万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政治家の育児休暇―イクメン首長は公私混同?

2012年03月21日 15時33分39秒 | 日本政治
「イクジイ宣言」、野田首相(読売新聞) - goo ニュース
 昨日、野田首相が、育児休暇を取得した地方自治体の首長達と会見し、「イクジイ宣言」を打ち上げたことが、話題として取り上げられていました。会談の写真を見ますと、子どもたちも同席しており、微笑ましい光景なのですが、政治を預かる公人であることを考えますと、厳しい言い方かもしれませんが、イクメン首長は、公私混同ではないかと思うのです。

 政治家の育児休暇の取得については、イギリスのブレア元首相も経験者であり、日本国ばかりの制度ではありません。諸外国をモデルとして、民主党政権が、”追いつけ”とばかりに導入を急いでいるのが実情なようです。男性の子育て支援を、政治家自らが実践することで、この制度を普及させようとしているのでしょうが、政治家を選出した有権者にとりましては、必ずしも歓迎することではありません(民間では、取得したくても、現実にはできない場合が多い…)。何故ならば、公権力は、人々の生活に関わるものであり、首長の私的な都合で仕事を休まれては、地方レベルであるとはいえ、権力の空白が生じるからです。もし、任期中に子育てを休暇を取得する予定であるならば、有権者に正直にその情報を提供すべきですし、むしろ、立候補を控える方が、有権者に対しては良心的な態度でもあります。仮に、育児休暇中に、突然に自然災害に見舞われたり、重大な失政の原因を造ってしまったとしましたら、どのように責任を取ると言うのでしょうか。

 子育ては、基本的には私的な領域なのですが、子ども手当に邁進したように、民主党にとりましては、”子育ては、社会でするもの”、つまり、頭の中では、公私の区別が消えているのかもしれません。公私をきっぱりと分けることは、日本国では伝統的な道徳規範なのですが、民主党政権は、イクメン首長を持ち上げることで、この美徳をも壊してしまいたいようです。そのうち、自分の家族のために、公務を捨てるとか、政治権力を行使するような政治家までもが出現しそうです(台風による被害でご家族を失いながら、公務に徹した自治体の長もおられる…)。公私の混同は、あらゆる政治腐敗の元凶になるのですから、政治家は、あくまでも公務を優先すべきなのではないかと思うのです。

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4 コメント

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論点散漫 (hint)
2012-03-21 16:25:40
チョット無謀な評論です。
 問題点のすり替えや論点のすり替えが激しい..もう少し落ち着いて表現してください。
 真面目に読もうとしている人もいるでしょう...今のままではとても...
hintさま (kuranishi masako)
2012-03-22 08:38:01
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 本ブログは、寸評として書いておりますので、長い説明はいたしておりません。むしろ、論点を明確にしたつもりなのですが・・・。つまり、”政治家は、育児という私事によって、公職を休むことは、有権者に対する責任放棄である”と。この記事は、公人であるイクメン首長たちに対して、苦言を呈しているのです。もし、問題点や論点のすり替えが激しいとおっしゃるならば、具体的に、どの点がそうであるのか、説明してくだいませ。
コメントの欄 ミス (hint)
2012-03-23 07:00:24
 申し訳ない...実は下記のタイトル部に対しての意見でした。
「北朝鮮の核開発を批判しない大江健三郎氏」

 もし必要でしたら本件のタイトルについてコメントします。
hintさま (kuranishi masako)
2012-03-23 08:48:31
 了解いたしました。お気になさらないで、くださいませ。

 大江氏に関する記事につきましては、簡潔に申しますと、”日本国、ならびに、人類の生存に対する脅威は、原発よりも、核開発の方が高いのですから、北朝鮮などに対する批判をしないと、ダブル・スタンダードになる”ということです。つまり、氏の知識人として不誠実な態度を問うたことになります。もし、この説明では、納得できないようでございましたならば、コメントにて、疑問点をお寄せくださいませ。

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