リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2010年12月~その3

2010年12月31日 | 昔語り(2006~2013)
ターダッキンのバロティーヌ

12月21日。火曜日。公式の冬初日。じわ~っと湿っぽい典型的なバンクーバーの冬の日。正午を過ぎて、のんびりと起きて、しばらくだらだら。今日は久しぶりにイアンとバーバラが来るので、3時くらいからおもむろに今夜のディナーの準備にかかる。

今日のメニューはカレシが雑誌でレシピを見つけてご要望のカリフラワーのクリームスープの白トリュフオイル添えと「実験料理」。もっとも「実験」といっても、まったく新しい創作というわけではなくて、アメリカ南部の「ターダッキン」のバリエーション。この名前はターキー、ダック、チキンをつないだもので、数年前にナショナルジオグラフィックの記事で読んで以来、いちどは試してみたいと思っていたもの。アメリカで感謝祭の頃に作られるターダッキンは、詰め物をした骨抜きの鶏を丸ごと骨抜きした鴨の中に詰め、その鴨を骨抜きした七面鳥の中に詰めてローストするという豪快な料理。大きなものだと15キロぐらいになるそうで、ひと切れだけで6、7百カロリーはあるというからすごい。

一度は食べてみたいと思っても、何よりも丸ごと骨抜きの七面鳥も鴨も鶏もないからまず無理。ルイジアナ州の小さな町の「専門店」から取り寄せる手がないではないけど、2人しかいない我が家では小さい七面鳥1羽だけでも持て余すし、ひと皿食べただけでカロリー過剰になって年を越せずに人生が終わってしまいかねない。それでも一度は試してみたいと思いつつ、ある日思いついたのがバロティーヌにすること。三種類のとりを重ねて、中心にスタッフィングを入れて、くるくる巻いて焼けばいい!

そこで、七面鳥の胸肉を買ってきて、左右を3枚ずつに開いて縦に並べ、鴨の胸肉も同じように開いて七面鳥の上に重ね、鶏の胸肉も同様にして鴨の上に重ね、ラップをかぶせて叩いて平らにした。最後に作って冷ましておいたスタッフィング(玉ねぎ、セロリ、りんご、クルミ、パン粉、赤ワイン)を置いて、巻き寿司の要領で丸太のようにロールアップ。ひもで何ヵ所かざっと縛って、直径10センチ近い「ターダッキンのバロティーヌ」のできあがり。アルミホイルに包んで冷蔵庫でしばらく落ち着かせる・・・。

4時頃にイアンとバーバラが来て、カレシがイアンと政治談議をやっている間に、ワタシはバーバラと女同士のおしゃべりをしながらカリフラワーのスープ作り。メインがかなりの量になりそうなので、今日はスープとサラダだけのコース。カレシは野菜を大皿2枚に適当に並べて、最近「創作」したポン酢ドレッシングを添えて、サラダ担当を完了。タイミングを計ってターダッキンをオーブンに入れ、クレムフレッシュを落として、イクラをちょこんと乗せたファイロパイのミニカップを即席の前菜にして、バーバラの注文でカレシが作ったマティニでキッチンで立ったまま乾杯。この頃はキッチンでのもてなしがけっこう受けているという話で、グルメ料理を趣味にする人が増えて、ホームパーティでは料理をしながらグラスを片手にゲストとおしゃべり、という構図が発展してきたのかもしれない。(だから、宝くじが大当たりしたら、最新鋭の設備の広いキッチンと本格的なバーを作るつもりでいるんだけど・・・。)

それでもディナーはやっぱりきちんとセッティングしたダイニングテーブルの方がいい。おしゃべりに夢中のみんなを何とかテーブルに着かせて、ポタージュに仕上げたスープを小鉢に盛って、上にほんの少しの白トリュフオイルをたらりとかけ回して、食事の始まり。とろみにパン粉を使ったせいかほんのりとした甘みがあって、トリュフの香りがいい。カレシ特製のサラダの後は、いよいよメインのターダッキン。輪切りにして、カルヴァドスで味をつけたグレヴィーと蒸した野菜を添えてテーブルへ。

一番外側の七面鳥が少々ぱさついたけど、味はなかなか乙なもの。ぱさつかせずに仕上げる方法をバーバラとあれこれと論議。ホイルに包んだままで焼いた方がいいんじゃないかとか、最初にうんと高温で七面鳥の外側を焼いて密封してから低温でゆっくり焼いた方がいいかもしれないとか、ああでもない、こうでもない。カレシとイアンは男同士でああでもない、こうでもない。ときには2組の会話が交差してのおしゃべりは(いつものように)11時過ぎまで続いたのだった。

本年の営業は終了しました

水12月22日。曜日。今日も雨っぽい。今日は今年最後の掃除の日で、いつもだいたい正午過ぎにシーラとヴァルが来るので、目覚ましを午前11時50分にセットしておいた。もっとも近所で2軒の家が新築中なもので、9時とか10時ごろにハンマーやトラックの音で何となく目が覚めることが多い。平日でみんな仕事をしているんだし、いつもすぐにまた眠りに戻って、正午くらいに普通に目が覚めるから別に問題はないか。

トーストを食べ終わる頃に、シーラとヴァルがレクシーをお供にやって来た。レクシーはランチに好物のハンバーガーをもらってご満足らしく、ワタシの安楽椅子に飛び乗って、丸くなって昼寝。毎日がこんなんだったら、犬の暮らしも悪くないよなあ(ま、少なくとも犬にとっては)。オフィスの掃除が済むのを待って、今年最後の仕事にかかる。絶対に、ぜ~ったいにこれが最後と決めた仕事。格別に高級な文章という注文なんだけど、原稿にぜんぜん厳かな感じがないから、どうしたもんだろうなあ・・・。

家中の掃除が終わったところで、シーラがパーティをしようと持って来た赤と白のワインを開けて、冷蔵庫から用意してあったおつまみ類を出して来てダイニングテーブルに広げて、「今年も1年ありがとう」と乾杯。毎年の習慣でボーナスの入ったカードを渡す。掃除料は2人で2週間おきに1回80ドルだけど、1年分のチップだから1人100ドルずつ。ほんとに今年も散らかしっぱなしの家をきれいにしてくれてありがとう。2人がいなければ自営業現役のワタシはお手上げ。あと3年くらいは手伝って欲しいけど、シーラはカレシと同い年の67歳だし、ヴァルも来年の春には59歳。う~ん、2人のようにかっちりと掃除をしてくれる良心的なハウスクリーナーはなかなか見つからないからねえ。

外が暗くなったところでにぎやかにおしゃべりの「パーティ」はお開き。おつまみとワインのおかげであまり腹ペコ感はないけど、とりあえず冷凍のおでんセットを出して来て、大根をぶつ切りにして煮込んで、冷凍してあった寿司飯の残りをいったん電子レンジで温めてから冷まし、小分けしてあったゆでエビと冷蔵庫に残っていたイクラで速攻の握り寿司を5個。しゃべりながらだいぶワインを飲んだので、夕食はお酒抜き。ホリデイシーズンはまだまだ先が長いから・・・。

さて、今年最後の仕事を仕上げてしまうことにしたけど、「最後」でもあるし、わりと小さいものでもあるし、何よりも難しくはないけどダラダラした原稿でもあるし、さっさと仕事納めをしてしまうはずだったのになぜかちんたらちんたら。1ページくらいやっては、小町をのぞいたり、ブログを書いたり、ニュースを漁ったり。夜中を過ぎて、寝る前までに済ませて送信しないと期限に間に合わないんだけど、まだ半分しかやってないよ。どうするのかな。大丈夫なのかな。2010年度最後の仕事なんだから、まじめに終わらせてしまえば、あしたからお正月の三が日が明けるまで、心おきなく羽を伸ばせていいんじゃないかと思う・・・けど。

クリスマスイブのイブ

12月23日。木曜日。寝入りばなにすごい大風が吹き始めて、雨も降り出してのかなりの嵐。天気予報は大みそかまでほぼぶっ通しで雨。でも、強風でバンクーバー島と本土を結ぶフェリーが軒並み欠航して、クリスマスの帰省客は大迷惑らしい。それにしても、よく降るなあ。これがバンクーバーの冬なんだけど、よく降るもんだと感心する。

今年はクリスマスが土曜日、ボクシングデイが日曜日で、どちらも振替になるから、土曜日から火曜日までの四連休。あしたのイブはいつも遅くまで開いている店でも午後5時か6時くらいには閉まってしまうから、クリスマスショッピングは今日が事実上の最終日。どこのモールもラストスパートをかける買い物客ですごい人出らしい。今日はまだクリスマスイブの前のイブイブなんだけど、仕事はどうしたんだろうな。クリスマスイブと大みそかにはだいたいの店が早く閉まる。もっと早くに閉まるオフィスもけっこうあって、午後にはもぬけの殻になるところも多い。公務員時代も、その後の秘書時代も、祝日の前の日にはみんな出勤したらまっさきに人事課に電話して「今日は何時に帰っていいですか」と聞いていた。まあ、「5時!」と言われることが多いけど、クリスマスイブと大みそかは別。公務員時代には朝一番に「午後1時以降は退勤自由」というお達しが回って来ていた。もちろん1時までは昼休みだから、実質的に正午までの半ドンだったわけで、午後になってもまだオフィスに残っているのは恋人も家族もいない人たちということになっていた。当然、帰りのラッシュアワーも正午に始まって、日が暮れる頃には終わっていた。

日本ではクリスマスは恋人たちのイベントということになっているらしい。恋人のいない人はさびしいだろうと思うけど、草食系男子と呼ばれる新種の日本人にとっては、プレゼントだの食事だのホテルだのとお金のかかる相手がいなくて、あんがい楽でいいのかもしれないな。小町だったかな、数ヵ月付き合っているフランス人の彼氏がクリスマスに一時帰国するのに誘ってくれなかったというトピックがあった。要するに、ワタシってその程度の存在なのかと言う相談だったと思うけど、「1年で一番ロマンチックなイベントなのにひとりで帰ってしまうとは、そのフランス野郎はけしからん」といった投稿があって、「?」と思った。ワタシが日本で「若い女性」だった頃には、クリスマスなんてのはその頃はやり始めていた「家族サービス」の日で、満員バスの中でクリスマスケーキの箱を潰さないように四苦八苦しているサラリーマンおじさんたちを微笑ましく見ていたもんだけどな。いったいいつから恋人たちのお祭りになったんだろう。

フライドチキンがクリスマスディナーの定番になり出したのもあの頃だったかな。札幌の中心部にKFCの第一号店ができて、クリスマスに買いに行ったような記憶がある。母が天火を使ってはねる油に苦労しながら鶏の丸焼きを作ってくれたことがあって、KFCの鶏の足が登場して便利になったと思った。最近はすっかり定着したらしくて、毎年ジグソーパズル用に広告の写真をコピーしているけど、日本のクリスマスディナーはケンタッキーフライドチキンだと言ったら、こっちの人は「へ?」という顔をする。だって、あれはテイクアウトのファストフードだから、クリスマスディナーとはミスマッチもいいところで、たぶんすぎにはイメージがわかないんだろう。恋人とのクリスマスディナーがフライドチキンというのは、たぶん想像を絶しているだろうな。もちろん、ロマンチックな恋人たちはフライドチキンのバケツにコールスローなんてものじゃなくて、ちょっとお高いレストランでローストチキンを優雅に食べるんだろうとは思うけど。何でも、今年はマクドナルドもクリスマスパックを売り出したと言う話で、どんなものが入っているのか興味深々。日本のマクドナルドには不思議なハンバーガーがあるらしいから、きっと独創的なクリスマスバーガーだろうな。それとも、クリスマスはチキンだから、独創的なマクナゲットか・・・?

さて、ごぶさたしている友だちに長い、長いメールを送り終わったし、カレシに約束したバゲットもそろそろ焼き上がる頃だから、ガーリックをローストして、あしたからの晩餐に備えなくちゃ・・・。

クリスマスは12日間も続く

12月24日。金曜日。起きてテレビをつけたら、世界はもうクリスマス一色。こっちはイブの朝だというのに、いつもながらほんのちょっぴり白けるけど、何しろ丸い地球の時間帯のしんがりに近いんだからしょうがない。それに、雨がじゃぶじゃぶ。大雨注意報が出ているけど、サンタクロースもボートに切り替えた方がよさそう。それだと、トナカイは先に北極に帰して、イルカにボートを引っ張ってもらうのかな。何となくエキゾチック。それとも、白いヨットでかっこよく来るとか。まあ、最悪の場合は泳ぐという手もあるな。オーストラリアでは波に乗って来るみたいだけど、サンタクロースは泳げるのかなあ。泳ぐくらいの大雨が降らないといいけど・・・。

今日は今年最後のごみ収集の日で、いつもより少し遅めだったけど、イブだからとはしょらずにトラックが回って来た。なにしろ、バンクーバーのごみ収集は祝日ごとに1日ずつ曜日がずれるしくみで、祝日が3日もある今の時期はへたをすると収集日が10日以上も先になってしまう。我が家のあるゾーンは運悪くイブが収集日に当たってしまったので、次の収集は来年の1月5日で、なんと12日目。まあ、我が家はノンリサイクルのゴミが少なくて、普通でも毎週出していないから不便なわけではないんだけど、(担当のカレシが)ぐうたらをして2回も出さずにいたらゴミ容器が満杯になっていたので、今日はちょっと心配だった。やれやれ・・・。

郵便局の方は早々に配達を切り上げたのか、今日は何にもない。なぜか金曜日に郵便が来ることの方がめずらしいくらいなので、今日も「休み」なのかもしれないな。西ヨーロッパや北米の東部でかなりの荒れ模様だから、郵便物の流れも乱されているんだろう。まあ、「Christmastide(クリスマスの季節)」というのはクリスマスから数えて12日間のことだから焦ることもない。日本的な感覚だと、大みそかと元旦を通り越して「クリスマス」をやっているというのは「だらしない」ということになるんだろうけど、別にいつまでもだらだらとクリスマスを引きずっているわけじゃなくて、キリスト教ではそういうことになっているというだけの話。ツリーを飾って、イブをやって、クリスマスをやって、さっとツリーを片付けて、さあ次は正月のしたく・・・は、ちとせわしなくない?

マザーグースには『Twelve Days of Christmas』という古いクリスマスキャロルがあって、これが覚えるのが大変だけどめちゃくちゃおもしろい。愛しい人からのクリスマスの贈り物、1日目は「梨の木のウズラ」、2日目は「2羽のキジバト、そして梨の木のウズラ」、3日目は「3羽のめんどりに2羽のキジバト、そして梨の木のウズラ」、4日目は・・・とだんだん増えて行って、12日目には「12人の飛び跳ねる殿様に11人の踊るお姫様に10人のドラマーに9人の笛吹きに8人の乳絞り娘に7羽の泳ぐ白鳥に6羽の卵を産んでいるガチョウに5つの金の指輪に4羽のクロドリに3羽のめんどりに2羽のキジバト、そして梨の木のウ~ズ~ラ~」みたいに終わる。もっとも、盛り上がっているときは5日あたりから贈り物を思い出せなくなって来て、息が合っていた輪唱が不協和音になって、最後にはみんな笑いこけてしまう。そ、クリスマスは12日も続くの・・・。

アメリカのある金融機関が毎年この12日間のクリスマスの贈り物の値段を集計して、軽いノリで発表する。「クリスマス価格指数」は12種類の贈り物の価格の合計で、2010年は23,439ドル38セント(約200万円)で、前年より9%以上も値上がりしたそうな。もうひとつの「クリスマスの真の費用」は12種類の贈り物を歌の通りに順次増やして行ったときの12日分の総計で、今年はなんと96,824ドル29セント(約800万円)もかかるとか。(オンラインで最も安いものを探して買うといくらになるかというバージョンもあるらしい。)まあ、バブル景気はもう遠い昔の話しだし、ロマンチックなクリスマスでも、800万円もかけて12日間もプレゼントを続けるとなったら最後には破産して、相手からも「条件がちょっと・・・」とお別れされてしまうかもしれないな。

クリスマスのプレゼントはサンタクロースが持って来てくれるのが一番だよね。さて、そのサンタクロース、もうどこまで来ているかな。

2人家族は巣ごもりのクリスマス

12月25日。クリスマス。一応雨は止んで、何だかじわ~っと湿っぽいけどまずまずの穏やかな日。のんびりと朝食をして、コーヒーを飲みながらゆっくりとプレゼントの交換。

今年のカレシからのプレゼントはワタシのリクエストで細身でいかにも怖い魚おろし用のナイフと魚をゆでる鍋。細長い鍋の中底を入れたり出したりしながら、ひょっとしたら大きなラヴィオリをゆでるのにも使えるかなあ、なんて想像をたくましくしてしまうのがワタシ。カレシへのプレゼントはワタシと「おそろい」のポータブルDVDプレーヤー。画面が8インチのおひとり様用で、ワタシも隠してあった自分の分を持ち出してきて、これでやっと好きなときに講義のDVDを見られるぞ~という気分。カレシはさっそく「お、あれもできる、これも使える」とご機嫌の様子で、DivXとかMP3のW何とかがどうのと言われると、へえ、おもちゃのつもりだったけど、けっこういいものをあげたんだと、うれしい気分になる。ま、プレゼントに関してはいいクリスマスだね。

さっそくプレーヤーの充電を始めて、午後は完全なる「休みモード」。家族がみんな集まっているマリルーのところに電話でクリスマスの挨拶。思い出せば10年くらい前まで、クリスマスは最初はママのところ、人数が増えて手狭になってからはマリルーの家で過ごすのが習慣だったから、ツリーは飾っても自分たちの家でクリスマスをしたことがなかった。カレシは「めんどうくさい」と言いつつ出かけていたし、今は亡きパパも、「めんどうくさい」と言いながら私たちの車に便乗して出かけていた。飲んで食べて、ひと騒ぎして、帰り道の車の中では「酒が多すぎる。食べ物が多すぎる。胸が焼ける。腹が痛い」と文句たらたら。ママに「節制しないからでしょ」と一蹴されていたけど、な~んか似たもの同士の父と子のような・・・。

マリルーがパートナーのロバートと車で1時間半はかかる郊外に家を買って引っ越してからは、クリスマスはお互いにもっと向き合う機会だと思って、遠いことを口実に家族のクリスマスから外れることにした。2人だけではさびしかろうと呼んでくれるのはわかっていても、やっぱり私たちは外野。小さいときに父親を亡くし、その後母親の再婚先で継父や異父姉妹たちと折り合えずに辛い少女時代を過ごしたマリルーにとっては、「仲良しの大家族」が夢だったようだから、それはそれで良かったと思う。クリスマスは家族の季節なんだから。ちなみに、今年は息子夫婦と2人の子供、娘夫婦と2人の子供、ロバートの娘夫婦と2人の子供、息子と現行のガールフレンド、元夫でカレシの弟のジムとガールフレンドのドナ、それにママが加わって、総勢19人ということで、電話の後から今にも家が爆発しそうなくらいのにぎやかさが伝わってくる。クリスマスは彼女にとって1年で一番幸せな日なのだ。

私たちの「おふたり様クリスマス」は、2人だけのプランを立てて、我が家でごろごろして過ごして、のんびりと食べて、飲んでの1日。カレシは今頃になって「昔は退屈だったなあ」と言うけど、うん、自分たちの好きな食べ物をどっさり備蓄して、誰にも気兼ねせずに巣ごもりできるのは気楽でいい。もっとも、カレシがクリスマスミュージックのCDを焼くのを忘れたので、ロマンチックな雰囲気はイマイチ。カレシ曰く、「来年は絶対に作るからね」と。は、去年も同じことを言っていたんじゃないのかなあ。だけど、この年になったらロマンチックなムードよりは何よりも食い気が先だから、ま、いいか・・・。

何となくフレンチなクリスマス

12月25日。近所の一帯はし~んと静まり返ったようなクリスマスの1日。夕方には南の方にかすかな雲の切れ間が見えた穏やかな日。今日はトレッドミルも休み・・・。

今日のメニュー:
 アミューズブーシュ(フォアグラとブランディのリダクション)
 りんごとパースニップのスープ
 鴨の足のコンフィ、スイートポテト、アスパラガス添え
 クリスマスカラーのサラダ
 デザート(バナナ、リキュール2種、チョコレート)

[写真] 生(冷凍)のフォアグラを扱うのは初めてなので、2個入っていたうちの小さな方を使って、アミューズブーシュを作ることにした。赤と黄色のビーツをスライスして軽くロースト。ブランディを煮詰めてソースにして、フォアグラを少し高めの温度でさっと焼いて、今年のクリスマスディナーはちょっとばかりフランス気分。(もっとも、ワインはアルゼンチン産のマルベックのロゼ・・・。)

[写真] パースニップは見た目がごつい感じの白っぽいせり科の根菜。アメリカボウフウというらしい。これもワタシは初めて扱うので、りんごと合わせたスープのレシピを見つけて試してみることにした。(カレシは子供の頃に嫌いだったそうで、半信半疑・・・。)皮をむくと何となくかんきつ類のようないい匂いがする。リークの白いところとにんにくを入れて軽く炒めて、りんご(ジャズという新種)を入れる。ベースはチキンストックとタイムの小枝。レシピに書いてあったスパイスのうちのターメリックがなかったので、3種類が全部入っているカレー粉で代用。ハンドブレンダーでポタージュして、セロリの薄いスライスを飾りにしてみた。ちょっと甘酸っぱくて、なかなかいい味。

[写真] おなじみのフランスの田舎料理。脂に沈めたままで冷ますと何ヵ月も持つというから、農家の保存食として発達したんだろうな。今日の付け合わせはスイートポテト。クリスマス料理によく使われる食材で、日本のサツマイモと同じ種類だと思う。(よく似たイモにヤムというのがあってよく混同されるけど、こっちはまったく別の種類だそうな。)見た目はサツマイモにそっくりで、2つに切って見たら中は鮮やかなオレンジ色。ん、サツマイモは黄色かったような気がするけど。いずれにしても、料理するのは初めてなので、半分ほどを小さいさいころに切って簡単にゆでてみたら、うん、サツマイモ的な味。たまたま赤と緑が混じったピーマンがあったのでかいわれと一緒に飾ってみた。

[写真] クリスマスの色は赤と緑なので、カレシにクリスマスカラーのサラダを作ってもらった。赤はトマトと赤ピーマン、緑はほうれん草とルッコラ。テレビで『くるみ割り人形』を見て回った舞踊評論家の話をしていたので、思いついてクルミをぱらぱら・・・。

[写真] 時間をかけて食べたおかげで少し余裕があったから、デザートは熟れ過ぎかけているスライスしたバナナにクレムドカカオとバナナリキュールをかけて、溶かしたダークチョコレートをたらたら。思いつきの即席デザートだけど、おいしかった・・・。

フランスの田舎のクリスマスってどんな感じなんだろうなあ。ま、ロマンスより食い気のクリスマスの夜は更けて、ああ、おなかいっぱい・・・。

国際結婚と普通の結婚は違うの?

12月26日。日曜日。ボクシングデイ。雨はまあまあだけど、今度は風がすごい。クリスマス翌日のこの日は恒例の大バーゲンの日で、この天気でもダウンタウンやモールは「激安」を求める人でかなり賑わっているらしい。売れ残ったクリスマス用品も激安になるから、カードや包み紙を大量に買い込んで来年に備える人もいる。いつも目玉のエレクトロニクス製品はだいたいがモデルチェンジ前の在庫一掃セールなんだろうけど、最新モデルでなくたって普通に使えるものなんだから、激安で得した気分になればめっけもの。もらえなかったプレゼントに最適というところ。

今日のカレシは、なぜか起き抜けに秤に乗って「2ポンドも増えた」と騒いでいる。毎日どころか1ヵ月に1度か2度しか測らないんだから、昨日から2ポンド増えたというわけでもないだろうし、それに、2ポンドってたったの1キロなんだし、と言ったら「キミはどうなの」と矛先を向けてきた。ええっと、ワタシは1ポンド。昨日と比べて1ポンド増えていたけど、それって500グラム。まあ、2ポンドだろうか1ポンドだろうが、トレッドミルに戻ったらすぐに減るって・・・。

今日は「何にもしない日」。午後いっぱいダラダラして(トレッドミルの運動はしたけど)、魚と野菜の定番メニューに戻った夕食後もダラダラ。カレシにいたっては、ホッケーの中継をしているテレビの前のリクライナーで高いびき。ふむ、この分だと今日も就寝は午前4時過ぎだな。夕食後にテレビの前で1時間も眠ってしまうから、夜中を過ぎると目が冴えて元気いっぱいになる。ワタシは昔からかなりの宵っ張りだと思っていたけど、カレシは夜型人間に生まれついているらしい。ま、翌日の午後に予定がなければ何時に起きようとかまわないし、日本標準時で仕事をしているワタシにはもっけの幸いだから、ご隠居さんには好きなだけ居眠りしてもらっていいんだけど。

のんびり小町をぶらついていて、結婚することになった北米人の彼と、それぞれの両親に会う頻度についてびっくりした会話があったという相談に出くわした。まあ、日本人同士だって義理の親とはあまり付き合いたくない人が多いからなあと思ってのぞいてみたら、本人は毎年1回は日本へ帰るつもりなのに、相手が50/50で自分の両親にも同じ回数来てもらうと言ったのは「ずるい」。自分の里帰り費用だってかなりなのに大陸の反対側に住む両親を同じ回数呼ばれたら費用がバカにならない。自分はストレスの多い海外生活になるのに、結婚しても生まれ育ったアメリカに住み続けられるんだからありがたいハズ・・・と。いや、びっくりした。人ごとだからどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど、この結婚、どのぐらいもつかな。

でもまあ、小町の国際結婚トピックへの書き込み読んでいると、こういう、自分の方が大きな犠牲を「払わされた」と思っているらしい「国際結婚妻」はけっこう多い。両親や家族、友だちを故国日本に残して、言葉も文化も生活習慣も違う外国くんだりまで来てあげたんだから、上にも下にも置かぬ丁重な扱いをしてくれて当然。異国でさびしいだろうと思いやってくれてあたりまえ。だから、1年に1度や2度は1ヵ月や2ヵ月の里帰りを(夫の金で)させてくれてあたりまえ。現地の言葉もままならない妻(お姫サマ)を家族や友だちから引き離して外国に連れて来たんだから、それくらいするのはあたりまえ。これも今どき風の結婚観の延長線上にあるのかもしれないな。まあ、少しは愛し合っているんだろうとは思うけど・・・。

ワタシとカレシもいわば「国際結婚組」になるんだけど、カレシを「外国人」だと認識していたのは、結婚して永住手続きが済んで落ち着いた頃くらいまでだったかな。まあ、ビザに滞在期限が付いている間は「外国にいる」という感じが抜けないから、カレシもその延長で「外国人の夫」だったんだろうと思うけど、永住許可が下りて、就職して、毎日が普通の結婚生活になってからは、カレシはごく普通に「夫」になって、目が青いことだって「日常」の一部になったように思うな。目の色、髪の色の違う夫婦は人種が同じでもごくあたりまえに掃いて捨てるほどいるんだし、この30年はパスポートの上では(日本の人には通じないけど)「カナダ人」同士だから「国際夫婦」ってのも何だかヘンだし、つまりは普通の夫婦か・・・。

だいたい、「国際結婚」ってのは何なんだろう。九州の人と青森の人がする結婚とどう違うんだろう。ある男とある女が好き合ってする結婚とどれだけ違うんだろう。あるいは、婚活とやらで条件が一致してする結婚とどう違うんだろう。いや、それよりも今どきの結婚って何なんだろうな。

家族に頼れる時代があったの?

12月27日。月曜日。勤め人は振り替え休日。2日連続の祝日がすっぽり土日に被ったから、あしたも振り替えのところが多い。(お役所や組合のあるところはしっかり2日とも振り替え休日。)そのせいか、アメリカ側へショッピングに行く人が多いらしく、今日は国境での待ち時間が何と2時間。

雨は降ったり止んだり。明日あたりから晴れて来て、元旦過ぎまでずっと「お日様」マーク。日の出は午前8時7分、日の入りは午後4時20分。徐々に日が長くなる。一緒に車で通勤していた頃には、キャンビー橋を渡ってダウンタウンに入るあたりで昇ってくる朝日がまぶしかったっけ。雨が続いていたせいか、ここのところ最低気温が平年よりずっと高かったけど、今の時期は晴れてくると気温が下がり出す。木曜日頃から最低気温は氷点下になって週末の年明けまで続くという予報だけど、その高気圧が崩れて湿った空気が入ってくると、気温が十分にプラスになるまでは雪が降る・・・。

今年はラニーニャの影響で55年ぶりの寒い冬になって雪がたくさん降るはずだったんだけど、大雪はヨーロッパに行ってしまって、次に日本、そして今度は北米の東部。こっちはなぜか避けられているような感じもしないではないけど、ま、雪かきをしなくていいから別にいいか。ひょっとしたら、日本の夏が記録的な猛暑だったから、黒潮の水温が上がって、それが親潮とぶつかって太平洋の東に流されて来る海流の温度も上がった、なんてこともありえるのかな。世界の海は初めも終わりもないから、海流も、黒潮がやがてカリフォルニア海流になって北米西岸を南下、北赤道海流となって西へ流れて、やがて黒潮に戻るという具合にぐるっとつながっているわけで、日本では海水の温度が上がってサケもサンマも不漁だったそうだから、ありえないことでもなさそうに思うんだけど。

マリルーとロバートは今日アフリカで休暇を過ごすために旅立って行った。アムステルダムで乗り換えだそうだけど、ヨーロッパの空港はほぼ正常に戻ったようだから、大丈夫だろう。ロバートは膝に人工関節を入れる手術をした後なので、南半球の夏は何よりの養生だろうな。2人が向かったのはレソト。ロバートの元妻とその一族がいて、前回初めて行ったときもえらい歓迎だったんだそうな。ロバートはオーストリアのインスブルックの出身で、電気工になってレソトに働きに行き、そこで結婚して2人の子供をもうけて、カナダに移住してきた。でも、元妻がホームシックになって、やがて離婚して、十代の子供を置いてアフリカに帰ってしまったそうな。まあ、南アフリカから来たら、毎日が暗くて、じくじくと雨が降るバンクーバーの冬は耐えられないかもしれないな。憎みあって別れたわけではないとは言え、元夫とその新しいパートナーを一族挙げて大歓迎するというのはきっとアフリカ的な大家族文化の一端なんだろうな。にぎやかで楽しそうな感じでいいなあ。

家族といえば、朝日新聞は『孤族の国』という特集を始めた。ただし、さわりだけ読んで「続きは紙面で」ということになるから、日本の外にいて朝日新聞を買えないワタシにはどういう風に展開しているのかはわからないけど、「家族に頼れる時代は終わった」ということらしい。日本には「2020年/30年問題」というのがあるそうで、2020年の問題は団塊の世代が高齢化し、多死の時代に入って、死亡数が出生数の倍になるというもので、2030年の問題は未婚、離別、死別による単身世帯の急増によって、全世帯の4割が一人暮らしになるというもの。問題の核は高度成長時代に都市に出た団塊世代やその団塊ジュニアの世代が高齢化、単身化して都市に溢れることだという。未来の日本社会は「家族」のいない人たちの集団になるということか。だけど、日本は国民の福祉を昔ながらの「家族」に丸投げして来たから、高度成長期以後の社会構成の劇的な変化に対応する制度は作られなかったに等しいと、別の新聞の特集にもあったような気がする。

カナダだって、先進国全体の例にもれず高齢化の波は押し寄せて来て、将来の年金を危惧する声も出始めているけど、元々祖国を出て「新天地」で助け合ってきた移民の国だから、社会福祉制度はそれなりに確立されて、ぎくしゃくしながらも機能しているし、家族の絆のみならず、コミュニティでの人と人のつながりもたぶん今の日本よりはずっと強いと思う。(それで家族の付き合いの濃さに辟易する国際結婚の日本人妻が多いのかもしれないな。まあ、家族観の違いが大きいんだろうけど。)ワタシも、もしもひとりきりになったら、自力で生きて行けるところまで生きて、自立が難しくなったら社会制度やコミュニティの「厚意」にまかせるつもりでいるけど、なぜかあまり不安は感じないな。そこがワタシの極楽とんぼたる所以かもしれないけど・・・。

どうやら鯛を買ったようなんだけど

12月28日。火曜日。9時過ぎにハンマーの音で目が覚めて、今日はボクシングデイの振替休みのはずだけどと思いつつまた眠ったらしくて、起床は正午。日が差している。今日はカレシが高校時代の友だちと来年の高校卒業50周年の同窓会の相談で会う約束がある。その友だちが幹事で、カレシは自分のドメインに同窓会用のページを開いて広報係のようなことをやっている。興味がない、行きたくないと言っていたのに、なぜかいつのまにかそういう流れになったらしい。

カレシが行くところが市役所のそばなので、ついでにWhole Foodsで買い物をすることにして、一緒に出かけたのはいいけど、今日はまだボクシングデイ(というよりウィーク)の安売り商戦のまっ最中だから駐車する場所が問題。市役所の周辺には駐車メーターがあるけど、どれも最高48分(なんで中途はんば?)。自転車のために車通行止めばかりの市役所の周囲をぐるぐる回っていたら、最初の「48分」メーターの反対側、タウンハウスの前に「2時間駐車」の標識を見つけた。午前9時から午後6時まで、しかも無料。おまけに歩道の端がせり出しているところに空きがある。小さい車なら楽々のスペース。道路の片側が有料メーター制で、もう一方は無料ってのは、なんかちぐはぐなような・・・。

今日のWhole Foodsにはかなりの人。クリスマスが家族のパーティの日なら、大みそかは大人のパーティの日で、近年はホームパーティも増えているというから、料理好きがいっせいに準備を始めたのかな。きのうの夜にコキットラムのHマートまでトラックを走らせて、魚類をどんと仕入れたので、フリーザーはもう満杯に近いから、今日は1キロくらいのスズキと「ピッカレル」という聞きなれない白身の魚。カウンターのお兄ちゃんに聞いてみたら、マニトバから来た淡水魚で、東部ではよく知られているんだそうな。ま、バンクーバーには太平洋という大きな湖があるからね。帰ってきてから調べてみたら、どうやらカワカマスの一種らしい。フィッシュアンドチップスにするとおいしいと言うから、今度試してみようっと。

ついでにゆうべHマートで見つけた「porgy」についても調べてみたら、わっ、こっちはどうやら「鯛」。小ぶりだけど尾頭付きの顔つきが何となく「鯛」っぽいと思ったけど、ポーギーはヨーロッパ系のマダイということだった。もっとも、英語のラベルに「porgy」と書いてあるので、ひょっとしたら本当は本物のアジアの鯛かもしれないな。ハングルは読めないし、鯛はたった一度しか食べたことがないから、何とも言えないけど(有名な「さかなクン」に聞いたら教えてもらえるかな)。もう40年も昔だったか、お正月に母が鯛を買ったことがあって、魚そのものは記憶にないんだけど、次の日に作ってくれた潮汁が恍惚となるくらいおいしかったのを今でも覚えている。食べ物の記憶は何かのときに口の中、鼻の奥にありありと甦って来ることがあるから不思議・・・。

今年のクリスマスのディナーは何となくフランス風を気取ってみたから、大みそかと元旦の晩餐の方は何となくアジア風を気取ったメニューでやってみようかな。アジアではお正月が一年で最大のイベントのはずだから。それじゃあ、今から鯛のレシピを探しておかなきゃ。でも、尻尾はいいけど、頭はカレシが「目玉がにらんでいる」と嫌がるから、尾頭付きのままはダメだけどね。たしかに、白くなった目玉がお皿から見上げているのは気持のいいもんじゃないかもしれないな。料理の本で見た「鯛のかぶと煮」はワタシもちょっとグロテスクな感じがしたから、魚の頭だけがでんと据わっている料理はなしにしよう。

さて、これで今年の食べ物ショッピングはおしまい(かな)。まあ、この年でとにかくいろんなものを見つけて来てはよ~く食べるよねえ、私たち・・・。

門前の小僧は楽しい

12月29日。水曜日。いい天気。どこかで雪が降ったというニュースだけど、我が家のあたりはひたすら晴天。今日は連休明けだけど、休暇を取っている人が多いだろう。だって、今日から有給を3日取るだけで、クリスマスから正月明けまでぶっ通しで10日の休みだもの、働く人にはこんなに効率的なことはない。中小企業になるともう思い切って会社を閉めているかもしれないな。

ワタシも今年は早めにオフィスを閉めたから、年末休みに入ってもう2週間。あと1週間あるのに、何となく落ち着かなくなって来たような気もする。別に仕事がしたくてうずうずしているわけではないんだけど、落ち着かない。これから先はもう仕事をしなくてもいいんだったら、それもいいかと思えるんだけど、なんか落ち着かない気分だから困る。一度は燃え尽きたのに、ワーカホリックが抜けていないのかなあ。それとも、これが何かとイベントやらその準備やらのある季節じゃなくて、たとえば引退してからの「毎日」だったら、落ち着くんだろうか。一時的に仕事を離れただけの「終わり」のある休みだから、何を始めるにも中途半端な気がして手をつけられないせいで、落ち着かないのかな。ほんとに落ちつかないったらない・・・。

年が明けて春になったら63歳で、いわゆる「定年」まであと2年。でも、「その日」が来てオフィスをたたんだとしても、(小町でいつも「専業主婦って大変なのよ!」と言っているのを見ていると)専業主婦になりたいという気持にはなれないな。元から専業主婦向きじゃないのに、35年も働いて、やっと悠々自適の老後を楽しめるという時になってそんな大変な「再就職」はまっぴらごめんだもんね。まあ、棚上げしているプロジェクトがいくつもあるから、仕事に追われない日常があたりまえになったら、そのときにはまた毎日が忙しくなるんだろうと思う。絵を描きたいし、芝居を書きたいし、小説を書きたいし、今度こそは大学の勉強をして、一生を終えるまでに学士号を取りたいし、もっと外へ出て広い世の中を見てみたいし・・・。これじゃあ忙しくなりすぎて、仕事をしていた頃の方が楽だったなあ、な~んて老後になりかねないかな。

でも、今日は祝日の間の中日の「ダレ日」ということだからいいかと、何となくナットクして、クリスマスに買った自分用のプレーヤーでレクチャーのDVDを見始めた。なにしろ次々とカタログが届くもので、興味のあるテーマがセールのローテーションに入っていると、つい誘惑に勝てなくて、せっせと買いためて、言語学やら、心理学、科学、歴史、地学、音楽などがもう14科目。言語学はカレシも興味があって、ぼちぼち一緒に見ているけど、とっても追いつけるもんじゃない。なにしろ1回の講義が30分から45分で、短いコースでも合計12時間、長いものは30時間。(もう少しで注文するところだった天文学のコースは合計48時間もある。)そこで、まずは心理学から始めることにして、第1回目は「理論の価値」。デスクに置いた8インチの画面がワタシの「教室」だけど、それでもちょっぴり学生気分でワクワク・・・。

学ぶことはいくつになってもすごく楽しい。中学、高校は窮屈で大嫌いだったけど、「門前の小僧」式に浸透圧で学ぶのが一番効率的にできているらしいワタシは、画一的な学校教育では落ちこぼれるしかなかったんだろう。でも、今こうして遅ればせながら大学生気分を楽しめるのは、ワタシと違って落ちこぼれず、大学入試にも勝ち抜いて、一流大学を出た人たちが新しい技術を製品化してどんどん量産し、どんどん大衆化してくれたからだろうと思うな。だって、ワタシが日本を出た35年前には、こんなに学び方ができる時代が来るとは思いもしなかったもの。長い間かけて蓄積されて来た人知はまるで満天の星空のようで、見上げているだけでもすばらしいのに、それを学校に行かなくても学びたいときに学べるのはほんっとに幸せ。うん、そんな良い時代に生きていて、休みなのが落ち着かないなんて言ってたらバチが当たりそう・・・。

夫婦喧嘩も今年のやり納め

12月30日。木曜日。まぶしいくらいの快晴。かなりの冷え込みだったような。9時半くらいに大きなモーターの音で目が覚めた。平日だし、近所に新築工事中の家が2軒あるので何かの作業なんだろう。そのまま目をつぶっていたら、カレシがごそごそ。しばらくしてがばっと起きてトイレへ。ベッドに戻って来たと思ったら、2、3分でまたがばっ。(あのさ、アンタが窓際で怖い顔で睨んでみても神通力は効かないんだってば・・・。)

少ししてまたベッドに戻ってきたけど、毛布を引っ張ったり、なんだり。結局はものの2、3分でまた起き出して、今度は着替えて下へ降りて行った。そういえば夜中を過ぎた頃に、ユーチューブのアドオンをダウンロードしたら、グーグルがヘンなサイトにリダイレクトされると騒ぎ出し、ウィルスチェックをかけたまま寝たんだった。少ししてまたベッドに戻って来たカレシ、服を脱いだから今度は寝るのかと思ったら、またすぐに起きて着替え。ははあ、むくれているな。たぶんワタシを起こしたいんだろうな。「苦情を聞いてくれ」モードらしいけど、まあ、ここは狸寝入りが一番。結局、30分ちょっとの間に5回も6回もベッドに入ったり、起きたり。10時過ぎにまたもぐりこんで来たので、いつ起きるのかなと思っていたら、おや、今度はすやすや。おかげでワタシもすやすや・・・。

正午をちょっとすぎて起きたら、「なんかモーターの音がしてうるさかったろ?」と聞いてくるから、そういえば何となく目が覚めたけど、ムニャムニャ・・・。カレシは「どこで誰が何をやってるんだか、止まった思って寝ようとしたらまた始まるもので、眠れなかった。あれでよく寝てられるな」とぶつぶつ。まあ、今日は平日だから誰かが仕事をしているんだと思えばあまり気にならなくなって、そのうちにまた眠ってしまうのがワタシ。(けさはアンタがやたらと出たり入ったりするから、眠りたくても眠れなかったけど・・・。)まあ、睡眠の中断はさておき、ウィルス疑惑の方は別に感染もなく、勝手にヘンな検索サイトがHPに設定されていたのをブランクに訂正したら元に戻ったそうな。どうやらダウンロードしたアドオンにくっつて来てしまったらしいけど、「安全なところだと思ったのに」とぶつぶつ。これだから一緒のネットワークにはしたくないの・・・。X
夕方、キッチンに上がって見たら、ちょうど冷凍庫にグラスを入れるところで、あ、引っ張り出し過ぎ・・・と思ったら、案の定、引き出し式になっている冷凍庫が閉まらなくなってしまった。これで二度目。まあほんとによくモノを壊す人だけど、どうやら「手加減」という観念がないらしい。なにしろ、モノを入れるときは奥までしっかり入れないのに、出すときは逆に勢いよく引いてしまうから不思議。とにかく閉めないことにはどうにもならないから、ああだこうだといじくりまくるカレシを(これ以上壊されたら困るから)押しのけて、前回と同じく引き出しが外れているのを見つけて、はめ直したら、やっと閉まった。

やれやれと思ったら、今度は「欠陥品だ。新しいの買う」。じょうだんじゃないと言ったら、「なぜオレに同意しないんだ」と怒り出したから、ワタシも堪忍袋の緒が切れて、けんか。ワタシはアンタじゃないの。思い通りに機能しないからってポイと捨てて新しいのに取り替えるというなら、同意しないワタシもアンタの思い通りに機能していないってことだから、ついでに新しいのに取り替えたらどうなのよ。さ、同意するから、さっさと新しい冷蔵庫と新しい女房を買っといで・・・。

そこでむすっとなったカレシ、しばらくして「これ以上引き出すなってところに印をつけておいてくれよ」と。はあ・・・。夕食後になって、「キミのレミが残り少ないから、酒屋へ行こう。キミの好きなスコッチも買って来る?」と、和平交渉に乗り出したつもり。ま、犬も食わない夫婦喧嘩、ここらで今年のやり納めということで、しゃんしゃんと手を打っておくことにするか。(だけどなあ・・・。)

2010年最後の晩餐

12月31日。大みそか。起床は午後1時。うへ、2010年も酔生夢死みたいなことになりそうな時間。外は寒そうだけど、とにかくすばらしい晴天。テレビをつけると、いつものことだけど、世界のほどんとは2011年になっている。お先に年が明けたみなさま、まずは明けましておめでとうございます。

運動がてらインフルエンザのワクチンをしてもらうために徒歩でモールへ。でも、薬局のワクチン投与の資格のある薬剤師は月曜まで休み。最初の予定通りにきのう来たらしてもらえたのにね。ま、せっかくだから郵便局のワタシ書箱を空にして、青果屋でしいたけと大根とネギとオレンジだけ買って、またてくてく歩いて帰宅。往復で3キロ以上はあるから、日に当たって早足で歩いていると、汗ばんでいい運動になる。

まずはシャンペンとオレゴン産のにごり酒を冷蔵庫に入れて、ロコあわびと大根を火にかけ、買ってすぐに小分けにして冷凍しておいた食材をあれこれ出して来て、さて大みそかのメニューはと、しばし(けっこうのんびりと)思案投げ首・・・。

今日のメニュー:
 アミューズブーシュ(ホタテの山椒焼き) 
 ヤムいもとしろうおのてんぷら
 貝類のしゃぶしゃぶ風スープ
 鯛の塩焼き、温野菜、山菜ご飯
 デザート(バニラのクレムブリュレ)

[写真] ホタテは1個を2枚にスライスして、山椒を振りかけて熱いフライパンに。2つに切ったしいたけ半分と少量の大豆もやしも横に入れて、ささっと火を通して、マイヤーレモンとかいわれで彩り。

[写真] クリスマスに買ったイモ。スイートポテトだと思っていたら、実はヤムいも。まあ、似たようなものだから、サツマイモと同じつもりでてんぷらにしてみた。しろうおはまとめて衣に入れたのを指ですくっては油に落としてかき揚げ風にしてみた。(日本製のてんぷら粉を買って来たので、小さいフライヤーに新しい油を入れて揚げたら、うまく行った。)

[写真] 大根と一緒に「ことこと」似て柔らかくなったロコあわびの煮汁を少し取って、水を足してダシとポン酢少しで味つけしたスープで、白菜としらたき、ロコあわび、ムール貝、むき牡蠣、あさり、ぽたんエビをさっと煮てできあがり。海の香りが交じり合っていい味。

[写真] どうしようか思案していた鯛(ポーギー)は、やっぱり頭を取って、3枚おろし。(頭と骨はあしたの潮汁に使うことにする。)皮のほうにオーストラリアの海塩を振っておいて、身のほうは刻んだねぎをパラパラ。電気釜で山菜水煮を使った山菜ご飯を炊いている間に、アスパラガスとバターナットかぼちゃを蒸し始め、ご飯ができて、野菜が蒸しあがる頃に鯛をオーブンのグリルに入れて焼き目をつけた。ちなみにバターナットかぼちゃはカレシの菜園に勝手に生えてきて1個だけ実ったもの。コンポストに捨てた種が芽を出したんだろう。

[写真] デザートはバニラビーンのクレムブリュレ。カレシがゆうべのうちに作って専用の小皿に入れておいたカスタードにまんべんなく砂糖をかけて、料理用のガスバーナーの炎でまんべんなく溶かして焦がす。ガラスのようになった砂糖が冷めて固まるのを待っている間にコーヒーを入れて、ゆっくりと大みそかの晩餐?のラストコース。

外はマイナス3度。元旦の朝の恒例行事になっているイングリッシュベイの寒中水泳は冷たそうだなあ。ぶるぶる・・・。

さて、バンクーバーの2010年も残すところ後2時間を切った。1時間前にはニューヨークのタイムズスクエアのカウントダウンを見ていたけど、ここでは大みそかの行事は特にないのが市民の不満の種。まあ、昔はあったんだけど、いつも破壊的な騒ぎをしたがるバカな連中に台無しにされるので、10年以上も前に中止になったきり、いつも「来年こそは・・・」。そこで私たちはいつもシアトルのスペースニードルの花火を見ながら、シャンペンで新年を迎える。そのシャンペン、ちゃんと冷えているかな・・・?


2010年12月~その2

2010年12月21日 | 昔語り(2006~2013)
奥様は寒冷前線に低気圧

12月11日。土曜日。めずらしくまあまあ普通の時間に普通に起きた。湿っぽいけどまあまあの天気。夜にはミニサイズのパイナップル特急で少々荒れると言う予報で、またまた大雨注意報。予想雨量は20ミリから30ミリと言うから、けっこうそのつもりらしい。ハワイ方面から雨雲がずうっと延びて来るパイナップル特急は暖冬の風物詩?のはずなんだけど、秋から騒がれていた「55年ぶりの厳冬」はどうも行き先の違う特急に乗ってしまったような感じ。あしたの最高気温にいたっては何と11度だって。まあ、もっと長い先の予報ではクリスマスのあたりに白いものがちらほらという噂もあるけど。

今日は久しぶりにベーコンポテトと卵と言うことになって、刻んだベーコンとポテトを入れたフライパンをレンジにかけ、カレシが取り替える下着がないと騒いでいたので洗濯機を回し始め、キッチンに戻ったところで、カレシが卵のケースを落っことして、床は割れた卵でどろどろ。食べる分は取り出した後だったので朝食に支障はなかったけど、「キミをよけようとして落とした」という言い訳にカチンと来た。手を伸ばしたってぶつかるような距離にいなかったのに、何でワタシのせい?うっかり落とした事故なんだったら、そういってさっさと後始末をすればそれで済むものを、何で人のせいにするの?何がSh*tよ!それはこっちが言いたいことだってば。もう、後始末をしている間にポテトが焦げてしまったじゃないの。ま、カレシのそういうところをわかっているつもりでも、ときどきはこうやって「もうやってられない!」という気持にもなるのだ。

おまけに朝食の後すぐにIGAまで野菜類の買出しに行くはずだったのに、食べ終わったとたんにパン焼き器をセットしてしまった。あのさ、パドルを取り出す時間までには帰って来れないよ。その時間まで待っていたら、買い物はもろにラッシュアワーだよ。「癖になっていて、つい」とカレシ。すぐに買い物に行くと号令したのはカレシなんだけどなあ。今に始まったことじゃないのはわかってるけど、ほんっとに一点集中思考なんだねえ、アナタって。まあ、パドルを入れたまま焼いてしまっても、取り出すときにパンの底に大きな穴があく程度の被害だから、いいんだけどね。いいんだけど、んっとに、あ~あ・・・。

でも、「だけど、だけど」ともやついているうちにふっと「もしもあのとき?」が頭をもたげて来るから、ワタシの心理もけっこうおもしろい。もしもあのとき、10年前、ワタシと別れたカレシは絶対に熱を上げたオンナノコに結婚話を持ちかけたと思う。なにしろ自分自身のめんどうをみられないんだから、おとなしくて優しく仕えてくれるオンナノコは生活の必需品。そんなすてきなお人柄をアピールして来た中から選り取り見取で簡単に「国際結婚」できると思っていたみたいだし。けさみたいにイジワルな気分になったときは、その「もしも」の結果、何かにつけて気が利かない、だらしない、ものぐさ、気遣いができない、と愚痴られてブッちぎれているカレシを想像してしまって、ついひとり笑いになる。もっとも、「もしも」は群がる若い男を退けて、30歳も年上のカレシとケッコンしてくれる奇特なカノジョがいたとしての話だから、最後はつむじを曲げているのがアホらしくなって、「しゃあないやっちゃなあ」で終わり。ワタシって、人がいいのか、悪いのか・・・。

ワタシが横でそんなことを想像しているのを知らないカレシは、今日は何となくていねいな運転。スーパーでも、自分の野菜類を集めた後はいつものように「終わった?まだ?」とうろうろせずにカートを押しておとなしくショッピングのお供。あまりにもしおらしくておかしくなって来たけど、カレシはけっこうまじめにやっているらしいから、コメントは控えておく。カレシのご希望の「まぐろの刺身」に酢だことホッケの開きと大根おろし、七穀粥を加えた変てこ和食の夕食を作っている頃には、どうやらワイフ殿のご機嫌が治ったようだと安心したのか、にこにこ、べたべた、キスのしまくりで、特大マティニの大サービス。ふ~ん、単細胞でいいよなあ、男って・・・?

生活感満点の日曜日

12月12日。日曜日。午前9時くらいにふくらはぎの痙攣で目が覚めて、眠りに戻ったのにしばらくしてまた同じところが痙攣。今度はつり始めで目が覚めて、どうしようもなくなってしまう前に何とか緩めて眠りに戻ったけど、昔はよく足の裏がつったのに、近頃は足の親指だったり、ふくらはぎだったりする。カレシも足がつって目が覚めたと言うから、年と共に体が変化するのかな。脱水症状だという話もどこかで聞いたような気もするけど。外はひと晩中よく降って、いかにも大雨の後というぐしょ~っとした感じの風景。我が家のある地区は30ミリくらい降ったらしい。

オークストリートでギャング絡みの何だか西部劇を思わせるような銃撃事件があって、10人も負傷者が出たというニュースに仰天。場所はアーニャとブライアンと双子が住むコンドミニアムからたった1ブロック。普通の人が寝ている時間帯だったから、けが人はみんなギャングの関係で初めから狙われたんだろうけど、最近はアメリカ系、アジア系、メキシコ系その他のギャング(つまり暴力団)の抗争が激しくなって、貧困地区も高級住宅地も何もあったもんじゃない。ほんとに物騒になって来た。おかげで南北の幹線道路のオークストリートは通行止め。

幹線道路が1本通行止めでも日曜日でよかったじゃないかと思っていたら、今度はマリンドライブで道路が陥没。フレーザーストリートとの交差点近くに小型車が1台すっぽりはまってしまそうな大きな穴がぽっかり。ガス管が破損したかもしれないという話で、マリンドライブは通行止め。ここは事実上の東西のハイウェイで、空港に通じる主要道路。通行止めは火曜日くらいまで続くというから、月曜日の朝のラッシュは大変だろうなあ。南バンクーバーは合併するまでは別の町だったので、老朽化しているバンクーバーの水道管や下水道設備の中でも特に古いものが多いから、いつどこに大穴が開くかわからない。なのに、ファッショナブルにエコな市長は自転車専用レーン作りと市長室の拡大と市役所の改装に夢中で、市の財政は大赤字。おまけに、来年は大火事の焼け跡にバンクーバー市が発足して125周年ということで、700万ドル(約6億円)をかけて派手な大パーティをやるつもりでいる。これだから、ファッショナブルにエコな頭の中お花畑的なヤツは始末が悪い。おい、パーティの最中に水道管が破裂して大噴水が上がったり、大穴が開いてバンドがそっくり落っこちたりしても知らないよ。

今日は金曜、土曜と連続で出かけて疲れたので、骨休めの日。ツリーを飾り始めるのは、仕事が入って来なければ明日あたりかな。今年は徹夜や半徹夜したりしてがんばったから、仕事はもういいよね。ということで、だ~らだ~らと小町散歩。「おうち」という表現がどうのこうの、「おうちカフェ」がどうのこうのと、やたらと「おうち」がトピックになるけど、自分の家を「おうち」というのは、リネンのお洋服にババくさいお団子ヘアで、フレンチカントリーだのなんだの、ナチュラル素材だからエコだとか何とか言っている、流行雑誌を模倣した頭がお花畑の専業主婦のままごと用語かと思っていたけど、gooの編集画面にまで「おうちで過ごす手作りクリスマス」なんてこそばゆいトピックがあるから、うへっ。このままだと「食べる」と同様に「(我が)家」も死語になってしまうのかなあ。赤毛のアンの「おうち」って、アンが何と言うかなあ。

一方で「おうちカフェ」というのは自分の家で家事の合間に自分でちょっといいコーヒーを入れてほっとひと息いれることかな思っていたけど、どうやらここにも相応なファッション性とおしゃれな社交グループが要求されているような感じ。ふむ、何とか風のおしゃれなおうちで、おしゃれなお友だちをお招きして、こだわりの○○製のおしゃれなカップに、ていねいに入れたコーヒーと、手作りのお菓子(あ、スイーツと言わなければダメ?)・・・。なんだか不思議の国のアリスのお茶会みたいな感じがしないでもないけどなあ。はて、ワタシのおうち、リサイクルゴミの類を片付けて、ちょっとばかり整理しないと、ツリーを飾るスペースがないじゃないの。居住感と生活感が溢れていたら「おうち」には認定されないんだろうけど。

借金のし過ぎは危ないよ

12月13日。月曜日。ゆうべは少しだけ早めに寝るつもりだったのに、レミを飲んでいるうちに、びんに少しだけ残ったのをカレシが「飲んじゃえよ」というので、寝酒のやり直し。ついでにトリュフ入りのチーズももうひとかけだけ食べて、しあわせ~な気分でベッドに入った。おかげで、起床は正午過ぎ。う~ん、せめて11時半くらいまでには起きる習慣をつけるはずだったんじゃないのかなあ・・・。

今日は雨は休み。ポーチの気温は10度まで行っていた。最低気温にいたっては平年より数度も高いから、いったい何が厳しい冬なんだと思ってしまう。だけど、北米大陸の中部から東部は大変なことになっているから、この際天気予報の文句は(別にないんだけど)控えておく。ミネアポリスでは競技場の空圧式ドームの屋根が雪の重みで陥没して破れてしまったとか。だいたい雪が降るところにテントみたいな空気圧で膨らませるドーム屋根という発想からしてどうなのかと思うけど、雪が(ほとんど)降らないバンクーバーでも、おととしだったかの大嵐でドームのテフロンが破れてはたはたとひるがえっていた。あれに懲りて今は開閉式ドームに改装工事中で、ブロードウェイの辺りから見るとぐるっと立っているクレーンでまるでおばあちゃんのバースデイケーキみたい。ま、ミネアポリスではフットボールのチームが新しい競技場を作ってくれないならどこかへ引っ越すと言っていたらしいから、新しいのを作ってもらえるかもしれないな。

だけど、競技場のような箱物はプロのスポーツチームにはまかなえないくらいのどえらい資金がかかるから、結局は税金でまかなうことになる。市役所なんてのはどこへ行っても見栄っ張りなもので、最新のスタイルで最新の設備で最新の華々しさを目ざしたがるから、その費用は民間で必要に応じて作るよりもうんと膨らむことが多いだろうな。政治家ってほんとにああいう派手なものを作りたがるな。後世まで残って市民に愛されるものだったらいいんだけど、プロスポーツは好きな人にしかおもしろくないもんだし、営利事業だからすぐに他のチームのと比べてダサいと言い出すだろうし。まあ、将来孫に向かって「ほら、見てみ。あれはワシが市長だったときに作ったんだぞ。じいちゃんはえらいだろ」という自画自賛願望があるのかもしれないけど。

今日のニュースでは、カナダ銀行の総裁が「カナダ人は借金が増えすぎだ」とかなりストレートな警告。家計の負債比率は借金をしての浪費癖?でならしたアメリカ人よりも高くなっているんだそうな。このクリスマスはクレジットカードは使わずにできるだけ現金か銀行のデビットカードで買い物をしなさいというアドバイスだけど、効果のほどはいかに。サブプライムに端を発した金融危機と不況からいち早く脱して、銀行は政府の監督が行き届いてか健在だし、原油価格は上がっているし、カナダドルもアメリカドルとほぼ等価になったし・・・景気が良くなったつもりで財布の紐を緩めてしまう気持もわかるな。ま、欲しいものがあるのに銀行にはそれだけのお金がないからクレジットカード(最新の日本語で「クレカ」と省略されたらしい。借金が一般化した証拠?)を使うわけだし、クレジットカード会社としては請求ごとに全額決済しないで残高を残してくれた方が儲かるわけだしな。クレジットカードのことをよく「プラスチックマネー」というけど、クレジットは決して便利な「現金」じゃなくて、あくまでも当座の「借金」なんだけど、「マネー」の方に注意が行ってしまいがち。ま、サラ金が「キャッシング」と呼ばれることで、あたかも自分が元から持っているお金を引き出すような感覚を持つのと似ているような。ある種の権利意識(sense of entitlement)が根底にあるのかもしれないけど。

新聞を見たら、日本政府が年金の支給額をデフレを反映して減額するというニュース。基礎年金だけらしいけど、これは金額から見てカナダの老齢保障年金にあたるのかな。満額支給でもせいぜい200円くらいだとか。それでも減額は減額で、心理的にはや~な気分になるだろうな。カナダの年金はインフレ調整はあるけどデフレ調整はない。カレシが年金受給開始の申請をしたときに送られてきた説明書には「年金は物価上昇率に応じて引き上げられます。年金の支給額が引き下げられることはありません」とはっきり書いてあった。もっとも、インフレではそれに合わせて年金の支給額が増え、もしもデフレになっても金額は減らないから使えるお金が増えるということで、いつまでそんなおいしい話が続くかはわからない。まあ、カナダ銀行は国民は借金しすぎ!と、金利を引き上げるかもしれない。そうしたら、今度はワタシの老後の蓄えが増えるから悪くはない。まあ、信用は財産だけど、借金は財産・・・は無しにしておきたいな。

便利さに慣れて自然の怖さを忘れるなかれ

12月14日。火曜日。かなりの風があったらしい。標高の高いバーナビーマウンテンでは雪が積もったとか。ここはサイモンフレーザー大学があるところで、ちょっと大雪が降るとバスも車も頂上まで上がれなくなって休講になったりする。ロープウェイを作ったらという話もあるらしいけど、元々何だってあんな交通の便の悪い山の頂上に大学を作ったのかなあ。ずっと昔この大学の通信講座をやっていたときに試験のために仕事が終わってから学校まで行ったけど、帰りはバスが超満員で何台も待たなければならなかった。ま、今日はちょっと寒いから夜になったらふもとのあたりでも白いものがちらつくかな。

テレビをつけたら、オンタリオ州のサーニアの近くで、視界ゼロの暴風雪でハイウェイにトラックや車が何百台も立ち往生して24時間以上も閉じ込められているというニュース。貨物トラックの運転手の中には2日以上も立ち往生の人もいるそうで、知らない人同士が互いの車に身を寄せ合って暖をとったり、手持ちも食べ物を分け合ったり。とにかく、除雪車も出動できない大雪で、スノーモビルやヘリコプターを出動させての救出作戦になり、付近の小さな町の人たちは教会や公会堂に集まって、救出されてバスでやってくる人たちに炊き出し。ある町の10室しかない小さなモテルの経営者は、車を捨ててたどり着いた人たちを自分の居室やスタッフの部屋、はてはオフィスのソファ、さらには両親の家、近所の家にも泊めて、「こういうときはできることは何でもやらなくちゃね」と、フリーザーのありったけの食材で食事の世話をしているという。町民たちも見知らぬ客を自宅に泊めて暖かい食事を出しているそうで、「大鍋にスパゲティをどっさり作って、ワインを飲んで、楽しくやってるわ」と、クリスマス気分。まさにクリスマスシーズンにぴったりの心温まる「隣人愛」の話がたくさんあって、きっとこれから何年も何十年もクリスマスが近づくたびに「2010年大吹雪」の数々のエピソードが語り継がれて行くんだろうな。

夜までには延々と続く立ち往生の車をほぼ全部チェックして、誰も残っている人がいないことを確認したそうだし、「帰ってこない」という行方不明の報告も今のところはないそうだから、400人近い人たちはみんな無事どこかにたどり着いたんだろう。大雨と違って大雪は視界全体が白一色になるし、周りの音が聞こえなくなって、方向感覚が失われるから怖い。20年前だったか、ダウンタウンからの帰りに大雪になり、近道のつもりでゴルフ場を突っ切ろうとして危うく迷子になりかけたことがあった。耳を澄ましてかろうじて聞こえる大通りの音を頼りに何とか家の前の道路まで出られたけど、立ち止まってはくぐもった車の音が左手側に聞こえるのを確認しながら歩くことを繰り返して、10分足らずで突っ切れる行程に30分以上。視界の利かない猛吹雪だったら、広いゴルフ場の中をぐるぐると彷徨して、遭難してしまったかもしれない。今思い出してもあれは絶望的に孤独な恐ろしい経験だった。

北海道でも都会の近くで「遭難」する人がいるという話を聞いたことがある。郊外に住んでいて、酔って帰る途中で、バスを降りて歩いているうちに雪の中で動けなくなったり、道に迷ったりして、凍死したというケースだったかな。雪山で遭難するのと同じようなもので、へたをしたらそのまま上に大雪が積もって、春まで見つけてもらえないこともある。根雪と言うのは文字通り地面に根が生えたように春まで解けないからね。せっかく家までたどり着いても玄関先で寝込んでしまって凍死したという悲しい話もある。都会だからといって、北国では冬将軍の力を侮ってはいけないという教訓だけど、公共サービスの行き届いた都会、ハイウェイ、自動車・・・あまりにも便利すぎて、その便利さがあまりにも当然すぎて、つい自然の怖さを忘れてしまうんだろうなあ。

知らない人の中にいる安心感

12月15日。水曜日。曇っているけど、まあまあ。よく眠ったようだけど、よく眠りすぎているのか、起きたときに何となく疲労感があるのはどうしてだろうな。でも、とにかく起きて、朝食を済ませて、まずは郵便局へ。夕方には別の作業があるから、トレッドミル代わりの運動に歩いて行く。雨がぽつん、ぽつん。玄関先でカレシが「帰りに土砂降りになっていたら電話しろよ。迎えに行くから」と。ありがとうね。

地下鉄の駅方面に向かう歩道はがカレッジの学生の列。年末休暇に入る前の試験の時期で、ワタシの後を歩いている男の子と女の子はフランス語の試験だったらしい。「ぼくさぁ、アクセント記号、だいぶ付け忘れちゃってさぁ。すんげぇ減点だよなぁ」と男の子。「そ、そ、そ、アクセント。アタシなんかさぁ、ハイフンまで忘れちゃったぁ。それにさぁ、文法の質問なんてぇ、わかんないじゃん」と女の子。鼻にかかった尻上がりの典型的な若者トークがおかしかったけど、うん、試験の悩みはいずこも同じだな。

デパ地下の郵便局は、クリスマス前で込んでいるかと思ったら、行列ができていない。近頃の人たちはカードを出したりしないのかな。そういえばカードショップの品揃えも昔と比べて少ないような気がするな。若い人たちはきっとEカードで済ませるのか、テキストメッセージですませるのか。国外向けの業務用やワタシ用の大小の封書に小型小包を、ひとつずつ大きさを測って、重さを測って、これはいくら、あれはいくら。切手も買って、しめて70ドル。すべて国際郵便だから、切手以外は税金がかからない。そっか、国内で消費するサービスじゃないもんね。残る送り先はほとんどが国内だから、週末前に投函すればクリスマスに間に合う(つもり)。

週中の午後ということもあるだろうけど、モールも思ったほど人がいない。特に不景気ではないはずだけど、そういえばカナダでは今年のクリスマスは緊縮予算の人が多いとニュースで言っていたっけ。だからかな、カタログ通販はカナダもアメリカもこぞって「送料・手数料無料」。モールのウィンドウには「50%オフ」、「70%オフ」の張り紙がべたべた。ディスカウントが70%というのはすごいけど、よく見ると数字の前に小さく「up to」と書いてあったりする。「最大」70%ということで、どうしても売れ残りそうな不人気品が70%オフなんてことが多い。まさに、fine printを読めってこと。よく虫眼鏡がいりそうな字で印刷してある「但し書き」のことで、たいていは買う人に「ほんとは知って欲しくない」ことが書いてあるから、読まなきゃ損、損。

ウィンドウショッピングは特に趣味じゃないけど、用事が済んだらまっすぐに帰りたがるカレシと一緒ではウィンドウをちらりと見るのが精一杯だから、ひとりで気ままに歩けるのは楽しい。ワタシは子供のときからクリスマスの季節が大好き。教会付属の幼稚園に行っていて、クリスマスの降誕劇では聖母マリアにお告げを届ける大天使ガブリエルの役をするはずだったんだけど、なにしろ蒲柳の質とかで休むことが多く、クリスマスを待たずに退園。舞台デビューは果たさずに終わった。(そのときに家で練習するために渡されたせりふの紙が今でもあるけど、聖書の言葉そのままで、いくらおしゃまなワタシでもちんぷんかんぷんだっただろうと思う。)

それでも、今この年になってもやっぱりクリスマスが大好き。何も買いたいものがなくても、買えるものがなくても、街やモールを往来する人たちの流れを眺めるているだけで楽しい。家族連れがいて、カップルがいて、一人だけの人がいて・・・あんがい、いろんな人がいる中にいて、ちょっと形容できない「安心感」とでも言えそうな感覚にほっとする自分が楽しいのかもしれないな。でも、それが日本にいたときから感じていたことなのかどうかはわからない。子供時代のクリスマスには家族そろっての楽しい思い出がたくさんあるけど、街を歩いていて「クリスマス精神」を感じたかどうかは疑問だな。まあ、自分なりの宗教観を持つようになった今とは違って、あの頃はまだ未熟で単純な「娘」だったから。今、見知らぬ人たちの群れの中にいて安心感があるというのは矛盾しているように思えるけど、自分でもわからない何かが深層心理のどこかにあるのかもしれないな。少しは人間として成長したということならそれでいいんだけど。

結局、ポータブルのDVDプレーヤーを買いたいと思って入った店で、操作が簡単で、使わないときは電子写真立てとして使える8インチ画面のを2つ買った。また5つか6つ注文してしまったレクチャーのDVDを自分のデスクで見るためにひとつ、カレシへのプレゼントにひとつ。しょぼしょぼ雨の中を家に帰って、今年最後になる仕事をさっと仕上げて納品して、いよいよあしたから新年の仕事始めまでほぼ3週間の休み!(でも、仕事したいような気分になったりして・・・。)

とことんショッピングもまた楽し

12月16日。木曜日。雨、ぽちぽち。いよいよ今日から本気で休み。クリスマスイブまでは買い物、買い物の連日かな。午前11時半に起きたけど、案の定、FedExの配達を逃した。追跡サイトには「正午までに」とあったので予想はしていたからいいんだけど。空港に近いから、どうしてもそっち方面から来るものは寝ている時間に来てしまう。ま、空港に近いってことは、デポまで取りに行くのも特にめんどうではないってこと。でも、今回はゲートの中に入れておいてもらえるようにしておこうかな。

今日は、カレシがきのうで終わった英語教室の出席表をオフィスに出すのを忘れたというので、買い物は東方面。(ハウスはこの出席表の人数に基づいて政府から補助金をもらえるらしい。)用事を済ませたら、目指すは前から行こうと言っていたGourmet Warehouse。ローカルテレビで料理番組をやったり、雑誌にレシピを書いているちょっとした地元セレブのおばさんがやっている店で、ヘイスティングスの東の方のちょっとうらぶれた通りにある。調理器具から香辛料から菓子作りの材料から食器や本がごちゃごちゃとあって、かっぱ橋の道具街をミニに圧縮できる限りぎゅうぎゅうに圧縮してひとつの店に詰め込んだような感じがしないでもない。

店の中に入って真っ先に見つけたのが包丁のケース。魚を三枚おろしにするナイフがあった。カレシがプレゼントしてくれることになっていたんだけど、これがどこへ行っても置いていない。同じ細身の形でやや短い骨取り用のナイフ(boning knife)はどこにでもあるけど、魚用のナイフ(filleting knife)は刃が薄くて、値段の高いものは背骨に沿って身をおろせるように弾力性がある。まあ、最近は魚を食べる人が増えたとはいえ、元々は肉食の国だから、魚を丸ごと買ってきて自分でおろす人はそういないだろうな。カレシはさっそく「これ、これ」。鍵のかかったケースから出してもらったナイフはどうやらそれ1本きりだったらしく、奥から出してきた箱に入れて、レジで預かられた。(なにしろ刃物だからね。)ついでに、魚を丸ごとゆでる細長いステンレスの鍋も買ってもらって、めっけものをした感じ。(帰って来たとたんにカレシがナイフと一緒にどこかに隠してしまったけど・・・。)

後はアミューズブーシュ用の小皿2種類を6枚ずつと、ミニのタジン鍋を4個。これはきっと調理用というよりはテーブルに出すものかな。そのうちに調理用のしっかりしたものを買わなくちゃ。(タジン鍋は日本で流行っていると言う話を聞いたような気もするけど・・・。)小皿のコレクションが増えてうれしくなったもので、お客用のテーブルマットとナプキンも買ってしまった。お客を呼ばなくちゃならないなあ、これじゃあ。日本語しか書いていないてんぷらのしき紙まであったので小さい方50枚入りも買って、壁際におしるし程度にあるフリーザーをのぞいて見つけた冷凍のフォアグラも(うんと小さいのを)おまけにバスケットに入れてしまった・・・。

それにしても、きのう見たモールのファッションの店はあまり人がいなかったのに、この店は平日の午後だというのにかなりの人数の客が入っていた。この違いは何なんだろうな。クリスマスのプレゼントはやっぱりファッションよりは道具ってことなのかなあ。でも、カップルで買い物している人が多かった。まあ、ワタシは食べ物以外は趣味的なショッピングはめったにしないもので、きのうと今日と連続でけっこう楽しかったな。もうだいぶ散財したけど、ずっと1年間がんばった自分たちへのプレゼントだもんね。それをやるものクリスマスぐらいのものなんだし・・・。

あしたはダウンタウンへ行くぞ~とカレシが言っている。買い物のほかに、クリスマスマーケットに行って見たいけど、なんだか忙しない午後になりそうな・・・。ま、めずらしく2人そろってどこへも行かずに家で好きなように過ごせるちょっと長めの休みだから、クリスマスイブまでは「shop till you drop(とことん買い物)」と言うことにして、イブから先は年が明けるまで食べて、飲んで、また食べて。うん、何だか今年はいいクリスマスになりそうな、わくわくする予感・・・。

おうちバケーションは臨機応変で行こう

12月17日。金曜日。早朝の7時過ぎにゴミ収集トラックの往復とリサイクルトラックの音で3度目が覚めて、また眠り直し。11時半に目が覚めたら、外はまぶしい。カレシはとっくに起きてしまったらしい。キッチンに降りたら、何となくむくれた顔つき。早起きしすぎたのかなと思ったら寝る前にFedExの不在通知にサインをして、ゲートの内側にブルーボックスを置いて、ゲートを開けられるようにロックにテープを貼って置いたのに「まだ来ていない」と。あのさあ、不在通知には今日の「午後5時」までに再配達を試みるって書いてあるんだけど。

ダウンタウンに出かけるはずだったのに、またパン焼き器をセットしてしまった。「FedExが来るまで出かけたくないから」と。せっかくのいい天気なのに、また予定が狂ってしまった。おまけに「きのうから腹具合が悪いから、トイレに駆け込めないところには行きたくない」ときた。おやおや。水曜日の英語教室の今年最後の日に、生徒さんたちとポットラックパーティをして食べ過ぎたんだそうな。そういえば持ち寄った料理を並べたテーブルに3回くらい足を運んだよね。中国の料理にベトナムの料理に南米の料理。ワタシも寿司飯とスモークサーモンとネギで即席の渦巻きロールを作って持って行った。何か胃がびっくりするようなものがあったかなあ。それよりも、消化の良い魚に慣れた胃袋に肉やご飯を大量に詰め込んだもので消化不良を起こしたのかな。カレシはしきりに「年のせいかなあ」とぶつぶつ・・・。

まあ、家で過ごす休みというのはこんなもんなのかもしれないけど、せっかくのいい天気なのにもったいないような気がするな。鼻をくじかれたかっこうで、しばしだらだらしていたら、FedExの配達がやって来て、5科目の講義DVDが届いた。箱を開けていると、カレシが「パドルを取る時間が過ぎてしまった」と言って来る。過ぎたといっても高々5、6分。さっと取ってしまえば問題はないのに、パン焼き器のパドルくらい自分で取れないのかなあ。しょうがないからキッチンに駆け上がって、パドルを取り出して、時計を見たら2時を過ぎたところ。

ひとっ走りダウンタウンまで行って来ようと思い立って着替えをしたのはいいけど、ソックスを履く段になって、地下鉄の駅まで歩いて15分、シティセンター駅まで15分だから、往復の時間だけで1時間。ダウンタウンでの移動時間を考えたら、ゆっくりしていられる時間はないも同然。ということで、また着替えをして、今度はクリスマスツリーを飾るために、カレシも動員してまず場所作り。それから玄関下の物置からバケツリレーの要領でガラクタを取り出して、箱からツリーと飾りを入れた段ボール箱2つ。またバケツリレーでガラクタをしまってからツリーをセットして、箱の中の飾りを全部テーブルに並べたところで、もう夕食のしたくの時間・・・。

[写真] 夕食後にツリーを飾り始めて、10時過ぎには完了。あれ、すごく早いなあ、今年は。去年は2日がかりだったような気がするけど、今年はたったの3時間。どういうことだろう、この違い?仕事をしながらじゃないから、五月雨式じゃなくて集中豪雨式にできてしまったのかもしれない。とにかく、我が家もやっとクリスマスムードになったと、ほっとひと息。だけど、だけど、カタログ注文した飾りがまだ届いていない。あと3個、かける枝がもう残っていないかも・・・。

それでも、何を思ったのかカレシが紅茶を入れてくれて、リビングの大きなテレビでMcWhorter先生の言語学の講義を見ながらひと息。ああ、休みっていいなあ。まあ、「おうちバケーション」なんだから、ちょっとくらい予定が狂ったからって慌てることはないか。うん、そこは臨機応変に、あしたの風に吹かれて右往左往するのもまた楽しからずや・・・?

雨の中のクリスマスマーケット

12月18日。土曜日。ものすごい風の音で目を覚ましたのが午前9時半。窓に雨が叩きつけられるような音はしない。ただ風の音がまるで竜巻のようにごごぉ~っと吹き抜けるのが聞こえるだけ。きのうはあんなにいい天気だったのになあと、出かけそこねて損をしたような気分でまた眠りに戻った。11時半に起きてみたら、もう風は止んでいて、雨がぽつり、ぽつり。降るのか降らないのか、決めて欲しいもんだけど、(イギリスの)ロンドンあたりは大雪で大変なことになっているというから、雨くらいで文句を言うとバチが当たりそうだな。

朝食をしながら、窓の外はぽちぽち程度らしいので、ダウンタウンへのお出かけを決行することにして、次はロジスティックスの問題。モールまで車で行っても、今日はクリスマス前の最後の週末で、ショッピングのホームストレッチだから、駐車場に止められる見込みはまずゼロだし、ダウンタウンまで車で行くなんて芸当は考えるだけ時間のむだ。結局、モールにできるだけ近いところに路上駐車して、地下鉄で行くことにした。幸い駐車場からそう遠くない公園の横に時間制限のないスペースがあった。駐車場では空きを探す車がぐるぐる回っているのに、道路を渡っただけで空きがあるというのはおもしろい。寒いから反対側にある駅までモールを抜けて行く。さすがに今日は込んでいる・・・。

ワタシの降る料金の切符とカレシの割引料金の切符を買って、なにしろ「改札口」ってものがない不思議な地下鉄だから、そのままホームに行って、ちょうど入って来た電車に乗る。地下鉄もけっこう込んでいて、バンクーバーカナックスのジャージーを着ている人がかなりいるのは午後4時からトロントメープルリーフスとの試合に行くんだろうな。普通は午後7時に始まるのに、今日は午後4時なのは、それがトロント時間で午後7時で、カナダ国営放送(CBC)が中継をするから。何でトロント時間に合わせなきゃならないのと思うけど、トロントでは自分たちがカナダの中心だと思っているからしょうがない。ま、トロントのチームは靴拭きマット級のへぼチームだから午後の試合だってどうってこないんだけど。

ダウンタウンではまずお目当てのクリスマスマーケットに行ってみることにした。場所はほぼ東の外れの市営の劇場の外で、CBCのバンクーバー局の道路向かい。何でならんでいるのかと思ったら、入場料が週末は5ドル。カレシは4分の1入っているスコットランド人の血が騒いで、「オレはいいよ。買い物が終わったら電話するから」と言って、さっさと自分の買い物に行ってしまった。(たぶんワインなどを試飲させるので入場料がかかるんだろうな。)

入り口で5ドル払って、運転免許証を見せて(成人であることを証明して)、手首に赤いバンドを巻いてもらって、小屋のような店の間を歩いてみる。焼きりんごやアップルパイ、スパイス入りワインのいい匂いが漂っていて、中央ではバンドが(こてこてに北米の)クリスマスソングを演奏していた。まあドイツ語がそこかしこで聞こえるから、ドイツ風なんだろうと思うけど、よくわからない。豚を丸ごと焼いている店があったり、なぜかアルパカのショールを売っている店があったり、アンデスの毛糸の帽子を売っている店があったりして、ますます「これってドイツ風?」と思ってしまう。

どうやら一番の目玉は大きな白いテントで、「Kaethe Wohlfahrt」と書いてある。出口の方から中を透かしてみたら、ある、ある。すてきなクリスマスの飾りがどっさりで、人もどっさり。入り口に回ったら、行列ができていて、しんがりは?と見ると、ロープに「ここから30分待ち」という札が下がっていた。中を見たいと思ったけど、雨が本気になって降って来たので、30分も並んでいたらずぶ濡れになってしまう。クリスマスに近い週末だから込んでいるんだろうし、しかたがないからあきらめて、ワインやサイダーの試飲もせずに出口へ。まあ、盛況だったら毎年恒例にするという話だから、来年までお預けにしておこう。

TIME誌だったか、最近北米で「ヨーロッパ羨望」という風潮が高まっているという記事があった。元々ヨーロッパから移民が来て定着したところだから、北米人がヨーロッパに憧れるのは今に始まったことじゃないんだけど、定期的に「ヨーロッパ」が流行するような傾向はある。ファッショナブリーにエコなバンクーバー市長にいたっては、何というと二言目には「ヨーロッパでは~」の出羽の守。ひょっとしたらヨーロッパ系以外のマイノリティ移民が増えたせいなのかな。それとも、高級化志向が王侯貴族の伝統があるヨーロッパへの憧れを呼ぶのかな。北米文化は基本的に「成金」文化なんだけど、それが新興中国の「成金文化」に押されつつあるような危機感が出てきたのかな。それとも、北米経済の大黒柱だった中流階級が衰退を続ける中で、日本のポストバブル心理のような、漠然とした閉塞感のようなものがあるのかな。それとも、市民の心理の潮流が、余裕があった頃の「東洋の神秘」への憧れから、ヨーロッパの「伝統」への回顧的な憧れに変わったと言うことなのかな。よくわからないけど、Europe is inということらしい。

クリスマス飾りの店を見られなかったのは残念だけど、まあ、今年はもうツリーは飾ってしまったから、来年はオープン早々を狙うことにして、雨の中、その足でHマートへ。雪が降っていたら、風情が違っていたのかなあ・・・。

現実は2人きりのクリスマス

12月19日。日曜日。今日は天気がいい。どうして出かけない日ばかり天気がいいんだろうな。まあ、今日は2人ともちょっと疲れた気分だから、どっちでもいいんだけど、天気予報は夜半から雪がちらついて、月曜日の朝はみぞれ。また雪かきの心配をするのかと思ったら、午後には「雨」ということで、朝からシャベルを持って飛び出す殊勝な人はまずいないだろうな。せっかくの思いつきの「思いやり」条例、せいぜい「24時間以内」くらいにしておけばさしたる問題もなかっただろうに。クリスマスまでずっと雨、雨、雨の予報だから、条例の効力を試してみる機会はたぶん来年までお預けだろうな。ま、市役所の方も雪が積もらないようにと祈っているかもしれないけど。

のんびりしていたら、ゲートのチャイム。「カナダポストで~す。小包2つで~す!」。ええ?今日は日曜日じゃなかった?ゲートまで出て行って、通販の大きな箱と日本からの小包を受け取って、「日曜日ですよね、今日?」と言ったら、「間違いなく日曜日で~す」と元気なお兄さん。曰く、「いやあ、今年は小包がすご~く多くて手が回らないので、こうしてヘルプしてま~す」。ヘルプしてるって、つまり自発的に日曜日に出勤してるわけ?「日曜日だと配達先に人がいることが多いですから~」。へえ、昔はストばっかりやっていたあのカナダポストがねえ。民営化というのはすごい威力だな。そういえば、州営の酒屋なんか、民営化する話が出ただけで(れっきとした公務員の)店員の態度もサービスもびっくりするくらい良くなったっけ。ふむ、いっそのこと市役所も民営化しちゃったらどうなんだろう・・・?

通販の箱にはおしゃれ着のTシャツが3枚、雪だるまのモチーフのクリスマスツリー飾り3個セット、衝動買いしたインテリア飾りの置き物セットが2つ。置き物と言っても、房のついたアンデスの毛糸の帽子を被った小鳥の4個セットと、スケートを履いた雪だるまの4個セットで、ひとつひとつがちょうど手のひらに乗るサイズ。マントルピースのクリスマス飾りのつもりで買ったんだけど、ユーモアのあるポーズがそれぞれに違うから、並べ方次第で愉快なお話ができるかも。

我が家もだんだんにクリスマスらしくなって来た。2人だけのクリスマスもほぼ10年近くなるのかな。元から家族連れでやってくる子供がいないから、ほんとに老夫婦2人だけのゆったり、まったり、(たぶん)ほっこり?のクリスマスとお正月。カレシや、これからもいつかどちらかに「そのとき」が来るまではほんっとにワタシと2人だけの暮らしなんだってこと、ゆめゆめ忘れるなかれ。年が年だから、オンナノコに萌えるくらいは「いつまでたってもアホやなあ」と大目に見てあげるけど、もしも「そのとき」が先にワタシに来ても、「次」はなさそうだという現実は心に留めておいた方がいいよ。いつまでも親がいると思うなと言うでしょうが。女房だっていつまでもいてくれると思うな・・・なんだから、男の人生ってのは。

そろそろ冬眠しようかな

12月20日。月曜日。のんびりと正午過ぎに起きて外を見る。ふむ、ぜんぜん白くないじゃないの。ニュースを見ると「パイナップル特急」が来ると言う天気予報。予報サイトを見ると、あ~あ、来週の月曜日までず~っと雨。ま、ロンドンやパリの空港には大雪で立ち往生している人たちがたくさんいるんだから、文句は言いっこなし。バンクーバーの空港でもロンドン行きが欠航になって困っている人たちがたくさんいるらしい。今夜は皆既月食だそうだけど、まずダメだろうなあ。

今日は郵便や小包の配達が一番忙しい日なんだそうな。ゆうべのうちに残りのクリスマスカードを全部書き終わって、午前2時半に2ブロック先の郵便ポストまで、ボディガードのカレシと2人で駆け足。(気温は1度だった。)ポストにどんと放り込んで、もうひとつクリスマス業務が終了というところ。夕食後に長いうたた寝をして目が冴えてしまったカレシと、ジャズのCDを聞きながらのんびりと寝酒。どういうわけかここのところやたらとおなかが空くから困る。いつもの時間に朝食、夕食、ランチと食べているんだけど、午前3時を過ぎるともう腹ペコで、そのままでは眠れない。はて、仕事で座りっぱなしの時と違って、けっこうちょこまかと動いているからなのかな。それにしては、朝食後に測った血圧は下が59しかなかったなあ。先週の英語教室のパーティの後2日ほどなぜか血圧がすごく上がっていささか心配になったけど、これじゃあ下がりすぎ。

今日は午後いっぱい、注文してあった食材をピックアップして、セイフウェイで必需品を買って、青果屋で野菜や果物を買っての買出しツアー。これにてクリスマスからお正月までの「冬眠」になくてはならない(ま、なくてもいいことはいいんだけど)食品類の買出しは完了。野菜やきのこ類が溢れて、夏に買った冷蔵庫が初めていっぱいになった。フリーザーもほぼ満杯で、これ以上食べるものを買っても、要冷凍・冷蔵だと貯蔵場所がないから、そろそろ食べる方にかからないと・・・。

夕食後には、カレシがトイレに入っているのを見届けて、それっとプレゼントを包んでツリーの下に置いた。ないしょ、ないしょのプレゼント。後は(なぜか舞い降りてきた小さめの仕事があるんだけど、納期まで余裕があるから)のんびりジグソーパズルをやる。絵柄はチャーリーブラウンの何ともしょぼいクリスマスツリー。星空を埋めるだけのところまで来て、そういえば、今日は通販の注文の残るひとつの配達予定日だったことを思い出した。来たのかな?来なかったのかな?発送元のサイトでチェックしたら「配達済み」。ええ?午後はほとんど出かけていたから、また「不在通知」?それともゲートの外に置いて行った?

あわてて外へ出てゲートを開けて見たけど何もない。不在通知らしいものもぶら下がっていない。さては盗まれちゃったのかな。あるいは通知を郵便受けに入れてくれたのか。とりあえず郵便受けの蓋を開けてみたら、大きなバッグがぎしっと詰め込まれていたからびっくり。我が家の郵便受けは本の小包が入るように作ってあるからデカイ。衣類だから柔らかいとはいえ、そのでかい郵便受けにぎゅ~っと押し込んで行ったわけで、反対側から引っ張り出すのにひと苦労。それでも、これでネットショッピングも完了で、いろいろと気ぜわしかったけど後はほんとに冬眠するばかり。(仕事はあるけど・・・。)

あしたは冬至。予想最高気温は摂氏6度。雨。クリスマスイブとクリスマスの予想最高気温は何と9度。公式に「冬」が始まるのに、これじゃあホワイトクリスマスどころじゃない。冬至と皆既月食が重なるのは400年ぶりだとかで、おまけに春のアイスランドの火山噴火の影響で、地球の影に覆われた月が血のように赤くみえるかもしれないというのに、曇り空には月の影も形もない。う~ん、残念・・・。


2010年12月~その1

2010年12月11日 | 昔語り(2006~2013)
内緒の話はあのねのね

12月1日。水曜日。またちょっと冷えて来そうな予報だけど、まあまあの天気。今日から12月。もう12月なのだ!いつもこの時期になって思うんだけど、どうしてこう時間の足が速くなるのか。別に生き急いでなんかいないのに、どうして?

ここのところ「腐敗組織への対抗」とか称してやたらと極秘文書をばらまいて注目されている人。最初は「アメリカ」政府の極秘文書、次に「アメリカ」の外交電文、そしてお次は「アメリカ」の銀行の内情をばらすんだそうで、おまけにずいぶん下品な容疑で国際逮捕状が出ているけど、それも「アメリカ」の陰謀ということらしい。よっぽど「アメリカ」に恨みつらみがあるんだろうなあと思ったけど、興味半分で背景を調べているうちに、何だかこの人は「恨みつらみ」の向けどころを間違えているんじゃないのかと思えてきた。(まあ、今になって「いや、ロシアや中国のもアメリカと同じように暴露するよ」と言っているらしいけど。)

写真を見ると冷たそうな目つきが印象に残るタイプなんだけど、自分のことを「きわめてシニカルな人間」と評しているそうな。先ごろ、息子の安否を心配する母親がマスコミのインタビューに応じていたそうだけど、どうもサブカル的な環境で育ったらしい。それ自体は70年代初めの生まれであれば決してめずらしくはないとしても、子供の頃に、再婚した母親が離婚の際に継父との間の子供の親権をめぐって住居を点々としたり、母親と隠れ住んだりしたことがあったらしい。さらに、自分自身も同棲していた女性との間に生まれた子供めぐって壮絶な親権争いをして、そのときに母親と一緒に一般人には入手しにくい裁判所などの文書をサービスを始めたという話だった。

そこでふっと、権力の仮面を引っ剥がすという怨念のような考えはこのあたりから芽生えたのかもしれなくて、それを駆り立てているのはひょっとしたら「女」なんじゃないかという感じがした。性的暴行の容疑で追われているし、他にもセクハラの訴えも出ているらしい。ブッシュ政権の国務長官コンドリーザ・ライス、オバマ政権の国務長官はヒラリー・クリントン。どちらも女性が世界政治の権力中枢に関わっているわけだし。これはワタシの直感的なうがちに過ぎないし、当人はまったくそんな意識はなくて、ただ「正義の味方」である自分に自己陶酔しているだけかもしれないけど、アメリカ人でもないのにクリントン国務長官の辞任を「要求」したと聞いたときは、なあんだ、爆弾の代わりに極秘情報のリークと言う武器を使っているだけで、テロの脅しでアメリカ人に「イスラムへの改宗」を要求したビンラーデンと同列じゃないかと思ってしまったな。

この人は数学や物理を学んだそうだから、頭脳は人並み以上に明晰なんだろうと思う。ジャーナリストとしても一応の実績があるそうだけど、ハッカーでもあるとか。しかも「倫理的」ハッカーなんだそうな。ハッキングのルールとか何とかを作ったそうだけど、忍び込んで盗むという手口は同じで、こそ泥のルールとあまり変わらないような感じもするな。まあ、自分の行動は正しいと確信しているんだったら、世界中にそれを支持する人たちがいるんだから、こそこそ隠れてないで、堂々と権力の腐敗や隠蔽体質を糾弾したらいいんじゃないのかな。物陰から狙い打ちなんて、透明性も何もあったもんじゃないと思うけどね。

まあそれにしても、世界各国の首脳たちが、あっちの首相はどうの、そっちの大統領はどうの、どこそこの国はどうだの、あいつらはああだのとやっている光景は、どこかの団地や公園の井戸端会議で飛び交う噂話や、掲示板やSNSサイトへの匿名の投稿とけっこう同じレベルのように思えて、つい笑ってしまった。世界政治も外交も、とどのつまりはご近所づきあいと変わらないってことかな。時には人命の安否に関わるような極秘情報を扱う職場にいた経験から言うと、どんな秘密だって、いったん別の人に伝えたら、その先のどこからか漏れるものなんだと思う。まあ、国際政治から、国政から、お役所、はては職場の飲み会から、大学のサークルから、ご近所の主婦たちの井戸端会議にいたるまで、みんな基本は人間の関係。それぞれが分離しているのではなくて、コミュニケーションという糸で果てしなく結ばれているひとつの連続したスペクトラムなんだと思う。ま、知られたら赤っ恥をかくような秘密は持たないにこしたことはないな。

英語の先生はミスターロボット?

12月3日。金曜日(だよねえ・・・)。木曜日はどこへ行ったんだろう。目が覚めたのは午後12時35分。例によって目算が狂ってしまって半徹夜。そろ~っとベッドに入ったのは午前9時に近かったから、睡眠は4時間に足りないか。朝一番のごみ収集トラックの音を聞いてから寝るなんて酔狂なもんだけど、そこは自営業。仕事があるときは、というよりは納期がまる時限爆弾みたいにコチコチと言っているときは、とにかくやるっきゃないのだ。もっとも、その気になってほんとにやっちゃうから、やっぱり酔狂だなあと思うんだけど。

いつもなら徹夜や半徹夜の後は、しばらくへた~っとしていられるんだけど、おあいにく様。次の仕事が待っている。もや~んとした頭を抱えてよく見たら何だか納期がきっついなあ。シンクタンクという、think tankじゃなくてsink tankじゃないの?と突っ込みたくなるような何とか研究所がたくさんあって、実体のある科学の研究なら、知りたがり屋のワタシもふむふむと楽しくやれるんだけど、文系はあーだこーだそーだと、どうも部外者にはどーだっていーよーな論文を書くもので、あーあ。ま、これは言うなれば車の「vanity plate(見栄っ張りナンバープレート)」のようなものだから、「実は国際会議でこういうものを配りましてねえ」と触れて回りたいがためのものかな。う~ん、こっちはめっちゃくたびれたて、あくびが出るけど・・・。

予定が詰まっているのにきのうは歯医者に行ったのがそもそもの間違い(じゃないけど)。ウー先生は中国系二世か三世かな。ちょっと見には少林寺拳法の法師のような風貌だけど、腕はいい。うちはカレシの組合年金のおまけで歯科保険があるのに、歯医者ってついついサボりたくなるよね。ワタシはなんと2年半ぶりだけど、「そんなにサボっていたにしてはいい状態だなあ」と言われてひと安心。今は歯科の技術もかなり進んで、歯垢を取るのにも昔のように鋭い器具でひっかかずに、水圧でやる。おかげで歯茎を傷つけられて血が出ることもなくなった。歯茎も過敏なところがなくて、年の割には健康でよろしい。「下の前歯の裏側は一番歯垢がたまりやすいから、念入りにフロスして磨くんだよ」とウー先生。ふむ、一日モニタの前に座って、ややうつむき加減にしているから、そこに唾がたまって歯垢ができやすいんだろうな。

ワタシが歯のクリーニングをしてもらっている間、カレシは一応の「上司」にあたるロバータと英語教室のことで相談するために10丁ほど先のネイバーフッドハウスへ。カレシに推薦状を要求して断られたなんちゃって英語先生、どうやらカレシに自分の教室を持てばと言われてその気になったらしい。ところが、ロバータに提案書を出せば責任者と相談すると言ったら、「いや、今月中に始めたい」。今は空いている部屋がないから無理だと言ったら、今度はぶっちぎれていきなり電話をガチャン!いやはや、そりゃ「先生」って器じゃないんじゃないかい?いくら先生が張り切ったところで生徒がいないことにはどうにもならないのに、なんか社会の現実をよくわかっていなさそうな人だなあ。

最近は英語教室に来る生徒の数が減っているらしい。政府が資金を出してプロの教師を雇って無料で開いているELSAという英語講座も生徒数がめっきり減っているんだそうな。このままでは閉鎖になりかねないと言う。ふむ、移民の数が減ったのか、あるいは英語ができる移民が増えたのか。(アイルランドの経済危機で、かなりの数がカナダに移民し始めているそうだけど、彼らは英語学習は不要・・・。)ま、カレシは一銭ももらっていなから、生徒が減りすぎたら教室はしばらく休みにすればいいけど、営利の英語学校の先生は生活がかかっているからそうは行かない。ダウンタウンの図書館やスタバで最低賃金に近い料金を取って個人指導をする「経験豊かな」英語先生がかなりいるようだけど、夜や週末にやっている人は副業なんだろうな。昼間もやっている人は就職先がないのかな。かってはESL教師はお金になる有望な職種だともてはやされていたのに、計画通りには行かないのが人生ってことで・・・。

先日また英語学校が倒産したそうだから、また失業中の英語先生が増えるわけで、なんちゃって先生の前途は厳しそう。韓国ではロボット英語教師が登場したそうで、韓国政府は数年のうちに相当数いるはずの外国人英語教師の契約を解除して、順次ロボット教師に切り替える計画だとか。購入費用だけで給料や厚生給付を払い続けなくてもいいから、経済的かもね。長時間労働も平気の平左だろうしね。ロボット好きの日本人もゆくゆくはロボット先生を相手に英語を学ぶようになるのかな。日本ではきっと人間そっくりに作るだろうな。TIME誌に載っていた写真を見たら、いかにもロボットらしくて(人間そっくりに作られていない)、真っ赤な口がなんともご愛嬌。だけど、ロボット相手の英語学習では「国際交流」という大義名分がなくなるような気もするけど、ま、英語を話せるようになるのが目的なんだから、そこは目をつぶることにして・・・。

解けない魔法は悲劇だけど

12月4日。土曜日。自分へのご褒美にレミのXOをちょっと嗜んで、よ~く寝て、元気回復。いやあ、外の光がまぶしい。今夜は冷え込みそうだなあ。暖まる前に雨が来てしまうとまた雪になるから困る。雨は雨降りにふさわしいときに降ってくれないとなあ。

けさはこの1週間ちょっと高めだった血圧も普通に戻った。高めとは言っても下の数値が70とか72で、ワタシとしては高め。やっぱりちょ~っと仕事のペースがきつかったかな。ま、それにしても、62歳と7ヵ月のおば(あ)ちゃんの火事場のばか力的な張り切りぶりには我ながら言葉もない感じ。もっとも、今年はもう「売上目標」」を達成してしまったことだし、あと10日でカレシの英語教室が休みに入るのと同時に仕事納めをしてしまう腹づもり。そうしたら、年明けの仕事始めまで、あるある、なんと3週間の休み!美食三昧に美酒三昧・・・。

クリスマスパーティのシーズンに入って、酒屋が込み始めるので、ゆうべ一段落したところで、お酒の「買出し」に出かけた。たまたま一番近いところにあるのが、州営の酒屋の中でも「旗艦店」と呼ばれる大きな店。ワインセラーのソヴィニョンブランの在庫がかなり減っていたから、カレシが大いに気に入っているニュージーランド産のうち、の極楽とんぼ亭のハウスワインになっているStarboroughをひとケース、Kim Crawfordを6本、他にOyster BayとBabichを3本ずつ。ま、2ダースもあれば手持ちの赤、白、ロゼと合わせて年を越せると思うけど。バーテンダーのカレシは1.5リットル入りのジンを一気に3本、ベルモットとコアントロー。「仕事、よくがんばったらね」と新しいレミのXO。後は、料理に使う安い日本酒と冷酒用のオーガニックの吟醸酒を1本ずつ。どっちも日本のメーカーだけどアメリカで醸造されたもの。ついでにカレシの好きなイギリスのエールを6本。しめて@#&ドル。んっとにのん兵衛ろだよねえ、私たちって・・・。

今夜はバンクーバー交響楽団のコンサート。寒いから、モールの近くまで車で行って、そこから地下鉄。カナダの若手の指揮者のバトンで、モーツァルトの『皇帝ティートの慈悲』序曲で始まり、カナダの若手チェロ奏者のソロでシューマンの『チェロ交響曲イ短調』。これはイントロがなんとも切なくて、胸がキュ~ッとなる。ドイツの冬ってこんな感じなのかなあと想像しながら聞いていたけど、これを作曲した頃のシューマンはすでに精神障害に陥っていたんだろうな。そう思うとよけいに胸がじ~んとなる。もっとも、そういう精神状態だったからこそ、後世に残る作品が生まれたのかもしれない。どんどん深みへ落ちていく夫をクララはどんな気持で見ていたんだろうな。(妻として家庭を切り盛りし、7人の子供を育て、自分でも作曲をしながらピアニストとして演奏活動で夫を支えたクララ・シューマンは稀に見る「できる女性」だったと思う。)

第2部はリムスキー・コルサコフのオペラ『金鶏』のさわりをやって、ストラヴィンスキーの『火の鳥組曲』。深くもやがたちこめた魔法の森を連想させるイントロにうっとり。ロシアのバレエはよく魔法がテーマになるけど、魔法を解いてくれるのはたいていは白馬の王子サマ。まあ、ジーグフリート王子のようにまんまとだまされてオデット姫を魔法から救えなかった悲劇もあるけど、いっとき魔法にかかってもそのうちに覚めて現実に戻れるから魔法はすばらしいのかもしれない。仮想現実の世界のような現代の魔法の森に迷い込んで、魔法にかかったままで目が覚めて、現実に戻れなくなってしまうと、なんだか『白鳥の湖』に通じるところもなきにしもあらずのような。

もっとも、白馬に乗って現れたハンサムな王子サマと熱いキスを交わしたら、とたんに王子サマが醜いヒキガエルになってしまった、なんてことだったら、魔法が解けたばかりに悲劇(あるいは、ひょっとしたら喜劇?)になることだってあり得るということか。『火の鳥』は勇敢な王子様と魔法が解けて自由になったお姫様はいつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし、ということになるんだけど、はて、王子様に手を貸してあげた肝心の火の鳥の方は・・・?

絆が試される季節かも

12月5日。日曜日(だと思う)。きのうは寒かったけど、今日はまあまあの天気。あんまりラニーニャっぽくないところがいいな。このまま春になればしめしめなんだけど、そうは行かないよね、当然。

予定表に残った(願わくは今年最後の)仕事。今度はもめごと。要は、ああだこうだと言ったのに、ああしてこうしてするから、なんたらかんたらということになったんであって、こっちが悪いんじゃないのに、なんたらかんたら大枚の金を出せとはど~ゆ~こった、という話。まあ、商売は基本がお金だから、損をしたら、誰かに責任をおっかぶせて埋め合わせをさせなきゃあ、ということになるんだろうけど、そのために莫大な弁護士費用をかけて、ついでに通訳や翻訳者までおこぼれに預からせて、最終的に利益になるのかな。億のお金がからんでいるなら、損はしないのかもしれないけど、まあ、それも裁判に勝ったらの話だしね。とにかく、うちの責任じゃないよということを、相手がぐうの音も出せないくらいに疑問の余地のない論理で明確、明瞭に説明しなければならないので、日本語でもさすがに筋が通っていて、やりやすいことはやりやすい。

そこでつい小町横町に寄り道。タイトルを読んでいて、ふとなんとなく思ったんだけど、今頃の季節になると国際結婚、国際恋愛、国際離婚の悩みが増えるような感じがするのはどうしてなんだろう。クリスマス休暇の季節だし、日本では年末年始の帰省の季節。どっちも「家族」の季節だな。海外生活を謳歌しているはずの国際結婚妻たちもこの季節になると憂鬱の極みという人が多いらしい。義理の親や小姑や親戚一同が集まってのにぎやかなおしゃべりの輪からはじき出されてさびしい思いをさせられるからだという人もかなりいるけど、家族との30年の歴史とたった1年や2年の2人の歴史とでは、そりゃあ話題の量が違いすぎて当然だろうに。つまるところ、自分に興味のない話ばかりでつまらない、自分にわかる話題を振ってくれない、みんなおしゃべりに夢中で異国人の自分に気を遣ってくれない。くれない、くれない、こんな国、大嫌い・・・。

この時期に国際離婚の危機が勃発しやすいのは、苦境や不満の中で、家族と過ごしていた日本のお正月がなつかしくてたまらなくなるからなのかな。何もかも嫌になって、楽しかった日本の暮らしに戻りたいという気持になるんだろうな。一種のホームシックなんだろう、海外在住歴が比較的短い人や日本の親がまだ健在の人が多いように思う。ちょうどハネムーン期が過ぎて、現実に向き合わざるを得ない厳しい時期かな。もっとも、20年、30年と経てば、誰だって親は他界して帰る「実家」はなくなるんだから、ギブアップするんだったら、へその緒が切れてしまわないうちにそうした方が賢明といえるのかもしれないな。

日本と比べたら緯度の高い地域の冬は暗くて、寒いことが多いし、クリスマスは華やいだ季節ではあるけど、何かとお金がかかる季節だから、ある意味、カップルとしての「絆」の強さが試される時期なのかもしれないけど、それは国際なんたらの関係に限ったことではないんじゃないのかな。日本で「国内結婚」した妻たちも、夫の実家への帰省がゆううつで、ゆううつで、という愚痴を投稿しているじゃないの。お正月も華やいでいるけど、年の暮れは何かと物入りだし、仕事納めが済めば「家族」が集まる季節で、結局はどこでも同じことのように見えるけどなあ。

この先、「ま、いっか」厳禁!

12月6日。月曜日。いやあ、ラニーニャの冬にしては暖かい。カレシは起きてすぐに温室へ走って行って、ヒーターをオフにする始末。そうでないと、温度が上がりすぎて屋根が開いてしまう。まあ、電気代の節約になっていいんだけどね。寒波の冬には家全体を暖房する電気代の倍はかかってしまうから、カレシの趣味とはいえ、真冬の新鮮な野菜はすっごい高級品になってしまう。電力会社も値上げしては節約キャンペーンをやっていないで、夜中の割引料金を導入してくれるといいのにな。そしたら、私たちの生活時間の電気料金が安くなる計算だけど・・・。

きのうはかなりがんばったおかげで、仕事に終わりが見えてきた。びっくりするくらいすいすいと進むから不思議。これじゃあまるで同時翻訳。日本語文書にしては論理が生前としているなあと思ってよくよく見たら、どうも元の書類はドイツ語だったんじゃないかという感じがする。それを日本語に訳したのを、アメリカの方で必要になったから英語に翻訳という流れかもしれない。グローバリゼーションは世界経済の趨勢だとしても、世界のあちこちにいる当事者の間でもめごとが起こったら、解決するのもグローバル。こうやってあっちの言葉に訳し、こっちの言葉に訳しで、子供の頃にやって電報遊びのように、初めの文書と最後の文書が似ても似つかないものになっていたなんてことがないといいけどね。

朝一番にびっくりしたのが州議会野党の新民主党(NDP)の党首が辞めちゃったというニュース。この人、好感度は党の支持率よりずっと低い。上から目線というのか何というのか、どうしてか話し方が神経に障る。いい人なんだろうけど、イメージが何より先行する時代には損だよな。与党自由党も支持率は高いのに、党首はHST導入のごり押しで州民から総すかんを食って、支持率はどこかの国の総理大臣のような9%というていたらくk。内輪でもめているうちに辞任を発表したけど、2月に党首選をするまでは首相の職を全うするとか。与党のつまずきは野党にとっては解散と総選挙を要求する絶好のチャンスのはずだけど、どっこいNDPも内戦状態。一応党首続投で収まったと思ったら、13人の造反議員が出て、一気に党首辞任へと進んでしまった。ただし、こっちも党首選は来年の1月だそうで、与党も野党もそろってlame duckとは。おまけに野党最大の支持団体であるBC労働組合連盟も2つの公務員組合が角を突き合わせて内戦状態らしいから、BC州の政治は相も変わらずコメディ続き。それでも何とかなっているみたいだから、菅さんも気を落とさずにね・・・な~んて。

さて、あしたの夕方までに終わらせて納品したら、そのまま仕事納めに突入ということになるか。あちこちで暗に「もうめっちゃくちゃな戦闘体制のようなもんでして・・・」とか何とか防衛線を張っているんだけど、はたして効果のほどはいかに。いくら根回し、根切りをしっかりやっているつもりでも、「ほんっとに助かるんですぅ」なんて言われると、うっかりその気になって「ま、いっか」と言ったら一巻の終わりだから、気をつけなくちゃね。なんたって、クリスマスの準備があるんだから、買い物がたくさんあるんだから、少しは家の中を整理整頓しないとリサイクルごみで足の踏み場がなくなっちゃうんだから、カレシが持ち込んできたガレージの錠前の問題も解決しなきゃならないんだから、それよりも何よりもとにかくワタシ自身がまとめてだだ~んと休まなくちゃならないんだから、仕事をしているヒマはないのだ。ここは来年まで「ま、いっか厳禁」と行こう。とはいっても、「小さいですから~」なんて囁かれるとわからないな。極楽とんぼは酔狂だから・・・。

あれ、夜中だというのに気温はまだ8度。大雨注意報が出ている。天気予報を見たら、明日は雨。あさっても雨。しあさっても雨。やのあさっても雨。土曜日も雨。日曜日も雨。来週の月曜日になってやっと晴れ時々曇りだって。ぐしょぐしょになってしまいまそう。だけど、雪よりはマシだから、ま、いっか。(あ、言っちゃった・・・。)

取らぬ何とかの皮算用になるか?

12月7日。火曜日。予報どおり、雨、雨、雨。でも、ラニーニャ嬢はスコットランドあたりで羽目を外して暴れているらしいので、こっちはシィ~~。ヨーロッパで遊んでいてはいけないわよね~なんて、戻って来ていただいても困るもんね。

午後3時。仕事完了。じわじわと張っておいた防衛線の効き目はいかに。もっとも、はっきりと「これにて本年の営業は打ち止めぇ」とやっちゃえば簡単なんだけど、そこはひいきにしてくれるお客筋があっての商売だから、むげにそういうわけには行かないのが現実。嘘も方便という手もあることはあるだろうけど、それもなんだかなあと思うし・・・。ほんとにこのままそ~っと年が暮れてくれたらいいけどなあ。今年はほんっとによく働いたんだからさ(遊ぶときは遊んだけど)。

カレシを英語教室に送り出して、まずは請求書の処理。電気料金にケーブル放送料金に電話料金に業務用のクレジットカード、それと所得税の前納の4回目。今年の税金がこの前納の合計額を超えないといいけどな。超えなかったら還付、超えたら追加納税。追加がありそうな予感がするから、やっぱり年度末の前にちょっと設備投資をするかな。そんな思惑を察してかどうか、プリンタは印字がかすれたり、濃くなったり。たぶん古い機種だからトナーも古いんだろうけど、ページの真ん中が薄くなって読みにくい。カラーのレーザープリンタがいいかなあ。と、あれこれ考えていたら、今度はマウスの調子がヘン。動かしているのに、カーソルがやたらと突っかかる。がたが来るとなったら、申し合わせていっせいにガタガタ。ま、今回は業者に頼んで設備一式の搬入から立ち上げ、設定、データの移行まで、めんどうなことはおんぶに抱っこで行こうっと。

払うものを期日に払う設定をしたところで、待ってました。クリスマスショッピングの始まり。もっとも、今からだとアメリカから来るメールオーダーはクリスマスにぎりぎりか、その後の週だろうな。ま、お互いの「プレゼント」は地元で買うとして、とりあえず、L.L.Bean、Lands’ End、Coldwater Creek、Magellan’sと仮想モールを徘徊して、衣料品やら何やらをクリック、クリック。アメリカのカタログだから価格はもちろんアメリカドル表示。ここんところ、アメリカドルとカナダドルはほぼ等価。ということで、換算のたびに何パーセントかの為替手数料を取られるから、アメリカドル建ての口座に入ってくる収入をカナダドルの口座に移すと目減りして損をした気分になる。カナダドルが安かった頃は為替で二重にぼろ儲けしたから、ますます働き損の気分。そこで、アメリカドル建てのクレジットカードを使って、アメリカドルのままで払っそのまましまおうという寸法。(それに、アメリカドル建ての口座はカナダの預金保険の対象外だから、銀行が潰れたら元も子もなくなるしね。)

自分のおもちゃのつもりで注文したのが、6ヵ国語の「しゃべるトラベル辞書」。英語のほかに、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ギリシャ語で、旅行者のための慣用語句が入っていて、音声で聞けるというもの。「明瞭な発音で」といううたい文句に釣られたんだけど、まあ、「○○はどこにありますか?」というようなごく簡単なフレーズを聞けるんだろうと思うから、口まねをしてみたり、○○を別の名詞に変えたりして、お遊び程度の軽い気持で「語学勉強」をやってみるのも一興。何と52ヵ国語!に対応というのもあったけど、それはいくら酔狂な極楽とんぼでも酔狂過ぎるかもしれないと思い直して、今回はやめた。だって三倍の値段だし、あくまでも「おもちゃ」のつもりなんだし・・・。

さて、クリスマスショッピング、次はどこへ行こうかなあ・・・。

まず第一歩、クリスマスへGO!

12月8日。水曜日。突然の警報で目が覚めた。がばっと飛び起きて、ベッドから転げだして、警報を解除。ああ、寝室にもコントロールパネルをつけてもらって良かった。だって、え?え?という寝ぼけた頭では階段から転げ落ちた公算が大だもんね。階下ではシーラとヴァルの声。そうそう、今日は掃除の日だったんだ。時刻は午後12時10分。ふああああ・・・。

何だかかなり集中して夢を見ていた気がするけど、その状態から甲高いアラームで瞬時に覚醒してしまったから、とにかく頭はもや~ん、体はどよ~ん、自律神経までがぼや~んで、手足の先端がやたらと冷たく感じられるし、背筋が冷や冷やするし、おまけに何となく胃がむかついているような、いないような。ふむ、仕事が終わったぞ~と、一気に安心して、一気に気が緩んで、一気に熟睡したのかな。いや、「翻訳」という商売はファッショナブルなオーラを放っているのかもしれないけど、ほんとのところは、文化的思考パターンも価値観も世界観も人間観も、はてはコミュニケーションの概念まで違う2つの言語の間で、ともすれば機械並みに、あるいは「奥歯に挟まった」何とかのように扱われて、盛大に増えるのは白髪。国連やEU議会で同時通訳者の自殺率が断トツに高いのもうなずける話。精神的にキツイ。それをねじり鉢巻でウンウン言いながらやるのは身体的にキツイ。ま、濡れ手で粟みたいな楽々の生業なんてないと思うけど。

仕事戦線は静かそうなので、英語教室に行くカレシにモールまで送ってもらって、それっとクリスマスショッピングを開始。まずは入り口の鍵屋で、3個のデッドボルトが必要で、3個ともキーをマスターして欲しいと注文。ガレージのデッドボルトにキーを差し込めなくなって(たぶんカレシが何か本来無理なことをしたんだろうけど)、うまく差し込めても抜けないと困るので、ロックは使用禁止。自分で取り替えるつもりだったけど、鍵屋は錠前屋でもあるということで、あしたの午後に来てもらって取り替えてもらうことにした。ま、仕事に追われてばっかりで、こういう家周りのことまでは手が回らないし、手を回してくれる人もいないから、人に頼まないことには「懸案事項」は山積になるばかりだし。「夫」というタイトルの人が年中いるんだけどなあ・・・。

次に、カード屋でクリスマスカード。シーラとヴァルに1年の感謝のチップを包む封筒も雪だるまのかわいいのを買った。さて、次はカレンダー。この時期になると毎年空いている店舗にカレンダー屋が入るからうまくできているな。業務用のカレンダーと、キッチンとワタシとカレシのオフィス用に3つ。キッチンのはワインがテーマで、ワタシのは去年に引き続きジャック・ヴェトリアーノの絵。カレシには植物図鑑のようなイラストのすてきなのを買った。次にデパ地下の郵便局のワタシ書箱にたまったカタログ類を引き出して、大きなトートバッグはずしっと重たい。

まあ、「用事」が済んだところで、後はカレシとスーパーで落ち合うまで「自由時間」ということで、クリスマスに欲しいものをあれこれ下調べ。Cuisinartのフードプロセッサで、3リットルと1リットルの大小の容器を使い分けれられて、パンやパスタの生地を練るための付属品までついているのがあった。これはいい。想像の「お買上げ済み」の赤札をつけておく。Coachからは25%割引券が来ていたので、自分用は別に何もいらないけど、親身でママの世話をしてくれているマリルーに良いお財布のプレゼントはどうかと思って品定め。使い勝手の良さそうなのが見つかって、何にもやらない息子の何にもできない嫁からの、せめてもの感謝の気持ということで、ギフトラップして、リボンをかけてもらった。

ということで、クリスマスショッピングの第1日め。トートバッグは肩にかけたら青あざができそうなくらない思い。ちょうどスーパーに向かい始めたところでカレシから「今、駐車場」という電話。やれやれ、もうそんな時間。買出しに行くまでのしのぎだから、バスケット1個分だけの買い物。でも、魚売り場のフリーザーで見つけた冷凍のポンパーノ。獲って生きたまま急冷凍したと書いてある。解凍したら尻尾をバタバタなんてことはないだろうなあ。その尻尾と背びれ、腹びれはきれいな黄色。日本語の名前は「コバンアジ」と言うらしい。ニューヨークのレストランで食べたことがあるだけだから、レシピを探してみなきゃ。

買い物が終わって外へ出たら、雨、雨、雨。もう3日連続で大雨注意報が出ている。どこもかしこもびちょびちょ。それでも、降りに降って2日くらいで1メートル以上積もって、まだ降り足りないらしい(オンタリオ州の)ロンドンに比べたら、ほんと、雪かきしないで済むだけましだから、あまり大きな声で文句を言うのもはばかられるかな。近郊の山のスキー場は雨と霧が続いて、せっかく平年より早くオープンできたのに、しばらく閉鎖するという話。ラニーニャお譲ちゃんがエルニーニョ坊やに変身?したわけじゃないだろうけど、21世紀はマザーネイチャーまでちょっとおかしいんじゃないの?

それにしても、寝起きが悪かったかなあ。なんかくたびれて、眠いような、だるいような・・・。

万能潤滑剤WD40

12月9日。木曜日。目覚めは午後1時35分。これ、新記録じゃないのかな。なにしろきのうはくたびれていた。ほんとに一気に気持が緩んだ感じで、夜中を過ぎた頃には、顎が外れそうなくらいの大きなあくびの連続。心なしか顎がだる~いような・・・。

朝食が終わったらもう午後2時半に近かった。雨がひと休みで、錠前屋さんが約束の3時に登場。まずガレージのデッドボルトに鍵を差し込んでかちゃかちゃ。説明した通り、奥まできっちり入らないでしょ?「うん、ちょっと引っかかる感じだねえ」と、やおらWD40の缶を取り出して、鍵穴にシューッ。鍵を突っ込んで回したら、すんなり開錠。ドアノブの方も一方にしか回らないんだけど。「ドアを開けるための取っ手なんだから、デッドボルトさえかっちりかかればこれで十分」。で、裏口のデッドボルトも開きにくいんだけど。こっちもまた鍵を差し込んでかちゃかちゃ。またWD40をシューッとやるのかと思ったら、こっちはささっとデッドボルトを分解して、回り具合を調べて、「ちょっと磨り減っているけど、まだ当分もつよ」。え?あと20年くらい?「まさか。20年は保証しないよ~」。ついでにデッドボルトの鍵を2本コピーしてもらえる?「できるけど、店に来た方が安いよ」。でも、今ここにいるんだし・・・。名前から見て韓国系のおじさん、「お金かかるよ」といいながらトラックに戻って、さっと新しい鍵を2本作って、きちんと機能することを確かめて、お代はしめて60ドル。ええ?ふつうの修理屋だったら来るだけでそれくらい取るけど・・・。

というわけで、デッドボルト3個を取り替えて300ドル近くかかるかなと思っていたから、WD40のひと吹きで解決して60ドルにはびっくり。それよりも、「WD40」のひと吹きにカレシは大笑い。そうだよなあ。だって、WD40は昔からある万能潤滑剤で、硬いねじもさびたボルトもシュッとひと吹きでするりと外れるすぐれもの。リューマチで動かない関節もシュットひと吹きで効くという伝説までできてしまって、とうとうメーカーが元は「何とか工業」のようなありきたりの会社名を商品名を変えてしまったそうな。困ったときはWD40かダクトテープというくらいの万能ぶりがジョークのねたにもなっている。鍵が曲がってしまったほどの錠前が、シュッとひと吹きで解決じゃあ、やっぱり笑っちゃうよね。(ぎっくり腰にもシュッとひと吹きで効くのかなあ・・・なんてのは冗談だけど・・・。)

仕事戦線は今日も静か。日本は週末に入るから、夜中までに動きがなければ、このまま大手を振ってウィークエンドに突入。それで後はそのままちょっと早い仕事納めということになればしめたもんだけど、はたしてどうなるか。フリーになってからは週末なんてあって無きがごとしで、仕事のない日が週末だとうそぶくしかない。週末だからと断ればいいんだけど、何度か週末の仕事を引き受けてしまうと、「あの人なら」と期待満々のお声がかかるようになって、それが金曜日の夕方遅くになって月曜の朝イチが納期の仕事の担当を探さなければならないコーディネータさんだったら、むげに断れなくてついOKしてしまう。

日本ではお客様は崇め奉るべき「神様」なんだそうだし、翻訳会社は請負ビジネスだし、「集団」が社会の最小単位とされる国の企業にとっては「個人の生活」なんて観念は無きに等しいだろうから、ある意味で日本は欧米よりもずっと「弱肉強食」だなあと思うことがある。経営理念だのミッションステートメントだの、どこもけっこう立派なんだけど、所詮は「建て前」。まあ、建物の外面なんていくらでもペンキを塗り替えられる(刷新できる)ものだし、ばか丁寧語をちりばめた機械的な接客マニュアルとさして変わらないような、なんだかWD40をシュッとひと吹きしたような感じだけど、マニュアルもひとつの潤滑油というのならそうかもしれないな。あんがい強いものに食われないための弱者のための潤滑油だったりして。万能潤滑剤WD40、金曜日なのに早く帰れないコーディネータさんに、サンタクロースに託して送ろうか・・・。

金曜日の午後のコマーシャルドライブ界隈

12月10日。金曜日。今日は午前11時30分に目覚ましで起床。外はかなりまぶしい。天気チャンネルの予報は来週の金曜日までずう~っと雨になっているのに、この陽射しはいったい何なんだろうね。ま、出かける予定のある日はその方がいいにこしたことはないけど、あしたの夜あたりからはこの時期におなじみのパイナップル特急がやって来るらしい。

どうやら仕事なしの週末。クリスマス前は買い物に行きたいところがたくさんある。今日は日系の海産物問屋の店をのぞいてみることにして、ついでにカレシが州税監査官時代の旧友アルバートと久しぶりに会う約束を入れていた。アルバートはカレシの両親から(カレシがオタワに行くまで住んでいた)家を買って20年ずっとそこに住んでいる。多民族文化が売り物のコマーシャル・ドライブのカフェで落ち合って、コーヒーを飲みながら積もる話。奥さんのローリーがガンの手術からもう2年になるけど、思うように体力が回復しなくて、職場に復帰できないでいるという。ローリーは高校教師でタバコを吸ったことがないのに肺がんで片肺になってしまった。高校生になった一人息子のエリックを大学へ送り出したら夫婦で旅行に出かけようと計画していた矢先のことだったからつらい。

穏やかな人柄のアルバートのもうひとつの悩みはその一人息子。日本で言う高校3年生で、そろそろ進路を決めなければならないのに、モチベーションが今ひとつで、成績は良いらしいけど、仲間と遊びまわって、時には午前様で帰ってくるとか。それを聞いたカレシは「オレもその年頃のときはそうだったけど、高校生が午前様はやっぱりまずいと思うなあ」。そこから今どきの教育の質の低下ぶりをああだこうだ。低下したのは教育の内容だけじゃない。すべて白黒で考える学校運営のマニュアル化、細かなことに口出しするめんどうな母親たち、カナダ版ゆとり教育で育った未来の先生のおんぶにだっこちゃんぶり。聞いているうちに、ワタシはお子様プロジェクトで垣間見た日本の教育事情とイメージが重なり、カレシはクビにした英語先生候補とイメージが重なって、3人でにぎやかにああだこうだ。果ては「人類はベビーブーム世代でピークアウトした」というワタシの持論?で意見が一致。ふむ、どっちかというと左寄り思想のアルバートまでが同意するとなると、人類の未来はほんとに大丈夫かなあと思ってしまうけど・・・。

金曜日の午後だけど、かざりっ気のないカフェは老若男女でいっぱい。政治談議に花を咲かせているおじさんたちもいれば、奇抜なファッションの若いカップルがいたり、人形のような幼い娘の話を熱心に聞いている若いパパもいる。カレシがこの界隈を闊歩していた頃はイタリア系移民の街だったザ・ドライブも、今ではイタリアンカフェに混じってヒッピー時代を思わせるカフェやエスニックレストラン、日本で言う百均ショップのような雑貨屋が並び、その間にちょっとおしゃれなブティックがあったり、八百屋があったり、スタバがあったり。昔からあった独特な雰囲気が雑多な移民文化が入り混じってますます独特なカラーを醸し出している感じだけど、ちょっと横道にそれると、カレシが幼い頃におつかいに行った小さな角の何でも屋の建物がまだそっくりあったりするから、カレシは故郷に帰ったような、何となくノスタルジックな気分・・・。

魚屋まではほんの数ブロック。途中にある(たぶん築後百年を越える)古い家並みがきれいに修復されてカラフルになっていたりして、ちょっぴりサンフランシスコの雰囲気がないでもない。このあたりは昔から移民やブルーカラーの低所得層が住んでいたんだけど、80年代の中頃にヤッピーたちが家庭を持つようになって、フェアビュー地区のコンドミニアムから移り住み始めた頃からだんだんに高級化して来たと思う。おしゃれに改装された「おうち」的な家々にはきっとおしゃれな家族たちが住んでいるんだろうな。車はBMW、時計はロレックスが決まりみたいなブランド消費文化の寵児だったヤッピーたちの多くは、子供ができるとファッショナブルなエコ活動家に傾いていったような記憶がある。今のファッショナブルに過激な若いエコッピーたちはあの頃のヤッピーの子供たちなのかもしれないな。

今日行った魚屋は日本食レストランが仕入をするところで、「一般客にも売ります」というスタンスだから「魚屋」の体裁はない。頼めば新鮮な魚も売ってくれるらしいけど、大きなフリーザーがいくつも並んでいて、その日の手持ちの冷凍品がどっさり。勝手に次々と蓋を開けて、バスケットに入れたのは、ホッケの開き、アジの開き、サンマの開き、紋甲イカ、シシャモ、寿司用に開いたゆでエビ、長いタコの足、赤いトビコ、三枚おろしのサバ、スズキの粕漬け、サバの粕味噌漬け。ついでにオープンフリーザーにあったフカヒレも入れて、遠洋漁業は久しぶりに大漁だった。これでお正月過ぎまでいろいろとおいしいものを楽しめそう。次はGourmet Warehouseでも探検しに行こうかな・・・。