万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

原発ゼロは世論ではない

2012年09月06日 16時07分47秒 | 日本政治
大前研一:原発ゼロを目指すのなら50%節電を国家目標とすべき (復興ニッポン) - goo ニュース
 マスコミや脱原発派の人々は、”原発ゼロは世論”と決めてかかっています。政府の実施した意見聴取会やパブリックコメントでは、圧倒的に原発ゼロを支持しているではないか、と。

 確かに、意見聴取会では7割が、パブリックコメントに至っては9割ほどが、原発ゼロ案を支持しています。ところが、興味深いことに、政府が発表した討論型世論調査の結果は、これとは反対の結果を示しているのです。討論型世論調査では、(1)無作為に選んだ人々への電話調査、(2)討論会への参加者、(3)討論会参加後の選択、の三段階で調査が実施されましたが、(1)の段階では、32.6%、(2)の段階では41.1%、(3)の最終段階でも、46.7%しか原発ゼロを支持していません。討論会に参加した専門家の多数が、再生エネ推進派が占めたことを考えますと、討論会では意見誘導が働いた可能性が高く、一般の世論に比較的近い数字は、合理的に考えれば、(1)の無作為の電話調査の回答となります。つまり、国民の3分の1以下しか、原発ゼロを支持していないのです。意見聴取会やパブリックコメの数字は、組織票の数字であって、決して世論を正確に反映してはいないのです(電力危機のマイナス影響をを考えれば、原発ゼロ支持への極端な偏りは、極めて不自然…)。

 原発ゼロを実行しますと、電気料金は2倍に跳ね上がり、それは、日本国の産業全体を圧迫します(既に、産業の空洞化と地方の雇用崩壊が発生…)。各政党の原発ゼロへのすり寄りは、ポピュリズムとも評されていますが、マスコミや反原発派が主張するほどには、国民は、原発ゼロに傾斜していないとしますと、このポピュリズム論も怪しいものです。逆に、次期総選挙では、原発維持を打ち出し、早期の電力危機の解消を訴える方が、国民の支持を集めるのではないかと思うのです。

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コメント (8)
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