万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の尖閣諸島3条件は”最後通牒”か

2012年09月01日 14時30分21秒 | アジア
野田首相の親書、中国側に手渡し=山口外務副大臣(時事通信) - goo ニュース
 緊張が続く尖閣諸島をめぐって、中国側が、日本国側に対して”3条件”を提示することを内部決定したとの情報が報じられています。この要求、実際に日本国政府に突き付けられるとしますと、一体、どのような事態が発生するのでしょうか。

 中国側が示した条件とは、(1)上陸させない(2)調査させない(3)開発させないを、守った場合には、現状を維持する用意はあるが、この条件が守られない場合には、強行措置も辞さない、というものです。元寇の際のフビライ・ハンから鎌倉幕府に届いた親書を思い起こさせるのですが、この条件を飲んでも、拒否しても、結果は、日本国にとりまして、極めて不利になることは目に見えています。何故ならば、3条件の提案を拒否した場合には、中国政府は、大手を振って軍事行動をとることになりますし(戦争になったのは、拒否した日本側の責任…)、受託するとしても、この3条件を遵守することは、尖閣諸島の資源上の価値が無に等しくなります。しかも、この3条件は、条約や協定として正式に受託されるわけではありませんので(条約の形式を取ったのとしても、武力による威嚇は条約法条約の無効要件でもある…)、何時でも、中国側が一方的に破棄する可能性があるのです。相手国が到底受け入れられない条件を付すことは、開戦手続きにおける”最後通牒”に当たります。

 中国政府が、武力解決を表明した以上、日本国政府は、中国が日本領である尖閣諸島に対して武力侵攻を狙っていることを国際社会に訴え、安保理への付託や国際司法裁判所への提訴など、より積極的な対応策を検討すべきなのではないでしょうか(領有権確認訴訟…)。領土紛争はないの一点張りの対応は既に限界に至っており、むしろ、大々的に国際問題化することで、中国の動きを止める方が得策ではないかと思うのです。

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コメント (2)
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