前略・祖谷の山々は春爛漫。
世界中の出来事を、忘れてしまうくらい、休日の非日常を楽しんでおります。
休日を楽しみに待つだけの社会人には成りたくない!
がポリシーだったわたくしの、情けない現実の流れ。
そんな、休日のある日。毎年の葉わさびの季節。
葉わさびをこよなく愛するご夫婦がおります。
我が家の水元には、葉わさびが少々自生しております。
その葉わさびを、毎年そのご夫婦に、おすそ分けしておりました。
そして、そのお礼にと、毎年祖谷の番茶と、ジャガイモを下さります。
少々の葉わさびに対し、貴重な祖谷の番茶と、ジャガイモを頂きます。
遠慮しないのが、わたくしの長所?
喜んで頂いて、食っておりました。
……そして、今年のわらしべ長者みたいな進展!
私は、日中はほとんど、町に出稼ぎにでておりまして、留守でございます。
帰宅すると、自宅のポストには、郵便物以外に、様々なものが入っております。
友人の作ってくれた、夕ご飯とか、近所の方が作ってくれた赤飯とか、そして、
ポストに入りきらない野菜や果物は、車庫や玄関先のドアにかけて下さっています。
最近では、野菜の入れ方や袋の種類で、誰が下さったのか、判るようになりました。
で、休日。
葉わさびを取り、いつも近所の会社に停めてある、そのご主人の車の助手席に置きました。
で、いつもは黙って乗せて置くのに、その日だけ何気なく奥様に、メールしました。
「助手席に乗せました。食べて下さいねー。」
数分して、奥様から慌てて電話がかかりました。
「車、ウチのもう、それに乗ってないんよー!」
早い話が、いつもご主人が使用していた会社の車に、別の方が乗っているとのことでありました。
なんてこっちゃ!直ちに回収しなくては、ならない!
葉わさびを、取り返さなければ、ならない!
その車に乗っている男子と、ようやく電話が繋がり、斯く斯く然々。
男子は我が家にわざわざ、届けて下さいました。
男子と呼ぶのは、正しい年齢を知らないからで、ございます。
道で会って挨拶して、おはようー良い天気じゃなあーとは言いますが、
おはようー、何歳になったん?とは、いきなりは、誰も言わないと思います。
で、私は別の知人に時々、買い物を頼まれます。で、そのお礼にと、文旦を頂いておりました。
その文旦2個と、娘達が置いて帰ってお菓子を2つ袋にいれて、男子に渡しました。
「ごめんよ、失礼なことして。頂きものだけど、食べて下さい」
「ええわろー、こんなにもろたら、気の毒なわろー」と男子は貴重な祖谷弁で遠慮しておりました。
「ううん。ほんまに気持ちだけじゃよー、ごめんよー」
「こんなに、してもろたら、わしが一番得したみたいで、悪いわ」
と言われましたが、無理に受け取って頂きました。
で、あくる日。
昨日の男子から連絡がありました。
「椎茸、食べるかえ?」
「食べる!食べる!椎茸大好き」
「ほんなら、ドアに吊っとくわろ。昨日は、ありがとうございました」
「こちらこそ、ごめんよ。ありがとう!頂きます」
で、考えた。 誰が?一番?得をしたのだろう。
答えは歴然としている。
わ・た・く・し
この流れで行くと、ご夫婦から番茶とジャガイモが届き?
大好きな分厚い椎茸を食べ、手元には文旦もまだまだ、残っている。
我が家には今、
頂きものの食パン2つと、ほうれん草と、大根と、白菜とジャガイモとお餅と、
はっさくと、クッキーと、海苔と、素麺と、手作りのお味噌と梅干しと、平飼い玉子がある。
全て頂きものだ。当分は栄養失調にはならないと思う。有難い。
祖谷の一時代を築いた方々が、次から次へと天に召されている。
桜の古木は、見事な花を付ける。枝は無作為に広がり、その枝も更に伸びて行き、
その先からたわわに幾つもの花を付け、青空を覆う勢いで、咲き乱れる。見えない放物線に、描かれる花の舞。
人間の晩年の姿に似ている。
花は出逢えた方の数。花は重ねた時間の数。花は笑った数。花は泣いた数。花は愛した時間の数。
こんな時代だから、
自然に心が、真っ直ぐに向かっていく。
散る為に咲く。咲く為に散る。
散る時は。逝く時は、サラリと散る。サラリと死ぬ。
記憶のままに咲く花。咲くために理由など、存在しない。意味を問わず、
無駄に迷うことなく、この綱渡りみたいな日々を生きていこう。
見えないものの中に存在する、自分だけの花を探す為に。頑張ろう。みんな。
草草
追伸
我が家の水元は、友人の土地でございます。
世界中の出来事を、忘れてしまうくらい、休日の非日常を楽しんでおります。
休日を楽しみに待つだけの社会人には成りたくない!
がポリシーだったわたくしの、情けない現実の流れ。
そんな、休日のある日。毎年の葉わさびの季節。
葉わさびをこよなく愛するご夫婦がおります。
我が家の水元には、葉わさびが少々自生しております。
その葉わさびを、毎年そのご夫婦に、おすそ分けしておりました。
そして、そのお礼にと、毎年祖谷の番茶と、ジャガイモを下さります。
少々の葉わさびに対し、貴重な祖谷の番茶と、ジャガイモを頂きます。
遠慮しないのが、わたくしの長所?
喜んで頂いて、食っておりました。
……そして、今年のわらしべ長者みたいな進展!
私は、日中はほとんど、町に出稼ぎにでておりまして、留守でございます。
帰宅すると、自宅のポストには、郵便物以外に、様々なものが入っております。
友人の作ってくれた、夕ご飯とか、近所の方が作ってくれた赤飯とか、そして、
ポストに入りきらない野菜や果物は、車庫や玄関先のドアにかけて下さっています。
最近では、野菜の入れ方や袋の種類で、誰が下さったのか、判るようになりました。
で、休日。
葉わさびを取り、いつも近所の会社に停めてある、そのご主人の車の助手席に置きました。
で、いつもは黙って乗せて置くのに、その日だけ何気なく奥様に、メールしました。
「助手席に乗せました。食べて下さいねー。」
数分して、奥様から慌てて電話がかかりました。
「車、ウチのもう、それに乗ってないんよー!」
早い話が、いつもご主人が使用していた会社の車に、別の方が乗っているとのことでありました。
なんてこっちゃ!直ちに回収しなくては、ならない!
葉わさびを、取り返さなければ、ならない!
その車に乗っている男子と、ようやく電話が繋がり、斯く斯く然々。
男子は我が家にわざわざ、届けて下さいました。
男子と呼ぶのは、正しい年齢を知らないからで、ございます。
道で会って挨拶して、おはようー良い天気じゃなあーとは言いますが、
おはようー、何歳になったん?とは、いきなりは、誰も言わないと思います。
で、私は別の知人に時々、買い物を頼まれます。で、そのお礼にと、文旦を頂いておりました。
その文旦2個と、娘達が置いて帰ってお菓子を2つ袋にいれて、男子に渡しました。
「ごめんよ、失礼なことして。頂きものだけど、食べて下さい」
「ええわろー、こんなにもろたら、気の毒なわろー」と男子は貴重な祖谷弁で遠慮しておりました。
「ううん。ほんまに気持ちだけじゃよー、ごめんよー」
「こんなに、してもろたら、わしが一番得したみたいで、悪いわ」
と言われましたが、無理に受け取って頂きました。
で、あくる日。
昨日の男子から連絡がありました。
「椎茸、食べるかえ?」
「食べる!食べる!椎茸大好き」
「ほんなら、ドアに吊っとくわろ。昨日は、ありがとうございました」
「こちらこそ、ごめんよ。ありがとう!頂きます」
で、考えた。 誰が?一番?得をしたのだろう。
答えは歴然としている。
わ・た・く・し
この流れで行くと、ご夫婦から番茶とジャガイモが届き?
大好きな分厚い椎茸を食べ、手元には文旦もまだまだ、残っている。
我が家には今、
頂きものの食パン2つと、ほうれん草と、大根と、白菜とジャガイモとお餅と、
はっさくと、クッキーと、海苔と、素麺と、手作りのお味噌と梅干しと、平飼い玉子がある。
全て頂きものだ。当分は栄養失調にはならないと思う。有難い。
祖谷の一時代を築いた方々が、次から次へと天に召されている。
桜の古木は、見事な花を付ける。枝は無作為に広がり、その枝も更に伸びて行き、
その先からたわわに幾つもの花を付け、青空を覆う勢いで、咲き乱れる。見えない放物線に、描かれる花の舞。
人間の晩年の姿に似ている。
花は出逢えた方の数。花は重ねた時間の数。花は笑った数。花は泣いた数。花は愛した時間の数。
こんな時代だから、
自然に心が、真っ直ぐに向かっていく。
散る為に咲く。咲く為に散る。
散る時は。逝く時は、サラリと散る。サラリと死ぬ。
記憶のままに咲く花。咲くために理由など、存在しない。意味を問わず、
無駄に迷うことなく、この綱渡りみたいな日々を生きていこう。
見えないものの中に存在する、自分だけの花を探す為に。頑張ろう。みんな。
草草
追伸
我が家の水元は、友人の土地でございます。