秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(春爛漫。わらしべ長者物語)

2021年03月28日 | Weblog
前略・祖谷の山々は春爛漫。
世界中の出来事を、忘れてしまうくらい、休日の非日常を楽しんでおります。
休日を楽しみに待つだけの社会人には成りたくない!
がポリシーだったわたくしの、情けない現実の流れ。

そんな、休日のある日。毎年の葉わさびの季節。 
葉わさびをこよなく愛するご夫婦がおります。
我が家の水元には、葉わさびが少々自生しております。
その葉わさびを、毎年そのご夫婦に、おすそ分けしておりました。

そして、そのお礼にと、毎年祖谷の番茶と、ジャガイモを下さります。
少々の葉わさびに対し、貴重な祖谷の番茶と、ジャガイモを頂きます。
遠慮しないのが、わたくしの長所?
喜んで頂いて、食っておりました。
……そして、今年のわらしべ長者みたいな進展!

私は、日中はほとんど、町に出稼ぎにでておりまして、留守でございます。
帰宅すると、自宅のポストには、郵便物以外に、様々なものが入っております。
友人の作ってくれた、夕ご飯とか、近所の方が作ってくれた赤飯とか、そして、
ポストに入りきらない野菜や果物は、車庫や玄関先のドアにかけて下さっています。
最近では、野菜の入れ方や袋の種類で、誰が下さったのか、判るようになりました。

で、休日。
葉わさびを取り、いつも近所の会社に停めてある、そのご主人の車の助手席に置きました。
で、いつもは黙って乗せて置くのに、その日だけ何気なく奥様に、メールしました。
「助手席に乗せました。食べて下さいねー。」
数分して、奥様から慌てて電話がかかりました。
「車、ウチのもう、それに乗ってないんよー!」

早い話が、いつもご主人が使用していた会社の車に、別の方が乗っているとのことでありました。
なんてこっちゃ!直ちに回収しなくては、ならない!
葉わさびを、取り返さなければ、ならない!
その車に乗っている男子と、ようやく電話が繋がり、斯く斯く然々。

男子は我が家にわざわざ、届けて下さいました。
男子と呼ぶのは、正しい年齢を知らないからで、ございます。
道で会って挨拶して、おはようー良い天気じゃなあーとは言いますが、
おはようー、何歳になったん?とは、いきなりは、誰も言わないと思います。

で、私は別の知人に時々、買い物を頼まれます。で、そのお礼にと、文旦を頂いておりました。
その文旦2個と、娘達が置いて帰ってお菓子を2つ袋にいれて、男子に渡しました。
「ごめんよ、失礼なことして。頂きものだけど、食べて下さい」
「ええわろー、こんなにもろたら、気の毒なわろー」と男子は貴重な祖谷弁で遠慮しておりました。
「ううん。ほんまに気持ちだけじゃよー、ごめんよー」
「こんなに、してもろたら、わしが一番得したみたいで、悪いわ」
と言われましたが、無理に受け取って頂きました。

で、あくる日。
昨日の男子から連絡がありました。
「椎茸、食べるかえ?」
「食べる!食べる!椎茸大好き」
「ほんなら、ドアに吊っとくわろ。昨日は、ありがとうございました」
「こちらこそ、ごめんよ。ありがとう!頂きます」

で、考えた。 誰が?一番?得をしたのだろう。
答えは歴然としている。

わ・た・く・し
この流れで行くと、ご夫婦から番茶とジャガイモが届き?
大好きな分厚い椎茸を食べ、手元には文旦もまだまだ、残っている。
我が家には今、
頂きものの食パン2つと、ほうれん草と、大根と、白菜とジャガイモとお餅と、
はっさくと、クッキーと、海苔と、素麺と、手作りのお味噌と梅干しと、平飼い玉子がある。
全て頂きものだ。当分は栄養失調にはならないと思う。有難い。
 
祖谷の一時代を築いた方々が、次から次へと天に召されている。
桜の古木は、見事な花を付ける。枝は無作為に広がり、その枝も更に伸びて行き、
その先からたわわに幾つもの花を付け、青空を覆う勢いで、咲き乱れる。見えない放物線に、描かれる花の舞。
人間の晩年の姿に似ている。
花は出逢えた方の数。花は重ねた時間の数。花は笑った数。花は泣いた数。花は愛した時間の数。

こんな時代だから、
自然に心が、真っ直ぐに向かっていく。
散る為に咲く。咲く為に散る。
散る時は。逝く時は、サラリと散る。サラリと死ぬ。
記憶のままに咲く花。咲くために理由など、存在しない。意味を問わず、
無駄に迷うことなく、この綱渡りみたいな日々を生きていこう。
見えないものの中に存在する、自分だけの花を探す為に。頑張ろう。みんな。

          草草

追伸
我が家の水元は、友人の土地でございます。


































































































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