万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

どこか腑に落ちない浦和への制裁

2010年06月09日 14時55分18秒 | 社会
サポーターの差別発言、浦和に制裁金500万円(読売新聞) - goo ニュース
 Jリーグの試合終了後に、浦和レッズのサポーターが外国籍の選手に対して差別発言をしたということで、Jリーグの裁定委員会は、500万円の制裁金を科すことを決定したそうです。この問題、どこか腑に落ちないのです。

 本来、こうした問題は、極めてセンシティヴなものです。何故ならば、人権擁護法案において議論されているように、個人の発言に対する制裁は、言論の自由とバッティングするからです。このため、Jリーグの措置が、憲法訴訟に発展する可能性もあります。また、もし、制裁を科すならば、その基準を明確にしなければなりません。マスコミは、発言内容やその対象者について、ほとんど何も報じていませんが、これでは、どのような発言が、”差別”と判定されたのか、誰にもわかりません。きちんと事実を隠さずに報じた上で、基準を明確にしませんと、恣意的な制裁が科される可能性もあります(あなたは○○人ですね、と言っただけで、制裁の対象になるかもしれない・・・)。私的な制裁といえども、制裁規定を設ける以上、”罪刑法定主義の原則”を準用して、誰にもわかるように基準を明記しなければならないと思うのです。発言をしたサポーターも、それが、制裁に当たるとは考えていなかったはずです(基準が曖昧な状況での制裁には問題が・・・)。

 マスコミが、詳細を報じないことにも原因があるのですが、Jリーグの裁定委員会は、言論の自由との兼ね合いを考慮し、また、制裁基準をサポーターに明示すべきなのではないでしょうか。筋を通しませんと、大勢のサポータが詰めかけながら、サッカー場が沈黙に包まれるということにもなりかねないと思うのです。

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コメント (12)
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