花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

【野田総理は言葉を玩んではならない】

2012年01月09日 11時54分58秒 | ちょっと気になること
野田総理にたいして、総理就任直後にマスコミは、毎朝の船橋駅前での演説が素晴らしかった、演説の名手と好意的な評価をしていました。 総理就任してから日がたつにつれて、ドジョウが泥の中に入り込んでいるように、なかなか演説で本領を発揮してくれないと批判しています。  野田総理の発言を総理官邸のホームページで見てみると、実にすばらしい言葉が頻繁に使われています。 「先人の遺訓・名言」を演説の中に多用するのが野田流なのでしょうか。


まず、すっかり有名になった「正心誠意」を使った10月28日の国会所信表明です。「正心誠意」に加えて、「命の限り」という重々しい言葉を使っています。


「第197回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説(平成23年10月28日)」

『私は、日々懸命に土を耕し、汗と泥にまみれながら、国民の皆様が大きな「希望の花」を咲かせることができるよう、正心誠意、命の限りを尽くして、この国難を克服する具体策を実行に移す覚悟です。』


次に、平成24年の年頭所感では、「何もしないリスクを恐れる」と、大上段に振りかざしています。

「野田総理平成24年年頭所感」

『何かに挑戦することによるリスク」を恐れるより、「何もしないことのリスク」を恐れなければなりません。山積する課題に正面から取り組み、一つ一つ、成果を上げていく。これは、国難のただ中を生きる日本人が果たすべき歴史的使命でもあります。 この「日本再生」という使命を、国民の皆様と共に考え、挑み、そして、実現していきたい。』

さらに、年頭所感の質疑応答では英国ウインストン・チャーチル首相の「ネバー・ギブアップ」という言葉を引用して、消費税の引き上げを実現すると語っていますし、昨年には、社会保障と税の一体改革を「不退転の決意で」進めるなどども言っていました。

今国民が望んでいることは、
1、最高裁判所で違憲状態の指摘を受けている一票の格差是正と国会議員数の削減、
2、公務員人件費の削減と公務員の天下り禁止、
3、補助金の見直しによるムダの削減、特殊法人や各種法人等の統廃合、
4、年金制度の改革及並びに公務員共済年金の優遇策(3階建て部分)の撤廃、
などであり、消費税引き上げは、これ等の課題を実施していく中で、財源確保の方策の一つとして国民に訴えるべきものです。 

野田総理は、まず消費税の引き上げありきで、不退転などどいう言葉を使っていますが、しらじらしく聞こえます。言葉一つ一つは、すばらしいのですが、言葉の持つ重みが伝わってきません。「正心誠意、 命の限りを尽くして、 不退転の決意で」と言う割には、“総理の職、国会議員の身分”を賭す、命を張るという悲壮なまでの覚悟が全く伝わってきません。


年頭所感の「何もしないリスクを恐れる」という言葉から、私は、郷里鹿児島で子供のころによく言っていた言葉を思い出しました。
それは、男の子供が、「高いところから低いところに飛び降りる遊び」をしている時の掛け声です。立ち位置と飛ぶ先では、段差と距離があり、かなりの勇気が必要です。

「泣こかい 飛ぼかい 泣くよっか ひっ飛べ!!!」≪大きな声で叫びます≫

“難しい事を前にして、できないと泣くよりも、飛べ(実行せよ)”という意味です。この「ひっ飛べ」という大きな掛け声とともに、思い切って飛ばなければなりません。思い切りがよければ成功しますが、少しでも逡巡すると、失敗してケガをすることもありました。 この精神は今でも鹿児島で男の子に引き継がれていると思います。

野田総理は、鹿児島の精神を思い出させる「なにもしないリスクを恐れる」という言葉をどのように理解して使ったのでしょうか。  国家の課題の優先実施順位を履き違えずに、そして、実施に当たっては逡巡してはいけないのです。「不退転」、「命の限り」という言葉の重みを噛みしめるべきです。


先人の遺訓好きな野田総理に進呈したい言葉があります。

<島津日新公:いろは歌>

『い』 いにしへの道を聞きても唱へても わが行に せずばかひなし
    ⇒昔の賢者の立派な教えや学問も口に唱えるだけでは、役に立たない。
     実践、実行することがもっとも大事である。

『も』 もろもろの国やところの政道は 人にまづよく 教へならはせ
    ⇒治める国や村の掟は、まず民に良く教えさとした上で政治を行え。



(2012年1月8日 花熟里)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする