万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

スー・チー氏は憲法の枠内で改革を

2012年04月24日 17時43分43秒 | アジア
スー・チー氏ら登院見送り ミャンマー大統領「宣誓文修正せず」(産経新聞) - goo ニュース
 民主化の指導者として知られるスー・チー氏が、憲法遵守の宣誓を拒否して議会への登院を拒否しているそうです。このままでは、民主化の流れが停滞する怖れもあり、一刻も早く、膠着している事態を打開する必要があります。

 問題となっている2008年憲法には、憲法改正手続きが定められており、憲法改正への道が閉ざされているわけではありません。問題視されている(1)議会両院の軍部枠や(2)非常事態時における軍部の権限については、確かに、改正のハードルが高く設定されており、議会議員(下院)の75%以上によって承認され、国民投票に過半数以上の有権者から支持を得る必要があります。しかしながら、民主化は、国民多数の願いでもありますので、このハードルは、決して越えられないものでもありません。逆に、スー・チー氏が、合法的な憲法手続きを経ずして国政の改革を目指しているとしますと、ようやく根付きつつある立憲主義を根底から崩してしまうことにもなりかねません。また、たとえ憲法の枠を外れて改革を行ったとしても、違憲行為として、後々まで合法性が疑われることにもなります。議会に登院し、正々堂々と、国民の前で民主化に向けての憲法改正や、国民のための政策を議論すれば、世論も味方するはずです。自由な議論こそ民主主義の命なのですから。

 憲法がある限り、軍部もまた、それを順守する義務があります。報道されていない重大な理由がある場合は別としても、民主派は、国民の民主化の期待に応え、早期に憲法改正を実現するためにも、ここは、登院すべきではないかと思うのです。

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