万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

深刻な世論調査不信-”世論”に従うと日本国は中国の属国に?

2015年07月27日 15時21分22秒 | 国際政治
参院特別委は28日から審議=安保法案
 本日、日経新聞の一面に、安保法案に関する世論調査の結果が掲載されておりました。この調査結果が日本国民の”世論”であると仮定しますと、日本国民の大半は、中国の属国となることを容認していることになります。

 先日の記事でも指摘したように、世論調査には幾つかの問題点がありますので、そのまま鵜呑みにすることは出来ず、当調査でも、安保関連法案に関する政府の説明は、81%が不十分と回答しております。しかしながら、この点を差し引いたとしても、集団的自衛権の行使に対して、賛成24%、反対59%、安保保障関連法案の今国会での成立に賛成26%、反対57%という数字はショッキングです。集団的自衛権の行使を否定すれば、日米同盟も破棄しなければなりませんし、国連も脱退すべきとなります。対中包囲網の形成も夢のまた夢となりますので、”反対”を唱えた人々は、中国の侵攻を受けた場合、一体、どうするつもりなのでしょうか。一国で防衛戦争を戦うとなりますと、中国と同レベルまで軍事力を増強し、徴兵制をも導入する必要もあることも、既に、以前のブログで指摘いたしました。戦争回避のためであれば、属国化も致し方ないと考えているのでしょうか。この世論調査の結果は、二つの可能性を示しております。その一つは、調査を実施した側が、世論調査という名の”世論誘導”を行ったことであり、もう一つは、残念ながら、日本国民の長期的視点からの判断力、あるいは、危機管理能力が著しく低下してしまったことです。どちらをとりましても、日本国の将来に暗い影を落としております。

 その一方で、60万以上が投票したネット上のヤフーの意識調査によりますと(日経リサーチの調査は回答が1034件)、現在のところ、賛成が51.3%、反対が45.9%と賛成が反対を上回っています。果たして、この数字の違い、どこから生じているのでしょうか(前者の可能性のほうが高いのでは?)。

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コメント (4)
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