万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アイスランド元首相が証明したパナマ文書の高い信憑性

2016年04月06日 15時20分52秒 | 国際政治
アイスランド首相が辞任=資産隠し批判抗し切れず―パナマ文書発覚後初の首脳退陣
 ”今世紀最大のリーク”との声も聞かれるパナマ文書。流出した膨大な資料の中には、プーチン大統領の側近や習近平主席の親族などの名が見られたことから、早速、パナマ文書捏造説が唱えられているそうです。

 しかしながら、この文書の信憑性は、相当に高いのではないかと推測されます。その理由は、辞任に追い込まれた元アイスランド首相のグンロイグソン氏の弁明の中にあります。野党側から不信任案を提出された氏は、”違法性を否定し「利益を得ていない」と抵抗した”とういのですから。この弁解からしますと、否定されているのは違法性と利益であり、パナマにダミー会社を設立し、数億円の資産を隠した事実は否定されてはおりません。たとえ合法であっても租税回避行為ですので、”利益はない”とは言い切れないのですが、この首相の苦しい言い訳は、少なくともパナマ文書の内容が概ね事実であることを物語っているのです。国民からは厳格に税を徴収しながら、首相自身は、国民の一人として果たすべき納税義務から逃れていたのですから、これでは示しがつきません。

 パナマ文書が本物としますと、ロシアや中国の要人に対する嫌疑も事実なのでしょうし、事実であるからこそ、習主席は、慌てて情報統制を敷いたのでしょう。汚職腐敗キャンペーンの旗振り役でもあったのですから。パナマ文書には、140人もの政治家の名が挙がっているそうですが、このリーク事件の破壊的な影響が、アイスランドのみに留まるとは思えないのです。

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コメント (2)
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