万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

シルク・ドゥ・ソレイユ天安門事件-密かなる抵抗か?

2013年08月19日 15時37分10秒 | その他
北京公演で天安門事件の写真、1万5千人ぼう然(読売新聞) - goo ニュース
 シルク・ドゥ・ソレイユの北京公演において、天安門事件の写真が約4秒にわたって映し出されたことが、話題となっております。1万5千人の中国人観客は、呆然とした様子であったと報じられておりますが、その背景には、一体、何があったのでしょうか。

 敢えて天安門事件の写真を北京公演で登場させたシルク・ドゥ・ソレイユ側の勇気も驚くべきことですが、信じられないことに、この公演で使用される写真は、全て中国当局の事前審査を受けているというのです。審査官が見落としたのではないか、とする説もあるようですが、巨大スクリーンに映し出された写真は、知らない者がいないほど有名な、戦車の前に立ちはだかる一青年の写真です。サブリミナル効果であれば、プロの審査官も気づかないこともあるのでしょうが、4秒とは、短いようでかなり長い時間です。少なくとも、一般の人間が、映像を理解するには十分すぎる時間なのです。となりますと、中国当局の審査官が、意図的に見逃した可能性も否定できないのではないでしょうか。

 昨今、中国危機説が噂されているように、習金平体制は、必ずしも盤石と言うわけではないようです。仮に、”見落とし説”が正しいとすれば、行政組織の綱紀が緩んでいる証拠ですし、”見逃し説”が正しければ、体制内部から天安門事件を支持する勢力が現れてきている兆候となります。何れにしましても、本事件は、中国の現体制に揺ぎが生じていることを示唆する事件であると思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2013-08-19 17:16:36
こんにちは。この問題は中共内部の権力闘争の一環でしょう。
習近平が主席に就任したとは言え、人民解放軍対して力を持っているのは江沢民一派ですし、胡錦濤一派も巻き返しを図っています。
人民解放軍の暴走が伝えられていますが、習近平が軍を完全に掌握しきれておらず、クーデターを怖れ軍に擦り寄っている状態です。
国内では共産党に対する不満が高まり暴動の回数も増加しています。
人民が一斉に蜂起し軍が加われば中共は崩壊します。
このことを一番恐れているのが欧米諸国であり、投資家です。
地下銀行を通じて融資した不良債権が表面化しているだけでも560兆に及びます。
今、中共が崩壊すれば国際的な経済に与える打撃は計り知れません。
投資家も巨額の投資を回収できなくなります。
サブプライム危機の比ではありません。
その為に内部で経済崩壊が起きても中国という国が存在していれば手の打ちようもあるのでしょうが、クーデターや人人民蜂起・戦争によって中国が崩壊すれば、手の打ちようがありません。
現在の状況が続いている間に中国から撤退しリスクを回避しようとする動きが活発になり始めています。
崩壊は避けられない状況下にあって、いかにソフトランディングさせるか各国の焦点はここにあると言っても過言ではないでしょう。
最近では、ネットでも習近平の批判、共産党・軍への批判以外は規制が緩められていると聞いています。
ある程度の言論を認めないと政権が持たないのでしょう
現実には公害問題、格差問題、戸籍に乗らない人間の問題なと難問が山積みで権力闘争などしている状態ではないのですが、易姓革命の予兆として権力闘争が激化し民衆の暴動も激化し・・・いくつの王朝が滅んだことでしょう。
新たな王朝に変われば焚書坑儒を行い歴史を断絶させた後で新しい歴史に書き換える。
幾星霜にもわたって繰り返されてきた支那の現実です。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2013-08-19 22:02:01
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 遅かれ、早かれ、中国の現体制は崩壊するのでしょうが、全世界の経済に打撃を与えずに、ソフト・ランディングの形でそれを実現するには、しばし、時間が必要と言うことのようです。中国のリスクは、随分と以前から指摘されていたのですから、投資をする側も、最初から慎重に対応し、”大きくなりすぎて潰せない状態”になるまで肥大化させるべきではありませんした…。それにしましても、結局は、易姓革命に行き着いてしまうとしますと、中国は、自称歴史の最先端の思想=共産主義に基づいて建国しながら、その内実、古代から全く変化していないことになります。曲がりなりにも民主化と自由化を実現した台湾や香港のみが、中国の未来にわずかなりとも希望を残しているように思えるのです。
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