則かあ。人間も車も、ひょっとしたらあらゆるものが「使わないとなまくらになる」ということかなあ。

キーを渡してオフィスを出ようとしたところでカレシが現れた。駐車するところが見つからなくて走り回ったんだそうな。ちびっ子のエコーと違ってタコマは小型と言ってもトラック。図体が大きいから駐車が悩みになる。そのタコマも買ってから6ヵ月になるから、そろそろ最初のオイルチェンジの時期。だけど、走行距離を見たらなんと「827キロ」。これじゃ3年乗っても5千キロ行かないなあ。オイルなんかまだまっさらの状態じゃないのかなあ。ディーラーからお知らせが来たときに「これしか走っていないけど」と言ったら、ちょっと有名どころか話題で持ちきりになってしまいそう。もともとお篭りしてばかりの二人が一台ずつ車を持っている方がヘンなのかもしれない。使わないとなまくらになると言われたといったら、カレシはさっそくここ、あそことおでかけプラン。まめにリサイクルデポに行って、まめに園芸や家周りの修繕の材料を買いに行く方が家もすっきりして一挙両得だと思うんだけどなあ・・・

夕食の支度を始める矢先にディーラーから電話。ちょうどラッシュアワーでトラックを止めるところがないからと、カレシにディーラーの店先で下ろされて、ひとりでエコーを引き取りに。結局ドアロックには異常なし。どうやらカレシのキーを回すタイミングに問題があるらしい。初めからそんな予感がしていたんだけど。担当のおじさんは「誰もマニュアルを読まないからねえ」。それもあるけど、カレシはせっかち。電話のボタンもせっかちに押して「そんな番号ありません」なんてメッセージが流れたりするから、キーを2度回すことはわかっていても、タイミングが悪くて失敗することは大いにあり得るわけで、だけど、これはカレシのクセだからしょうがないんだよなあ。

ワタシが戻るまで、カレシは腕によりをかけて「ニース風サラダ」を大きなお皿にいっぱい作っていた。あまりにも大量なので、メインのメルルーサのフライの方が付け合せになってしまったけど、サラダはきれいに平らげてしまった。レタスやトマトの他にゆでたジャガイモやインゲン、オリーブ、アンチョビー、ツナ、ゆで卵が入って、これだけで十分にディナーになるボリューム。あしたはガドガドを作ってくれるそうだから、メニューはアジア風がいいかなあ。韓国風にしようか、タイ風にしようか・・・

極楽とんぼ小町の見解

7月31日。また今日も雨もよう。ポーチの寒暖計は午後1時でたったの13度。なんじゃいな、これ。地球温暖化は誰かの勘違いで、ほんとは地球寒冷化じゃないの?だって、30年かそこら前には科学者が氷河期が来るって騒いでいなかったかなあ。もっとも、地球温暖化で局地的な氷河期が起きるという話は聞いているけど、それだって、ここじゃなくて北極海や南極大陸で起こってもらわないと困るんだよなあ。

ぶつぶついいながらも、カレシが英語教室にでかけた隙にモールへひとっ走り。なにしろ注文した品がぜんぶ分割で「発送済」のメールが来たので、来週あたりトータルで5個の小包が届く勘定だから、今のうちにギフトラップをたくさん買っておかなくちゃ。ついでにひびが入ってしまった四角い小皿も買い足さなくちゃ。ということで車を飛ばして行って、大車輪で買い物をして、また車を飛ばして帰ってきたら、やや、カレシのほうが先に帰ってきていて、抱えていたギフトラップのロールを見てにんまり。ふむ、秘密作戦、出鼻をくじかれちゃった。小包、いっそのこと不在通知だけ入れて行ってくれると、ワタシ一人で取りに行けるからいいんだけど、なにしろ数が多いから、この小さな家の中のどこに隠そうかなあ。

日本発ニュースを読んでいたら、8月1日から値上げラッシュだって。実施日を指定して予告するのはいかにも「秩序」が好きな日本人らしい。だけど、こんなふうにいろんなものが一斉に値上げされたら、消費意欲は一気に覚めてしまうだろうに。まあ、カナダでもガソリン高騰には悲鳴が上がっているけど、好景気が続いてインフレ気味だったので、たいていのものはちょこちょこと値上がりして来ていたはず。だけど、いちいち予告なんかしないから、ある日ずいぶん高くなったと気づく人が多いのかもしれない。デフレが続いた日本では事情がかなり違うだろうなあ。長いこと値段が変わらなかったものがいきなりど~んと値上がりするわけだから、財布へのショックは激震並みなんじゃないのかな。小町でも「何から切り詰めるか」というトピックで、車をできるだけ使わないとか、新聞購読を止めるとか、パン食をご飯に切り替えるとか、携帯のネット利用を減らすとか、バターを使わないとか、やりくりに苦心している切ない様子がわかる。ただし、これはたぶん普通に収入があって生活ができている家庭のことだろう。生活が不安定な人たちにとっては、そんなのんきな切り詰めどころじゃないはず。日本国総理大臣殿、国民は新聞も買えないって嘆いてますよ。ここが国民のためのがんばりどころだと思うんだけど、どうなの?

日本の総人口が3年ぶりに増加したそうな。少子化にちょっとでも歯止めがかかったのかなと思ったら、自然増加は過去最大の減少幅。つまり、新しく生まれてくる日本人の数はまだ減り続けているわけで、増えたのは日本に帰化した人たちと海外から帰国した日本人。「社会増加」というそうだけど、これが自然減より上回ったから「人口増加」ということになったそうな。帰化人は1万数千人もいるそうだけど、社会増の合計の4万人ちょっとから差し引きすると、日本に帰国した人の数は2万数千人もいたことになる。海外進出した企業が撤退して帰国する駐在員たちが増えたんだろうけど、それだけで2万人もいるとは思えないから、たぶん、移住したものの海外生活の夢破れて帰国した人たちもけっこういると見ていいかもしれない。円高のときに移住してきて、高騰した家を売って円安になった日本に帰る人もいるだろう。カナダに来て強い円で楽々買った家を売って、円安の日本で楽々家が買えてお釣が来る勘定だもの。

だけど、総人口に比べたら微々たる数字かもしれないけど、これだけの数の日本人が日本へ帰ったら、国も企業もこの人たちの職場を確保するのに困らないのかなあ。逆移民で経済が拡大するということも考えられなくはないけど、ガソリンも食料も輸入が頼りの国では、どうなんだろう。安全弁として使われる派遣の人たちがしわよせを受けるのはかわいそう。だけど、人が増えては養えないと、現代の口減らし(リストラ)によって、帰国組も派遣に転換せざるを得なくなるのかなあ。日本国総理大臣殿、ほんとにここが親子代々蓄積してきた(はずの)政治手腕の見せどころと違うん?

2008年7月~その1

2008年07月16日 | 昔語り(2006~2013)
ハッピーカナダデイ

7月1日。7月1日。あっという間に1年の半分が過ぎてしまった。やれやれ、地球の回転が速くなったのか、年を取るのが早くなったのか。とにかく、1時間、1日、1週間がオリンピック級のスピードで過ぎるから目が回りそう。そのときそのときを大事にしろといわれてもなんか大事にするヒマもないくらい・・・

今日はカナダデイの祭日。いわばカナダの建国記念日だけど、実際は東部の4つのイギリス植民地が集まって「カナダ」というひとつの植民地になったのが始まりで、当時のブリティシュコロンビアは本土とバンクーバー島の植民地が統合されたばかりの別個のイギリス植民地だった。だから、「カナダ」という国は満141周年だけど、ケベックはフランスの植民地として発足して400年。ブリティシュコロンビアはビクトリア女王の命名で正式にイギリス植民地になって150年、カナダの州になってまだ137年ということになる。ロッキー山脈の向こうのアルバータとサスカチュワンがカナダの州になったのは1905年。州として最後に加わったのはニューファンドランドで、何と第二次世界大戦後の1949年だった。

独立国としての主権を獲得したのは1931年。ただし、ごねるケベックに手を焼いていたため、国家の基礎になる憲法はイギリスの「英領北アメリカ法」のままで、イギリス議会によってしか改正できないという変則的な状態が続いた。カナダ連邦議会が改正できる独自の憲法を制定して、ようやっと独立国「カナダ」の体裁が整ったのは1982年のことだ。ケベックは新憲法の承認を拒否し、その対応として出された2度の憲法改正案は最初は2州の反対で、2度目は国民投票での否決でボツになった。勢いづいたケベックは州民投票で独立を決めようとしたけど、これは小差で独立反対派が勝ち、とりあえずカナダの「離婚騒動」は収まった。今のカナダ地図が完成したのはヌナヴート準州がノースウェスト準州から分離された1999年。カナダ人ののんびり気質にはこんな歴史も影響しているのかもしれない。

世界第二の国土面積を持ちながら、カナダの人口は最近になってやっと3300万人を超えた。長いこと北緯49度線の南にいる、できすぎ、やりすぎのお兄ちゃんの陰で目立つことができなかった弟のようなものだったけど、どうもその地位が逆転気味らしい。MacLean’s誌によると、カナダ人はアメリカ人より小さめの家に住んでいるけど負債が少なく、世帯あたりの純資産額がぐんと多い。好みの車も小さめ。労働時間もアメリカ人より短く、取る休暇が多く、外国旅行もずっと多い。医療支出はアメリカ人の半分だけど、肥満率はぐんと低い。窃盗や泥棒の類はアメリカよりも少し多いけど、殺人の発生率は3分の1。銃の保有率も3分の1。よく飲むらしいのは、家族や友だちと過ごす時間が多いからかな。結婚している女性の割合が低いのは事実婚がアメリカの倍以上だからだろう。恋愛やセックスとなると、カナダ人はアメリカ人よりも概してロマンチストであるらしい。

植民地が長い歳月をかけてだんだんに寄せ集まってできあがったカナダ。これからはいろんな民族がだんだんに寄せ集まって、同じように長い歳月をかけて「カナダ人」という民族ができあがって行くだろう。最初の「カナダ」ができた1867年は、蝦夷地が北海道になった年よりわずか2年前のことだ。カナダも北海道も自然の景観だけじゃなく、歴史も似ていなくはない。北海道にはいろんな日本人が寄り集まリ、何世代かを経て、ちょっとカナダ人気質に似ていなくもない「道産子気質」を生み出した。未来25世紀にオープンマインドでおおらかなカナダ民族が育っていて、世界をリードしているといいなあ・・・

電気とんぼだぞ

7月3日。うは、ごちゃごちゃといろいろあったおかげで、ブログ皆勤がストップしてしまったではないか。といっても、それで予定がくしゃくしゃとアコーディオンになったという面もあるから、ま、ニワトリと卵の話になるか。

しばらく続いていた夏陽気がちょっとだけ緩んだ。きのうは朝からなんとなく妙にイラつく気分だったのはそのせいかしら。どうやら大気が不安定になったそうで、午後にまず突然コンピュータがシャットダウン。夜になっても視界の隅っこでどうも照明があふっていた。この「あふる」という表現は北海道の方言かもしれないけど、電圧が不安定になって照明の明るさも不安定になる状態のことで、電球が切れかかっているのか、それとも停電の前触れなのかわからないもので、気分的にもなんとなく不安定になる。まさに、大きな仕事の締切が迫っているときにそうなると、こっちも「あふあふ」の状態になってしまうから困る。

午後のシャットダウンはひとつのパラグラフが丸々ロス。夜になって外で「ゴロゴロ」と音がすると、そのたびにカレシは「おれの縄張りに侵入するの誰だ~」みたいな勢いで外へ出て行くもので、よけいイライラ。で、人の気も知らないで「南の方に稲妻が見えた」と報告してくれる。だ~からあ、雷だよっていったでしょうが。んっとに・・・。でも、やっぱり大気中に静電気が溢れていてチリチリしていたのかなあ、と思っていたら2度目のシャットダウン。カレシのコンピュータは何ごともなかったように動いているところを見ると、バックアップ電源のバッテリがたびたび出るメッセージの通り、ほんとに取り替え時期を過ぎてしまっているのかもしれない。んっと便利な時代ってのは不便だなあ、もう・・・。

何しろこの大仕事、文字サイズを10ポイントに変換してもまだ全部で50ページもある。残り時間は明日金曜日いっぱい。すごくおもしろいんだけど、文章がくどい。「○○の△△である××は」と始めて、次に「この○○の△△である××を」とやり、最後には「従って、○○の△△である××は」というパターンが続々と出てくるから頭が痛い。主張への思い入れの強さはよ~く伝わってくるんだけど、最初の一言で「××」が「○○」の「△△」だってことはよ~くわかるんで、やっぱりよけいだなあ。

日本語には効率的な代名詞の用法がないからなのかもしれないけど、これをぜんぶそのまま訳したら、訳上がりの単語数で稼いでいる分にはもうかってしょうがない。だけど、そんなダラダラ訳なんかやっていたらプロの沽券にかかわるわい、という意識がわいてくるから、シビアな書き直しということなるわけ。まあ、昔の日本人は今の若い日本人より優れた文章を書いたというわけではないことを証明するような文書なもので、ついつい「ワタシだってもうちょっとましな作文ができるけどなあ・・・」とひそかに思ってしまう。だけど、ほんとのところはあんまり変わらないような気もするんだけど。

とにかくやっと全体の3分の1までたどり着いたところで、そろそろ寝ようかということになって、まずは寝酒。自分で「おいおい」と意識しているのにもかかわらず、イラっとする気分は変わらないってくれない。そこへして、話の途中でカレシが「あ、稲妻だ!」と腰を折ってくれるから、もう、ど~しょ~もない!今度の稲妻は北東の方角。なんだかバンクーバーは雷に包囲攻撃されているような感じ。動物はこういう大気の変化に敏感だというけど、人間でもそれを感じてチリチリするってことがあるのかなあ。

まあ、明けて木曜日はごく平穏。それじゃあ、たっぷり「充電」したつもりで、がんばるかあ・・・

バックギアのタイムマシン

7月4日。なんとなく土曜日のような気がしてしょうがない金曜日。あ、アメリカの独立記念日だ。ケベックシティは開基400周年のお祭。お祝いイベントの資金としてオタワの政府は1億ドルという大金をケベック州に上げたんだって。(だけど、パレードは雨だったような・・・。)ブリティシュコロンビア州は正式に植民地になって150年なのに、オタワからのお祝い資金は600万ドルぽっきりとか。それも文句を言ってやっとしぶしぶ出してくれたみたい。まあ、400年と150年じゃ、同じってわけにはちょっと行かないよなあ。

例の「WaiWai」の問題で、毎日新聞社にデモが押しかけたんだそうな。セクションは廃止になったし、関係者も処分されたんだし、火をつけたブロガーたちも2チャン人たちもさぞかし満足しただろうと思ったけど、調子に乗ってしまって、もの足りなくなったんだろうなあ。今はやりの「土下座して謝罪しろ」ということか、それとも編集長をリンチにでもかけるつもりか。奥さんが日本人らしいのも気に触ったのかな。WaiWaiの記事を流していた「外国のメディア」としてテレビニュースで紹介されていたのは日本在住の外国人がやっている「日本在住のメディア」。まあ、英語だから即外国にあるって思っちゃったのかも。日本のマスコミもあてにならないなあ。しかも、読売新聞、朝日新聞、産経新聞のどれを見たって1行も記事がない。ははあ、でんでん虫の日和見ほっかむりってところか・・・

ビデオをちょこっと見たら、デモだか何だか集まった連中の先頭でがなりたてているのは、まだ若いようだけど、どうみても「彼女いない」風のタイプ。卑猥な記事は「日本女性を侮辱するものだ」と言っていたそうな。WaiWaiに「英訳されて掲載された(日本の大衆週刊誌の)記事のせいで日本の女性が海外で性犯罪の被害に遭っている」とも言っているらしい。ちょっとだけ言わせてもらっちゃうけど、日本女性を侮辱しているのは日本人の男(と若い女)でしょ。新聞を見てごらん。痴漢だの児童買春だの、社会の指導的地位にあるはずの男たちが連日続々と逮捕されているじゃん。思春期のボクちんじゃあるまいし、いい大人がティーンの女の子にコーフンして、手を出しては捕まって人生を棒に振っているのはどこのエロバカ変態じゃい。

あの映像で「抗議」していた連中は、「外国人野郎におれ達の女を侮辱された!」と銃をつかんで飛び 出す世界のある地域、ある人種、ある宗教の連中とあんまり変わらない。そういうところこそ男尊女卑の 思考がはびこって、女性をモノのように扱っているもん。新聞社を「在日新聞」と揶揄する日本人もいたし、ローカル掲示板でも何かにつけてやたらと反在日、反中国、反非日本人の「2チャン化現象」が起きているような感じがするし、とどのつまりは、「大日本帝国的仮想的有能感」の発露ってことなのかなあ。 新聞社に押しかけた連中が何でもありといわれる2チャンネル村の住人なのかどうかはわからないけど、 アラブあたりの「侮辱だ!ぶっ殺せ!」デモのまねなんかしてるヒマがあったら、ネタを垂れ流している日本の週刊誌発行元に抗議デモかけるべきじゃないのん?はあ、それで読売も朝日も産経も火の粉を 避けたくてだんまりってことなのか・・・な?まあ、内容がどうというんじゃなくて、「(日本人の)かっこ悪い ところを外国人が英語で世界に発信した」から怒ってるんだってことはよくわかってるだけど・・・。

それにしても、日本は戦前だなあ、もう・・・。いっそのこともっと遡って、鎖国したら?

しつこいなあ、スカンク

7月5日。大きな仕事がやっと終わって、地球の反対側にいる編集者にリレー。おかげさまで、たっぷりと理科の勉強をさせてもらったけど、脳みその方はやっぱりくたびれた。カレンダーを見ると、あした、あさってと小さい仕事がちょこちょこ。夏休み、ほしい~

次の仕事は明日に回して、ちょっとひと息・・・と思ったら、またぞろスカンク野郎のお出まし。ほんっとにしつこいやっちゃ~と呆れる。今度はポーチの真正面をあっちを掘り、こっちを掘り。向こうは夜行性なもので、穴掘りの後始末と緊急対策も丑三つ時の作業になるから困る。おとなりさんも迷惑だろうけど、ポーチの下に入って、居候を決め込まれるのも大迷惑。

最初に大きな穴を見つけた頃はちょうど子供が生まれる時期。ベースメントの外壁を覆っている材料の断片が外に点々と落ちていたところを見ると、どうもポーチの下で子育てをしていた疑いがある。ああ、ひょっとしたら、スカンクベビーがいるまんま穴をふさいじゃったのかもしれない。それで、しつこく掘りに来るという可能性もある。おお、この母性愛の強さよ~」とほめてあげたいところなんだけど、とっくに死んじゃってるだろうし、それにやっりスカンクに住み着かれるのは困っちゃうから、恒久的な対策を考えなくちゃなあ・・・

ゲートから玄関までのアプローチをセメントで舗装してしまえば絶対なんだけど、カレシはあんまり乗り気じゃないみたい。セメントは流し込んだらそれっきりで、アプローチのデザインを好きに変えるってわけには行かなくなるもんなあ。庭はカレシの「領地」だしなあ。(たぶん)ママスカンクとの神経戦、さて、どうなるんだろう。くたびれるなあ、もう・・・

かゆい、かゆい

7月6日。日曜日のはずなんだけど、何だか月曜日のような気がして困る。ふ~ん、海の向こうの日付変更線の向こうの国の時間に合わせて生活しているようなもんで、カレンダーの日付をプラス1で見る癖がついてしまったのかなあ。ちょっとばかりまずいんじゃないかい、これ?

ゆうべの臨時のスカンク対策で、玄関前はまるで工事現場みたい。四角の思い敷石をどかして、古い合板をポーチにぴったりつけて敷いて、その上に敷石で重し。朝になって、掘り返した形跡がなかったところを見ると効果はあったらしい。もぐらじゃあるまいし、1メートルもトンネルは掘らないと思うけど。対策としては、金網のロールを買って来て、それを直角に折って、その一方をポーチの縁に固定して、もう一方をアプローチに埋め込もうという案が浮上。これだったら、スカンクがいくら必死になって掘ってみたってくたびれ損でしかないな。いくらこだわり症のスカンクでも、まさかワイヤカッターを持って来るということはなさそうだもん。こっちは敷石をどけて、金網を設置して、土をかぶせてから敷石を戻すだけ。カレシひとりでもできそうな作業。カレシに(座布団がないから)クッション1個あげよう。

夜になって庭に出るとなぜかいつも体中がかゆくなるから困る。別に草木にも何にも触っていないのに、頭皮がかゆい、顔がかゆい、背中がかゆい・・・じんましんが出ているわけじゃなくても、かゆい、かゆい。空気中に花粉とか何かが漂ってるのかなあ。まあ、なんとなくかゆい~というだけならまだいいんだけど、時にはかゆいどころか、露出していた手や足に大きな腫れが出てくることがある。カレシに調べてもらっても虫に刺されたような痕跡が見つからないのに、あっというまに真っ赤な腫れが直径10センチ以上に広がって、消えるまで
1週間や10日はかゆくて、痛くて、熱い。虫に食われたのか、有毒植物に触ったのか、とんと見当もつかないでいるんだけど、ゆうべは足首をやられてしまった。重力でどんどんくるぶしの下まで広がって、うは、ピンクの象の足・・・

いつだったか、郊外の丘のやぶの中を歩き回った後で手の甲全体が真っ赤に腫れ上がって来て、とうとうゲンコツも作れないほどパンパン。あのときは1ヵ月くらいして手の甲の皮がびりびりと剥けたけど、薬指の付け根にちっちゃな傷跡が並んで2個残ったので、クモにかまれたんだろうということになった。ふむ、傷跡がちょんちょんと2つ、ということは、やっとこみたいな牙?ですれ違いざまに速攻でガブっとやるんだろうか。ぞぉ~。

たぶん虫アレルギーなんだろうけど、ねえ、カレシ、ワタシに「悪い虫」がついたらどうする~?

姿見よ、姿見よ・・・

7月7日。月曜日。あまり暑すぎないさわやかな日。といっても、ワタシは外へ出ないので実感はないけれど。足首の腫れはくるぶしのずっと下までひろがってなんかブヨブヨ。おかげで指先までなんとなくしびれてしまった。ゆうべは一番かゆかったところをちょっとかきむしったら、その周りが変な色になってしまった。ひっかきすぎて毒を広げてしまったのかも。やっぱりクモだったのかなあ。なにしろうちの庭は「ガーデン」なんてもんじゃなくて、うっそうとしたジャングルみたいだから。ふむ、毒グモもスカンクは苦手かなあ・・・?

久しぶりの契約書の仕事。弁護士の帽子をかぶって、ちょっと気分が変わっていい。(デスクの下で足をもぞもぞ動かしながらだけど。)カレシは外へ出て、天気が良くてすっかり乾いた生垣の枝や雑草をシュレッダにかける作業。細かく砕くのでマルチになるし、速成でコンポストにもなる。シーダーの匂いが庭中にあふれて、森林浴みたい・・・と思っていたら、作業を終えたカレシが家に入ってきたとたんに頭がかゆくなってきた。さては、犯人はシーダーだったのか。シーダーは油性成分が防虫剤に使われるくらいだから、アレルギー反応が起きても不思議はない。だけど、毒グモには効かないのかなあ・・・?

「WaiWai騒動」に関連して「海外の偏向?サイト」として槍玉にあげられたサイトからリンクをたどって、おもしろいアンケートの結果を見つけた。質問は「日本や日本人の最高に良いところは何だと思うか」というもので、記事は英語だったけど、どうやら日本の某ネットメディアが日本人千人を対象に実施したアンケートを誰かが英訳したらしい。(あ、いいのかなあ。あぶなくないのかなあ・・・?)

トップは(パンパカパ~ン!)「季節感」。次に「勤勉」。その後に「親切」、「豊かな食文化」、「最新技術の創造」、「礼儀正しさ」、「義務感の強さ」、「思いやり」、「新しい文化を取り入れる柔軟さ」、「器用」と続く。トップ10以下は、「ムダに敏感」、「保守性」、「奥ゆかしさ」、「あいまいに表現すること」、「信頼できる」、「若く見える」、「味の微妙な違いがわかる」、「きれいな髪」、「女らしさ」、「テーブルマナーが良いこと」。

これは外国人から見た印象じゃなくて、あくまでも日本人が思い込んでいる日本や日本人のすばらしいところ。ま、にいちゃんねらにかまれると怖いから先に断っておくけど、英語で読んだものを日本語にしてみただけで、元の日本語の記事を読んでいないもんで、違っていたら悪しからず。まあ、結果をどう解釈するかは人それぞれ。だけど、それを太平洋をへだてて浦島花子の目で見るとまた印象が違って来るからおもしろい。色眼鏡ってことかもしれないけど、色調が違って見える。突っ込みどころもたっぷりあるし・・・だけど、やめとこ。どっちみちガイジンサイトで喧々諤々になるだろうから。それに、せっかくのきれいな包み紙、破るのもったいないもんね。

ネットなくして家事とんとん

7月9日。きのうの夜、緊急で一部だけでもと泣き落とされた仕事を大汗かきかきやっつけて、午後11時の締切に滑り込みセーフ。これで、カレンダーの仕事は全部赤線が入った。やれやれ、久しぶりに休みモードだ!少し早めのミッドナイトランチでひと息。カクテルはペルーやチリのブランディ、ピスコにレモンやシロップ、卵白を入れて作るピスコサワー。ふわっとした上品な感じで口あたりが良い。デザートはカレシ特製のラベンダーのアイスクリーム。咲きたての花を摘んですぐに作らなければならないし、おまけにできる量のわりには卵黄が3個も入っていてハイカロリーときている。だけど、口の中にほわんと広がるラベンダーの味わいはなんともいえないもので、花が咲き出すとカレシにせがんて作ってもらう季節限定の逸品。

けっこうリラックスしたところで、さて今日のブログでも・・・と思ったら、ええ?ネット接続がダウンしちゃっている。仕事を終えて送信した後だったからラッキーなことはラッキー。だけど、なんだって、ああ、なんだって、せっかく(いつまで続くかわからない)休みモードになって、さて、サイバー空間を散歩しようかというときに接続がダウンしなきゃならないんだあ!もっとも、こんなときの命綱というか、別のプロバイダに昔ながらのダイアルアップのアカウントがあることはあるけど、何しろのろりそろりだし、接続しっぱなしにするわけにもいかない。しょうがないから、日本の退社時間を見計らってクライアントからメールがあるかどうかチェック。あとはさっさと休みモードに切り替え。久しぶりに手に入ったアルマニャックを傾けながら、神さまが「遊んでおいで~」と言ってくれているんだから・・・

久しぶりに仕事ゼロになった日。朝はゆっくり起き出して、ゆっくり朝食を食べて、ニュースでも読もうかとコンピュータを起動・・・あらら、ネットの接続はまだダウン。おいおい、どうなってんの?しょうがないから、メールだけダイアルアップで下ろして、ホントに仕事がないことを確認して、あとはもうし~らない。んっとになあ。な~んかすることがなくて、手持ちぶさたな感じで、しょうがないから、洗濯でもするか・・・。いやあ、すごい山だなあ。そういえば最近の小町に「洗濯するとソックスが迷子になる」というトピックがあったっけ。うちも、うちも!の大合唱で、そっかあ、カレシのソックスだけじゃなかったんだと、ちょっぴり安心したけど、どうもソックスの片方だけがなくなる現象は世界共通らしい。洗濯機に食べられてしまうんだろうとか、ブラックホールがあるに違いないとか。ひょっとしたらUFOに乗ってきたETが足が冷えるからとソックスを持っていってしまうのかもしれない。(そういえば、この近辺に流れ着いたソックスとスニーカーを履いた足、今のところ、右足4本、左足1本。今度はスウェーデンで同じような片足が見つかったとか。)

洗濯と乾燥はしめて3ラウンド。乾いたものを二階に運ぶのに、バスケットに大盛の山盛りになってしまって前が見えない。しょうがないから、重たいバスケットを捧げ持って、階段をそろり、そろり。ついでにベッドを整えて、窓のガーベラの鉢に水をやって、ちょっぴり主婦業をやっている気分になるからおかしい。だけど、カレシがママと電話で話をしていて、ワタシのことを「今日は仕事がないからって、のんびりと遊んでらあ」なんてノー天気に言うから、「大洗濯が遊びなら、はい、大いに遊んでます」と、ママに聞こえるように大きな声で言ったら、カレシがママに「わかってるよ」と言っていたところを見ると、「ちゃんと手伝いなさい」とお小言をくらったのかもしれない。自分のものは(1週間はかかるけど)自分でたたむし、シャツやパンツには自分でアイロンをかけているから、洗濯はしなくても、まあいいんだけど。

洗濯物の山を片付けて、ゆったりディナーをして、オフィスに下りて見たら、いつの間にか接続が復旧していた。だけど、今度はいつまでたってもメールが来ない。スパムさえ来ない。ええ?そんなのありえるの?ためしに自分にメールしてみたら、ちゃんと届いた。カレシにもテストメールをしてもらったら、やっぱりちゃんと届いた。ふむ。ったく、便利な世の中のはずなのに、ほんとに便利なのかどうかわかったもんじゃないなあ。ネットがなかった頃はいったいどんなにゆったりした暮らしをしていたやら。普通のメールが届き始めたのは復旧してから6時間。今のところ「お仕事メール」は見あたらない。しめしめ、ネットがダウンしたおかげでたまっていた「家事」もあっさり片付いたことだし、このまま、あしたも休みモードだといいなあ・・・。

風、風、吹くな

7月10日。わっ、青空にそよ風以上嵐未満の風。玄関を開けたら、ゴルフ場の並木がざわざわ、どうどうとうなっていた。風の又三郎がやってきて、「どっこどっこ」と並木を揺すぶっているのかなあ。それとも、ハイジがアルプスの山小屋で聞いたモミの梢の音かなあ。ポーチに立って耳を澄ましていると、地平線のずっと向こうのどこかでの誰かのおしゃべりや笑い声までが風に混じっていっしょに聞こえそうな感じがする。だって、風の便りっていうじゃない・・・

ネット接続復旧から一夜明けて、ありゃ、スパムメールも復活。そっかあ、受信箱に入ってくるメールのほとんどはスパムなんであって、ほんとうに意味のあるメールはごくごく少数ってことなんだ。つまりは、ちょっとの間ネットがつながらないからって、おたおたするこたあないってことか。考えてみると、旅行に出たらメールなんかチェックしないし、携帯メールなんてやったこともないし、だからって、別に不便しているわけじゃない。もしもスパムメールがなくなったら、ワタシのメールボックスは閑古鳥が鳴いて、さびしいことになってしまいそうだけど、まあ、何でもありで何の役にも立たないスパムメールも、枯れ木の山の賑わいってことか。山をにぎわす枯れ木の上を吹く風は、さしずめ風説の又三郎か・・・

お昼のニュースでは、内陸オカナガン地方のリゾート地域を猛烈な嵐が襲って、湖面は三角波が立つやら、気温は急降下するやら、木がばたばたと吹き倒されるやら。バンクーバーの郊外でもバスに木が倒れてきたり、停電したり。そういえば夕食後のおでかけの途中、ずいぶん折れた枝や吹き落とされた葉っぱ山になっていた。寝ていたから気がつかなかったけど、これはほんとの風害・・・

今日は早めの夕食を済ませて、久々にショー。メル・ブルックスの大ヒットミュージカル「Producers」はこの週末で打ち上げだから、うかうかしているとあと2枚残っているオープンの切符が使い残しになってしまう。もうひとつの劇場のオープンチケットは、忙しがっているうちに、今シーズンの出しものをみんな見逃してしまったから、まだ8枚がそっくり残っている。有効期間はあと1ヵ月。最後のショーに行っても、6枚分が残ってしまう。ああ、さしずめ1万円札が3枚、ひらひらと風に舞っていくの図・・・

このミュージカルはめちゃくちゃにおもしろい。実は3年前にニューヨークのブロードウェイで見ているし、オリジナルキャストのDVDも持っているんだけど、何度見ても飽きない。プロダクションによって微妙に演出が違ったりするからだろう。中でも、「絶対にひと晩でキャンセルになる」最悪ミュージカルの作者のナチ狂男を演じたジャクソン・デイヴィスは歌って踊っての大奮闘。この人は地元でよく知られた俳優で、70年代にバンクーバーの北のサンシャインコーストを舞台にして大ヒットした「Beachcomers」というテレビシリーズで、コンスタブル巡査(カナダでは巡査をイギリス式に「constable」というので、この役名だとConstable Constableとなる)を演じて人気者になった。ベテランの風格だなあ・・・

さて、日本はもう金曜日の終業時間が過ぎたところ。仕事メールが来ていないということは、この週末は(少なくとも日曜日の夜までは)完全休みモードになりそう。しめしめ、久しぶりにちょっと風太郎・・・

わが太陽の黒点

7月11日。朝からちょっぴり暑くなりそうな予感がする日。カレシは朝からちょっとご機嫌ななめ。きのうの夜に視界の上のほうで光がチカチカすると言い出した。ワタシも視界の隅で照明が「あふる」ように見えることがあるもので、そういったら「いや、閃光が見えるんだ」という。同じような現象じゃないかと思うんだけど、カレシはむきになって違うというから、違うんでしょ。そんなことがあって、今度は目の中に黒い点が見えると言う。「動いてる?」と聞いたら、「目を動かすと動く」と。ははあ、それは「飛蚊症」ってやつだ。

ワタシなんかだいぶ前から右目の中でひらひらとしてるのがあるけど、眼科の先生は老化現象のひとつだし、失明するわけじゃないから大丈夫、そのうちにあまり気にならなくなると言っていた、といったら、「こんな状態じゃやっていけないじゃないか!」と切れてしまった。やっていけないといわれたってなあ。だけど、何かが気になると、それにこだわってしまって、よけいに気になって、気になりすぎてストレスになってしまうのがカレシの性分だ。パラノイアの傾向もちょっぴりあるのかもしれないけど、それが性格なんだからしょうがない。だからといって切れらるのはたまったもんじゃないから、「ワタシに切れたって何もできないのに、そんなひまとエネルギーがあったらさっさとドクターに行けばいいでしょ」と、こっちも逆切れ。んっとに、もう・・・

しばらくして、しおらしく姿を見せたと思ったら、「これ、たいていの人が持っていることなんだってさ」と、ネットで調べたらしいことをとくとくと説明してくれた。だぁかぁらぁ~、さっき、ワタシがそう言ったでしょ?もう、んったく、ワタシの言うことは何にも聞いてないじゃん。まさに「話を聞かない男」の典型じゃん。(実は地図もあんまり読めないようなところがあるけど・・・。)まあ、目の前にいる人間の経験談よりも、ネット世界の他人の話のほうが聞きやすいらしいのは、どこぞの国の人っぽいかなあ。まあ、カレシはワタシの話を聞かないのではなくて、自分の知識として発表したいらしい。すなおにワタシの話を聞いてしまっては、男の沽券にかかわるとでも思っているんだろうなあ。ま、いっしょうけんめいググって、ああだこうだと情報を集めて、そろそろ眼科で検診してもらう時期だし、「ついでに」診てもらうとのご託宣。うん、そうした方がいいでしょうねえ・・・ついでに、ね。

それでもいろいろな情報を仕込んで一応は安心したのか、ご機嫌はなおったらしい。肉類の買い出しに行くついでに向かいのインドネシア料理店でディナー。ルンピアやレンダンやチュミチュミ(イカ)やナシゴレンをたっぷりたんのうしてから、ファミリーパックの肉類を山のように仕入れて、支払いの段になってクレジットカードが受付拒否されてしまった。同じアカウントのカレシのカードもダメ。おいおい、つい1時間前には使えたんだけど。ワタシのビジネス用のカードで払って、帰る途中、「黒い点が見えてきた」と。なんでもネットにはストレスになると目立つと書いてあったんだそうな。翻訳すると「ボク、ストレスなの」というところかな?「目は口ほどにものを言う」っていうけどねえ。ま、帰ってすぐに電話で問い合わせてみたら、スーパーのレジでスワイプした際に何らかの理由で自動的にセキュリティロックがオンになったらしいということで、いつのまにか誰かがビー玉くらいあるダイヤをお買い上げしたってことではなかったから、ロックを解除してもらって一件落着。やれやれ・・・

どぉお、わが太陽カレシ、黒点の活動は落ち着いたかなぁ~?

嗅覚肥大症候群?

7月12日。なんだかやっと何ごともない、だらだらの~んびりの1日。今のうちに楽しんでおかないと・・・なんて変にせかされる気分にもなるけど、そこはぐっと抑えて、今日は食べる以外は家事も勉強もなんにもしない日に決めた。(だいたいはそう決めた日が後になって休みモードの最終日だったということになるけど。)

ちょっとイラつき気味のカレシは、家の外でちょっと物音がするたびに外へ出て行くから忙しいことこの上ない。ポーチでどさっという音がしたのは、「2匹のリスが取っ組み合いをしていた」そうな。へえ、リスのレスリングなんて初耳だなあ。それにしても、いったい1日に何度外へ出て行くんだろう。何かをやっている途中でも、車のドアの音、庭やポーチでのかそこそいう音、なんでも耳にしたら出て行って確かめないと落ち着かないらしい。街中で暮らしていれば、いろんな生活音てものがあるはずだけど、ああやって毎日いったいどれだけの時間を費やしているんだろう。それが一生のうちに積もり積もってどれだけの時間とエネルギーが費やされるんだろう。なんとも損な性格だと思うんだけどなあ・・・

どうもまだスカンクが近所をうろついているらしく、夜になると悪臭が換気装置から侵入してくるから困る。夏になれば10時近くまで薄明かりが残っているから、犬や猫も遅くまで外に出ている。おかげで、犬がスカンクに遭遇する可能性がぐんと高まって、特にあまり賢くないらしい犬はまともにちょっかいを出す。スカンクの悪臭は一発ブハッとやると1キロ四方くらいで臭うというからすごい。そこへしてカレシがやたらと玄関を開けて外を点検するもので、玄関の内側まで臭いが入ってしまうから困る。そのうちに、またいつかのようにスカンクに出っくわして、今度はまともにぶちかまされるかもしれない。そんなことになったら、池にでも飛び込んで、臭いを落としてからじゃないと、家の中に入れてあげないよ~。

臭いといえば、日本の若い人の嗅覚はワンちゃん並みに鋭いらしい。加齢臭だ、加齢臭だと、なんだか日本人はみんな臭いのかとつい思ってしまいそう。白人は体臭がきつくてたまらないと愚痴る日本人が多いけど、はて、日本の西洋化もここまで進んだってことなのかなあ。加齢臭というのはノネナールとかいう物質が元凶だというので、ちょっと英語でググってみたら、出てきたのは日本人が書いた研究論文ばっかり。つまり、加齢臭というのは日本人特有の現象ってこと?ワタシが日本にいた頃にはそんな言葉はなかったなあ。いつも父の隣に座って、父の匂いをかいでいたけど、特に変な臭いはしなかったなあ。ある意味、なつかしいふるさとの匂いのように思い出すし・・・

加齢臭とかいう現象だけではないらしい。若いオフィスレディが一番ストレスを感じるのは上司の体臭と口臭なんだそうな。ここでもおじさんは「臭い!」と切り捨てられるかわいそうな存在。なんだか小学生がクラスの子を「くさい、くさい」とはやし立てていじめるのと似ていなくもないなあ。まあ、そういう時代に育ったお嬢さんたちだからかもしれない。でも、人間は視覚と嗅覚ばっかり発達したってアンバランスだと思うんだけど。そういえば、小町に「となりの洗濯物が臭い」というトピックもあった。バルコニーを隔てた自分の洗濯物にまで悪臭が移って、(迷惑になるから)外へ着て出られない。となりが洗濯物を干すと、自分の家の中にまで悪臭が充満して、もういても立ってもいられない・・・うへえ~。ここまで来たら、もう妄想症状に思えるんだけど、同調する書き込みがけっこう多かったからびっくりした。

こっちでもダンナの体臭がきつくてかなわんという日本人妻はけっこう多いらしい。「臭い、臭い」と髪を振り乱して、ファブリーズをシューシューやりながら家中を狂奔している笑うに笑えない図が浮かぶけど、ぶしつけな質問ではあるけど、いわゆる恋愛中は臭ってるのに気づかなかったの?それとも、その頃はぜんぜん気にならなかったの?カレシだって白人だからそれなりの体臭があるけど、わきの匂いも、汗まみれの時も、臭いと思ったことはないなあ。だって、それがカレシの匂いだと思っているから。これでもワタシは視力が低い分だけ嗅覚のほうが発達しているんだけどなあ。日本のお嬢さん方の嗅覚が超人的な鋭さにまで発達して、他人が臭くてイヤだというのは、生身の人間との接し方を知らないらしいポストバブルっ子の「人見知り」の表現なのかもしれない。小学生の「おまえ、くさ~い」と同じかな。

ああ、東京の街にはラーメンの醤油の匂いが漂っていたっけなあ・・・

びっくりデコデコ電

7月13日。静かな、静かな日曜日。日本の月曜の朝に合わせて、請求書を1本買いて送って、休みモードを再開。ジグソーパズルをやる。シェアウェアで買ったチェコの人が作ったソフトで、自分の画像を取り込んで、ピースの数や形を好きなように決めることができる。複雑にしすぎると、真ん中が今にも折れそうな細いピースができたりするけど、紙のパズルと違って折れない。ピースがなくなることもないし、やりかけのパズルはやりかけのままで保存されるから、置き場所に困らないのがいい。モニターの大きさが制約になって、800ピースが限度だけど、仕事の合間にちょっと開いて、何個かはめるのが手軽な息抜きになっている。

設定を変えれば同じ画像で何度でも遊べるけれど、色合いで場所の見当がついてしまうようになると、やっぱり飽きてくる。そんなとき、右クリックで簡単にダウンロードできる画像は手軽な材料になるから、新聞やニュースサイトのフォトニュースのセクションを毎日見て回る。読売新聞のサイトにはできの良いニュース写真があったんだけど、ダウンロードさせてくれなくなったのが残念。朝日新聞もけっこういい。料理のセクションなどはカラフルな写真の宝の山だ。在日本外国人向けサイトにはよくおもしろいのが登場する。NOVAうさぎのポスターしかり、ハローキティちゃん各種しかり。

そうやって集めた何百ものファイルのひとつが「デコ電」。というか、携帯だけでなく、腕時計やゴルフのクラブまで、デコデコ。ビーズだのをびっしりくっつけてキラキラ。とにかく飾り立てることが流行っているらしい。そういえば、東急ハンズにも蒔絵風に飾るキットを売っていたし、ビーズだの宝石風のガラス玉だのもたくさんあった。デコ電なんて聞いたことも見たこともなかったから、「なんじゃ、こりゃ?」と目が点々になった。ワタシにはどうしても「ゴテ電」に見えたけど、はやりということは、好きな人が多いってこと。「ワタシだけのものが欲しい」、「目立ちたい」という心理はなんとなくわかる。要するに、「和を以って尊しと為す」のにうんざりしたってことなんだろう。いくら日本はそういう文化なんだといっても、やっぱり人間は生まれつき十人十色だから、自己主張のひとつやふたつ、したくもなるよなあ。それができないから、自分の所有物を「カスタマイズ(自分だけのもの)」することで自己主張しているってことでしょ?

だけど、近頃はデコ電を専門とする人が登場して、あちこちにデコ電教室なるものができているそうな。さ~すが、なんでも「教室ビジネス」になるカルチャー教室大国ニッポンならではの現象。セレブ先生やカリスマ先生が女性雑誌でもてはやされて、あっちの教室、こっちの教室と飛び回り、習いに来る生徒(それとも弟子なのかな?)は「今、○○先生のデコ電教室に通っています」とほっこりブログに書くんだろうか。ドールハウスが流行っていた頃はドールハウス作家なんて人たちがぞろぞろ女性誌に登場していたらしいから、そのうち、デコ電作家なんて人たちが登場するのかなあ。(と、ちょっとググって見たら、ひゃあ、もうアーティストに昇格しちゃってる。雑貨アーティストなんてのもあるけど、何じゃ、それ?)

ということは、華道や書道のように、先生が家元になって、弟子入りした生徒は大家元から師範免許をもらって家元に、というふうにピラミッド式の組織ができて来て、街を歩くと、「○○流デコ電教室」なんて看板が出るようになるのかなあ。まあ、ドールハウスと同様に、いっときだけマスコミにもてはやされて、やがて飽きられるのがオチだろうけど、自己主張するのにも教室/学校があって、何級とか何段とか、ヒエラルキーを作らなければできないらしいのは、やっぱり和を以って尊い日本人なのかなあ・・・。

バスティーユデイの暗黒

7月14日。月曜日。バスティーユデイ。フランスでは「Quatorze Juillet(7月14日)」というそうだけど、アメリカで独立記念日のことをよく「Fourth of July(7月4日)」というのと似ている。それがまたなんで日本では「パリ祭」という呼び方になっちゃったんだろう。ロマンチックに夢見る日本人らしくていいことはいいんだけど、パリジャンには「Fete de Paris」なんて言ってもわからないだろうなあ。まあ、わからなくたって、パリ祭は日本人のものなんだから、日本人の好きなように祝えばいいのかも。

今日は正午より前に起き出して、朝食を食べながらお昼のニュースを見ていたら、けさダウンタウンで爆発があって、ビジネス街が大停電で大変なことになっているという。どうも地下の変電設備が故障か何かで爆発してマンホールのふたを吹き飛ばしたらしいけど、有毒な黒煙がもくもくと上がって、周囲のビルは全員避難ということになったとか。交通信号もぜんぶダウンして、渋滞なんてもんじゃないらしい。停電したオフィスタワーでは、仕事にならないからと出勤してきた社員たちを帰宅させたというニュース。オフィスビルだけじゃなくて、ホテルも店もレストランも真っ暗。なにしろダウンタウンの中心部がそっくり停電しちゃっているわけで、銀行のATMも停止しているというから、えらいこっちゃ。

朝食後、思い立ったが百年目のカレシにつきあって、リサイクルデポに紙や段ボールの類を持って行った。大きなゴミ袋2つにいっぱいにシュレッダのゴミ。たまったカタログや雑誌の山。段ボール箱にためておいた封筒やチラシの類。トラックに積んで、近くのデポまで。何ヵ月もためこんだ不用品だけど、捨てるのは5分足らず。でもまあ、ゴミを捨てるってのはけっこう気分がすっきりするし、ちょっとは環境保護に貢献しているわけだし、ほんのすこ~しだけ家の中が広くなった気分になるし・・・

ひと仕事?したところで、コンピュータを立ち上げて、メールを下ろして、ニュースを読んで・・・10分ほどして「接続なし」のメッセージ。おいおい、またかいな。こんどは文句を言ってやらなくちゃと、テクニカルサポートに電話したら、「今朝バンクーバー市内で発生した停電のため、ただ今・・・」というアナウンスのテープが流れた。そうか、ここはダウンタウンにハブがあるから、停電のおかげでサーバーがもろにオフライン。「電力会社の発表では、午後7時ごろ復旧の見通し」というけど、夕食時のニュースでは朝までかかるかもなんていっている。これこそほんとのブラックマンデイだなあ。

食後に日本からカナダに戻ってくることを考えているという同業者が訪ねてきて、ひとしきりおしゃべり。日本には10年以上も住んでいたそうだけど、ふと「終の棲家」を思いやったら、やっぱり帰りたくなって、何年か前に家を買ったんだそうな。それで準備を始めようかという段階になったらしい。大学の講師の奥さんはオーストラリア国籍で、二人の間に日本で養子にした日本人の幼い子供がいるとか。子供はひとりだけの戸籍を持っていて、カナダ人の養子になったことでカナダ国籍も取得。つまり、親子三人が別々の国籍を持っているということ。まあ、ハリウッドのセレブでなくても、こっちの人たちは人種の違う子供をあたりまえのように養子にするから、別にめずらしいことではない。家族観の違いなのだといってしまえばそうなんだけど、血よりも濃い家族関係だってあるってことだろうなあ。

ひとしきり翻訳談義に花を咲かせて、郊外の滞在先へ帰るのを見送って、オフィスに下りてきてみたら、「接続しました」というメッセージ。午後10時。でも、ニュースによると、まだ停電しているところが残っているらしい。あしたの午後にカレシが予約を入れた眼科はダウンタウン中心の高層ビルのひとつ。だいじょうぶなのかなあ・・・

明るい夏の日の明暗

7月15日。ダウンタウンのブラックアウトから一夜明けた火曜日。昼のニュースによると、一部の地区でまだ停電が続いている。電力会社のサイトの地図を見たら、眼科のあるビルは赤で囲まれた未復旧地区のちょうど外になっている。少しずつ復旧してはいるものの、停電区域の東側半分はまだ遅れているような感じだ。電力会社は昼夜兼行で焼けた送電ケーブルの取替え作業中だけど、何しろ地下だから人間が入って作業できるのはマンホールの部分だけ。直径が7センチもあるケーブルが何本も焼けたということで、最終的には水曜日の夜中くらいまでかかるらしい。

カレシが念のために眼科に電話してみたら、平常通りとのこと。実際はまったく影響がなかったんだそうな。まあ、大きな地下モールがあるパシフィックセンターの一部だから、停電した送電系統とは別になっているのかもしれない。交通信号も予備の電源で機能しているそうだし、予定通りにでかけることにした。ポーチの温度計は21度と暑そうだからスリーブレス。ダウンタウンは特に日差しが強いからこの温度でも十分に暑い。車もエアコンをかけて、あまりグリーンじゃないかもしれないけど、まあ、週に1回くらいしか動かない車だから、いいことにしとこ。

ダウンタウンへの道路は未だにオリンピック関連の地下鉄工事でてんやわんや。一部は舗装を終えて、開通したものの、途中がまだ工事中だから、まるでF1レースよろしく、ジグザグコース。いっそ現状復帰する前にインディカーレースを開催したらもうかるかもしれないのになあ。それでも週日の午後にしては交通量が少ないような気がする。で、ダウンタウンへ入ってみたら、パーキングメータは選り取り見取り。あっちこっちにスペースが空いている。そっか、まだ復旧していないビルに入っているオフィスは今日も臨時休業だろうし、天気があまりにもいいものだから、朝のニュースで「まだ停電が続いていて・・・」と聞いただけで、「おお、今日も休みだ」と決め込んでさっさと遊びに行ってしまった人たちもいるだろう。(昔、カレシも朝起きて外が銀世界なのを見て、「今日は休みだ」とサボったことがあったっけ。)

眼科で検診した結果、飛蚊症。こっちは数が増えたりしなければ心配ないけれど、閃光のようなものが見えたのはたんぱく質かなにかの破片が遊離するときに網膜が引っ張られることがあるそうで、穴があくこともあるので、そういうときは網膜剥離に進行することもありえるということで、念のために網膜の状態を精密検査してもらうことになった。ただし、こっちが専門の眼科先生はバケーションで留守なので予約が取れるのは月末。まあ、今すぐにどうかなるということじゃないから、あわてなくてもいいってことなんだろう。検診の方は医療保険でカバーされないので92ドルかかったけど、専門家の診察は医療になるので保険がきく。それでもカレシは少し安心した気分らしい。

瞳孔を拡大するために入れた点眼薬の効果が切れるまではちょっと視界がぼやけているということで、コリアンスーパーのHマートで買い物をして、ついでに大き目のブランディグラスを探そうかということになって、スーパーのあるビルまで行ったら、ドアが閉まっていて、「停電のため臨時休業」という張り紙がしてあった。隣の店も、向かいのスーパーも閉まっている。冷凍食品はきっと融けてしまっただろうなあ。刺身用のマグロの塊とか、ああ、もったいない。ブランディのグラスは見つからなくて、結局メーターに1時間も残したまま、野菜の買い出しへ。ラッシュアワーの時間帯なのに、ほんとに車の数が少ない。

行きつけの青果屋にはローカルのブルーベリーがあった。ブルーベリーは目にいい成分があるそうで、どんと1キロ入りのパックを買った。朝食のシリアルによし、アイスクリームによし。夏はいいなあ・・・