万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国のNATO加盟の行方

2023年05月25日 10時53分05秒 | 国際政治
 日本国のNATOとの連携強化は、日本国民のみならず、人類全体の運命を左右する問題でもあります。何故ならば、仮に、近い将来、日本国がNATOに加盟すれば、地域的紛争が瞬く間に第三次世界大戦に発展してしまうからです。北大西洋条約の第5条では集団的自衛権の行使が認められており、ヨーロッパにおいてNATO加盟国の一国でも他国から攻撃を受けることにでもなれば、戦火は法的参戦義務を負う日本国にも飛び火することは言うまでもありません。偶発的であれ、ウクライナ紛争にあって、ロシアがNATO加盟国の一国を攻撃する事態となれば、日本国もロシアと戦わざるを得なくなるのです。ユーラシア大陸の西方で発生した戦争は、一瞬にして東方にまで広がるのです。

 G7広島サミットについては、NATOとの結束強化を以て評価する声も少なくありません。中には、戦争を機としてロシアから北方領土を武力で奪い返すチャンスとみる意見も見受けられます。プーチン大統領は、北方領土を第二次世界大戦の‘戦利品’と見なしていますので、日本国が第三次世界大戦の戦勝国となれば取り戻せる、という主張です。武力奪回論者からしますと、むしろ、日ロ開戦による第三次世界大戦への拡大は望ましい、ということになりましょう。

 しかしながら、北方領土武力奪回論をはじめとした好戦的な主張、国民の大多数が賛意を示す一般的な世論と言えるものなのでしょうか。広島サミットの国際イベントとしての華やかさや「核なき平和」に向けたパフォーマンスに惑わされた国民も少なくないのでしょうか、現実問題としてロシアとの戦争を望む国民は少なくないはずです。何と申しましても、ウクライナの現状が、現代の戦争というものの悲惨さを物語っているからです。ドローンによる都市空爆、住民虐殺、インフラの破壊、子供の強制連行のみならず、徴兵制まで敷かれることになるのですから。

 しかも、NATO陣営の結束強化の反作用とも言えるロシア・中国間の陣営形成は、台湾有事をも招きかねません。となりますと、第三次世界大戦は、NATO陣営対中ロ陣営の対立構図となりましょう。そして、日本国は、両国から壮絶なるミサイル攻撃を受けるリスクも格段に高まるのです(米軍側が作成したとされる台湾有事のシュミュレーションでは、日本国並びに自衛隊の役割は‘捨て石’に近い・・・)。

 政府やメディアが解説するカバー・ストーリーはともかくとして、第三次世界大戦を裏から巧みに手引きしているのは、おそらく、特定の金融・経済財閥を中核とする世界権力なのでしょう。この極めて蓋然性の高い推測からしますと、戦争による北方領土の奪還は、日本国をNATOに引き込むために置かれたいわば‘餌’なのかもしれません。‘NATOと共に対ロ戦争に参加すれば、日本国も領土を回復できますよ’という・・・。目の前のうっかりと‘餌’に飛びつきますと、たとえ最終的に戦勝国となれたとしても、老若何女を問わず多くの国民の尊い命が失われ、国土は不可逆的な破壊を受けることとなりましょう。

 岸田首相もNATO諸国も、‘ロシアは侵略国家’の一点張りで戦争を正当化しようとしていますが、日本国民並びに人類は、大がかりな舞台装置によって世界権力に騙されてきた歴史を教訓とすべきです。明治維新以来、日本国はあらゆる面においてヨーロッパに憧れ、先進的な文明の地として追従する傾向にありましたが、今日のヨーロッパは既に変質しておりますし、世界権力の本拠地でもありました(ロスチャイルド家はフランクフルトのゲッターから世界へ・・・)。日本国は民主主義国家なのですから、今度ばかりは政府による戦争誘導から逃れるべく(NATOに正式に加盟しなくとも、ロシアに敵国認定されるリスクも高まる・・・)、国民こそが冷静に‘その先’を見通し、マスメディアの扇動に踊らされることなく賢明なる判断に努めるべきではないかと思うのです。

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