4月29(金曜日)。☁🌥🌤☁。何だか起床の時間がもうすっかり8時半から9時の間に定着してしまって、何やかやして朝ご飯が終わって、ひと息ついたらもう9時半近く。メールをチェックしたり返事を書いたりしているうちに10時になって、「そろそろ行くぞ」というカレシの声で支度をしてウォーキング。今日は17分59秒で、この「運動している感」たっぷりのペースも定着した感じ。まあ、1日中在宅で健康に暮らすにはある程度規則正しいリズムが大事だから、いいことだと思うけど。
今日はカレシがかかりつけのスラニナ先生と1時半に予約があるんだけど、マンションでは1台しか動いていないエレベーターに午後1時から2時半までの引越しの予約が入っていて、開始時刻の10分くらい前にはエレベーターを呼んで駐車場に下りてしまわないと、次に使えるのは1時半になってしまう。先生のオフィスがあるサッパートン地区のクリニックまでは車で15分もかからないから、駐車スポット探しに時間がかかってもまだ早々と着いてしまいそう。でも、「速すぎたらその辺を散歩すればいいさ」とカレシ。ということで、実際にかなり高台になっているところに2時間の路駐スポットを見つけて止めたのが予約の30分前で、けっこう急な坂を下りて、ロイヤルコロンビアン病院から2丁先のクリニックの場所を確認してから、その界隈を散歩。病院に近いせいか古びた花屋があって、外の棚に並んだ色とりどりの花を観賞して時間つぶし。
スラニナ先生のオフィスがあるクリニックも古ぼけた建物で、カレシが先生に直接会うのは2年ぶりのこと。コロナのおかげで電話診療で済ませている間にアルバータ州のエドモントンに移ってしまって、今は月に3日ほど患者を診に来るだけ。ワタシも一緒に診察室に入れてもらって、血圧測定や問診が終わって健診用の検査請求書をもらったところで、カレシが単刀直入に先生のこの先の計画について質問したら、帰って来た答は「倒れるまで患者を診るつもりだよ」。(先生は60代初め。)月3日の他に、週に2日、午後遅くに長距離電話でニューウェストの患者を診ているとのことで、具合が悪いときはクリニックに電話すれば、連絡を受けた先生が電話で症状を聞いて救急センターに行く必要があるかどうかを判断するとのこと。医者として患者とじっくり向き合ってケアしたいのに、BC州の医療報酬制度では日本で言う「3分診療」でなければ賃料の高いオフィスを維持できないこと、患者の質が悪すぎること(英語が不自由で問診ができない、ろくに話を聞かずに要求ばかり等々)がアルバータに移った理由で、「金稼ぎよりも家庭医としてやるべきことをやりたいのにできないんだよ」。
カナダの医療制度は公共事業なので、医療政策も政治的な発想が多くて、現場は効率を求めるシステムでかんがじがらめ。診察予約なんか電話でも対面でも10分単位だから、まともに話をする余裕がないし、話を聞いているとその後の予約にしわ寄せが行くしで、必然的に患者との信頼関係は希薄になるばかり。そう言えば、予約に2時間以上も遅れて電話がかかって来ていたっけ。苦情が殺到しただろうとは想像に難くないけど、そういう患者に他の家庭医を探せとは言えないので、先生は他の州に移ることで、ニューウェストでは信頼関係が確立している患者だけを診れるようにしたらしい。BC州では危機的な家庭医不足で、保健局の待機リストに登録しても見つけるのに1年以上かかるので、たとえ毎月3日だけでも1時間の時差があるエドモントンから片道1時間半かけて飛んで来てくれるスラニナ先生は今どき珍しい「医は仁術」の人なんだと感激。この次に検査の結果を話し合おうと言うので、ワタシも健診をしてもらえるかと聞いたら、「すぐ受付で患者登録をして、検査請求書をメールさせるから、一緒に来なさい」とのこと。カレシにとっては初めて出会った心から信頼できる「かかりつけの先生」なので、大きな肩の荷が下りたようで、路駐した車までの坂道を上る足取りも心なしか軽かった。よかったぁ~。