万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”南シナ海戦争”が起これば中国が戦犯に

2015年11月25日 09時06分27秒 | 国際政治
 南シナ海における中国の一方的な実力行使は、明らかに海洋法に違反しながら、中国は、頑としてこの違法行為を止めようとはしません。中国は、国際法の無視を決め込んでおりますが、仮に、将来において国際法の執行として武力行使が行われた場合、その責任は、違反者である中国にあることは言うまでもないことです。
 
 今日の国際社会においては、国内レベルほどには司法制度が整備されていないものの、国際司法裁判所や国際刑事裁判所等の機関が設けられておりますし、国連憲章においても、国際の平和を損なう行為に対する安全保障理事会の役割が明記されています。これらの機関は、二国間の領土問題等に限らず、国際ルールとしての一般国際法上の問題をも扱うことができます。国内法で言えば、侵略等は公の秩序を侵害する刑事事件であり、中国の南シナ海での行為は、往来妨害罪、不動産侵奪罪、脅迫罪などに該当するからです。もっとも、国際司法裁判所における判決の履行については規約上に明文の規定がなく、国際刑事裁判所にあっても非締約国である中国の指導者を法廷に立たせることは困難です。また、国連安保理においては、中国もまた常任理事国の一国として、事実上の拒否権を有しています。不備を抱える国際レベルの制度では国際法の執行ができない、となりますと、国際法に違反する実力行使に対しては、国連憲章51条において全ての国家に対して認められている個別的、及び、集団的自衛権を以って対処するしかなくなります。


 国際法違反行為に対する武力行使を”戦争”と呼ぶか、否かの問題は別に論じるとしても、南シナ海での武力行使を”南シナ海戦争”と名付けるとしますと、”南シナ海戦争”の戦犯は、当然に中国となります。たとえ戦後に至り、国際軍事法廷が開廷されたとしても、中国に対する有罪判決は、海洋法が既に存在している以上、揺るぎないと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2015-11-25 18:54:17
こんばんは。はっきり申し上げますが法のもとの平等はございません。
その言葉自体が嘘であることは明白な事実が証明しています。
日本軍の戦争犯罪はでっち上げの裁判で有罪とされ、明白な戦時国際法違反のベトナム戦争時の韓国軍は軍事法廷で裁かれないのでしょうか。
其の上で、韓国は自国の事は棚に上げ他国に対しては戦犯国という。
これだけでも法のもとの平等などあり得ない・・戦勝国であるベトナムが軍事法廷を開かないかぎり韓国軍の戦争犯罪・・残虐な行為やライダイハンに対する責任は問われない。
戦争犯罪とは戦時国際法に違反する行為・・大別すると捕虜の取り扱いに関する事柄、非戦闘員の保護。
戦闘員と非戦闘員は厳密に区分されます。
戦闘員は定められた着衣(軍服)を身に付け、戦闘員である事を示す認識票を就けなければなりません。
通常は階級章です。
捕虜の資格が得られるのは指揮官が兵をまとめ降伏を相手の指揮官に申し出る。
戦闘員は相手に見えるように武器を所持し、武装解除に応じなければなりません。
非戦闘員は、いかなる理由があろうと武器・その他の武器に変わるものを持って戦闘員を攻撃してはならない。
もしも攻撃した場合はゲリラとして 、その場で処刑されても合法である。
避難する際には戦闘員から何も預かってはならない。
たとえ手がも一通でも預かってはならない。
歩哨の誰何には応じなければならない。
誰何されて背を向けて逃げ出し射殺されても合法である。
と、言うような細かい定めがあります。
中国を戦犯国に・・あり得ません。
抗日記念パレードに国連が・・潘基文が国際手配を指示した戦争犯罪人が出席していて、習近平が「古くからの友人だ」と言えば何一つ出来ない・・これが現実です。
そもそも戦争以前に、中国が基地や設備の建設を中断して終わりとなります。
米国内の事情がある。
民主党も共和党も同じ事です。
米国の財界は「アジアは中国に任せればいい」と考える者が多数を占めています。
来年は・・大統領選挙、財界と対立して誰が多額の選挙資金を用立ててくれるのでしょうか。
米国製品は国際市場では競争力が全く無い。
ギターやライターで米国に充分な外貨をもたらす事が出来ますか。
車や精密機器・・・日・独とは勝負にならない・・コンピューター部品・・台灣が世界シェアを持っている。
機密を要する軍事産業だけは別でしょうが、製造業をはじめ米国企業の合理性・・忙しくなれば雇用を増やし、利益が落ちれば大幅な人員削減をし浮いた人件費で穴埋めをする。
労働者は利益調整の為の存在でしかなく、社員として技術者を育成するような事はしない・・
移民国家ですので出来ないと言ったほうが早いのかもしれません。
移民国家の悲しさか・・国家としての最低限度の教育が行き届かないという事情もあるのです。
富裕層は高い塀に囲まれ銃を持ったガードマンに守られた住宅地に住んでいる。
オバマ氏が推進しようとした保険制度・・猛反対したのは富裕層「貧しい者に税を使うな」と。
ノーブレス・オブリージュの精神の欠片もない成り上がり者の集まり・・それが米国の富裕層なのです。
労働者は利益調整の為の安全弁・・これで国際市場で売れる製品がつくれるのか・・作れない・・だからこそ中国という市場は捨てられない。
資金を引き上げ東南アジアに移動させたとしても中国は捨てきれない、というのが米国財界の本音です。
財界と徹底的に対立すれば・・大統領選の資金は誰が出してくれると言うのでしょう。
選挙戦には兆単位の資金が必要・・市民や労働者が献金や寄付をしてとしても焼け石に一滴の水です。
米国の富裕層は株や投機で裕福になった者が多く哲学がない。
だからこそ、中国人とも付き合えるのでしょうが。
英国は貴族の株を買ったとしても三代は貴族とは認められず、貴族にふさわしい品位や品格がなければ笑いものにされる・・伝統があるのです。
習近平が訪英した時もエリザベス女王は手袋をしたままの握手・・最も礼を欠いた行為ですが・・礼を欠く事でチベットに対する侵略に対する抗議の意を示し、チャールズ皇太子は晩餐会には出席せず・・
経済の話とチベットへの侵略や民主化に対する強権的な姿勢には強く抗議する・・ これが英国の姿勢です。
ASEAN諸国は中国に対して抗議はしたいけれど・・及び腰
中国製の武器を装備しているという事は国防力について中国は全てを知っている・・
部品・弾薬を止めるだけで戦闘を終了させ一方的な勝利で終わる事は確実。
ASEAN諸国が中国に対して及び腰にナねのも無理からぬことなのです。
武器輸出3原則という閣議決定をし、死の商人のような真似はしないと悦に入っていた平和ボケこそが東南アジアの危機の原因とも言えるのです。
相手国に武器を装備させる事は、部品や弾薬の供給を止めるだけで戦闘を止めることも出来るのです。
それが理解できない文民だけの統制・・シビリアンコントロールは危険すぎるのです。
ついでに・・トルコによるロシア軍機の撃墜・・
トルコは、自国民を化学兵器で虐殺したアサド大統領に対する反発があり、ロシアはアサド政権を支えようとしている・・トルコとロシアの深刻な対立の原因です。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2015-11-25 20:33:15
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 国際社会において海洋法が成立している限り、この法の下では、法の前の平等は存在しているのではないでしょうか。仮に、存在しない、つまり、特定の国のみは、国際法を適用しない、となりますと、中国の海洋保違反行為を認めることになります。南シナ海を中国の海にしてもよいのでしょうか。法の前の平等の否定のお話を聞いて喜ぶのは、中国や韓国といった、その他暴力主義の諸国ばかりではないでしょうか。これでは、国際社会は、弱肉強食となります。
 また、アメリカの財界が、親中派の候補を支援しているとしましても、有権者である国民が、Noを言えば、大統領に当選することはできないはずです。トランプ氏の人気の背景には、氏の反中姿勢、すなわち、雇用をアメリカに取り戻すとする政策があるのではないでしょうか。
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