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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ゲノム編集技術が共産国家中国を滅ぼす?-‘超中国人’の誕生

2019年02月09日 13時36分09秒 | 国際政治
昨年11月、中国において人類初の遺伝子操作ベビーが誕生しました。ゲノム編集技術を使って生まれた双子の女児の名は、‘ルル’と‘ナナ’と名付けられたそうであり、中国の伝統的な女子の名前とは些か趣を異にしています。姉妹の名前を合わせると‘ルナ’となりますので、ラテン語の‘ルナ=月’を意識しているのかもしれません。

 日本国では月と言えば『竹取物語』が思い起こされ、二人の女の子はさながら光輝く月の世界から汚れた人の世界に生まれ落ちた‘かぐや姫’といった典雅な物語のヒロインがイメージされるのですが、中国では、遺伝子を人工的に改変する高度先端技術の申し子として誕生しています。中国と月との関係は極めて現実的であり、今年に入り、中国が打ち上げた月面探査機「嫦娥4号」は、早速、月の裏側での活動を開始しております。もっとも、‘嫦娥’とは、中国の神話に登場する女性の名であり、『淮南子』覧冥訓では仙女とも、道教では月神ともされていますので、中国では、現代テクノロジーの成果に対して、名称だけは敢えて意図的に反対の意味のものを付けているのかもしれません(名称と中身が違う‘偽称’を好む傾向?)。

 さて、中国は、地上において遺伝子操作ベビーが生まれた最初の国となったものの、国際社会からは激しい批判を浴びています。親などが自らの好みに合うように遺伝子を操作する‘デザイナー・ベビー’の発想自体は既に存在しており、人の手によって頭脳明晰で容姿端麗な‘超人’を造りだすこと自体は技術的には可能です。しかしながら、中国以外の国では倫理規定に反するとして、こうした行為は固く禁じています。つまり、生命も物質に過ぎないとする唯物論を是とする中国のみが、この禁を破ることができたとも言えるのです。表向きは中国政府も同成果を批判的に論じていますが、政府、あるいは、共産党の黙認、あるいは、隠れた支援なくしてこうした先端分野での研究が行われるはずもありません。

 そして、もしかしますと、倫理的な拘束を受けない中国の遺伝子改変技術は、今般発表されたレベルよりもさらに先に進んでいる可能性もあります。習近平国家主席は、かねてより‘中国の夢’の実現を訴えていますので、その目標の中には、人類進化の最高レベルに到達した‘超中国人’の出現も含まれていてもおかしくはありません。つまり、人類最高レベルの能力を有する‘デザイナー・ベビー’は、中国人として誕生する可能性が極めて高いのです。そして、人工的に生まれた‘超中国人’は、これもまた先端的なクローン技術によって‘量産’されることでしょう。

 しかしながら、ここで中国共産党の誤算が生じるとすると、それは、人類最高レベルの‘超人中国人’が、その並外れた能力の高さ故に共産主義の欺瞞を容易に見抜いてしまうことです。ソ連邦を含め、共産主義国家では、国家イデオロギーの正当性を守り抜くために多くの知識人が強制収容所に閉じ込められたり、最悪の場合には公開、あるいは、秘密裏に処刑されてきました。共産主義国家にとっては、論理的な思考力に長けた賢い国民は‘国家の敵’となるのであり、文化大革命にあって知識人が標的にされたのは、毛沢東が理想とする独裁体制の維持にとってこれらの人々が脅威となるからです。天安門事件も、自由化や民主化を求める若い学生という思想上の脅威を予め抹殺した事件とも言えます。つまり、‘超中国人’の登場は、共産政権が体制維持のために排除してきた高い知性を備えた国民を自らの手で生み出してしまう行為に他ならないのです。

 ‘超中国人’が自らに対して反旗を翻す事態を予測した中国は、サイコパス遺伝子を突き止めて、遺伝子操作の際に人の倫理的判断に関わるこれらを全てノックアウトしまうかもしれません。しかしながら、仮にこの操作を行えば、生みの親である共産党に対しても残虐に振る舞える‘フランケンシュタイン’となるかもしれませんし(さしもの中国共産党も悪の超人でもある’超中国人’に乗っ取られるかもしれない…)、少なくとも、国民の誰もが、‘超中国人’を認めて受け入れることはないことでしょう。心は野獣に等しいのですから。『竹取物語』とは違い、『淮南子』覧冥訓では、嫦娥は不老不死の薬を盗んで月に逃亡したため、ヒキガエルになってしまったと伝わりますが、中国の遺伝子操作技術の先には、共産党の期待を裏切る展開が待っているのかもしれません(一般の中国国民にとりましては、一党独裁を終焉に導くヒーロー、あるいは、ヒロインになるかもしれない…)。

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die Übermenschen (Bystrouska.Vixen)
2019-07-16 16:42:43
悪の超人集団北京共産党が、自ら創り出した超支那人によって滅ぼされる。
もしそうなったら、人類史上最大の皮肉ですね。
しかし、嗤ってばかりもいられません。
超人種は、わたしたち日本人だけではなく、全世界を敵に回して、終には人類を地球より駆逐してしまやもししれません。
わたしは左派の思想にも良い点はあるとは思うのですが、『唯物』だけはいけませんね。
大して神信心の厚い方ではないのですが、大いに違和感を感じます。
支那賊が滅ぶのは勝手ですが、こういう滅び方をして、禍根を残してほしくないものですね。
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