万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

陰謀を陰謀論の世界から引き出す科学技術

2021年06月09日 12時42分57秒 | 国際政治

 今日に至り、ようやく新型コロナウイルスの起源が中国の武漢ウイルス研究所にあるとする陰謀説が事実として認定されようとしています。同説が唱えられた当初、各国ともマスメディアは一斉に根拠のない陰謀論として批判し、一笑に付そうとしました。イギリスの権威ある医学雑誌であるランセットに否定声明が掲載されるなど、陰謀論の立場をとる科学者も少なくなかったのです。日本国内でも、たとえ武漢ウイルス研究所流出説を報じられたとしても、それは所謂’デマ’扱いでした。しかしながら、アメリカをはじめとした各国情報機関による調査が進むと、陰謀論はようやく中国が引き起こした事件として扱われるようになったのです(もっとも、実行犯は中国としても、中国の背後に隠れている’真犯人’が存在する可能性もありますが…)。

 

 陰謀論とは、しばしばそれが非現実的で荒唐無稽のお話であるため、それを信じる人々は、洗脳された新興宗教の信者のように見なされがちです。この世ではあり得ないことを信じて真剣に語る人は、得てして’騙されやすい愚かな人、あるいは、’胡散臭い人’として扱われてしまうものです。いわば、’合理的な思考から外れた人’と見なされてしまうのですが、先端的な科学技術が急速に発展した今日、合理的な思考の持ち主ほど、陰謀論が事実である可能性を認める傾向へと大きく変化してきているように思えます。

 

 例えば、コロナ・ワクチンをめぐっても、様々な陰謀論が渦巻いています。先日、ワクチンを接種した人が一夜にして半獣半人の姿へと変化したとする記事を目にしましたが、時間の経過とともにゾンビ化するといった説も含めて、こうした説は確かに愉快犯によるフェイクなのかもしれません。誰もが怪しむ極端な陰謀論があるものの、今日の科学技術のレベルからすれば、あり得てしまう陰謀論も少なくありません。その最たる事例が武漢ウイルス研究所流出説であり、そして、コロナ・ワクチンをめぐる疑惑なのではないかと思うのです。

 

 日本国政府を含め、各国政府とも、ワクチンの安全性や真の目的に対する疑問の提起は’陰謀論’扱いです。遺伝子ワクチンの技術は、最先端の科学技術の成果であるのだから、それを疑う人は、’合理的な思考から外れた人’と見なしているのです。しかしながら、コロナ・ワクチンを疑う人は、科学技術を信じているからこそ、遺伝子ワクチンの危険性に気が付いているとも言えましょう。すなわち、今日、遺伝子工学やナノ技術かなり発達しているとはいえ、遺伝子の役割や機能に関してはまだまだ未解明な部分が大きく、現在の人類の知的レベルではその全容解明は不可能である可能性さえあるのです。

 

ワクチン接種を受けた人の体内にあって大量に投与されたmRNA入りの脂質ナノ粒子が血管やリンパ節を流れて全身をめぐり、脳を含む各種臓器の細胞に入り込んでスパイク蛋白質を産生することは紛れもない事実です(脂質ナノ粒子については、接種2日後では肝臓に最も多く蓄積とも…)。投与された成分は接種部位の筋肉に留まり、大人しく中和抗体のみを生成するわけではないのです。しかも、ファイザー社からの流出文書によれば、このmRNA、新型コロナウイルスのスパイク部分の全長の塩基配列の再現というのですから、体内にあって全身のACE2と結合可能なスパイク部分が全身に存在してしまうことにもなります。スパイク部分こそが同ウイルスの核心的な有毒要素であるとする説がありますので、ワクチン接種が必ずしも安全であるとは断言できないはずなのです(同ウイルスに感染して発症したに等しくなる…)。また、脂質ナノ粒子から外部に放たれたmRNA、並びにこれから生成されたスパイク部分、さらにはスパイク部分に対する免疫反応として生成された各種抗体が、その後、どのような経緯を経て最終的にどのような状態となるかについては、製薬会社の企業秘密ともされて分かっていません。

 

可能性としては、全てではないにせよ、一部のmRNAが幹細胞等のテロメラーゼといった酵素、あるいは、未知のDNA作用などによってDNAへ逆転写され、一生涯に亘って体内にスパイク蛋白や抗体を産生し続けるケースから(中長期的には甚大な健康被害が発生するリスクが高い…)、抗体を含めてこれら全てが短期間で代謝を経て消滅するケースまで、リスクレベルの異なる様々な可能性があります(中には、ADE抗体のみが残るケースも…)。科学は、むしろ、将来における影響のレベルや種類の幅広さを示しているのであり、政府の見解は、数あるリスクの内でも、最もリスクの低い楽観的な見通しに過ぎないとも言えましょう。

 

 コロナ・ワクチンの安全性に関する疑惑こそ科学的な見地に基づくものですので、これを陰謀論として片付けてしまいますと、事実に基づくリスクに目を瞑ることとなります。そして、今日のナノ技術のレベルを知れば、マイクロチップ埋め込み論が事実であっても驚きはしません。何故ならば、ナノエレクトロニクスの分野では、10年以上も前にタバコモザイクウイルスの内部空間を利用したナノワイヤーの作成に成功しているからです。科学こそ、陰謀を陰謀論の世界から引き出し、白日の下に晒しているのであり、そうであるからこそ、政府も国民も’陰謀論’を決して無視してはならないと思うのです。陰謀こそ事実である可能性があるのですから。

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