秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷冬点描  暮らしの冬風景

2011年12月02日 | Weblog
旅にくれ一遍上人孤独なり念仏行脚たびに果つれり

冬の日に雪ふる前の山さとは冬耕の鍬さゆる音さみし

山かげの今井のさとにすむ友の絵手紙とどきて息災を知り



寂莫と上人像に十二月 (寶厳寺にて室町中期作国重文の一遍上人立像を拝観して)

冬日射す刹那を追ひて我を見し

震災の年や過ぎぬる十二月

縁側に老女の三こと暮早し

冬点描 松山にて

先日の寶厳寺訪問では時間的なこともあり、上人立像の拝観が叶わなかったため
寺務所に予約して帰り、12月1日に拝観に訪れた。
相変わらず、どんよりとした冬空に、時おり薄日がサッと境内を射す、その様は
我がこころに宿る邪悪な心を抉り出して、すべてを棄てろと云わんばかりであった
一遍上人について、詳しくは存じあげてないが、我が心に響いて来る教えのようで
今後深く教えを学んでいきたい高僧であると思っている、見透かされたようで
萎縮もし、緊張した。

ちょうど境内に30歳前後の女性が静かに説明文を見ていた、観光のひとのようだ
躊躇したが、上人立像を拝観できる旨を話して一緒にどうですかと声を掛けると
ちょっと驚いた様子ながら、小さいが透き通った弾んだ声が返ってきて
「よろしいのですか、ほんとに、ありがとうございます、うれしいです」

寺務所の呼び鈴を押すと、住職の奥さんが出てきて本堂に回るように案内された


靴を脱ぎ、木の階段をあがる、年輪が浮き出て厚い板が持つドッシリとした
安定感、本堂の扉の前に立つと静かに扉は開き
住職の奥さんに中に入るよう促される。


目に飛び込んで来たのは、中央に金色の阿弥陀如来像、思わず頭を下げた
そして阿弥陀如来に向かって右に奥まって、一遍上人立像が簡素な厨子に安置されてあった
ロウソクと線香を供えている間、ボーと突っ立っていたが、
「どうぞ、近くに来て拝観していいですよ」と促されて、息のかかるくらい近くから
拝観する、思わず手を合わせて拝む。

上人の鋭い眼光に射竦められる、正視できないきびしいお顔だった
年月で黒く煤けてはいるが、立像は一mあまり、太く秀でた眉、意思の強さを
示す口元、慎ましい合掌、裾短い法衣からあらわれた素足、崇高なお姿に拝して
思わず一二歩後ずさりして、南無阿弥陀仏とお祈りをした。

隣の女性も同じ思いであったのであろう、ふっとため息を折らして後ずさりされ
祈られておられた。

凛とした空気、寂莫として厳しい空間のみがあたりを包む、一時の出来事に
すべての存在を忘れる想いであった

拝して辞する前に奥さんから、上人様について色々と説明があり、想いを
深くした、奥さんは御住職の書かれた「南無阿弥陀仏」の札をくださった

奥さんに深くお礼の挨拶をして本堂を辞して境内に下りる、女性はやはり
東京から来た観光のひとであった、話しでは仏寺や仏教の展覧を見るのが
好きらしくて、先だってあった空海の展覧、今開催している法然と親鸞の
展覧を見たと云って、
「今日はお声を掛けていただいて、ほんとに有難く思います、偶然にも
ご褒美をもらい、この旅の深い思い出になりました」と
自分は道後を楽しんでくださいと挨拶して寶厳寺をあとにしたものである。








テラオ兄さんの絵手紙 今井から猪ノ丸山の朝焼け












テラオ兄さん携帯写真 冬の風景

















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