万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

特別優遇型政策の光と影

2009年04月12日 13時41分51秒 | 日本政治
【核心】高速道路休日1000円 大渋滞は幻 募る不満(産経新聞) - goo ニュース
 最近の政府の経済対策には、一部だけを切り取って、あたかも経済効果があるかのように宣伝するパターンが多いように思うのです。”高速道路休日1000円政策”もその一つと言えそうです。

 いざ政策を実施してみますと、高速道路の交通量の増加は、国土交通省の当初の見込みをかなり下回ることになるそうです。この見込み違いもさることながら、しばし考えてみるべきことは、景気対策としての政策の良し悪しです。道路会社やETC製造会社への波及効果だけを取り上げますと、確かに収益の増加が見られますので、経済効果はあったと主張されるかもしれません。しかしながら、鉄道会社やフェリー会社の収益が低下し、また、物流を担う運輸会社が何らの恩恵も受けないとなりますと、この政策が景気浮上に貢献しているのか怪しくなります(取引が増えるわけでも、価格が下がるわけでもない・・・)。唯一恩恵を受ける個人も、不景気にあっては積極的にドライブに出かける余裕のある人々は限られてもいます。

 結局、特別優遇型の政策では、優遇措置を受けた分野にのみ利益が集まり、その他の分野は、その分、収益が減少して経営が苦しくなりそうです。こうしたプラス・マイナスがゼロになる政策は、良策と言えそうにありません。税金を投入して政策を実施する限り、不公平感を伴うものであったはならないと思うのです。

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