万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

猫氏五輪出場事件と障害者郵便制度悪用事件

2012年04月14日 15時41分02秒 | 社会
国際陸連、猫さんの資格調査へ=現状では特例認めず―マラソン(時事通信) - goo ニュース
 猫ひろし氏は、世論の批判を受けつつも、カンボジア代表として五輪出場への切符を手にしたかのように見えました。しかしながら、ここにきて、国際陸連の規定違反によって、出場資格を失うことになりそうです。

 猫氏の五輪出場事件については、”法律に違反しなければ問題なし”とする擁護の声も聞かれたのですが、規定違反が明るみに出た以上、最早、この抗弁は通用しなくなりました。加えて、カンボジアの特別枠を横取りする形となったこの事件は、障害者郵便制度悪用事件と類似していると思うのです。何故ならば、特別出場枠は、スポーツ事情に恵まれない途上国の諸国に対して、特別優遇制度として設けられているからです。優遇制度であるからこそ、オリンピック出場標準記録に達していなくとも、例外として出場が認められてます。障害者郵便制度もまた、障害者団体に対する福祉を目的として設けられたものであり、低料金の設定は、福祉団体の負担を軽くるためにあります。両制度の根底には、弱者への配慮という精神が共に流れているのです。ですから、福祉のための特別制度を一般の人々が利己的な理由で利用することは、不正行為以外の何ものでもありません。

 国際陸連では、国籍を取得してから一年を越えなければ国際大会への出場を認めない、とする改正された規定を根拠として、猫氏の出場に待ったをかけたようです。しかしながら、本来、特別枠制度の悪用こそ、法律で禁じられる類のものであり(お金が動いていたならば、なおさらのこと…)、たまたま国際社会において規定がないからといって、不正性が看過されてはならないと思うのです。

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4 コメント

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勘違い (通りすがりのおじ様)
2012-04-14 22:01:10
以前から、この話題については猫氏の勘違いというか認識が甘いのではないかと思っていました。

そもそもカンボジアに帰化できたのも、彼自身がカンボジアにもたらした功績が認められての事ではなく、日本人として先輩方が長い時間をかけて信頼関係を築いてくれた事があっての事だと思うのです。

このように書くと上から目線だと言う人がいるかと思いますが、別にそういった思いではなく今もカンボジアの発展の為に尽力している日本人が現地にはおられるのです。

そういった方々の地道な努力による恩恵があってこそ帰化が許され、オリンピックの代表にも選出して頂いたのだと思うのです。

このまま猫氏がオリンピックの代表としてロンドンに行くことは、即ち地道な努力を積み重ねてくれた先輩方の努力を無にしかねないものであり、猫氏自身にとってもおいしい所取りをした人物として生涯を生きて行かねばならないという現実が待ち受けているのではないかと思うのです。

今猫氏に必要なのは、自分の名誉欲のを満たす事ではなく、カンボジアの人々に何が出来るのか、先輩方の地道な努力の助力になる事は何なのかを考えて行動する事が必要なのではないでしょうか?

同じお笑いタレントの江頭氏というお手本があるのですからね。
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通りすがりのおじさま (kuranishi masako)
2012-04-15 08:18:19
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 猫氏の事件の背景には、怪しい組織が蠢いているようです。ネット上で、出場辞退の呼びかけもあったのですが、効果はないようですので、本人の判断では、どうにもならない状況にあるのかもしれません。こうなっては、国際陸連が、外部から出場資格を剥奪するしかないのではないかと思うのです。
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Unknown (兼業農家)
2012-04-16 11:15:45
猫ひろしではなく、障害者郵便割引の不正使用に関する裁判で思うことを一つ。この事件の裁判では、厚労省の元課長が検察特捜部の違法捜査で無罪になってしまい、元課長は一躍ヒロインになっていますが、このことに大変な違和感を感じております。そもそも、郵便会社が障害者割引を摘要したのは、厚生労働省の正式な公印(課長印?)を押印した文書があったからなのに、元課長の公印に対する管理責任が完全にスルーされています。公印を押した文書を勝手に出されたとすると、このヒロインの管理が疎かであったためであり、最低でも訓告や戒告などの処分が下されないといけない筈なのに、何もありません。しかも、今回障害者団体を偽装した側の役員まで無罪になり、この事件がノンキャリの係長の独断と言う結果になってしまいました。果たして誰からも頼まれないのに公文書を偽装して渡すバカがどこにいるのでしょうか?この結果を見ると、厚労省と法務省の役人の間で、「今回はノンキャリに全て責任を押し付けて終りにしよう」と言う合意が出来ていたとしか思えません。うやむやに終わった事こそ、本来は追求すべきではないでしょうか。
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兼業農家さま (kuranishi masako)
2012-04-16 14:42:04
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 私も、兼業農家様と、全く同じように考えておりました。係長の単独犯行ということにして、巨大な組織的な闇が、隠蔽されてしまったようです。あまりに状況が不自然です。猫ひろし氏の事件も、個人レベルのお話ではなさそうです。マスコミも司法も組織犯罪だけは追及しないとなりますと、同じような事件が繰り返されることになるのではないかと心配になります(組織犯罪が野放しになる…)。
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