取締役に関する考え方、その注意点を書きます。
あくまで、ひとつの考え方です!
ご参考までに。
*役割のちがい:街の個人商店と、大会社とでは、「取締役」の役割が全く違います。「機関」かそうでないかという点で。
街の個人商店は、取締役会非設置会社であります。
取締役会非設置会社:独任性の「機関」
取締役会設置会社:業務執行の意思決定機関である取締役会の構成員にすぎない。取締役自体は、会社の「機関」ではない。
*取締役を何人置くか:取締役会非設置会社 一人にすべし
会社法上の規定では、
取締役会設置会社:3人以上(会社法331条4項「取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。」)
取締役会非設置会社:一人でも可(会社法331条4項の反対解釈及び326条1項)
よって、取締役会非設置会社では、重い責任を負う人は、一人で良いのかもしれません。
万が一、会社が倒れたときに、取締役へのきつい責任追及がありえます。
*取締役 選任の方法:「累積投票」で選ぶべし(少数派から取締役を出すことができる投票制度)
株主総会で選任されます。(会社法329条1項)
それは、普通決議によります。(309条1項。ただし、341条に注意)
多くの会社は、「累積投票」(会社法342条)を排除しています(定款で排除規定を置くことが可能ゆえ)が、この「累積投票」を可能にしておくと、少数派から取締役を出すことを可能にすることができます。
「累積投票」とは、例えば、三人選ぶ場合、一議決権に三票をもたすやりかたです。三人の枠のひとりひとりを各枠全て多数決にすると、多数派の通りの専任になります。
少数派が、その三票をひとりに集中すれば、選任可能なはず。
****会社法342条*****
(累積投票による取締役の選任)
第三百四十二条 株主総会の目的である事項が二人以上の取締役の選任である場合には、株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
3 第三百八条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、取締役の選任の決議については、株主は、その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
4 前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
5 前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
6 前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された取締役の解任の決議については、適用しない。
*取締役 解任
株主総会の決議によって解任可能(339条、341条)
解任の理由に制限はありません。理由のない解任も可能ということです。
ただし、339条2項で、「正当な理由」なくして解任した場合、会社は、損害賠償を支払う必要が生じます。
ちなみに、「正当な理由」とは、
○背信行為が有った
○無為無能である
○違法行為
○故意の信任義務違反
○任務懈怠
○はなはだしい不適任
○取締役の地位そのものと相容れない作為・不作為がある
経営に失敗したことが、「正当な理由」となるかは、争いの有るところ。これを許すと、危ない橋を渡らなくなる。ただ、認めないとよい経営をしようとするサンクションにならない。
****会社法339条****
(解任)
第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
*取締役 解任の訴えは、854条で可能
株主総会で解任できなくとも、裁判で解任することも可能。
*****会社法854条、855条*****
(株式会社の役員の解任の訴え)
第八百五十四条 役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
2 公開会社でない株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3 第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
4 第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
(被告)
第八百五十五条 前条第一項の訴え(次条及び第九百三十七条第一項第一号ヌにおいて「株式会社の役員の解任の訴え」という。)については、当該株式会社及び前条第一項の役員を被告とする。
あくまで、ひとつの考え方です!
ご参考までに。
*役割のちがい:街の個人商店と、大会社とでは、「取締役」の役割が全く違います。「機関」かそうでないかという点で。
街の個人商店は、取締役会非設置会社であります。
取締役会非設置会社:独任性の「機関」
取締役会設置会社:業務執行の意思決定機関である取締役会の構成員にすぎない。取締役自体は、会社の「機関」ではない。
*取締役を何人置くか:取締役会非設置会社 一人にすべし
会社法上の規定では、
取締役会設置会社:3人以上(会社法331条4項「取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。」)
取締役会非設置会社:一人でも可(会社法331条4項の反対解釈及び326条1項)
よって、取締役会非設置会社では、重い責任を負う人は、一人で良いのかもしれません。
万が一、会社が倒れたときに、取締役へのきつい責任追及がありえます。
*取締役 選任の方法:「累積投票」で選ぶべし(少数派から取締役を出すことができる投票制度)
株主総会で選任されます。(会社法329条1項)
それは、普通決議によります。(309条1項。ただし、341条に注意)
多くの会社は、「累積投票」(会社法342条)を排除しています(定款で排除規定を置くことが可能ゆえ)が、この「累積投票」を可能にしておくと、少数派から取締役を出すことを可能にすることができます。
「累積投票」とは、例えば、三人選ぶ場合、一議決権に三票をもたすやりかたです。三人の枠のひとりひとりを各枠全て多数決にすると、多数派の通りの専任になります。
少数派が、その三票をひとりに集中すれば、選任可能なはず。
****会社法342条*****
(累積投票による取締役の選任)
第三百四十二条 株主総会の目的である事項が二人以上の取締役の選任である場合には、株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
3 第三百八条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、取締役の選任の決議については、株主は、その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
4 前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
5 前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
6 前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された取締役の解任の決議については、適用しない。
*取締役 解任
株主総会の決議によって解任可能(339条、341条)
解任の理由に制限はありません。理由のない解任も可能ということです。
ただし、339条2項で、「正当な理由」なくして解任した場合、会社は、損害賠償を支払う必要が生じます。
ちなみに、「正当な理由」とは、
○背信行為が有った
○無為無能である
○違法行為
○故意の信任義務違反
○任務懈怠
○はなはだしい不適任
○取締役の地位そのものと相容れない作為・不作為がある
経営に失敗したことが、「正当な理由」となるかは、争いの有るところ。これを許すと、危ない橋を渡らなくなる。ただ、認めないとよい経営をしようとするサンクションにならない。
****会社法339条****
(解任)
第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
*取締役 解任の訴えは、854条で可能
株主総会で解任できなくとも、裁判で解任することも可能。
*****会社法854条、855条*****
(株式会社の役員の解任の訴え)
第八百五十四条 役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
2 公開会社でない株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3 第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
4 第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
(被告)
第八百五十五条 前条第一項の訴え(次条及び第九百三十七条第一項第一号ヌにおいて「株式会社の役員の解任の訴え」という。)については、当該株式会社及び前条第一項の役員を被告とする。
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