万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府も「パナマ文書」調査開始は不可避―G20での議題化

2016年04月10日 15時27分11秒 | 日本政治
租税回避の対策、G20財務相会合で議論へ パナマ文書
 「パナマ文書」をめぐっては、各国の司法当局が早々に調査を開始し、租税回避行為の取締に向けて動き出しています。一方、日本国では、菅官房長官の当初の発言から、「パナマ文書」の調査はしない方針との見方が有力です。

 しかしながら、日本国政府も、「パナマ文書」の調査から逃れられない状況が発生しつつあります。それは、国際社会が、租税回避問題を国際レベルの問題として議題化する方針にあるからです。OECDでは、今月13日に各国の税務当局者による会合を開くことを決定し、14日にワシントンで開催されるG20の財務相・中央銀行総裁会議でも、この問題が取り上げられる予定なそうです。全世界に衝撃が走っただけに、来月に予定されている伊勢志摩サミットでも、「パナマ文書」問題は重要議題となるかもしれません。となりますと、日本国政府だけが「パナマ文書」を調査しない、というわけにはいかなくなるはずです。当文書の内容を知らなければ、議論に参加できるはずもありませんし、伊勢志摩サミットに至っては、重要な議題について議長国が”知らぬ存ぜぬ”では、他のメンバー国から無責任な議長国として謗りを受けることでしょう。あるいは、日本国政府には、「パナマ文書」を表沙汰にしたくない後ろめたい理由があるのではないか、と勘ぐられるかもしれません。

 「パナマ文書」の全容は5月初旬に明らかにされるそうですが、その際に如何なる不都合な事実が判明しようとも、日本国政府は、国際社会の一員として、租税回避問題に誠実に取り組むべきではないでしょうか。ここで後ろ向きな態度を見せますと、日本国の国際的な信頼そのものが失墜しかねないと思うのです。

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コメント (4)
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