リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2009年7月~その2

2009年07月31日 | 昔語り(2006~2013)
25度は真夏日なのだ

7月16日。木曜日。今日が期限の仕事を寝る前に早々と送っておいたので、今日は「休業」ということにした。手持ちの仕事はあるけど、1日でできる仕事なのに期限は1週間先。まあ、今のうちにやっておけばいいんだけど、「おお、たっぷり時間があるぞ」とついサボり心が出るのもワタシたる所以。夜中過ぎまで仕事が飛び込んでこなければ、このまま日曜日の午後までは「休業」。うれしいな。

まず、8時間たっぷり寝てもまだベッドの中でだらだら。カレシの足は温かくはないけど冷たくはない。ときどき具合が悪くて目が覚めるけど、「気にしないことにしたら」すぐにまた寝入るらしいから、好転しつつあるんだろうな。ちゃんとサプリも飲んでいるし、体重が1ポンド半増えたとか。そりゃそうだろうな。きのうはカロリー重視の食事だったから、ワタシも増えちゃったもん。(やだ~。)

今日は暑い。運動がてらモールまで歩くことにした。モンテレーベイの水族館で買った目びさしの長いベースボールキャップをかぶって、サングラスをかけたら、なんだか配達のオネエサンてな感じだけど、配達のオバサンというべきかなあ、なんて思案して、我ながらおかしい。午後2時半で、ポーチの温度計は25度。うは、「真夏日」だ、今日は。海風がある我が家のあたりでこの温度なんだから、郊外はきっと30度いってるだろうな。暑いけど、がんばって出発。

モールではまず、デパートの地下にある郵便局で私書箱のメールを出して、返品する小包を送り出す。ワタシはめったに返品はしないんだけど、このドレスだけは肋骨の下からウェストをきゅっと絞ってあるもので、肋骨の下端が外向きに広がっている体型ではそこだけがどうしても入らない。せっかく大いに気に入ったドレスだから、ひとサイズ大きいのを注文して、合わないのは返品ということにした。野菜を買いに行く途中でクリニークのカウンターに寄って、3週間も前に1日だけ10ドル値引きになるというのでチュイに注文してあったハンドクリーム2個とアイブラウペンシルを受け取って、ちょっとおしゃべり。いつ見てもチュイはうらやましいくらいの美人だなあ。

野菜はこの前どっさり買い込んだので、今日は特に果物が中心。大きな平べったい台湾キャベツがあったので、キャベツロールを作る気になった。西洋キャベツも甘くて柔らかい台湾キャベツにはかなわない。おかげでずっしりと重くなったトートバッグを2人の間でぶら下げて、また炎天下をてくてく。売り家の看板に「売約済」のシールを貼ってあるのが多くなった。バンクーバーでは6月の住宅の売れ行きが前年同月比で76%アップだったそうで、かなり値下がりしたから、初めてのマイホームを買う層と、もっと高級な地区へグレードアップする層が「買い時」と判断したんだろう。家によっては複数の買い手の競り合いになって、売り手の希望より高い値段で売れているというから驚き。そういえば、裏のワイリー家もゴードンが育ったダンバー地区に気に入った家が見つかって、改装したばかりなのに急遽「売り家」の看板を出したら1週間で買い手がついたそうな。噂によると築後80年のワイリー家の売値は80万ドルだったとか。実際にいくらで売れたのかは知らないけど、それって値下がり前の相場じゃなかったのかなあ。

日差しが強いから、丸出しの腕はあっという間に日焼け。ワタシは実にあっさりと日焼けする。地が元々からして美白肌じゃないもので、こと日焼けに関してはアドバンテージ。庶民が外で農作業をしていた昔は、色白が働かなくてもいい富裕階級のしるしだったそうだけど、その庶民が工場やオフィスに閉じ込められるようになったら、小麦色の日焼けがプールサイドに寝そべっていられる有産階級のしるしになったとか。皮膚がんになると言われながらも、今日のような日は未だにビーチは甲羅干しでいっぱい。日焼け止めを塗りまくっているんだろうけど、特に白人はやっぱり小麦色の肌への憧れが強いのかもね。(ワタシは生まれつき玄米色だけど・・・)

帰ってきて、冷蔵庫で冷えていた大きなプラムでおやつ。さて、食事の支度・・・あ、電話だよ。

30度なら猛暑日だってば

7月17日。エアコンのタイマーをかけておいたおかげで、心地よく目が覚めたけど、なんか暑くなりそうな予感。きのうは早めに店じまいしたので、駆け込みの仕事でも入っていないかと、メールをチェックしたら、ああ、やっぱりあった。だけど、入稿は(日本時間)火曜日で期限は翌日。相変わらずせわしない予定だけど、なんで火曜日?と思ったら、あ、そっか。日本ではハッピーマンデーという三連休らしい。ということは、こっちでは月曜日の夕方まで仕事のことは考えずに済む(といっても、手持ちの仕事があるんだけど)。それではこっちも三連休。サンキュー、ハッピーマンデー。

勢いづいて、懸案のゴミ退治。トロントの市役所ストの煽りで積み上がったゴミの話ではないけど、まあ、臭わないだけで、積み上がったということでは似たようなものかな。まずはひと山ある「極秘書類」をシュレッダにかける。それからアルプス級に積み上がったカタログの始末。アドレスの部分を破り取って、シュレッダにかける。カレシも自分のシュレッダでガーガーやって、2人で作った紙ふぶきはサンタの袋よりでっかいゴミ袋2つ分。久々にデスクの全貌が現れた。どこへ行ったかと思っていた創作ノートもエベレストの下から出てきた。やれやれ・・・。

リサイクルする紙類が大きな段ボール箱2つとゴミ袋2つ。ついでだからと、トラックに積んで市のリサイクルデポへ持って行くことにした。玄関を開けると、うわっ、暑い。ポーチの気温は午後3時で29度もある。暑すぎるよ。トラックの中はオーブンの中。エアコンをオンにしたら熱気が吹き出してきた。暑い!デポでペーパーゴミを所定のビンに捨てて、帰って来たらあと1ブロックのところで郵便公社のクーリアのトラックが我が家の方へ曲がるのが見えた。注文が届くにはちょっと早いけど、な~んか予感。だけど、家の前に着いたらクーリアは影も形もない。あ、ちがったんだ。と思ったら、あらま、ゲートのノブに「ご不在でした」という紙がぶら下がっている。たった1分かそこらの入れ違いなんて、ありえない。トラックを止めて、荷物を出して、チャイムを鳴らして、返事があるかどうか待って、不在通知を書いて、荷物をトラックに戻して・・・1分では絶対に無理。金曜日の午後だし、めっちゃ暑いし、めんどくせぇ~ってんで、さっさと不在通知だけ書置きして行ったなあ、おい。ここはよくそれをやる。再度の配達はないので、オフィスまで通知を持って受け取りに行かなければならない。ま、グータラ郵便局の子会社だから、輪をかけてグータラってことか。ったく、もう・・・。

夕食後は「かたづけ作戦その2」。キッチンの隣のユティリティルームにある戸棚から不用品を追放して、予備の食器や調理器具を収納するスペースを作る。カレシが「使い道があるかも」とため込んだ空き容器類がごろごろ。いるの?と聞いたら、「う~ん、たぶんいらない」。それっとばかりに全部リサイクル箱に放り込んで、空になった棚を殺菌ティッシュできれいに拭いて、パーティやスペシャルディナー用の食器類、めったに使わないグラス類を移動。まったく使わないだろうけどまだ捨てたくないものは段ボールに詰めて納戸に移動。これでだいぶすっきり・・・ただし、ワタシの「専有部分」だけの話で、カレシの「専有部分」は、なんかしらないけどごちゃごちゃしているから、無視。踏み台に上がったり降りたりで、まあ、いい運動だった。さて、あしたは食器棚とスパイス棚の整理と行くか・・・。

天気予報を見ていたら、今日の(風通しの良い空港で観測した)公式の最高気温は30.1度で、今年一番の暑さ。うわ~っ、こりゃあバンクーバーの「猛暑日」だあ。向こう1週間、暑いんだって。エアコンかけて、家の中で仕事した方が楽ちんかなあ・・・?

回遊ショッピングは大漁旗

7月18日。久しぶりに頭痛で目を覚まさずによく眠れた。きのうはほんとど1日動き回ったからかもしれないな。座ってばかりではよくないってことだろうな。カレシの方は、足の症状は好転しているようだけど、今度は朝方にトイレが近くて、よく眠った気がしないという。やれやれ。まあ、一度目が覚めてしまうと、なかなか眠れない人だから、「ああ、またか」と思ってしまうと、そこに引っかかって、逆にトイレが近くなってしまうのかもしれない。過敏性膀胱というのもあるらしいし。看護婦さんじゃあるまいし、ワタシは兼業が多すぎるよ、もう・・・

朝食を終えてすぐに、きのう1分の差で逃した配達の品物を取りにでかけた。うう、今日も暑くなりそうな日差し。市役所の向かいのビルにあるクーリアのオフィスに行ったら、「戻って来ていない」。そんなわけないでしょ。ははあ、さては運転手はそのまま家に帰ってしまったな、金曜日だし、暑いしってんで。わずか1分の差だったから、「不在通知」を配達しただけだったんでしょ。カウンターのお兄ちゃんはすっかり途方にくれて、「月曜日に調べて電話します」。まあ、どっちにしても運転手がモノをトラックに載せたまま帰ってしまったんだから、お兄ちゃんにごちゃごちゃ言ってもしょうがない。夜にトラックが住宅街に路上駐車されているのを見ることがあるから、会社のじゃなくて、自前のトラックを使う「契約社員」かもしれないし。(クーリア会社にはそういうのが多いから。)ま、無くさないでくれたらそれでよしとするか・・・。

手ぶらで帰るのもしゃくだから、カレシが欲しがっていたDVDレコーダを探しにダウンタウンへ行くことにした。今使っているのが不調なんだけど、プレーヤーは多いのになぜかレコーダはあまり売られていない。ダウンタウンの量販店で聞いたら、「今はPDRが主流です」と立て板に水の回答。何のことかよくわからないけど、「普通」のDVDレコーダは陳腐化したってことか。それでも、ソニーと東芝のがあって、HD搭載のソニーのを買った。(またセットアップでイライラしないといいけどね・・・。)車のトランクにしまって、次はDVD。HMVに行って、結局欲しいのを見つけたのはワタシの方で、コミックの『Dilbert』のアニメ版。オフィス文化を風刺したDilbertはもはやカルトみたいなものかな。「技あり!」と膝を叩きたくなるようなシャープなユーモアがいい。

最後はHマートで魚の仕入れ。今日はアルバコアまぐろと刺身用サーモンにさば、たらの一種のホワイティング、あいなめ、ししゃも(sisamoと書いてある)、カニのすり身、そして冷凍の(開きの)塩さんま。韓国語だけど、英語の名前はまちがいなく「さんま」!大根おろしに塩さんま・・・いいねえ、なつかしいねえ。他にカレシの好物の魚のソーセージと押し寿司用のしめ鯖。魚の他にしゃぶしゃぶ用の薄切りの牛肉。脂身がないし、これなら少量に小分けしておいて、コレステロールに影響しない程度にちょこちょこと使える。野菜は(緑茶で栽培した)大豆もやしとぶなしめじとししとう。おそばと韓国流インスタントラーメンを買って、バスケット2つが一杯になった。小さくて品揃えが貧弱な上にやたらと高くて(円高の時代ではあったけど)カナダのスーパーより応対が悪かった日本食品店と比べたら韓国系と中国系のスーパーは雲泥の差。でもまあ、客人口の規模が絶対的に違うから比べてもしかたがないんだけど。

パーキングメーターに2度お金を入れて、結局30分も残して帰ってきたけど、懸案2つが片付いたから上々の土曜日。さて、月曜日には配達荷物が見つかるかな?

健康志向のグルメ暮らし

7月19日。目が覚めてからもベッドの中でだらだら(でれでれ)していたら、カレシが「今日、買い物に行かない?」え、きのうもおとといも行ったじゃないの。「いや、ヘルシーなスナックを食べるのに、いろいろといるんだよね」。はあ。だったら、ブロードウェイの角に新しくできたWhole Foods Marketがいいんじゃない?有機食品とか自然食品とか健康食品の店らしいから。次の好景気には再開発の台風の目になるといわれるブロードウェイとキャンビーの交差点に開店して2ヶ月とちょっと。前からのぞいて見たかったのよね。

大きなトートバッグを持って(買う気満々で)出かけて、少し離れたところに路上駐車して、店に入ってみたら、うわあ、すごぉ~。とにかく広い、広い。まずはカレシが欲しかったトルティヤチップを探す。無塩か減塩のものというから、いろいろあるのを成分表示を比べてみる。よく見たら、あちこちで熱心に成分表示を見ている人がいる。そっか、ここは健康志向グルメの店なんだ。そうだろうな、オーガニックの野菜や肉は高いもんなあ。ポテトチップを見ている間にカレシがざくろのジュースを見つけてきた。(これはワタシの寝酒に付き合うときのジュース。)次は量り売りのナッツ類。これもすごい数がある。いるだけビニール袋に取って、品番号をツイストタイに書き込むしくみ。ヘイゼルナッツ、クルミ、炒り大豆に干しイチジクを買って、あとは店の中を探検することにした。

びっくりするくらい多種多彩な穀草類がずらり。米の粉もあるし、粟やキノア、そば、トウモロコシ。亜麻もあるし、キノアと並んで「未来の作物」と呼ばれるアマランスもある。豆類の容器をのぞいたら、これもすごい。ひよこ豆にレンズ豆に大豆にあずきにキドニービーンに白いんげん。ガーリック味のフマスを買って、いろんなオリーブを量り売りしているカウンターでそれぞれ好きなオリーブを1種類ずつ。(ワタシは南仏で採れる小粒で赤黒いニソワーズ、カレシは大きな黒オリーブ。)それから大豆で作ったハンバーグやソーセージの中から朝食用の丸いソーセージを買い、肉のカウンターを見て、やっと見つけた魚のカウンター。

いやあ、あるある。定番のサケやヒラメの他にオヒョウ、ぎんだら、レストランでしかお目にかかったことのないスズキ。どれも大きな半身をおいてあるから、きっと切り売りするんだろうな。オパーという、オレンジがかった身の魚もある。(クロスワードパズルで名前は知っていたけど、見るのは初めて。日本語では「アカマンボウ」というんだそうな。)レシピを調べて、こんど試してみたいな。今日のところは、と見回して、見つけてしまった。オヒョウのほっぺた。これが独特の食感があっておいしいのだ。えいっと300グラム包んでもらう。

このあたりでバスケットが重くなった。なのに、レジへ向かう途中で見つけたアメリカ栄養士協会の(700ページ近くある)分厚い本をつい手にとって、パラパラとめくって内容の濃さに感心して衝動買い。おかげでトートバッグは一杯。Whole Foods、気に入ったなあ。カレシも「ボクの好きなものがたくさんある」と、いたくお気に入りの様子。店の斜め向かいにはあと7週間ほどで開通する地下鉄の駅。我が家から最寄の駅までは歩いて10分ほど。切符は90分以内なら何度でも使えるから、開通したらちょくちょくここに買い物に来ることになりそうだなあ。だって、片道切符で往復できるし、カレシにはシニア割引がある。ちょっぴりエコな暮らしになるのかな・・・

想定外の三連休が終わった

7月20日。月曜日になった。確定待ちの急ぎ仕事がOKになったら、休みは「半ドン」で終わる。今日も暑そう。天気予報では日曜日までずっと真夏日。おかげで温室のきゅうりがひと晩で育ってしまうから、食べるのが追いつかなくなって来た。

きゅうりは桶を2つに切った鉢で育てているけど、つるが伸びすぎて照明を吊るすバーにからんでしまった。それが、けさ(といっても正午だけど)見たら、超大物が2本もぶら下がっていた・・・

[写真] きゅうり
[写真] バーからぶら下がったきゅうり

今日はアポロ11号が月面に着陸してから満40年。テレビ生中継は世界で5億人が見たという。その日のことをはっきり覚えている人が多いのも、それだけ強烈なできごとだったからだろう。あのとき、ワタシは札幌で秘書専門学校の学生をやっていた。中継の日、クラス全員が校長先生の応接室にすし詰めになってテレビの画面を見つめていた。二人の宇宙飛行士が無事に月面におりて、興奮が冷めやらないままで教室に戻ったら、経済社会の先生がこわ~い顔で待っていた。授業開始の時間をとっくに過ぎていて、残りの授業は延々とお説教。まあ、人類の歴史上たった一度、人間の一生でたった一度の「決定的瞬間」を目撃したばかりで、お説教は右の耳から左の耳へ抜けてしまったけど。

国際宇宙ステーションの希望研究棟に「ポーチ」が取り付けられたと聞いて、思わず「玄関のポーチ」を想像。仕事が終わったらデッキチェアを持ち出して、ワイングラスを手に、地球が沈むのを眺めながらしみじみと宇宙を語る。宇宙でならの幻想的なひととき・・・。だけど、月面から「地球の出」が見られたけど、宇宙ステーションからは地球はどこから昇って、どこに沈むんだろうな。地球はいつも眼下にあって、「地球の出」や「地球の入り」が見られるような地平線がないものね。でも、地球の向こうから昇ってくる太陽や月は見られるんだろうな。無重力で逆立ちしてみる初日の出はどんな印象だろうなあ・・・。だけど、銀河系の腕の端の端にしがみついている太陽系の「地球」という名の青い惑星が真っ暗な宇宙のまっただ中にぽつんと浮いているイメージほど強烈な印象はないかも。

その青い地球上の大陸のひとつの西の端の内陸にある西ケロウナでは山火事が燃え盛っていて、1万人以上が避難し、もうどれだけの住宅が焼けてしまったのかもわからない。会議でオーストラリアのシドニーいたときのビクトリア州で燃え盛っていた大火災の話を思い出す。町の経済を支える製材所を迫る炎から守ろうと総出で防火にあたっている間に自宅が焼けてしまった社員もかなりいるとか。職場がなくなったら即失業、という苦渋の判断で作業に当たっていたんだろうな。BC州は総面積の60%以上にあたる6千万ヘクタールが森林。乾燥する夏が来るたびに何百ヵ所もの山火事がその森林を灰にする。落雷のような自然現象はしかたがないとしても、西ケロウナの火災は(事故か故意かはわからないけど)人為的な原因らしい。もったいないなあ・・・

午後、転移肺がんの手術後の化学療法を終えて自宅療養中のローリーのお見舞いがてら、庭の菜園を見せてもらいに行った。夫のアルバートはカレシの元同僚で、夫婦での付き合いも30年近い。カレシの両親が住んでいた(カレシも20代を過ごした)家を買って住んでいる。おっとり型の会計士のアルバートとは対照的に子育て中に教育修士と博士を続けて取った高校の先生。(大学で教える可能性も考えたけど、休職していた高校教師に戻って教科担任になった方が給料が良かったそうな。)何年か前にやった子宮頸がんが肺に転移したらしく、片肺を摘出した。庭の日陰で読書していたローリーはとっても元気そうで、早期退職して主夫になったアルバートに「てきぱき」と指示。(マーフィー家は実に痛快な「かかあ天下」なのだ。)菜園はうらやましいほど効率的に植えられていて、大豊作らしい。

アルバートが給仕してくれたアイスティーを飲みながら木陰でしばしおしゃべりして、ローリーが疲れないうちにおいとま。帰りがけに、「体力がついたら極楽とんぼ亭にディナーに行くわね」と、ローリー。その元気なら、ガンんかどこかへ吹っ飛んでしまいそう。シェフのお味見メニューを腕によりをかけて作るからね。

朝からチャイムがピンポンと

7月22日。何となく目が覚めて、今日も暑くなりそうだなあとぼんやり思いつつ、うとうとしていたら、ゲートのチャイム。午前9時40分。こんな時間に配達・・・あ、金曜日に1分の差ですれ違ったクーリアだ。慌てて飛び起きて、ダダダッと階段を駆け下りて、廊下のインタコムの受話器をピックアップ。のんびりした口調で「ワタシさんに配達で~す」。あ、サインがいるから、そこに置いて行ってくれというわけにはいかない。あの~、1分待ってくださ~い。またダダダッと階段を駆け上がって、手近なドレスをつかんで、ナイトガウンを脱ぎならまたダダダッ。走りながら(そんな広い家じゃないのに)ドレスをかぶって、玄関を開けて、ゲートまで突進。のんびり顔のお兄ちゃんが手にしたキカイをちょんちょんと操作していた。足元には大きな箱。キカイの画面にサインして、ありがとさん。

家の中に戻って、カレシが寝る前に防犯装置をオンにするのを忘れたことに気がついた。ま、ワタシも慌てて飛び出したから、アラームが鳴らずに済んだのは怪我の功名ってことかな。実は、月曜日には何の連絡もなしで、火曜日は仕事でばたばた。夜になってクーリアのサイトで追跡したら、オフィスにいったん戻ったけど、火曜日の夕方にまたオフィスからピックアップされたことになっていた。つまり、またトラックの中。てことは今日配達ってこと。箱をよく見たら、「可能なら午後に配達のこと」という手書きの大きなメモが貼ってある。オフィスのお兄ちゃんはふだんはやらない再配達の手配をしてくれたんだ。感心じゃないの。配達の順路ってものがあるだろうから、「可能なら」だもんね。まあ、ちゃんと到着したらか良しとしよう。床に脱ぎ捨ててあったナイトガウンを拾って、ドレスを脱ぎながら階段を上がって、着替えてからそろりとベッドに戻って、さて、寝なおし・・・。

虫の知らせだったのかどうか知らないけど、ふっと目が覚めたとたんにまたチャイム。あんがい、チャイムの音で目が覚めたのかもしれないけど、今度は何なんだ。午前10時20分。はね起きて、またダダダッと階段を駆け下りて、インタコムの受話器をピックアップ。ちょうどゲートから出て行く後姿が映った。「小包、入れておきましたぁ」。あ、いつもの郵便屋さんか。この人はサイン不要の小包をゲートハウスの横の低い塀の上から庭の中に放り込んでおいてくれる。おかげでわざわざ取りに行かなくても済んで大助かり。また階段を駆け上がって、ドレスに着替えて、塀の内側に落ちている箱を拾いに行く。注文してあったドレスとスカートだ。玄関の中に積んでおいて、また着替えてベッドに戻る。ワタシの出たり入ったりにもかかわらずカレシはすやすや。なんだか目が冴えつつあるけど、眠れるかな・・・。

二度あることは三度ある。午後12時10分。三度目のチャイムはシーラとヴァル。そうだ、今日は掃除の日だったんだ。でも、シーラは玄関の鍵を持っているから、今度は慌てなくてもいい。まあ、いつも冗談に「掃除機で吸い込んじゃうからね~」と言われているけど、肘でつついてカレシを起こす。着替えをしていたら、階段の下から「お~はよ~」とシーラの声。あ~あ、なんとも忙しい朝だったなあ。うう、今日も暑くなりそう・・・

肉もどきと魚のケーキと

7月23日。午前10時半に目覚ましが鳴って目を覚ましたら、カレシがいない。ははあ、早くに目が覚めてしまって、そのまま起きて検査ラボに行ったんだな。きのうの午後、新しい家庭医の「面接」と称して、家から歩いて行ける距離のメディカルビルにあるベトナム系のドクターのところへでかけた。年の頃は40歳代、家庭医を目指す研修医を指導しているマー先生の教え子らしいけど、カレシの質問にまじめに答えて、吹っかける議論にもまじめに応じてくれたそうで、気に入ったことは確かのよう。ファイルを移転していないから、改めて血液検査をすることになって、同じビルで午前中だけしか開いていないラボへ出かけたというしだい。

早かったおかげで昼前に帰って来たカレシと、久々にスクランブルエッグの朝食。いつもなら卵はカレシの担当なんだけど、今日はワタシが作った。今までの卵3個の代わりに、2個と液体の卵白。卵白はコレステロールがないので好きなだけ食べて良しということで、牛乳パックのような容器に入ったのを買っておいた。スクランブルエッグにはベーコンかソーセージなんだけど、今日は大豆タンパクで作った擬似ソーセージ。ベジタリアンが増えたせいか、大豆で作った肉もどきも増えて、しかもけっこういける味のものが多い。こういう技術の進歩はいいもんだ、なんてつらつら考えながらかき混ぜていた卵。なぜかポロポロになって来た。ええ?あれ?あら、いやだ。水を足すのを忘れてしまったんだ・・・。

カナダの中央銀行が「カナダでは不況は終わった」と発表した。今年は前半の落ち込みが大きかったので年間ではマイナスになるものの、後半だけを見るとプラスの成長で、来年、さ来年と上げ調子の予測。なんだかバラ色すぎやしないかなあ。だけど、景気回復の兆候はけっこうある。政府の刺激策が功を奏したのか、当然の成り行きでそうなったのかはわからないけど、その持続期間わずか3四半期、9ヵ月というすごい短命な不況は史上最短かもしれないな。もっとも、中央銀行は先行指標を見て「不況は終わった」と言っているわけで、庶民は遅行指標でしか景気を実感できないから、街を行く人たちは「仕事もない。金もない。いったいどこの話をしてるんだか」。そりゃあそうだよね。庶民にとっては自分の財布の中身が「景気動向」そのものなんだから。

今日の収穫は40センチ以上もあるきゅうりが3本。こんなに食べきれないなあ。そのうちの1本を刻んで、サワークリームとディルで和えただけの簡単サラダにしたけど、あと2本はどうしよう・・・。メニューは電子レンジで「ゆでた」ジャガイモとタラと朝の残りの卵白をフードプロセッサにかけて、グリーンピースを混ぜた「フィッシュケーキ」。作りながら焼こうか、蒸そうかと迷った挙句に、小麦粉と(卵なしで)パン粉を押し付けて、コロッケ風にフライパンで焼いてみた。調味料は塩少しと胡椒を少し。卵白がふわりと軽い食感を作って、あっさりしすぎるくらいのあっさり味が(タラはあまり好きじゃないという)カレシに受けた。ワインを冷やし忘れたので、飲み物は夏の間冷蔵庫に常備している水出しグリーンティー。我が家のは日本の煎茶に中国のジャスミンティーを少し加えてほんのり香りをつけてある。大きなりんごを2人で分けてデザート。う~ん、なかなか健全そうで夏らしい感じがいいじゃないの(と、自画自賛)・・・。

ここはカナダなんだけど

7月24日。きのうは少し涼しかったけど、今日はまた暑くなりそう。打診のあった仕事が日本の金曜日の終わりにまでに入稿しなかったので、少なくとも日曜日の夜までは「休みだ~。バンザ~イ」。パラグラフをひとつだけやり残した仕事をさっさと終わらせて、羊飼いの編集者に送って、さあ、週末・・・。

内陸オカナガン地方の山火事は、ひとつが収束すると別のところで発生して燃え広がるもので、せっかく避難先から戻れた人たちの中にはまた避難勧告や命令が出たりする。あのあたりは夏の気温は35度にもなり、湿度は20%くらいまで下がる内陸性の気候。だからこそ、いいワインができるし、次々とリゾートができて、人口が増えるんだろうけど、その自然と開発の接点で毎年のように山火事の被害が起きるんだなあ。人間は火を使う動物だから不注意もすれば、悪さもするし、火事になったら動物のように逃げればいいってものじゃないから、難しい。自然の力はやがて森林を再生してくれるけど、人間の力は何を再生するんだろうなあ。

先月の末にオンタリオ州で起こった不可解な事件が殺人事件とわかって、容疑者が逮捕された。まあ、これだけならよくある事件で済まされるだろうけど、背景にあるらしい事情はこれからいろいろな物議をかもしそう。事件の発端は、リドー運河で水没しているのが発見された車の中に女性ばかり4人の遺体があったこと。そのうち3人は十代の姉妹で、年配の1人は彼女たちの「おば」という話。ニュースでは、2台の車に分乗しての家族旅行の帰途に起こった悲劇として、死んだ娘たちの写真を見せながら、「長女は反抗的で、よく無断で車を持ち出していたんですが、こんなことになるとは・・・」と涙にむせぶアフガン人の両親の映像が繰り返し流れた。でも、発見場所の周囲には車が突っ込んだ形跡がなくて、どうやって水没したのか謎だった。

それが突然「両親と長男を殺人容疑で逮捕」というニュース。少女たちといっしょに発見された女性は実は父親の最初の妻で、2人目の妻がいるのに離婚を許されず、逆にDVに遭っていたらしいこと、19歳の長女が父親が認めない青年と交際していたことなどが報じられて、さては「名誉の殺人」だったのかと注目された。移民は宗教だけでなく、様々な文化習慣や風習を持ってカナダにやって来る。中には当然カナダの法に反するものもあるけど、カナダではカナダの法律に従うのがあたりまえ。たしかに故国の習慣や思考、迷信からそう簡単に脱却できないのはわかるんだけど、イスラム教徒には、カナダの法とは別に「イスラム法」を適用するのを認めさせようと運動した経緯がある。もちろん特定の移民グループに「治外法権」を認めるわけにはいかないんだけど、「家族関係についてだけならいいではないか」と考えた「イスラム懐柔論者」のゴマスリ政治家がいたのも事実。事件の真相がわかれば、移民にかかわる論議がいろいろ起きるかもしれないけど、「郷に入っても郷に従いたくない」人たちがどんどん入ってくるのは、人種や文化や宗教にかかわらず、願い下げにしたいなあ・・・

それにしても、テレビカメラの前で両親が流して見せた涙は何だったんだろう。みごとな空涙といえるけど、あそこまで完璧に泣き悲しむ演技をやってのけられる心理はとっても理解できない。何年か前にバンクーバー周辺でインド系の女性が行方不明になったり、殺害される事件が続いたことがあった。テレビのニュースでは夫たちが涙ながらに妻の無事を願い、犯人逮捕への協力を訴え、やがてその夫たちが殺人容疑で逮捕された。ほんとうに、何なんだろう。どういう心理なんだろう。どういう人間性なんだろう。もちろん、こういう人間は宗教や民族や性別とはまったく関係なくどこにでもいて、「ワニの涙」は世界中で流されている。ほんとうに、何なんだろう。人間としての自由と平等が認められる国に移民してきて、その権利を享受することなく、実の親の手で命を絶たれた少女たちがかわいそうでならない。

ガラクタはなぜたまる?

7月25日。寝ている間にかかとのベッドに当たる角が痛くて困っていたけど、足の下に薄いクッションを置いて、かかとが浮くようにしてみたら、痛くて目を覚まさすことなくよく眠れた。これって、カレシが薬を飲み始める何ヵ月も前から続いているから、あはは、「同情痛」じゃないんだ。痛いのが気になり出したのは「同情」のせいかもしれないけど。早くテンピュールのマットレスパッドが届いてくれないかなあ。

機嫌よく目が覚めて、ブルーベリーとイチゴ山盛りの朝食の後、ランドリールームの整理の続きに取りかかった。カレシがカウンターの上におきっ放しにする野菜クズのバケツを反対側のカレシ専用のカウンターに移し、さらにいっぱいに広げてあったガラクタや不用品を段ボール箱に放り込んで、何年ぶりかで姿を現したカウンターを抗菌ティッシュで清掃。次に、カウンターの下の(引き出し式の)棚2つから、ビール製造用の大小のカーボーイをベースメントの廊下の端にある物置に移して、これまたカレシが「使うかもしれない」とため込んだ不用の空きビン類を全部処分して、抗菌ティッシュで清掃。次は反対側のカウンターの下の戸棚の整理。ビール製造関係や保存食用の広口ビンがぞろぞろ。おや、ペンキ塗りの道具まで出現した。(ワタシが5年前だかに二階の天井と壁をぜんぶペンキ塗りしたときの道具・・・。)

夕食のしたくの時間になるまで、そばで洗濯機を回しながらの大仕事だったけど、おかげでふだんあまり使わない調理器具を収納するスペースがど~んとできた。次はいよいよキッチンの戸棚や引き出しの番。どうも、マイホームへの引越しを控えている妹の「整理熱」に感染したみたい。この調子でトラックの荷台がいっぱいになるくらいゴミをかき集めたら市のゴミ捨て場へ持って行くわけだけど、ふむ、ポンコツトラックで通って合計1トンもガラクタを捨てたのはたった4年前じゃなかったのかなあ。どうしてこんなに要らないものがたまるんだろう。(独身時代のワタシの部屋はきれいに片づいて、おしゃれだったんだけど・・・ほんとに。)まあ、ひとつ屋根の下に「捨てられない人」と「捨てる時間のない人」が暮らしているからねえ。それでも、ときには不用品の在庫一掃をやってみるのもいいもんだな。

夕食後、なんだか珍しく湿気を感じるなと思っていたら、雨。そして雷。そんなの今日の天気予報にあったのかいな。ゴロゴロといつまでも続いて、ときどき電流にノイズやサージが入るのか、コンピュータのバックアップ電源がカチッと鳴る。雷雲はかなり郊外にあるらしく、東向きのキッチンの窓から見ていると、薄暗くなった空にときどき豪快な稲妻が走る。ギザギザだったり、2、3本に枝分かれしていたり、真横に突っ切ったり、なかなかの壮観。遠いと思うから、ライトアップショーを見ている気分。そういえば、今夜は4回ある花火と音楽のシンクロナイズショーの2回目、南アフリカ。雨天決行ということにはなっているけど、雨の中で花火を見上げるのはしんどいだろうな。ふ~ん、雨、ちっとも止みそうにないよ・・・

暑い、暑い日曜日

7月26日。うは、「熱波」だって。環境省(気象台)から警報が出されている。夕べの雷雨はその始まりで、最高気温が摂氏32度以上(華氏100度)を超える日が今週いっぱい続くとか。もしそういう日が5日続いたら、過去100年で4回目の「猛烈な熱波」ということになるんだそうな。前回は2004年8月。そういえば、あの夏は異常に暑い日が多かった。普通なら海からの気流のおかげでしのぎやすい気候なんだけど、その気流が弱くて、内陸の暑い気流が西へ逆流する現象が起きているんだそうな。おまけに湿度も平年よりは高めらしい。貯水池が80%満タンなのがせめてもの救い。

暑くなるっていうのに、トラックの「運動」のために郊外までドライブ。「どっちへ行く?東?南?」とカレシ。東はどこまでも行けるけど、南は国境にぶつかってしまうよ。東のハリファックスまでは6千キロ以上あるけどアメリカの国境まではたったの54キロ。なんかアコーディオンを目いっぱい伸ばしたようなイメージの国だな。西は海だし、北は山だから、ハイウェイは東か南ということになる。じゃあ、この前は東だったから、今日は南へ行こうか。

橋を渡ってリッチモンド、99号線をたどってトンネルをくぐるとデルタ。湾に突き当たるので、しばし東へ走ってサレー。また南を向いて、ホワイトロックをかすめてしばらく行くと国境となる。デルタからサレーの一体は農場地帯。ときどき巨大なんてものじゃない温室が見える。モジュール型につないで、すごいのになると東京ドームが4つ入るくらいのスーパージャンボメガ温室もある。こうなったら農場というよりは「野菜工場」といったほうがよさそう。冬の気候は温暖だし、フレーザー川の三角州だから土地は肥えている。地理的条件は「Eat local(地物を食べよう)」にはもってこい。

カレシが口が渇くというので、どこかで水を買おうということになったけど、高速道路ではあっても都市の郊外だからサービスエリアなんかない。地図なしで走っているから、どの出口がいいのかもわからない。そうこうしているうちに「国境まで8キロ」の標識。そろそろ出口を見つけなきゃ、といっているうちに、ショッピングセンターに通じる出口が現れた。駐車場にトラックを止めて、周りを見回したら、トラックやミニバンのような大型車が多い。歩いている人たちも大型。体に合わせて車を買うのかな。巨大なスーパーで冷えたミネラルウォーターを探しているうちに見つけたのが、ビール製造キット。道具も原料もひと揃い。カレシが自家製ビールつくりをやめたのは原料が手に入らなくなったせいだったけど、そっか、これくらい郊外に来るとまだちゃんとあったのだ。まあ、「サバービア」で観光客をやっているようなもので、ときにはおもしろい発見もあるから楽しい。

それにしても、暑い。トラックの中はエアコンが効いていいけど、おりたとたんにうわっと暑い。それにやっぱりすこ~し蒸すような感じ。これで最低気温が20度を切らなかったら、バンクーバーでは熱帯夜になってしまうなあ・・・。

夏、ワタシも羽を休めたい

7月27日。ほんとに暑い。午後1時でもう26度。ほんとうに「熱波」の大波が来てるのかなあ。まあ、暑いのはいいとしても、湿度が60%近くもある。じょうだんじゃないなあ。バンクーバーはモンスーン気候帯じゃないんだけど、マザーネイチャーは頭がどうかしてしまったのかな。まあ、人類がわいわいがやがや、ああだこうだと勝手のし放題でうるさかったから、ぶっち切れしたのかもしれない。わからないでもないけど・・・う~ん、だけどなあ。

さて今日は仕事モードと、ちょっと気合を入れてコンピュータを立ち上げたら、先月の仕事で相手もとっくに客先に納品したはずの仕事でに「チェックが入りました」。あ~あ、またか・・・。勝手に元の日本語そっくりに書き直して、「英語として問題ないでしょうか」だと。ないわけがないでしょうが。日本語は英語じゃないんだから。おまけに日本でしか通じない短縮型カタカナ英語をそっくり英文に使って、もう。それは日本語でしょうが。日本では「常識」なのかもしれないけど、カタカナ英語は「英語」じゃないの。小町でだって、何で日本人は外国語をカタカナにして使いたがるのかという疑問に「カタカナ語は日本語だ」という意見が多かったでしょうが。あ、業界用語だから、「社内の常識」ってことか。だったらなおさら・・・う~ん、不毛な議論がワタシの頭のなかをぐるぐる。そう、思い込みが強くて、人の話を聞かない人たちとは議論しても不毛、不毛。

だけど、商売であればテキトーにいなせばいいってものでもない。一応は(歯軋りしながら)幼い子供を諭す母親のごとく対応するけど、こういう人たちを相手にするのはもういい加減にくたびれたという気持にもなって、やっぱり65才になったら引退しようと思ってしまう。あと、3年と9ヵ月・・・うん、引退を「目指す」か、引退問題に「取り組む」か、それとも引退に向けての準備を「促進する」か。この3つの語は、どうも「努力します」と言っているだけのような、具体性のない表現で、そのまま英語にすると、ほんとに「努力目標」のように聞こえてしまうからやっかい。学校で「結果より過程!」と刷り込まれて、過程でがんばりさえすれば結果はどうでもいいんだと思い込んでいるのかなあ。「~より~」の思考のせいで、「結果も過程も」とは考えられないのかなあ。過程はどうでも結果が大事ということもあるし、いい結果を出すためには過程が大事ということもあるし、わかんないなあ、ワタシには・・・。

やっぱりワタシも年相応に異文化、異言語の間をすいすいというわけには行かなくなって来たということなのかな。それはある意味で、「精神的に落ち着きたい」ということなのかもしれない。翻訳も通訳も他人様の思考を慮って代弁するようなもので、それもやりすぎとやらなすぎの綱渡りが難しい。特にこの頃は「注文の多い料理店」のような人たちが多いから、さすがのワタシだって、「も~そっちの好きなようにしなってば!」と叫びたくもなる。すっかり肌身になじんで勝手がわかっている環境で、だんだんわけがからなくなることによけいな気を回さないで、の~んびり、ゆ~ったり、ま~ったり、ほ~っこり、ベジタブルみたいに暮らしたくもなる。あ~あ、次の納期が迫っているっていうのに、疲れた気分で気合が入らない。うん、きっと暑さのせいなんだ・・・。

極楽とんぼ亭は路線継続

7月28日。暑いなあ。ほんっとに暑い。エアコンが稼動している家の中にいても、まぶたがどろ~んと重くなる。きのうはとうとう「偏頭痛」に似た頭痛が起きた。偏頭痛なんか40を過ぎてからほとんどご無沙汰だったんだけどなあ。まあ、きのうは異常天候な上に頭にくることがあったりして、負のストレスの相乗効果というのか、ほんとにぐ~ったりと疲れた感じだった。小町などでよく見る「どっと疲れる」という表現がわかったような。疲弊したとまでは言わないけど・・・

今日は正午にはもうポーチの温度計が25度を突破していた。今日の予想は最高気温29度、最低気温が21度。平年並みの最高気温が23度なんだから、やっぱり異常すぎる猛暑(というよりは、灼熱の「酷暑」か)。まあ、海際で最高気温が30度を越すことはたまにあるけど、湿度も平年より高いということで、けいに暑く感じる。だいたい、最低気温20度以上というのは、ふつうなら日中の最高気温だもんなあ。暑いのだ。裏口のポーチにおいてあるコンポストの容器にイチゴのへたを捨てに出たワタシ。家の中に入ろうとして、きゃっ!外側の敷居は金属で覆ってあるので、直射日光でフライパン並みの温度になっているのを、はだしでもろに踏んでしまった。軽いやけどをしたらしく、午後いっぱいヒリヒリ。暑いのは、もういいよ・・・。

この暑い中、カレシは先週の検査の結果を聞きに、トラン先生のところへ出かけて行った。予約の電話を入れたら3時間後のアポをくれたもので、また「心配虫」が騒ぎ出したらしく、出かけるまでしんねりむっつり。あ~あ、ただでさえ暑いのに、よけいに暑苦しいよ、もう・・・。ワタシは意外と簡単だった仕事を済ませて納品して、さて、今日のディナーは何がいいかなあ。でも、ぼけっとして食材を出し忘れ。じゃあ、めんどうだから刺身と、あと何か冷製を1品かな・・・と、熱ボケの頭で考えているうちに、カレシが帰って来た。ドアを開けての第一声が「信じられない」。ん・・・?

コレステロール値がほぼ正常のレベルまで下がっていたんだそうな。ただし、血糖値は2ヵ月前よりも高くなっていて、糖尿病すれすれ。そこでカレシがここ2ヵ月の食事の内容を説明したら、「それは少しやり過ぎかも」。あはは、我が家の「食事療法」は効果がありすぎて、コレステロールはあっという間に下がったけど、果物や炭水化物が増えすぎて血糖値が上がってしまったということらしい。それでも、糖分に気をつければ、特に食事を制限する必要はないし、もちろんリピトールの服用は中止。ビールも飲みたかったら1日1本くらいは飲んでもよし。へえ、食事の内容を変えただけでほんとうにそんなに効果があったのかなあ。ひょっとして、前回の測定に問題があって、本来は不要の薬を飲んだから副作用が出たということも考えられないのかな。セカンドオピニオンというのは、聞いて損はないものなんだなあ。

とどのつまりは、心臓病予備軍から糖尿病予備軍に移籍したようなものかもしれない。で、食事はどうするの?と聞いたら、「今のままでいい。赤身の肉を少し増やしてもいいけど、今のままで文句はないよ」と。そうだねえ。この2ヵ月、チキンとポークを少し食べただけで、ビーフはこの週末までお預けだったけど、二人とも別に不自由な感じはなかったもんねえ。だったら、魚中心の基本路線を維持することにして、肉類を少しだけ増やせばいいか。せっかく健康志向のライフスタイルに方向転換できたんだし。だいたいバンクーバーという土地柄のおかげで、60日のうち50日は魚を食べて、バラエティは豊かで、ちょっとの工夫でけっこうグルメ風になって、かなり楽しんだものねえ。うん、バランスとバラエティ・・・そのあたりが「食」を楽しむコツなんだろうな。それでは、極楽とんぼ亭としては、メニュー構成を微調整して現行路線を継続、ということにするか。

観測史上で一番暑い日

7月29日。ますます暑くなってきた。ポーチの温度計は正午ですでに28.5度、午後3時には32度に大接近。テレビのニュースもトップで、みんな口を開けば「暑い!」の連発。ひょっとしたら、バンクーバーでの公式の最高記録33.3度を更新するかもしれないとか。ニュース専門のラジオ局のウェブサイトをみたら、「記録的な暑さ。最高記録更新か」という大見出しの下に、雪に埋まった車をシャベルで掘り出している去年のクリスマスの写真。キャプションは「あのときの望みごと、覚えてるよね?」と皮肉たっぷりだけど、英語には「Be careful what you wish for」という言葉があって、このあとに「lest it come true」と続くんだけど、雪に閉じ込められて「ああ、早く暑い夏になるといいのに」なんて望むもんだから、ほら、猛暑になってしまったじゃないか、といった感じだろう。どえらい猛暑ということは、それだけ雪かきをしながら「夏が来ればいいのに」と望んだ人たちがいたってことかも。

今日の郵便に検査ラボからの封筒があった。カレシの検査の結果を頼んだとおりに送ってくれたのだ。カレシは「もうドクターに普通だと言われたから見なくていい」と言って封を切ろうとしない。でも、見てもいいかと聞いたらいいというので、「専属栄養士」のワタシが代わって封を切った。いろんな数値が並んでいて、たったひとつ高いことを示す「H」がついているのが、「空腹時の血糖値」。早速ググってどのレベルなのかリサーチ。数値の単位がmmol/Lなので、これをmg/dLに換算する数式を見つけて、計算。たしかに、血糖値は103で、正常の上限の100mgをほんのわずか超えて「前糖尿病」の域に入っている。でもまあ、これだったらドアのところにつま先を突っ込んだ程度で、運動すれば正常域に下げられる範囲ということだろうな。

一連の騒動の元になったコレステロールはというと、総コレステロール166、悪玉コレステロールが100、善玉コレステロールが54、中性脂肪は62。なあんだ、これなら「正常」もいいところで、何だって食べられるレベル。もちろん、その気になってステーキだのハンバーガーだのとがつがつ食べまくったら元の木阿弥になるけど。たぶん一生薬で抑えるしかないと言われたレベルからたった2ヵ月でここまで下げられたのは食事内容をがらりと変えたせいかもしれない。だったらワタシも頭を使った甲斐があったというものだけど、過激ダイエットじゃあるまいし(カレシは7キロやせたけど)、そんなに早く減らせるもんなのかなあ。なんかまだ狐につままれたような感じ・・・。

まあ、今日は「ど」がつく猛暑で、暑いという話を聞いただけで汗がドバっと出てくるから、ディナーは涼しげな冷やっこはどうかな。豆腐はどのスーパーにも置いてある地元製のもの。このメーカーはデザート用から、ソフトな絹ごし、ミディアム、ハードの木綿豆腐などいろいろ作っている。テンペに近いような硬いのもある。健康ブームのおかげで、それだけ豆腐が普及しているということか。だけど、毎日暑いからって冷たいものばかり食べているわけにもいかない。明日はどうする?

食事をしながら見ていたニュースによると、今日の最高気温は33.8度だったそうな。おお、やったあ。やっぱりバンクーバーの観測史上一番暑い日の記録を更新!もっとも、日本の長い暑い夏になれた人たちにとっては33.8度なんてただ「暑い」というだけかもしれないけど、平年の「最高」気温が明け方の「最低」気温になってしまっているバンクーバーでは、天地がひっくり返ったような大異変なのだ。エアコンのある家もそんなにないし、扇風機はどこもとっくに品切れだそうだし、湿度は30%台まで下がって来たけど、今夜も寝苦しそう。う~ん、午後8時でまだ33度・・・

とにかく暑すぎる!

7月30日。どうも起きたとたんからそんな予感がした。正午で32度。午後3時で33.7度。夜のニュースではなんと34.4度。なんなんだ。きのう観測史上最高の新記録を作ったばかりなのに、もう更新って。あ~あ、暑い。暑すぎるのだ、寒冷地仕様ののワタシには。(もっとも、家の中にいる限りはエアコンかけっぱなしで、仕事もできるんだけど。)

今日は久しぶりに芝居におでかけ。シーズンチケットの残り4枚の期限切れはこの土曜日。イアンとバーバラを誘って、ニューヨークのオフブロードウェイでヒットしたらしい『Altar Boyz』というミュージカル。男の子のポップグループによる「迷える魂の救済ツアー」という設定で、宣教師みたいなクリーンカットのマシュー、どう見てもゲイのマーク、Bボーイのルーク、メキシカンの孤児フアン、そしてなぜかコテコテのユダヤ人のエイブラハム。いっとき流行ったボーイバンドを使ってキリスト教を風刺しているところがあるもので、絶賛と批難がかなり分かれたらしい。

ステージに「ソニーDX12」という迷える魂の数を数える不思議な機械が置いてあって、今夜の観客の中には289人。これをゼロにしようというわけだけど、最後にどうしても救われない4人残る。それがエイブラハムを除く4人で、それぞれに独立の(スターの道への)お誘いに乗ってしまったていた。ユダヤ教徒のエイブラハムは「Altar Boyzはぼくだけになっちゃうじゃないか」。彼は「いつか自分がクリスチャンバンドにいる意味がわかると思って」似たような誘いを蹴ったのだった。それで1人、また1人と反省して、最後に迷える魂はめでたく「ゼロ」。私たちにはおもしろかったけど、カトリック教徒のバーバラはちょっぴり抵抗感を感じたそうな。

ワタシは神様を信じているけど、カトリックでもなければ、聖公会でもないし、長老派でもないし、メソジスト派でもないし、ルター派でもないし、カルヴィン派でもないし、クェーカー教徒でもないし、モルモン教徒とでもないし、正教会でもなければユダヤ教徒でもないし、イスラム教徒でもヒンズー教徒でも仏教徒でもない。(やれやれ、なんだってこんなに数え切れないくらいたくさんの宗教があって、それぞれにやたらとたくさんの宗派があるんだろうなあ。もめるだけなのに・・・。)ワタシは神様は人の「良心」に直接働きかけると勝手に思っているから、階級化した組織はいらないだけ。まあ、組織人間から見たら、こういうのも「異端」ということなんだろうけど・・・

なにしろ暑いもので、今夜は徹底した露出作戦。シンガポールのチャイナタウンで買ったドレスの出番。首の後ろで紐を結ぶスタイルだから、ブラなしの背中丸出し(顔出しはなし)で、これ以上は涼しくなれない・・・

 [写真] カレシが撮ってくれた写真を見ながら、日本だったら、「いい年してさむっ!」とか、「みっともない」とか、「見苦しいから年相応にしてほしい」とか言われるんだろうなあと思ったら、おかしくて笑ってしまった。他人さまの美醜のものさしに合わせて暑苦しいのを我慢する必要ってある?だって、記録的な猛暑なんだもん、無理をしないで快適に過ごすのが一番じゃないのかなあ。劇場を見回したら、中高年女性の丸出しの背中があっちにも、こっちにも。男性も毛ずね丸出しのショーツ姿がいっぱい。フリースタイル、バンザイ!                                                                                                                                               
通せんぼ、通せんぼ・・・

7月31日。カレシが友だちのリチャードとランチをするというので、起床は午前10時半。相変わらずの晴天だけど、ん?思ったより暑くないような。ランチに出かけるというのに、カレシはワタシに付き合ってフルの朝食。食べ過ぎにならないの?と聞いたら、「今日はサラダを食べるからいいんだ」と。待ち合わせが正午なのに、20分前に出れば十分だと言い、その20分前になってサングラスがないとひと騒ぎして、あげくに「リチャードはいつも遅れてくるから大丈夫」。あ、そう。市役所のあたりまで来たら、渋滞に次ぐ渋滞。何のことはない、この暑いのにあっちでもこっちでも道路工事。カレシはイライラ、ぶつぶつ。(血圧、あがるよ~。)結局10分の遅刻・・・。

カレシがランチをしている間、ワタシはウィンドウショッピング。小さめで効率のいいバッグを見つけたいんだけど、今どきのデザインはどれもイマイチ気に入らない。クレジットカード数枚と携帯とパーキングの小銭とめがねと防犯装置のリモートが入ればいいんだけど、望みすぎなのか、大きすぎたり、小さすぎたり。若いカップルの姿も目立つけど、彼女たちが靴やバッグの品定めに余念がない間、ボーイフレンド君たちは座って居眠りしたり、iPodを聞いていたり。ワタシがニューヨークのティファニーでアクセサリーを選んでいる間も、カレシはエレベーター側のソファで船を漕いでいたっけ。暑い日だったなあ。若いカップルたちの未来の姿が見えるようで、なんだかほほえましい。

バッグ探しは不発のままHマートへ移動して、買い足すものを選んでいたら、カレシから携帯に「ランチ終了」のコール。午後1時40分。ビールとサラダにしては長いランチだな。リチャードは公認会計士と弁護士のダブル資格を持っていて、投資会社の法務担当副社長。カレシよりもひと回り以上年下ではあるけど、同僚時代からずっと20年の付き合い。年令にかかわらず気の合う友だちがいるというのはいいもんだ。まあ、オンナノコにフィーバーしていた頃は「同じ年ごろのヤツらとは話が合わないんだ」と言って、そっぽを向いていたカレシだけど、あのときはカレシの精神年齢がオンナノコたちと同じレベルにタイムスリップしていただけ。夢から覚めたときに友だちが疎遠にならずにいてくれたというのは何という幸運。みんなを大事にしなよ。

帰る途中で青果屋によるつもりだったけど、Hマートにも同じ野菜があるので予定を変更。そういうことならと、ワタシは青果屋にない日本式の長いネギやまいたけ、しめじ、ししとうを追加。ついでに冷凍のほっき貝と「Hiyashi Wakame」という茎わかめの漬物も買ってみた。(ごま油の味でおいしい。カレシが気に入ったなので「いつもの」品目に追加。)とうとうバスケットが2つになったから、ついでのついでにチヂミのミックスも買ってみた。おかげでけっこうな買い物。

今日はダウンタウンでサイクリストがどっと集まって道路をふさいでしまおうという企画があるそうで、警察からできたら車を乗り入れないようにと警告が出ていた。初めの頃は自転車の普及推進が看板だったはずだけど、この頃は自転車族はグリーン族と同じように傲慢な「反自動車運動家」になって、ドライバーを挑発しようとする。後でニュースで見たら、マリファナの臭いがぷんぷんしていたと言っていたけど、環境だのエコだのとへ理屈をつけていても、所詮はそういう人たちが交通ルールを破ったり、堂々とイジメに近いことをやったりできるチャンスだとばかりに集まって、車を運転しない我々は崇高な存在なんだということを(自分に)誇示するイベントなんだろう。ま、都市ブルジョワ活動家なんてそんなのが多いみたいだからなあ・・・。

くわばら、くわばら。道をふさがれて嫌がらせされないうちに、とっととダウンタウンを脱出・・・。


2009年7月~その1

2009年07月16日 | 昔語り(2006~2013)
カナダの誕生日

7月1日。今日はカナダの建国記念日。日が暮れたらダウンタウンで花火が打ち上げられるらしい。テレビのニュースは各地での祝賀イベントの様子や新市民の感想を繰り返し流している。まあ、東の端から西の端まで時差が4時間もあるもので、お祝いもウェーブ式。

この日には各地で新市民の宣誓式がある。宣誓式そのものは年に何度もやっているけど、この日のは特別。うまくこの日に当たった人は一生の思い出になるだろうな。ワタシの宣誓式があったのは10月で、世界中から来たいろんな人たちに混じって、右手を上げて宣誓した。結婚式と同じくらいに緊張したし、じ~んと胸が熱くなった。このあたりはカナダで生まれ育って、ごくあたりまえにカナダ人として生きてきた大方の人にはなかなかぴんと来ないことらしい。まあ、生得権なもので、あたりまえすぎて「市民権」の持つ意味を深く考えたことはないだろうな。学校でも、日本国民が日本の義務教育で日本のことを習うのを同じで、算数、国語、理科と同列にカナダの社会科や歴史の授業があるわけだし。だけど、多民族多重文化国家のカナダでは、「カナダ人」の定義は出自を問わず「カナダ市民」だから、ワタシもカナダ人であたりまえ。

ワタシにとっては結婚を決めたのと同じくらいに重大な決意だったから、市民としてカナダという国に忠誠を誓うことは、結婚式で「I do」と誓うの同じ重みがあった。テレビを見ていても、自らの意思でカナダを「自分が属する国」として選んだ人ほど、カナダへの思い入れが強くて、カナダ人としての誇りをすなおに表現している。独裁者や迫害から自由を求めて来た人たち、平和で安全な未来を求めて来た人たち、母国では与えられない可能性に賭けてきた人たちと、背景はいろいろ。もちろん、さしたる計画も夢も持たずに来た人たちやカナダのパスポートがあれば何かと便利だと思って来た人たちもいるだろうけど、それはそれで「ま、いいじゃん」と肩をすくめてしまえるお人よしもカナダのいいところかな。

カナダの国歌、『O Canada!』をここに載せておこう。

   O Canada! Our home and native land!
   True patriot love in all thy sons command.
   With glowing hearts we see thee rise,
   The True North strong and free!!
   From far and wide, O Canada,
   We stand on guard for thee.
   God keep our land glorious and free!
   O Canada, we stand on guard for thee
   O Canada, we stand on guard for thee.

ついでに、在日カナダ大使館のページにあった日本語訳・・・

    おお、カナダよ! われらが故郷、われらが祖国!
    汝の子すべての中に流れる真の愛国心
    輝ける心をもって 興隆する祖国を見守らん
    真の北国 堅固にして自由なり!
    遠く広くから、おお、カナダよ われらは汝を守りゆく
    神よ、これからもわれらの大地を荘厳で自由に保ちたまえ
    おお、カナダよ われらは汝を守りゆく
    おお、カナダよ われらは汝を守りゆく

ハッピーバースデイ、カナダ!

きりぎりすになりたい

7月2日。外はせっかくいい天気だというのに、(仮想的)大汗をかきながらの「残業モード」。魚の話を翻訳して、魚を食べて、また翻訳して・・・。なんか知らないけど、耳の後ろあたりに鰓ぶたができそうな。それとも、人魚姫の逆を行って、足が魚の尻尾になってしまうのかな。

まだ原稿用紙にして100枚分くらいあるってのに、当面はなだれにずっぽり埋まって行方不明だと思ってね、と言ってあるのに、またやたらとどでかい仕事の話が持ち込まれる。それも同じところから2つも。どっちかひとつになるんだろうけど、どっちにしてもこれで7月が消えてしまうなあ。もう、しらない。カレシも2ヵ月の夏休みに入ったし、いっそのこと、ワタシも8月は「休業中」の看板を出そうかなあ・・・。

トイレットペーパーがなくなってしまう。ミルクもなくなりそう。野菜もなくなりそう。たまにはマティニを作ってもらおうにもジンがない。お気に入りのレミも空っぽにしてしまったし・・・。あ~あ、みんな夏休みになる夏だってのに、ワタシだけどうして・・・?

あと、3年と、9ヵ月と、3週間。ああ、ワタシは今すぐきりぎりすになりたい・・・

レミがないからヘンな夢

7月3日。うはっ、起きたとたんから暑い。午後1時を過ぎたばかりでポーチの温度計はもう24度。この分なら今日はもう「真夏日」。西岸海洋性気候帯にあるバンクーバーでは、日本の気象庁の区分の表現を拝借するなら、午後の気温が20度を超えると「夏日」で、25度を超えたら「真夏日」という感覚になる。めったにないことだけど30度を超えたらまさに「猛暑日」で、湿気がないから日差しを浴びるとオーブンで丸焼きにされているような感じがする。ワタシなどは15分でまっ黒けになるくらい紫外線が強い。もっとも、この暑さもせいぜい週末だけで、週明けには20度以下の「夏らしくない日」になって、雨が降るらしい。まあ、適度のお湿りもないとね。

ゆうべは眠れなくて困った。頭が冴えすぎていたのかどうか、ひたすら目をつぶっていても眠りに入れない。しまいに足首がうずき始め、膝の関節がうずき始め、股関節がうずき始めて、ますます眠れない。結局、午前3時半にベッドに入って、眠りに落ちたのはごみ収集車とリサイクルトラックが通った後の午前7時半すぎ。なぜか新聞サイトによく出ていた日本の大臣が東京オリンピックのようなまっ白な体操着で、サーカスよろしく人間ピラミッドのアクロバットをやっていた。それもインタビューに答えながらなもので、飛んで来る人間をキャッチできずにミスしてばかり。ワタシは「しゃべってないで神経を集中しろよ」と思い、こんなときにインタビューしているリポーターもなんだかなあと思いつつ、ぼんやり見ていた。(外されてすっ飛んでいった人たちはどうなったのかなあ・・・。)

ヘンな夢から覚めて、どよんと眠いままで朝食を済ませて、回遊式の買出し。まず銀行へ行って、カレシに送られてきた代講の「給料」の小切手を入金して、掃除料やら何やらをまかなう現金を引き出して、駐車場を隔てた酒屋へ。ワインを補充し、普通サイズのジンを買ったのはいいけど、肝心のレミが販促をやっていたらしくて売り切れ。レミがなかったら眠れぬ夜をどうすりゃいいんだと、「XO」に手を出す。値段はいつものVSOPの2倍半。カレシ曰く、「よ~く眠れて、いい夢を見られるだろうねえ」。ふむ。まあ、ちびちびと飲むから・・・。

お酒の次は道路を渡って、スーパー。トイレットペーパーだけは忘れてはならないぞ。最後の1個をけさ上と下のトイレで2つに分けたんだから。あれこれバスケット2つ分買い込んで、持参した超特大のLLビーンのトートバッグに詰めてもらったら、思いのなんの。さて、最後は野菜とくだもの。今日は地物のいちごはなくて、代わりにラズベリーが出ていた。それぞれにバスケットをもって、別のトートバッグに詰めてもらって、今日の買出し大作戦は完了。家に帰ればもう夕食のしたくの時間に近い。やれやれ。だけど、腹が減っては戦はできないから、食べなくっちゃねえ。ふう・・・

脳みそをデフラグすると

7月5日。ゆうべはレミのXOをほんの少しだけ飲んだ。(グラスに1オンスほど注いだところで、カレシがさっさと栓をしてお酒の棚に戻してしまった・・・。)コレステロール対策実施中のカレシはフルーツジュースを注いで、なんだかちぐはぐだけど、30分ほどのおしゃべりで頭の凝りをほぐして就寝。

おととい奇妙な夢を見たばかりなのに、またなんかヘンな夢。乳母車を押しているナニーがいたり、庭師がいたりで、ビクトリア朝のイギリスを舞台にしたドラマが目の前で繰り広げられているみたい。そのうちに薄暗い部屋にみんな集まって、よく見たら、ミニのフリフリ衣装のアキバ系メイドまでいて、くすんだシーンの中でやけに浮き立っているじゃないの。暗がりで「ご主人様」のような人が「この家にこんなに大勢が集まったのは初めてじゃ」とか何とか。イギリスの時代ものドラマで見たような人だけど、誰なんだろう。別に殺人は起きなかったけど、謎めいた女性がいたりして、ちょっぴりアルトマンの『Gosford Park』風の群像劇といったところ。ひょっとして芝居のネタになるかも。

記憶された情報を整理するのが夢を見ることだとしたら、ジャンボ仕事で思考や資料を収納するスペースがなくなったもので、あわてて脳のデフラグをやっているのかもしれないけど、それにしても、ワタシの脳みその中にはなんとまあ実に雑多なデータや映像が詰まっていることか。そのうちのどれくらいがほんとうに役に立つ情報なんだろうなあ。それよりも、どれが役に立って、どれが雑学で、どれがむだに場所をとっている情報なのか、脳みそは何を基準にして決めるんだろうな。ちなみに、おとといのヘンな夢にサーカスをやっていた日本の大臣は「厚生大臣」だった。名前は思い浮かばないけど、豚かぜパニックの頃に新聞サイトに毎日のように登場した顔なもので記憶に残ったんだろうな。ひょっとしたら、大臣がキャッチしそこねていた「人間」はH1N1ウィルスだったのかも・・・

夢ってヘンなところで意外に象徴的だったりするからおもしろい。まあ、普通の夢はレム睡眠中で悪夢はノンレム睡眠中に見るというから、怖い夢を見なくなったのは良く眠れている証拠ということで、リラックスしてシュールなドラマを楽しめばいいのかもしれない。ついでに、誰かが夢を録画するキカイを発明してくれたらもっといいのになあ。

流れ来る椰子の実は

7月6日。なんとなく寒いと思いながら起きたら曇り空。天気予報の通りとは言え、夏満開からいきなり14度はないだろうに。午後いっぱい気温は上がらず、ポーチの温度計はとうとう15度まで行かないままで、ぽつぽつと雨。降っているとも言えないようなお湿り程度なもので、カレシはどよんとした空を見上げて、「どうせ降るんだったら、水やりしなくてもいいくらい降ったらどうだ」。

まあ、でも今日は庭仕事はひと休みにして、温室での作業。去年ワタシが成田空港で買って来たきゅうりの種が元気に育って、30センチ以上もある日本のきゅうりが豊作。きゅうりに関しては、このいぼだらけのが食感も味も一番。北海道の名寄に住んでいた中学生の頃、両親が社宅の裏の広い庭でいろんな野菜を作っていた。なにしろ、塩気の強いガスのおかげで野菜があまり育たなかった釧路から、軽く30度を超える暑い夏がある北海道の米どころに引っ越したもので、あれもこれもと植えたらしい。きゅうりなどは大がつく豊作で、冷蔵庫を開けるときゅうりの山。毎日仲良しといっしょにおやつ代わりに丸ごとかじりながら、ほこりっぽいいなか道を歩いていた。まあ、あれがワタシの「十代の夏」の楽しい思い出なんだけど、離れ離れになっても、ワタシが日本を離れるまで交流が続いた恵美子ちゃん、今頃はどこでどうしてるんだろう・・・

ジャンボ仕事は三分の二が終わって、後は先月やった植物の部に戻るから、少し楽になるかな。だけど、ヒット曲のタイトルになったほどの有名な札幌の街路樹が、あちこちで駆除の対象にされているのは、理屈としてはわかるんだけど、なんとなく気持が落ち着かないな。まあ、都会の街路樹まで排除しようという発想はないらしいとしても、ライラックよりひと足先にいい匂いのする白い花を咲かせていたのが「侵略的外来種のワースト100」なんてひどいなあと思ってしまう。そういうなら、札幌の街中にあるライラックだって、北大のポプラだって外来種なんだけど。突き詰めると、北海道の生物の8割は外来種だって話なんだけど。ついでに言えば、北海道に住むヒトもほとんどがいわゆる「国内外来種」なんだけど。勝手にヒッチハイクで不法侵入して来たのは別としても、連れてきておいて、今になって「やっかいもの」扱いというのもなんだかなあ。まあ、力の強いものが弱いものを排除するというのもたしかに困ったことではあるんだけど・・・

う~ん、それにしてもなあ。報告に出てくる「よそもの」はなぜかほとんどが北米原産なんだけど、どうしてなんだろうな。まあ、せっかく脳みそをデフラグしたんだから、またややこしいことをあれこれ考えるのはやめにして、次の大波が来る前にかたづけてしまうことにしよう。よく見たらそっちも「外来種」呼び込みのためのキャンペーンみたいだなあ。ま、国際化時代ではあるけど・・・

(ひと月早い)七夕の宇宙観

7月7日。なんかやたらと寒いなあと思って目が覚めた。正午でポーチの温度計は背伸びしてやっと11度。おいおい、7月なんでしょ?今日は七夕さんなんでしょ?11度って、冗談が少々きついんじゃないの?でも、今日は雨模様。宇宙随一の超遠距離恋愛カップルの年に一度のデートは、残念ながら天の川フェリーが欠航でキャンセルか。神様もつれないことをするねえ。それにしても、織姫ちゃんも彦星クンもなんとも長すぎた春だな。どっちにも浮いた噂ひとつなく年に一度の逢瀬を楽しみに仕事に励んで来たのはえらいと思うんだけど。

だけど「7月7日の今日は七夕です」ってのはNHKニュースの話で、北海道の七夕は8月7日。旧暦だったのかどうか知らないけど、釧路ではそれでもまだ寒かった。それでも七夕さん。北海道には竹がないので柳の枝に短冊をぶら下げて玄関に飾り、ゆかたを着て近所の家々を回って、「ろうそく出せ。ろうそく出せ。出さないとかっちゃくぞ」と、ハロウィンみたいにはやし立てた。「かっちゃく」というのはなつかしい北海道語で「引っ掻く」という意味で、ときどきもらえたろうそくは仏壇なんかで使う細くて短いろうそく。ふむ、いつもはほとんど忘れている北海道語をなつかしく思い出すのは、やっぱりそれがワタシの「母語」だからかなあ。

マイケル・ジャクソンの葬式ショーも無事終わったらしい。ああいうポップ音楽は趣味じゃないから、特に耳を傾けることも関心を持つこともなかったけど、整形手術を始める前はとってもかわいい顔だったのに、あそこまで顔を変えて「違う人間になること」に彼を駆り立てたのは何だったんだろうな。満たされないままで終わった人生だったのかもしれないと思うと、生まれ変われるなら、ごく普通の家庭のごく普通の子に生まれておいでといいたくなるけど、親を選んで生まれることはできない。ま、明日からはテレビも少しは静かになるんだろうけど、今日一日「芸能人」マイケルの追悼ショーに自分の現実を忘れることができた人たちも、明日からはまたそれぞれに自分の現実・・・。

日本の天皇さまと皇后さまがカナダを訪問中で、万事順調に運んでいるようで何より。昭和天皇がヨーロッパ各国を歴訪したとき、オランダやイギリスで反日デモやいやがらせがかなりあった。若かったワタシはイギリスの有力新聞に「なぜ若き日の思い出をたどろうと知る老人にやさしくできないのか」と投書した。驚いたことに投書は全文掲載されて、編集長から「あなたのような若い人こそが、個人の感傷とは別の次元で、歴史を直視して人類の未来を考えなければならない」といった趣旨の長い手紙が届いた。おじいさんが孫娘を諭すような穏やかな文面だったけど、あれは井の中の蛙だったワタシのその後の世界観や歴史観にはかり知れない影響を与えた手紙だった。

あはは、ワタシにだってそんなちょっと血気に逸った若かりし頃があったんだよなあ。あれはもう40年近い昔の話になってしまったけど・・・

極楽とんぼはもぬけの殻

7月9日。あと2千文字くらいのところで、とうとうギブアップ。もっともオーストラリアは夜。無理して送ったところで、誰もいないんだけど、そこはそれ、もうひと息というところで切り上げるのはなかなな難しいし、けっこう気に触ることなのだ。やけっぱち半分でレミを一杯だけ飲んで眠ったものの、根を詰めた後はすんなりと眠れるわけがない。なんとも因果な商売だけど、まあ、これが女手ひとつの自営業の運命みたいなものかな。

結局、わりと早くに目が覚めてしまって、朝食のすぐ後で作業再開。午後3時、約7万文字のメガ仕事がめでたく終了。いやあ、久しぶりにすごい仕事だった。原稿は合計すると12万文字近い。原稿用紙のマス目をびっちりと埋めて300枚。打ち出した英語の単語数は約5万3千語。まさに、「線路は続くよ、どこまでも」。まあ、終わってほっとしたところへ、「予約」として入っていた次の次のメガ仕事がキャンセル。おお、ワタシにも夏休みがあるかもしれない。このご時世に喜んでいいのかどうかわからないけど、万歳三唱。ついでに、虫のいいことを言うようだけど、もうひとつの方もなんとか、その、「なかったこと」にならないかなあ・・・

目をしょぼしょぼさせながらデスクの上を片づけていたら、照明が一瞬暗くなって、バックアップ電源のサージプロテクタが「カキッ」、そしてネット接続が断絶。接続はすぐに回復したけれど、あれ、雷が鳴っている気配もないのに、どうしてだろうな。と、不思議に思っていたら、しばらくしてそう遠くないところにある橋の近くに小型飛行機が墜落して炎上したというニュースが流れた。どうも電源にサージがあった時刻と符合する。刻々とニュースによると、幹線道路の橋の近く、IKEAの店のすぐそばに墜落したという。あのあたりは大きな量販店が多くて、広大な駐車場があるから、そこに不時着を試みたんだろうか。二階へ上がってみたら、妙にオレンジ色の月の下で、旋回するヘリコプターのライトが点々を見えた。けっこう深夜だから、地上の人への災害はないだろうけど・・・

さて、日本ではもう金曜日の夕方。このまま予約仕事の確定が入ってこなければ、少なくとも週末は仕事ゼロで心置きなくお休み。あと1時間がヤマ場か。なんだか目の奥が痛くて、軽い頭痛がする。関節炎が進んでいる手の指はうずうずと痛い。まあ、大きな仕事が終わってふわっと気が抜けたときには故障がおきやすいから、今夜はゆっくりと寝て、あしたはさて何をしようか。考えているうちにせっかくの「休み」が終わってしまわないようにしなきゃね。それにしても、ワタシもほんとによくがんばったな。こういうときは花丸あげて、ほめてあげなきゃ、先が続かない・・・。

長い、長い朝(あるいは夜)

7月10日。きのうやっと手持ちの仕事の数がゼロになって、さあ、これでゆ~っくり寝られるぞ、とはりきってベッドに入ったのに。ほんとに(眼精疲労だろうけど)頭痛がして、体までどろんとして、とにかく眠りたかったのに。それで、眠りに落ちたと思ったら、カレシがごそごそ、うんうん。振動が伝わってくるから、眠っていられない。完全に目が覚めたところで、カレシは「足の感覚がない!足が氷みたいに冷たい!」とパニック状態。ここんところ毎朝のように足が冷たくて眠れなかった言ってたけど、とりあえず24時間サービスのナースラインに電話して相談することを勧めた・・・

午前5時。ベッドルームに戻ってきたカレシが着替えを始めた。ナースラインで救急センターに行くように言われたと。え・・・。ついて行こうかと言ったら、「ひとりでいいけど、付いて来てくれれば気分的に助かる」と。ま、カレシは病院とはとんと無縁だったし、ましてや救急センターとなったら、パニック増進で逆に病気になってしまうかもしれない。慌てて起きて着替えをして、顔も洗わずにコンタクトレンズを入れただけで、出発。

午前5時半。日が昇ったばかりで、思いのほかひんやり。まだ車も少なくて、路上駐車メーターもまだオフの時間。「寒い」と目に見えて震えているカレシの背中をさすりながら、バンクーバー総合病院の救急センターへ。混んでいるかと思ったのに、トリアージのデスクはがら空き。すぐに症状を聞いて、血圧や熱を測りながら、質問、質問、質問。コンピュータの画面をにらみながら、答をどんどん打ち込んで行って、「では、こちらへ」。

午前6時。ナースステーションを中心にして、医療器械に囲まれたベッドをカーテンで仕切った診療室がずらり。市内最大の救急センターとしては平穏な朝なのか、緊迫感はあまりない。カレシはさっそくガウンに着替えを命じられて、ベッドの上。ドクターとナースが来て、また質問ぜめ。カレシを立たせて、足を触って押して、目をつぶって手を上げさせて・・・。ふむ、どうも「脳卒中」の兆候がないかどうか調べているらしい。そういえば、手足のしびれは脳卒中の前触れと言われるからね。ドクターが「脳卒中ではないようですね」と言って出て行って、まずは安堵。入れ替わりに別のナースが来て、心電図の電極、血圧計のカフと点滴用の針を手際よく装着。それから6本くらい採血。心電図の画面をチェックして、「心臓の調子は上々よ」。ということは心筋梗塞の疑いもなし。また安堵。あとは血液検査の結果を待つ・・・

カレシはベッドでうとうと。ほぼ徹夜の状態のワタシも椅子の脇のテーブルに突っ伏してうとうと。だけど、場所が場所だから、うとうとしてはページングに目を覚まされる。それでも今日は平穏な朝らしい。ときどき制服の救急隊員の姿が見える。話し方から移民とわかるナースも多い。ヘジャブを被ったムスリムのナースもいる。制服の色が少し違って2種類あるのは看護学の学位を持つ「RN」というナースと、日本にあった准看護婦のような「PN」というナースがいるからだろう。ドクターの制服はナースよりずっと色の濃いブルー。うたた寝と大あくびと他愛のないおしゃべりを繰り返しているうちに猛烈におなかがすいてきた。時計は午前7時半・・・

午前8時を過ぎた頃、ドクターが現れた。血液検査の結果はOK。結論としては、抗コレステロール剤のリピトール(アトルバスタチン)の副作用による「末梢神経障害」。つまり、ニューロパシー。薬の服用を中止して、2週間ほど様子を見てから、薬の変更などを家庭医に相談しなさいということで一件落着。でも、この末梢神経障害も放っておくと進行するから軽く見るわけには行かない。元から薬嫌いのカレシは薬をやめろと言われてなんかうれしそう。不要で済んだ点滴用の針を外してもらって、自分の服に着替えて、救急センターを後にした。午前8時半・・・

差し込む朝日が新鮮に見えるキッチンで早すぎる朝食をとって、二人ともベッドに直行。目が覚めたのは午後2時半すぎ。それにしても、なんとも長い朝(あるいは夜)だったなあ・・・

短すぎる一日

7月11日。きのうはカレシの救急センター行きのてんやわんやのあとで、朝食が早くて、「寝なおし」から起きるのが遅くて、おかげで二人とも1日中なんとなく調子が出ないまま。それでもワタシはまじめに洗濯機を回して、ドライヤーを回して、電話の請求書の支払い処理をして、ついでにネットでショッピング。あはは、このあたりでなんだか調子が上がってきたのか、盛大な買い物になった。まあ、注文するつもりのものがたまっていたんだけど、それがまとまって、おまけに衝動買いが加わると、う~ん、やっぱり盛大だ。テンピュールのマットレスパッド、50何本だか貯蔵できるワインラック、LLビーンのトートバッグが3つ(前に買った2つは大きすぎたのでシーラとヴァルにあげてしまった)、果物などの乾燥機、新しいフライパン、新しいドレス1枚とスカート3枚。し~らない。

ゆっくりとお風呂に入って、わりと早く寝たんだけど、目が覚めたらもう午後1時。カレシは足が冷たくて目が覚めたけど、「原因がわかっているから、ふ~んと思っているうちに眠ってしまった」とか。起きたときはあまり冷たくなかった。薬をやめたばかりでもう効き目があったのかな。ワタシの方は病院で変な姿勢でうたた寝していて頚椎の古傷をいためたのか、脳天から穴をあけられるような頭痛で何度も目が覚めてしまって、まだ寝足りない。

遅い朝食が終わればもう2時半。それでもモールへショッピング。土曜日の午後だというのに駐車場はけっこう空きがある。やっぱり不況なのか、それともあまりにも天気がいいものでみんなショッピングどころじゃないのか、とにかくうまく日陰に止められた。カーラジオで「ダウンタウンで27度」。デパートではカレシが壊して代わりを買いそびれていたサラダボウルを物色。Denbyの白いボウルが気に入って、値段を見たら130ドル。カレシ、「こわさないようにストレスになりそうだ」と却下。次に気に入った四角いボウルは25ドル。これならこわしてもいいか・・・。

あとは野菜と果物の買出し。やっと地物のブルーベリーが登場。カリフォルニアのより断然甘い。結局、いちご、ラズベリー、ブルーベリー、スイカ、プラム、ピーチ、バナナを大量に仕入れて、あとはいつもの野菜。ワタシは床に落ちていた葉っぱを踏んで、あやうく後ろ向きに転倒しそうになったけど、ぐっと踏みとどまった。山盛りのトートバッグは、重い、重い。だけど、腰の調子がおかしいなあ。やれやれ、首もまだ落ち着かないのに・・・。

あまりにも大量の野菜果物を収納するのにひと汗かいたら、もう少し遅めの夕食の時間。カレシが体重が下がってきたと騒ぐので、今日のメニューは焼きギョーザにした。食事療法では豚肉はグレーゾーン。ヒレはいいけど挽き肉はたぶん脂が多すぎるだろうということで、鶏のももの挽き肉で作ってみることにした。たあ菜の緑の部分、ネギ、生姜、にんにく、ごま油、醤油。これをフードプロセッサにかけて、肉と混ぜ合わせたら、かなり大量のギョーザができたので、半分は即冷凍。豚肉で作ったのよりもずっとおいしくて、なんか久しぶりに「食べた」という気がした。ふむ、やっぱり量的に足りていないのかなあ。魚料理って、バターやソースを盛大に使わないと、どうしたって低カロリーだもんねえ。どうしたものかと、シェフは思案投げ首・・・。

夢の中のまた夢は

7月12日。二人とも良く眠ったみたい。ワタシも薬を飲まない方だけど、首の調子がまだ良くないので、頭痛で目が覚めないようにタイレノルを1錠だけ飲んで寝た。背中はまだ落ち着きが悪いし、やれやれ、これってsympathy painなのかな。なぜか英和辞書に出てこないから日本語でなんというのかわからないけど、sympathy strike(同情スト)というのがあるから、こっちは「同情痛」とか?

よく眠ったせいかどうか、またまたヘンな夢を見ていた。120万文字の本を翻訳する案件。なぜかアフリカに関係のある話らしく、子供の頃に本で読んだような象やキリンの写真がある本。作者は女性だけど、誰だかさっぱりわからない。所要日数はどれくらいかと聞くから、250日とか何とか言ったら、「じゃあ、あと5千冊できますねえ」。よく見たら小さな本に首を突っ込んでいる人が何人もいる。それにしても、クリスティーとかガードナーとかチャンドラーとか、作者の名前だけでかでかの小さな本。「ああ、この程度ならなんとか」と、ノンシャランに言っているワタシ・・・そこで目が覚めて、「ヘンな夢を見ちゃった。こんな大きなのをやっていたら他の仕事ができないよ~」と誰かにぐちっているワタシ。あれ、また夢の中で夢を見ていたような・・・

ワタシはときたま夢の中で眠ってしまって夢を見ることがある。そういうのに限ってけっこうはっきり覚えているから不思議で、人と話をしている最中に猛烈な眠気に襲われて眠ってしまって、まったくつながりのない夢を見ているうちにはっと目を覚まして平謝りに謝っていた夢を見たこともある。眠っているときにまでそんなに頭を使わなくてもいいじゃないかとも思うけど、夢のまた夢の中でも仕事の話をしているなんて、ワタシもよっぽどのワーカホリック。それにしても、人間の脳みそはわりと奥が深くて、記憶が何層にもなっているのかな。コンピュータでフォルダの中のフォルダを開けたらまたフォルダがあるというな感じかな。こんな調子で、夢の中の夢の中で夢を見るなんてことは可能なのかな。夢の中で夢を見ている途中で起こされてしまったらどうなるんだろう。夢と現実のどっちで目が覚めるのかなあ・・・?

日曜日。曇り。風が吹いている。日本ではあと1時間ほどで月曜日の仕事が始まる。しばらくの間大きな仕事が入ってこないといいなあ。先週からずっと確定待ちの仕事も、「残念ながらなかったことに」となってくれたら御の字なんだけど・・・

ヘルシーライフは算数の宿題

7月13日。きのうは仕事が来ませんようにと抜き足、差し足だったのに、結局また捕まってしまった。あ~あ。

カレシがマー先生の対応が納得できないから、もっと近いところに医者を探すと言い出した。副作用が出始めたときに本気で取り合ってくれなかったからだそうな。まあ、セカンドオピニオンはいいことだと思うし、マー先生のオフィスはダウンタウンで車を止めにくいから、近くに家庭医がいるのは年を取るほどに便利でいいと思うな。だけど、今どきは実入りのいい専門医になりたがる医者が多くて、家庭医が不足。新規の患者を受け入れている医者はほんのひと握りという困った状況だから、うまく見つかるのかどうか。そこでカレシの戦略はモールの周辺のメディカルビルに入っている医者をリストアップして、患者を受け入れているか、いなければ待機リストがあるかを聞き、ついでにオフィスの様子を探ってこようという、まあ、就活ならぬ「医活」。

カレシが医者回りをしている間に、ワタシはスーパーで買い物。だけど、その前にサプリを売っている店に寄って、「CoQ10」のサプリを買った。リピトールのようなスタチン系の薬はコレステロールの生産を阻止すると同時に体にはなくてはならないユビキノン(コエンザイムQ10)の生産もいっしょに阻止してしまうという。カレシがやられたニューロパシーとユビキノンの不足は大いに関係があるらしい。サプリの店の人に事情を話したら、「あ、そういう人、ときどきいますよ」と。やっぱりスタチン系の副作用はけっこう深刻だってことか。それでも製薬会社が売り続けるのは稼ぎ頭だからだろうな。とにかく、カレシは救急センターのドクターの命令?で薬を中止したから、このサプリでかなりの修復効果があるかもしれない。だけど、200mgが120錠入って、お値段はざっと130ドルとえらく高い。250ドルの薬を半分飲んだところで服用中止の「被害」の後なんだから、効き目あらたかでありますように。

さて、今日の買い物は「カロリーが高くて、飽和脂肪とコレステロールが低いもの」という命題つき。シェフ兼栄養士のしごともだんだんややこしくなって来るけど、きのうの物量作戦でカレシは体重がまた1ポンド増えた(ワタシも!)というから、やはり量的に足りていなかったんだろう。だけど、いつも3コース作るわけにもいかない。穀類ならかなりカロリー効率が良さそうということで、メインは「魚+野菜+穀類」。ここは「ポーショニング戦略」で、カレシ3に対してワタシ2の配分。考えてみたら、体の大きさがそのくらいの比率なんだから、小さいワタシがカレシを肥やすのと同じ量を食べたら、せっかく体重が減って喜んでいるのにワタシは逆戻りしてしまう。古くから、「身のほどを知る」って言うからねえ。

この頃は初めて買うものはまず栄養成分を表示するラベルの情報を解読することから始める。ラベルの一番手はカロリー。次に脂肪の数字があって、その下に「飽和脂肪」と「トランスファット」の内訳が表示されている。トランスファットはほとんどがゼロなので無視。飽和脂肪は小さければ小さいほどいい。次がコレステロールの量。それから塩分。次に来るのが炭水化物で、繊維と糖分の内訳が表示され、次がたんぱく質で、太線で区切った下にさらにビタミンAとビタミンC、カルシウムと鉄分の表示がある。法律で決まった形式のラベルだから、要領がわかるとおもしろい。基準となる量が食品ごとにまちまちなので、あまり得意でない暗算をたくさんすることになるけど、これも脳みそのエクササイズと思えば悪くない。

買い物が終わる頃に「医活」が終わったカレシがやって来た。ベトナム系のドクターが患者を受け入れていて、受付の人の応対の感じが良かったと報告。半径2キロの中で見つかれば便利でいいな。今日はけっこう実り多い午後だった。

風向きの変わり目かな

7月14日。カレシが薬をやめて数日だけど、足が氷のように冷たくなる症状はほぼなくなったらしい。足の指先がチリチリするのと、足の裏がしびれているのと、やたらと足だけ汗をかく症状はまだ続いている。でも、あの急速冷凍されたような冷たさがなくなっただけでも、薬が元凶だったことはほぼ間違いないといえるかもしれない。カレシはぷりぷりしているけど、今どきは医も薬もビジネスで、おまけに患者は「即効薬」を要求する時代。薬で治るんだったら、ライフスタイルや食事を変える努力なんかしなくてもいいものねえ。そこを製薬会社につけ込まれているきらいもあるなあ。

マー先生は血液検査で「C反応性タンパク(CRP)」の数値が高かったことで、コレステロール値、血圧を合わせて、「心臓血管系の炎症」が進行していると判断したようなところがある。でも、このCRPというやつはとにかくいろんな炎症で高くなるもので、たとえば過敏性腸症候群(IBS)でも陽性になるという。IBSはストレスが引き金になるそうで、まさにカレシが若い頃から悩まされてきたビョーキ。つまり、CRPの数値が心臓血管系疾患と関係があるとは必ずしも言えないわけで、しろうと判断は危険ではあるけど、薬の処方は不要だったという可能性もなくはないだろうな。

でも、ググればググるほど、「ストレス」の文字が出てくるのを見て、カレシが自己観察を始めたのは瓢箪から駒。曰く、「ボクは不安な質なんだよな」。そう、不安だからイライラするんだよね。それで、イライラしてもどうにもならないからストレスになって、不眠症になったり、IBSになったりするんだよね。「リラックスする訓練をしなきゃなんないなあ」。そう、病は気からというもの。東洋医学の思想と「holistic medicine(ホリスティック医学)」には通じるものがあるよね。メイヨクリニックがその考え方を取り入れて成功しているそうだけど、心と体はまさに一心同体。ワタシには別に東洋医学と西洋医学、東洋思想と西洋思想、東洋文化と西洋文化を比べて優劣をつけるような趣味はないから、両方からいいとこ取りをするけどね。みんな違って、みんないいってことで。

さて、リラックスするにはどうしたらいいか。禅のように瞑想をやってみるのもいいし、いつも庭仕事をしていると気持が落ち着くと言っているんだから、もっと庭に出たらいい。(野菜の増産と庭の整備でワタシも得をしちゃうかも・・・。)だけど、それよりも周りをコントロールしようとしないことかな。「~してほしい(やめてほしい)」、「~してくれない(やめてくれない)」と思うのは、周りをコントロールしようということで、精神のエネルギーは外へ流れて行ってしまう。でも、他人を変えることはできないから、結局は他人にコントロールされる形になるわけで、それにイライラしてストレスが高まる。人間が本当にコントロールできるのは自分だけ。ワタシがカウンセリングでうつ病から這い上がれたのは、「で、あなたはどうしたいの?」と繰り返し聞かれるうちに、それがいかに大事なことかをを学んだからと言える。それが自分を大切にして、よくめんどうを見るということなのだと。

カレシがワタシがカウンセリングの話をするのをちゃんと聞いているのも、ワタシが飲んでいた抗うつ剤のことを口にするのも、なんとなく変化の兆しみたいな感じがする。今まで「なかったことにしたい」という気持からか、ワタシが触れるのを嫌がっていたのが、カレシの方から聞いてくる。何年後だかに心臓血管系の病気になる確率は40%とか言われてショックだった上に、処方されていやいや飲み始めた薬でひどい目にあって、心境の変化が起きたのかな。食習慣を変えて、ライフスタイルを変えて、気の持ちようも変えたら、一病息災の自己管理でこれからの人生がずっと楽しくなるかもしれないよ。命あるものはみんないずれ死ぬんだから、みじめな気持でイライラしながら百まで生きるよりは、楽しく充実して80才で命が尽きる人生の方がよっぽど幸せで、死ぬことだって怖くなくなると思うけど。

それにしても、ワタシは奥さんのほかに、お抱えシェフで、栄養士で、おまけにカウンセラーまでやるの?う~ん、ワタシは仕事があるんだけど・・・

やりすぎはいけないけど

7月15日。今日が期限の仕事をやり残したまま、ちょっぴりだけレミをたしなんで寝たのはいつもより早めの午前3時。この分ならぐっすり、たっぷり眠れるかと思ったら、途中で頭痛で目が覚めた。頚椎の古傷が温湿布をしているのにまだ治らないらしい。困ったもんだ。最初に怪我をしたときに、ずれた頚椎を元に戻してくれた物理療法士が「人間の頭ってすごく重いのよ、中身によるんだけど」と言った。中身云々は別としても、そういう重たいものを頚椎という台座の上に乗っけているわけ。だから、前かがみになると落ちないように筋肉を突っ張らなければならない。落ちそうになっているのを支えるにはもっと筋力がいるだろうな。だから首と肩が痛いほど凝ってしまうのだ。

それでも頭痛がしない角度に頭が落ち着いたらしく、また眠りに戻って、目が覚めたのは正午ぎりぎり。さあ、大変だ。午後5時が期限なのに、どうみたってたっぷり4時間分の仕事が残っている。ブルーペリーとイチゴたっぷりの朝食もそこそこ、血圧を測るのもそこそこに、仕事にかかる。これが実に退屈で、ああしました、こうしましたという報告。実際には委員会ばかり作っているような感じがするけど、いつものように主語がないおかげでいったいどれ(誰)が何をやったのかさっぱりわからない。おまけに時制が一致していないもので、過去のことなのか、これからのことなのか。もう、しらないったら。まあ、少なくとも「おバカていねい語」がないだけましかもしれないけど。

午後いっぱい必死でがんばって、間に合った!午後4時30分。また肩が痛い。ワタシが必死でキーを叩いている間、カレシは外で玄関前のボードウォークの釘打ち。去年から作り始めて、やっとポーチに沿った部分が完成。材木が古くなっているので釘が曲がって困ったそうな。色が少しずつ違っていて、なんだかおもしろい縞模様になった。あとはゲートまでの間だけど、こっちの方は斜めの角度。まあ、板を打ち付けてから端を丸鋸で切りそろえたら簡単だと思うけど。これで配達の人も歩きやすくなるし、スカンクもポーチの下にもぐりこめない。夏休み、がんばってるね。

建設作業が終わってから、がんばりついでに栄養士のホットラインに電話していろいろ相談したという。短期間で3キロも減ったと食事の内容を説明したら、「それでは体重が減るのはあたりまえ」。つまりカロリーが足りていないってことだけど、身長と年令からするとごく「正常」の範囲だから心配はないと言われたらしい。それでも、このままだともっとやせると言われて、コレステロールや血圧に悪影響のないカロリーの増やし方を聞いたら、オリーブ油は好きなだけ摂ってよし。卵黄は週に2個までならよし。卵白は好きなだけ。アイスクリームよりもシャーベットを作るとよし。赤身の肉は脂身がなければ週に1回くらい食べてよし。運動をするなら、1回に食べる量を増やすか、間食としてナッツなどを食べる。コレステロールも飽和脂肪も体が必要とするものだから、少量は摂ってもよし。要するに、バランスの取れた食事、適度の運動、そしてリラックス。健康生活を送るための「三種の神器」というところかな。

そういうことならと、今日の夕食はキムチ味のチゲ。豚のヒレの尻尾、鶏肉ギョーザ、韓国かまぼこ、豆腐、白菜、もやし、ねぎ、えのきだけ、生ラーメンで、ワンプレーとならぬ、ワンボウル料理。これだけいろいろぶち込んだらカロリーはたっぷりだろうな。さすがのカレシも「いやあ、食べたなあ。おなかがいっぱい」と、おなかをさすって満足のようす。調子に乗って夜中のランチはたあ菜とネギとアスパラガスとエビの焼きビーフンの大盛。う~ん、だけどやりすぎはいかんな。まあ、今日は外でかなり働いたからいいけど、食事療法の微調整を考えなくちゃ・・・。