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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アストラゼネカ承認に見るワクチンの血栓リスク

2021年05月21日 12時39分42秒 | 日本政治

 本日、日本国の厚労省は、正式にモデルナ社、並びに、アストラゼネカ製両社のコロナ・ワクチンを承認しました。とりわけ、後者の製品については、’極めて稀なケース’としながらも、既に欧州医薬局が血栓発症との関係を渋々ながら認めているだけに、ワクチンに対する不安、否、日本国政府の姿勢に対する不信感を強めた国民も少なくなかったことでしょう。明確なリスクが判明していながら、既定路線を言われるままに歩くが如く、あっさりと承認してしまったのですから。

 

 アストラゼネカ社のお膝元であるイギリスでは接種が継続されているものの、同社ワクチンに対する態度を二転三転させたフランスでは、血栓疑惑が事実であると確定したことで、国民の多くが同社のワクチン接種を自ら拒否し、その多くが破棄されているそうです(ドイツでも、当初は予約者多数であったにもかかわらず、同情報が拡散したことにより、実際に接種会場に現れた人の数は激減したとも…)。デンマーク政府に至っては、4月15日にアストラゼネカ製のワクチンの全面使用停止に踏み切っています。日本国政府もメディアも、こうしたマイナス情報を積極的には報じようとはしませんが、アストラゼネカ製のワクチンの周回遅れの承認は、日本国政府が血栓リスクを黙認したと言わざるを得ないのです。

 

現状を見ますと、日本国政府に独立的な医薬品の承認権があるのかどうかも疑われてしますのですが、ワクチンの血栓リスクは、アストラゼネカ製に限定した問題なのでしょうか。ファイザー製のワクチンにあっても、関連性は‘評価’されてはいないものの、ワクチン接種後にくも膜下出血等の病名で亡くなられた方々の事例が報告されています。血栓関連の事象が散見されており、血栓リスクは、コロナ・ワクチンに共通する問題なのかもしれません。そして、思い起こされますのが、新型コロナ・ウイルスに感染した場合にも、血栓の生成が数多く見られる点です。つまり、新型コロナ・ウイルス用に開発されたワクチンであるからこそ、血栓が生じてしまうとも考えられるのです。

 

mRANワクチンであれ、ベクターウイルスワクチンであれ、体内にあって生成されるのは、新型コロナ・ウイルスのスパイク部分の蛋白質です。ワクチン投与によってナノ脂質粒子に包まれたmRNAが注入されますと、細胞内部のリボゾームが翻訳して同蛋白質を造り出します。この時点で、接種者の体内には、大量のスパイク蛋白質が出現することになります。同蛋白質が、樹状細胞などの免疫細胞によって抗原提示されますと(なお、異物を取り込んでしまった細胞も抗原提示を行う…)、獲得免疫系が働き始め、B細胞によって中和抗体が生成されると共に、キラーT細胞も活性化されて異物を取り込んだ細胞も除去されるとされています。

 

ワクチンについては、抗体の効果のみに関心が集まりがちですが(体液性免疫)、短期的な反応としては(細胞性免疫)、スパイク蛋白質を取り込んでしまった自己の細胞へのキラーT細胞による攻撃が起きます。必然的に’自己破壊’が伴いますので(もちろん、抗体による自己免疫疾患のリスクはあり得る…)、この側面にも健康リスクがあるのですが、血栓に関連して素朴な疑問となるのは、たとえmRNAがDNAに逆転写されず、完全に分解されたとしても(DNAに逆転写されなくとも、mRNAが残存するとするリスクもあるらしい…)、これから翻訳されたスパイク蛋白質そのものが体内に残存する可能性はゼロなのか、というものです。

 

 キラーT細胞やナチュラルキラー細胞等がスパイク蛋白質を含む細胞を全て短期間に完全に除去し、マクロファージ等によって分解されればリスクは低下するのでしょう。しかしながら、免疫反応が弱くて完全除去ができない、あるいは、マクロファージ等が分解し切れない場合には、スパイク蛋白質のみが残ってしまうケースもあるように思えます。これらの一部は血管やリンパ腺に流れ出ることもあり得るのかもしれません。そして、仮に、スパイク蛋白質そのものに血栓生成作用があるとしますと、血栓の発生は、スパイク蛋白質のmRNAを用いた全てのワクチンに共通するリスクとなりましょう。また、コロナ・ウイルスのスパイク蛋白質には、血栓の生成以外にも何らかの有害な作用を中長期的に及ぼす可能性も否定はできず(逆転写やmRANの残存が起きた場合には同リスクはさらに増大する…)、この点も懸念されるところです。コロナ・ワクチンについては、ワクチンによって体内に発生するスパイクタンパク質おいても未知なるリスクがあるように思えるのです。

 

以上に述べましたリスクは私の推測に過ぎませんので、本当のところは、今後の調査と研究に俟つしかありません(この点においても、’人体実験’としか言いようがない…)。しかしながら、ワクチンと血栓との関連性は、未だそのメカニズムが解明されていないとしても、客観的に観察された否定のしようもない事実です。少なくともアストラゼネカ製のワクチンについては、これを好んで接種しようとする国民は殆ど存在しないのでしょうが(一先ず、政府も公式には使用しない方針のよう…)、リスクに目を瞑り、マイナス情報を隠そうとすればするほどに、日本国政府は、国民からの信頼を失ってゆくのではないかと思うのです。


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