世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。
金正恩氏、朝鮮総連に1億6千万円送る(読売新聞) - goo ニュース
ミサイル実験に失敗したとはいえ、軍事大国化の野心を捨ててはいない北朝鮮。報道によりますと、北朝鮮から、日本国内の北朝鮮系民族団体である朝鮮総連に対して、1億6千万円が贈られたそうです。
かつては、30兆円産業とも言われたパチンコ業界では、その経営者の多くが北朝鮮系の人々であり、これまで、多額の送金が北朝鮮に送金されてきました。この送金が、拉致事件や核・ミサイル開発の資金源となったのですから、無警戒にパチンコに通う日本人も、大いに反省すべきところです。今回のミサイル実験に対しては、日本国政府は、日本からの送金を全面的に禁止し、パチンコに対しても、法律による禁止を視野に入れた規制を加える一方で、北朝鮮からの送金に対しても停止すべきではないかと思うのです。北朝鮮から日本国への送金は、教育援助費や奨学金の名目で、これまでの累計で469億円に達しているそうです。日本からの送金と比較しますと、僅かな額なのですが、それでも、政界やマスコミに流れたり、日本国内における工作活動に流用される可能性はあります。日本国内における北朝鮮の影響力を、極力低下させなくては、効果的な経済制裁は実現しません。
北朝鮮側から発信された送金報道は、北朝鮮の国威高揚のための捏造である可能性もありますが、北朝鮮からの工作資金が自由に日本国内に投入される現状には対処が必要です。日本国政府は、早急に、日朝双方向の資金の流れを断つべきではないかと思うのです。
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国際陸連、猫さんの資格調査へ=現状では特例認めず―マラソン(時事通信) - goo ニュース
猫ひろし氏は、世論の批判を受けつつも、カンボジア代表として五輪出場への切符を手にしたかのように見えました。しかしながら、ここにきて、国際陸連の規定違反によって、出場資格を失うことになりそうです。
猫氏の五輪出場事件については、”法律に違反しなければ問題なし”とする擁護の声も聞かれたのですが、規定違反が明るみに出た以上、最早、この抗弁は通用しなくなりました。加えて、カンボジアの特別枠を横取りする形となったこの事件は、障害者郵便制度悪用事件と類似していると思うのです。何故ならば、特別出場枠は、スポーツ事情に恵まれない途上国の諸国に対して、特別優遇制度として設けられているからです。優遇制度であるからこそ、オリンピック出場標準記録に達していなくとも、例外として出場が認められてます。障害者郵便制度もまた、障害者団体に対する福祉を目的として設けられたものであり、低料金の設定は、福祉団体の負担を軽くるためにあります。両制度の根底には、弱者への配慮という精神が共に流れているのです。ですから、福祉のための特別制度を一般の人々が利己的な理由で利用することは、不正行為以外の何ものでもありません。
国際陸連では、国籍を取得してから一年を越えなければ国際大会への出場を認めない、とする改正された規定を根拠として、猫氏の出場に待ったをかけたようです。しかしながら、本来、特別枠制度の悪用こそ、法律で禁じられる類のものであり(お金が動いていたならば、なおさらのこと…)、たまたま国際社会において規定がないからといって、不正性が看過されてはならないと思うのです。
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届かぬ軌跡「何だこれは」=打ち上げ失敗に安堵も―防衛省(時事通信) - goo ニュース
北朝鮮による”衛星ロケット”の名を借りた弾道ミサイル実験は、どうやら失敗に終わったようです。国際社会に向けて大々的に宣伝したにも拘わらず失敗したとなりますと、発足して間もない金正恩体制にも影響が及ばないはずはありません。
憶測によりますと、北朝鮮は、ミサイル発射実験失敗を国内においては隠し通し、あくまでも、国民に対しては”成功”を強調するそうです。しかしながら、外国メディアの取材を許可し、開放路線を演出した上での失敗ですから、この情報が、国民に漏れるのは時間の問題です(*本日正午のニュースでは、北朝鮮では、衛星打ち上げの失敗を報じた模様…)。この日を境に、当局の情報統制が強まれば、国民も、”何かあったに違いない”、あるいは、”失敗したのではないか”と感づくはずです。また、発射時刻が、午前7時40分頃とされていますので、北朝鮮国民の中には、肉眼で、実験失敗を目撃した人もいるかもしれません。金正恩体制の権威は、一気に、ミサイルと共に墜落することになります。しかも、国際社会の発射停止を無視したのですから、諸外国の北朝鮮に対する制裁は、さらに強化されます。
金正恩体制の発足への祝砲であったはずのミサイル実験の失敗は、北朝鮮の独裁体制が空中分解する予兆となるかもしれません。日本国政府、ならびに、国際社会は、北朝鮮の体制崩壊に備えて、本格的な対策に取り掛かるべきではないかと思うのです。
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再生エネ、25%超に 資源エネ調が電源修正案(産経新聞) - goo ニュース
昨日開かれた総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会では、電源の比率が検討され、再生エネと火力がそれぞれ25%に決まったそうです。2030年を目標とするそうですが、エネルギー基本計画には、”ゆるみ”を持たせるべきではないかと思うのです。
今回のエネルギー基本計画の見直しも、福島第一原子力発電所の事故を受けて、急遽、着手されました。民主党政権発足後に策定した計画は、僅か1年も経ずして、変更を迫られたのです。エネルギー政策基本法でも、政府は、エネルギー情勢の変化や政策効果の評価に即して、3年ごとに見直しを行うように義務付けられており、たとえ、現時点で計画を決定したとしても、金科玉条のごとく、絶対目標となるわけではありません。今後とも、原子力、火力、再生エネの各々の分野における技術革新などにより、エネルギー事情が一変するかもしれませんし、国際情勢の変化も、エネルギー輸入国である我が国では、長期的な計画が狂う要因となります。また、計画に従って事業を進めた結果、予測を越える打撃を経済に与え、再度、転換を余儀なくされることもあり得ます。
原発事故後ということもあって、今般のエネルギー基本計画の策定をめぐっては、激しい主導権争いが見られたようです。エネルギー基本計画を、再評価、ならびに、変更可能なゆるい枠組みと見なせば、不毛な論争と対立を避け、目下の電力危機の打開とエネルギーの安価な安定供給に向けて、政府も民間も、柔軟に対応することができるのではないでしょうか。
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大飯100キロ圏と安全協定を 大阪府市が再稼働8条件(朝日新聞) - goo ニュース
大阪市の橋下市長は、大飯原原発の再稼働問題について、原子力安全協定を締結し、100キロ圏内の知事に拒否権を与えるよう、政府などに対して提案を行うそうです。この提案、以下の点を考慮しますと、見送るべきではないかと思うのです。
(1)拒否権を認めるということは、一人でも反対する知事が現れれば、たとえ、政府が再稼働を承認したとしても、原発を止めることができることを意味しています。他の全ての県知事が賛意を示してもです。民主主義の基本原則は多数決なのですが、拒否権の付与は、この原則に反しています。
(2)電力供給が、全ての人々の影響を与えるライフ・ラインであることを考慮しますと、以前にも指摘したことがあるのですが、逆に、止める決定の方のハードルの方を高くすべきでもあります。
(3)加えて、この手続きには、一般の企業や消費者、ならびに、電力事業者の意向は、全く無視されています。国内には多様な利害があるのですから、地方自治体だけ、しかも、知事だけに拒否権を付与することは、不公平でもあります。
(4)地方自治体が拒否権を持つことは、事実上、地方自治体の決定権が、政府のエネルギー政策の決定権に優越することを意味します。これでは、国家としてのエネルギー政策は、立案できないことになります。
(5)さらに、電力供給の安定性から見ますと、知事が交代するするごとに、原発の停止と再開が繰り返されては、電力会社が事業計画を立てることも難しくなります(既存の電力会社も新規参入者も…)。常に、バックアップの電源を用意しなければなりませんし、その度に、電力料金も上下するのでは、企業も国民も混乱します。
橋下市長は、産業と国民生活は眼中にないらしく、原発停止に向けて猛進しています。果たして、その先には、何が待っているのでしょうか。
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北のミサイル、衛星投入能力持つ…米専門家分析(読売新聞) - goo ニュース
近日中に実行に移されると予測されている”ミサイル実験”について、北朝鮮は、衛星打ち上げと強弁しています。日本国内では、搭載予定の衛星が貧弱な点を衝いて、ミサイル実験であることを論証しようとしていますが、この衛星、核弾頭のダミーなのではないかと思うのです。
北朝鮮の最終目的が、アメリカが懸念しているようにICBMの開発であるならば、敢えて小型の衛星を公開した理由は、ミサイルへの核弾頭搭載能力を示すことにあります。おそらく、衛星は、核弾頭と同程度の重量と大きさで製造されており、衛星打ち上げの名を借りて、核ミサイルの発射実験をしたいのでしょう。つまり、このことは、アメリカが懸念しているICBMの開発に、北朝鮮が、一歩近づいたことを意味しているのです(もちろん、実験に失敗する可能性もありますが…)。強硬姿勢を崩していない北朝鮮は、制裁の報復として、核実験の強行も辞さない構えですので、もしかしますと、核弾頭の小型化への道筋も付けているのかもしれません。
北朝鮮とイランが、核やミサイルにおいて協力関係にあることを考慮しますと、ミサイル実験は、イラン問題に対する北朝鮮の後方支援である可能性も否定できません。両国が、核と長距離ミサイルを手にするとしますと、国際社会は、これまで以上に、重大な脅威に晒されることになるのではないでしょうか。
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鳩山氏「IAEAは二重基準」と発言か 同行議員は否定(朝日新聞) - goo ニュース
鳩山元首相のイラン訪問については、出発前から、各方面から懸念が表明されていました。案の定、この懸念は現実のものとなりそうです。
イラン訪問に先立って、鳩山元首相は、イランに核開発を思い留まらせ、平和的にこの問題を解決することが訪問の目的であると説明していたはずです。しかしながら、蓋を開けてみますと、会談の席で、鳩山元首相には、イランの大統領や外相に対して核開発の放棄を強く迫った様子が伺えないのです。それどころか、IAEAのダブル・スタンダードを非難したとも報じられており、まるでイランの代弁者に転向したかのようです。悪いのは、イランに嫌疑をかけたIAEAであって、核開発をしたイランは、無問題と言わんばかりです。たとえ、核保有を曖昧にしているイスラエルを念頭に置いた発言であったとしても、それを理由に、NPTに反する核開発が許されるわけではありません。同席した参議院議員の方はこの発言を否定していますが、何れにしましても、鳩山元首相のイラン訪問は、イラン側の擁護者が登場したとの印象を国際社会に与えてしまいました。
鳩山首相は、ミイラ取りがミイラになったのでしょうか。あるいは、始めからミイラであったのでしょうか。
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福島第一原発の事故は、電力市場の改革問題に波及し、発送電の分離や小売り自由化といった提言も議論の俎上に上っています。さらには、アジア一帯に電力の送電網を敷設するといった案も聞かれますが、その先には、何が待っているのでしょうか。
電力市場の改革の行く先を予測する上で、参考となるのEUの事例です。EUでは、国境を越えた単一の電力市場を形成するために、90年代以降、各国とも電力自由化に積極的に取り組みました。この結果、国境を越えた電力会社の買収や再編が進み、自国の電力事業が、外国企業によって占められている国も少なくない状況に至っています。イギリスの現在の電力市場は、ドイツ系のエーオンとRDE、フランス系のEDF、およびスペイン系のイベルドローラの大手4社によって、およそ占められています。そのドイツでも、東部で最大のシェアを占めているのは、スウェーデンの国営企業であるヴァッテンフォール社です。資金力に優る電力会社が、EU域内の電力会社を次々と買収した結果、官民問わず、欧州レベルでの巨大な多国籍電力会社が誕生しているのです。
そして、本日の産経新聞には、イギリスの原発増設を目指すエネルギー政策が、ドイツ系企業の計画断念により、立ち往生しているとする記事が掲載されていました。直接の原因は、ドイツの脱原発政策の結果、事業収益が悪化したために、巨額の投資が不可能になったことによりますが、電力会社の多国籍化により、ある国の政策転換が、他の国のエネルギー政策に影響を与えた事例となります。
これらの先例は、内外に向けて電力市場の自由化が一気に起きれば、資金力に優る外国の電力事業者によって、日本国の電力会社も買収される可能性を示唆しています(政府系である可能性も…)。現在、日本国の電力事業者の収益が悪化していることを考えますと、買収される側となるシナリオも否定はできません(送電網の接続に拘わらずあり得ること…)。それと同時に、どの政府も、独自にエネルギー政策を遂行することが難しくなるのです。現在の改革論は、電力会社叩きの様相を呈していますが、電力自由化の先の先を読む必要があるのではないかと思うのです。
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橋下市政を監視、敗れた前市長がシンクタンク(読売新聞) - goo ニュース
先日、橋下大阪市長が、市の職員を前にして、”命令する立場にある公務員”という表現を用いたことに対して、批判の声が上がっているようです。公務員は、公僕であって、命令者ではないと。
おそらく、橋下市長の思考回路では、政治家や公務員は、公権力を以って国民に命令を下す地位にあり、公務員の命令権は、当然のことなのでしょう。しかしながら、法治行政の原則では、公務員は、法に従って、国民や住民に対して行政サービスを行うことを職務としており、命令者ではないはずです。仮に、命令を下す権限があるとしても、職務に必要な場合に、法律において許される裁量範囲でしか行使することはできないのです。にもかかわらず、”命令”という強い言葉が自然に口に出るとしますと、橋下氏の感覚は、法の支配や民主主義の原則とは、いたく離れているのかもしれません。しかも、公務員に積極的に命令権を認めるならば、政治主導ともなりませんので、橋下氏の頭の中では、政治と行政の区別も融解しているようにも見えるのです(氏の望む政治への集権ではなく、行政への分権となる…)。
マスコミなどでは、橋下市長に対する評価は高いようですが、氏の言動には、ところどころに矛盾や論理の綻びが見られます。世論受けのする発言はカモフラージュであり、氏の目指す真の国家ヴィジョンが、政治家も公務員も国民に命令を下す国であるならば、どこか、全体主義国家の様相を呈してきます。命令権や強いリーダーシップは、有事や災害などの危機にこそ、その本領が発揮されますが、平時にあっても、政府が命令権を振りかざすのでは、抑圧的な国となりそうです。国民の能力を伸ばし、自由な発展を後押しする国家の方が、国民にとりましては望ましいと思うのですが、いかがでしょうか。
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独メーカー破綻 買い取り価格引き下げ 太陽光、日本にも影(産経新聞) - goo ニュース
菅前首相が、自らの辞任の条件としたために、充分な議論も制度設計もなく、国会で可決されてしまった再生エネ法。7月からの施行を前にして、諸外国での失敗の報告もあり、その行く先が危ぶまれています。
菅前首相の”条件闘争”の結果なのですが、この制度、始めから様々な問題が懸念されていました。特に太陽光発電については、通常の電力価格の数倍という高値であることに加えて、一旦、設置されますと数十年に亘って使用されるため、技術革新の効果が及びにくいという難点があります。初期に設置されたパネルほど発電効率が低くなるのですが、劣位の施設を、競争を通して淘汰する仕組みが欠如しているのです。結局、技術革新を促すためには、政府側が、買い取り価格を意図的に下げることで、発電効率の悪い事業者を強引に撤退させるしかなありません。また、諸外国の事例ですと(スペイン?)、コスト高を抑制するために、新規参入者を制限するという方法も採られているそうです。この方法でも、新規参入を閉すのですから、なおさら発電効率の低い施設ばかりが残ることになります。つまり、最初にこの分野に投資した事業者だけが、高値買い取りの特権を享受できることになるのです。何れにしましても、企業や国民は、電気料金の値上がりというコストだけを背負わされることになります(しかも、電力供給が不安定化…)。同じコストをかけるならば、技術革新に振り向けた方が、よほど”まし”です。
最近、『失敗の本質』という本が関心を集めているそうですが、この本では、敗戦の失敗の教訓の一つとして、危機や緊急事態に弱く、既定路線を変えられないことが、組織的な敗因として分析されているそうです。現在の日本国の状況を見てみますと、企業や国民が再生エネの負担に耐えられるとも思えず、このまま、再生エネの路線を突き進むことが、悲劇的な失敗の繰り返しにならないとも限りらないと思うのです。
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大阪市は、保有率が9.29%とはいえ、関西電力の筆頭株主です。この権利を利用して、橋下大阪市長は、関電の株を保有する他の自治体にも声をかけ、株主総会で、脱原発を提案するそうなのですが、国のエネルギー政策と株主議決権との関係を曖昧にしたままでは、思わぬリスクが浮上するとも限らないと思うのです。
東電についても、国が過半数を越える議決権を取得することで、経営権を握る方針と報じられています。この方針には、大阪市と同様に、株主権の行使こそが、政策実現の手段であるとする前提があります。しかしながら、以前にも指摘したことなのですが、もし、株主総会によって電力会社の経営内容が決定されるならば、国レベルでのエネルギー政策との間に不一致が生じる可能性があります。さらに深刻となるのは、株主権を行使するのが、政府や地方自治体といった公的な機関ではなく、民間や外国人であった場合にはどうなるのか、という問題です(電気事業法では外資規制はない…)。株主総会の決議が優先されるならば、それが公的な機関ではない場合であっても、認められることになるのですから。
今のところは、民間の株主で脱原発を提案する人々は限られていますし、東電の国有化案でも、政府保有分の株式は、基本的には自社株買いで解消される予定とのことですが、中国の政府系ファンドなどが、内政干渉を目的として、電力会社株を大量に買い付けるといった事態は想定の範囲に入ります。民主党政権では、日中韓の投資協定の締結を急いでいますので、電力会社の株主権の問題は、今のうちにクリアにしておくべきではないかと思うのです。
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田中直紀氏と猫ひろし氏が教えてくれること【山崎元コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
カンボジアの国籍を取得し、カンボジアの特別枠からオリンピックに出場する猫ひろし氏。氏の生き方に対しては、若者が見習うべき”ビジネス・モデル”として、奨励する意見もあります。
奨励すべき点とは、平たくして言えば、自分の本業以外の相対的な強み=マラソンを生かして、世間の注目を集め、グローバルな裁定(国籍変更のこと?)まで利用して、利益をあげる戦略性にあるそうです。ビジネス用語を用いて説明すれば、賞賛すべき行為に早変わりしてしまうのですが、果たして、これは、真っ当なビジネスなのでしょうか。ビジネスの世界でも、途上国のために設けられている特別枠を、先進国がお金で買い取って利用したら、ルール違反として非難されます。しかも、オリンピックは、建前であれ、商業主義ではなく、アマチュアリズムを掲げているのです。”オリンピックは商業主義”と開き直った上で、競技者としての資格がない猫氏の生き方を褒めても、あくまでも、裏道の奨めであり、人々が心から見習うべき行為とは言えません(少なくとも、私は奨めない…)。若者に勧めるべき生き方とは、芸人であれは芸を磨き、アスリートであれば記録に挑戦する、正々堂々と勝負する生き方なのではないでしょうか。猫氏流の生き方がビジネスに蔓延すれば、能力主義や実力主義よりも、縁故やコネ、あるいは、贈収賄がまかり通り、経済全体からみても損失となります。そして、あらゆる制度は自分のために利用できると考える利己的な人々が増えれば、途上国枠といった弱者配慮型の制度の意義も失われ、やがて消えてゆくことになるのでしょう(弱者ではなく、強者のための制度に堕してしまう…)。
猫氏擁護論はまた、国籍は、”個人の側が選ぶ手段に過ぎない”と述べています。しかしながら、カンボジア憲法では、カンボジア国民には、国家再建への参加と国防の義務があることが明記されており(カンボジア憲法第49条)、猫氏もまた、国民の一人としてこの義務を負います。果たして、猫氏の”裏道人生”は、奨励すべきモデルなのでしょうか。
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大飯原発 再稼働 枝野氏「現時点は反対」 首相、きょう閣僚協議(産経新聞) - goo ニュース
大飯原原発の再稼働について、枝野経産相は、あの手この手で阻止する腹積もりのようです。民主党は、公務員のストライキ権を認める方針を打ち出していましたが、枝野経産相は、既にこれを実践しているのではないでしょうか。
電力料金値上げをめぐる東京電力の供給停止発言に対しては、手ひどい批判を加えていましたが、電力供給を止めている張本人は、経産相その人です。何故ならば、現行の制度では、経産相が承認すれば、速やかに原発を再稼働させることができるからです。ところが、枝野経産相は、自らのこの責任を逃れるために、合意を要する地元の範囲を勝手に拡大し、その挙句、原発再稼働反対の急先鋒である大阪市への説明まで言い出しています。誰がどう見ましても、”拒否権”をばらまくことで、稼働再開を阻止しようとしている魂胆が見え透いているのです。枝野経産相は、法律に基づくことなく、”私の手続き”を決めているのですから権力の私物化も甚だしく、しかも、それは、巧妙な”隠れストライキ”でもあるのです。このストライキによって、原発の再稼働が遅れれば遅れるほど、日本経済も国民経済も痛手を負うことになります。”地元の安全は、全国民の安全”と説明していますが、国民の全員が、原発再稼働に反対なわけではなく、電力料金の値上がりにより、経営が圧迫される企業や生活が苦しくなる国民もおります。
労働関係調整法でも、水道、電気、ガス事業は公益事業として、ストライキ防止への努力が謳われていますが、政府内部の経産相自らが”隠れストライキ”を張っているのでは、その損失は、計り知れません。日本経済を潰すまで、枝野経産相は、この姑息なストライキを続けるつもりなのでしょうか。
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消費税法案、衆院で修正と岡田氏=自民「小沢切りなら賛成も」(時事通信) - goo ニュース
野田政権が、着々と進めている消費税増税法案。当法案には、経済へのマイナス影響に配慮して、景気条項は書き込むものの、増税の条件とはしない方針とのことです。
景気条項は、経済成長率を勘案しながら増税率を決めるという発想のようですが、より重要な観点は、増税によって、歳入が増加するのか、減少するのか、ということではないかと思うのです。仮に、消費税率を上げることで、懸念されている通り、国内の消費が低迷し、企業の収益が悪化しますと、当然に、所得税や法人税の納税額が減少しますので、歳入は減少することが予測されます。歳入が減少すれば、財政状況もまた、健全化どころか、さらに悪化しますので、増税効果を吹き飛ばしてしまうことになります。市場経済では、政府と国民との間でゼロ・サム関係が成立する農業中心の経済とは違い、税収は、消費を含めた経済活動に連動しますので、増税=政府の増収とはならない可能性があるのです。
こうした消費税の性質を考えれば、見直しを行うならば、増税後の歳入の増減を判断基準とすべきなのではないでしょうか。増税しても、歳入が減少しては、国民生活を貧しくするだけで、全く意味がないのですから。
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消費増税法案、国会提出 増税ラッシュ 産業界、買い控え戦々恐々(産経新聞) - goo ニュース
今日に至るまで、日本国は、高度な技術が支える”もの造りの国”であることを誇ってきました。優れた製品を市場に送り出すことが、経済と国民生活を支えることでもあったのですが、近年の急激な経済環境の悪化は、産業の空洞化に拍車をかけています。
この現象に対して、先進国である日本は、製造現場としての役割を脱し、研究・技術開発の拠点へと移行するのであるから、心配には及ばないとする楽観論もあります。しかしながら、日本の技術力には、二つの側面があり、その両者が、車の両輪となって、日本経済を牽引してきたのではないかと思うのです。一つは、文字通り、特許といった研究部門で開発された先端的な技術であり、もう一つは、製造の現場おける熟練の技です。新幹線の車両もNASAのスペースシャトルも、日本国の下町の技が支えており、現場の技術は、日本国の強みでもありました。そしてまた、現場は、経験知を集めたボトム・アップ型の技術改良の場でもあったのです。
産業の空洞化とは、二つの技術のうち、現場の技術力を日本国が失うことを意味しています(研究・技術開発部門だけで雇用を充たすことも難しい…)。高度先端技術に関する研究部門は国内に残されたとしても、従来通りの”技術力”を発揮できるかどうかは疑問なところです。グローバル化が急速に進んでいるからこそ、日本国は、二つの技術力の協調を、自国の強みとして大事にすべきなのではないでしょうか。
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