万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本政策金融公庫が「新銀行日本」になる心配

2009年01月24日 15時46分40秒 | 日本政治
一般企業に公的資金、資本増強で再建支援…政府方針(読売新聞) - goo ニュース
 政治利権と化し、不透明な融資が横行して経営が行き詰ってしまった「新銀行東京」。報道によりますと、政府は、日本政策金融公庫の予算枠から、一般の企業に公的資金を投入するそうです。が、一つ間違えますと、日本政策金融公庫が、「新銀行東京」ならぬ「新銀行日本」になってしまうかもしれないと思うのです。

 政府が、直接に民間企業に対して”貸付”を行いますと、必ず、政治家の利権やコネの問題が付きまといます。いわゆる”口利き”と呼ばれるもので、融資基準や条件に拘わりなく、政治家との関係の有無が、融資の決定に大きくものを言うのです。その結果は火を見るよりも明らかであり、回収不能の債権が発生し、巨額の損失を計上することになるかもしれません。政府系の金融機関のほうが、民間の金融機関よりも、はるかに不良債権化のリスクが高く、モラル・ハザードも発生しやすいのです。

 「新銀行東京」の二の舞になることは十分に予測できるのですから、この策は、良策とは言えないようです。もし、政府が、どうしてもこの政策を行いたいのであるならば、融資基準、融資先と財務状況、返済の見通しなどの情報を公開し、”口利き”ではなく、公平な融資が行われていることを、国民の前に証明する必要があると思うのです。

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8 コメント

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もともと・・・ (冬水)
2009-01-25 10:34:05
 官僚と言う者は、ソ連型の国家社会主義というか、国家資本主義というべきか、ああ言う体制が好きなのよ。
 だって、裁量で、権力を振るうことができるじゃない。しかも、汚職等をしていても、抗議する人物は、秘密警察で逮捕、さらに、マスコミも、ただの、政府の宣伝機関にできるじゃない。
 あなたは、民主主義だ、自由な市場経済だと言いながら、官僚による、いわば、一種の国家社会主義を保護、容認している政党を支持しているじゃない。おかしくないか?
 政教一致の憲法違反政党を、支持、容認している政党でもあるけど。
 あなたは言行が一致していない。
 ま、こんな民間会社国有化みたいな政策をするほど追い込まれていると言うことか。資本注入をしても、需要がなければ、やはり倒産するよ。税金が無駄遣いになって、それで消費税増税、すると、また、需要が落ち込んで、また、資本注入、そして、また倒産、また、消費税増税、また、需要が落ち込む・・・・
 無限の負のスパイラルになるだろう。はっきり言って、馬鹿だ。
冬水さん (kuranishi masako)
2009-01-25 11:41:31
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 無限の負のスパイラルにつきましては、私も、そのように思います。ただし、民主党もまた、政策手法こそ違いますが、財政拡大路線を歩んでおり、この点において同様の不安があります。日本国の悲劇は、国民多数が支持するような政党が存在していない、ということなのです。むしろ、政界再編成を行って、国民の選択肢を広げるべきと思うのです。
差異があってこそ・・・ (冬水)
2009-01-26 11:51:15
 共振する。そんな、政党でないと、多数派は作れない。前に申し上げたとおり。
 自民党は、郵政民営化に反対する議員を、追い出したばかりでなく、その米櫃(地盤)を刺客を差し向けて、奪った。で、議席数は、頂点となったが、そこから没落の道を歩み始めた。
 小泉氏は公約を守ったわけだ。自民党をぶっ壊すと。自民党は、同一性が支配しているから、衰弱するのだ。保守王国、山形での惨敗を見ればわかるじゃないか?
 前原氏らから、国民新、社民、あるいは、共産党を含めて、ウィングを拡げていくぐらいでなければ、安定した一党独裁政党はできない。
 実際、共産党だって、憲法の天皇条項も、そのまま、認めているわけだし、その政策は、社民と変らない。組織に革命政党の尻尾があるだけだ。
 小沢氏の憲法論は、自公との際どい抗争となった時、共産党を引き寄せるためだと思うよ。
 自民が公明と連立しているぐらいだから、共産との閣外連立など、何の問題でもないよ。公明のほうが、よほど、わけのわからないカルト政党だ。
 あなたの希望は、ないものねだり。
冬水さん (kuranishi masako)
2009-01-26 12:55:01
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 日本国において、自民党であれ、民主党であれ、一党独裁をつくる必要は、全くないと思います。冬水さんは、私を”ないものねだり”と申しておりますが、現時点では存在していないからこそ、新たな政治システムを構築する余地があるとも言えます。現在の政治システムは終着点ではなく、出発点なのです。
一党独裁である・・・ (冬水)
2009-01-26 16:20:47
 必要は、全くないのだけど、日本では、二大政党制より、巨大政党の中で、抗争するのではないかな?
 だから、政権政党は、3分の2に、やや足らず、議席を取り、残を野党が占めるなんてことになり易いと思う。
 つまり、外と戦争するより、内側で、陰謀、けたぐり、その他、もろもろで対立し、その巨大政党の中で、政権交替をやって、その時々の、政治課題に対処するのではないかな?
 自民党の失敗は、党外に、侍大将を放り出したこと。国民新党のの両亀井氏、無所属の平沼氏などは、9月の総裁選に出馬した、どの候補より、総理に相応しいのじゃない?
 一騎当千と言うじゃない。羽田連立政権から、政権を奪い返した亀井静香氏のような人材を失ったのは痛いはず。チルドレンなんか、頭数にしかならないだろうに。
 川島先生の法社会学の業績から考えると、二大政党制は無理だと思う。
冬水さん (kuranishi masako)
2009-01-26 20:08:54
 ご返事をいただきまして、ありがとうございました。
 冬水さんは、おそらく、非現実的と呆れるかもしれませんが、政治のシステムそのものをもう一度見直す時期にきているのではないか、と考えております。よく整えられた制度が構築できれば、政治の無用な混乱によって、国民が困ることがなくなります。少しの工夫で、状況が大きく改善されることもあります。何が出てくるか予想もつかない一党優位体制では、参政権はあっても、国民は不安になるのではないでしょうか。
いろんな灰色が・・・・ (冬水)
2009-01-26 22:51:05
 見える国民だから、”白か黒か”の二者択一は、なかなか、上手く行かないと思うよ。
 どこの国の人にも、認識の形に構造があるからね。どんな仕組みも、その構造に引き摺られて変容するから。
冬水さん (kuranishi masako)
2009-01-27 09:37:07
 ご返事をいただきまして、ありがとうございました。
 二大政党制でも、おそらく何処かで破綻をきたしそうですし、また、一党優位体制でも、組織が腐敗してしまいそうです。ですから、将来的には、首相公選制や国民投票制を組み込み、かつ、各党が自党の立場や政策を明確化した上での多党並立制がよいのではないか、と思います。もっとも、政党よりも候補者個人選択を重視するという方向性もあり得るましょう。政治制度については、もっと活発な議論を行うべきと思うのです。

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