万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

矛盾に陥る美人コンテスト

2008年07月20日 16時51分04秒 | 社会
サイズじゃないのよ女は 80キロ、ミスコン入賞(朝日新聞) - goo ニュース
 現代という時代にあって、美人コンテストほど、難しいコンテストはありません。何故ならば、美の普遍性と美意識の多様性という、本来、相矛盾する目的を同時に追及しているのですから。 

 もし、美に関する絶対的な基準があれば、美人コンテストは、かくも難しくはなかったことでしょう。人間には、視覚を通して美しいと感じる比率があり、それは、しばしば黄金律や白銀律によって説明されてきました。しかしながら、様々なパーツから構成されている人間に対して、単純にこれらの構成比を適用することはできそうにもありません(縦横の比率を逆にすれば、痩せた人も太った人も美の基準に当てはまる?)。

 しかも、美の基準は、時代によって変化してきましたし、美意識に個人差があることも周知の事実です。そうして、現代では、美の多様性が尊重されており、むしろ、美の標準化が忌避されている傾向すら見られるのです。

 こうした時代状況を考えますと、もし、美人コンテストが、美の多様性を尊重するならば、もはや、開催する積極的な意義は見出せそうにありません。そうして、普遍性の名の下に、主催者側が、多様な美意識に対して一方的に順位を付けるとしますと、その時代に生きる人々に、新たな美の基準を押し付けてしまう可能性すらあるのです。どうやら、現代の美人コンテストは、解きがたい矛盾を抱えているように思えるのです。

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