花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「原子力事故収束の工程表は、国民の生命を守るという国家責務の表現のハズ!」

2011年04月19日 10時16分45秒 | ちょっと気になること
    
東日本大震災及び福島原発事故の関連で4月18日時点で、いまだに行方不明者は1万

3千人を超え、避難されている方は、13万6千8百人に上ります。震災発生から既に

一カ月を過ぎているにも関わらず、このように多くの行方不明者、避難者がいること

に、事態の深刻さを、いまさらながら痛感しています。


政府の姿勢は将来の復興のビジョン作成に重点を移しつつありますが、未だに生活必

需品が行き渡っていない避難所があることが報道されるのを見ると、一体政府の支援

体制はどうなっているのかと憤りを覚えます。避難している方々にとっては、今、生

きて行けるか否かの切実な問題なのです。


去る17日に東京電力が、福島原発事故収束に向けての工程表を発表しました。菅総理

からの強い指示で東京電力が作成したもので、総理は一定の前進と評価していると報じら

れています。

事故収束に向けて工程表を作成し、国民に知らせることは当然だと思いますが、国が

発表するのではなく、事業者である東京電力に発表させたところに、政府の責任逃れ

を感じます。


18日の新聞記事では、内閣府の原子力安全委員会の斑目委員長が「工程表には相当のバリ

アーがあり、実施には困難が伴う。工程表の精査は出来ていないが、スケジュールありき

で、安全がおろそかになることは避けてほしい」と発言しています。 責任ある政府の原

子力安全対策の責任者の言葉とも思えない、全く他人任せの態度です。


エネルギー政策、中でも、原子力は国家戦略として進められてきました。即ち、国の方

針・指導に従って、東京電力は原子力発電所の設計、建設、運転を忠実に実行してきまし

た。これからすると、福島原発事故収束の工程表は、事業者である東京電力が作成したも

のに国が検討を加えた上で、政府として国民に公表すべきものと思われます。

いずれにしても、東京電力に公表させたということは、この工程表の進捗責任は政府では

なく、東京電力が負うものである、と姑息にも宣言しています。政府が国民の生命を保護

する最終責任を放棄しているのです。



さて、福島原発事故対応では、事業者である東京電力と政府との意思疎通の悪さが目     

立ちました。重要な事象説明の記者会見も別個に開いています。 経過を説明するも   

のであれば、別個の記者会見でもよいのでしょうが、重大な影響を及ぼす恐れのある

事象等の場合は、双方で統一した見解を合同で公表すべきと思います。
        

例えば、最も重要な炉心の損傷について、東電は6日の記者会見で、福島第一の1号

機は燃料集合体の「70%」、2号機は「30%」、3号機は「25%」が損傷と推定

していると公表していますが、保安院は1~3号機いずれも「3%以上」の損傷とを

しており、原子力安全委員会も東電の試算結果に疑問を示していました。 18日になって

保安院がやっと「1~3号機で燃料が溶融している」ことを認め、原子力安全委員会に報

告したと報じられています。  なにをいまさらと思ってしまいます。

炉心の損傷・溶融の度合いにより対策の優先順位が異なってくるのではないか、地元の住

民の放射性物質の汚染の影響も違うのではないかと、素人ながら思いますが、政府は国民

の生命を守ることなど二の次に考えているようです。



原子力安全・保安院は、そのHPによると原子力発電所に駐在員を置いて、安全指導

を行っている体制になっているようです。福島第1原子力発電所には7名が駐在して

いることになっています。 したがって、国としての情報は、この駐在員から保安院、

そして官邸と流れると思われますが、このルートは機能していたのでしょうか? 東

電の現場担当者から情報を入手した現場情報ですので、貴重だったと思われます。

少なくとも、発電所の現場レベルでは東電と保安院駐在員とで情報が共有されてい   

たと考えるべきでしょうが、その後の各々のルートで情報に食い違いが出てきたのか、

または、現場レベルで既に情報の共有が出来ていなかったのでしょうか。


3月23日の読売新聞によれば、保安院の福島原発の駐在員が事故発生後の15日に福

島市内県庁内に移動、22日に2人が原発内の施設に戻ったと報じられています。

原発内で作業員が命がけで作業をしているときに、指導をすべき保安院職員が現場にいな

いなというのは理解できません。 しかも、7名の内2人しか現場に復帰していないの

です。「自ら現場情報を入手する」と言う基本姿勢に欠けているとしか言いようがありま

せん。    

  
また、菅総理の指示で、官邸邸と東電とが情報を共有するために統合対策本部が東電

内に設置され、官邸から総理補佐官が詰めていたと報じられています。この統合本部

がありながら、情報に共有が出来ていないのはなぜでしょうか?
  


政府内部でも、官房長官と内閣府の原子力安全委員会、経済産業省の原子力安全・保

安院が別個に記者会見しています。  政府内の組織が連携もとらずに、ばらばらに

記者発表するなど、情報管理が全くできていないと思います。

去る12日に原子力安全・保安院と原子力安全委員会が事故後初めて合同で記者会見

を開き、「事故レベルを7」に引き上げると公表しました。


3月11日 福島第一原発事故発生

3月12日 原子力安全・保安院が「レベル4」と暫定評価

3月12日 東京電力は「事故の様相が違うとはいえ、放出量という観点からすると、  
     チェルノブイリに匹敵するか超える様な事象になる」と認識,

3月18日 原子力安全・保安院が「レベル5」と暫定評価 

4月12日    〃      「レベル7」 〃


原子力安全委員会は、独自の試算結果から3月23日頃には「レベル7」に相当する可

能性を認識していたこと、さらに、再試算結果から4月5日頃には「レベル7」が確実

と認識していたが、保安院へは伝えなかったと新聞等で報じられています。 政府内の2

つの原子力に関する専門機関が連携せずに独自の手法で試算した結果を発表すると言う誠

にお粗末な事態になりました。外国から見たら、ガバナンスがゼロの政府に見えたと思い

ます。政治家のリーダーシップはどこに行ってしまったのでしょうか。

政府内では、3月15日~17日の段階で既にレベル7に相当する放射性物質は放出され

ていたことを認識していたとの報道もなされており、そうであるならば、政府は国

民の生命を脅かす重要な情報を国民に隠していたということになります。 政府は一

貫して放射能レベルは「健康に影響はない」と言ってきましたが、福島原発周辺の住

民は「公表よりも格段に高いレベルの放射性物質による汚染」をしてしまったことに

なります。  


菅総理、枝野長官は「この、しなくてもいいはずの汚染」をした住民の方々にどのように

説明するのでしょうか?

  

(2011年4月19日 ☆きらきら星☆)

  


コメント
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