ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

鰹節(4)

2009-01-21 | 発酵
4度のカビ付けをした「本枯れ節」は
それまでの 食べなれた「かつお・ふし」と どう違うか?

それはもう、全然違う!

味と言おうか、香りと言おうか、
ともかく、こう、
まろやかで、ふくよかで、深みがあって。
 
匂いを鼻から吸い込むだけで
身体の中がキレイになっていくような、
えもいわれぬ、美味しい匂いがする。



鰹節は カビ付けすることで、
他の有害なカビの発生を抑えることができるらしい。

さらにそのカビが
鰹節に独特な香りをつける・・。

ということは、これは、カビの‘お陰’の匂いだ。





作者は『にぎやかな天地』の中で 
鰹節店の社長の言葉として、たしか二度ほど、
「若いお母さん」と言う言葉を使っている。

若いお母さん方が 子どもに「本物の味」を食べさせたくて
「だしの素」などではなく、
本物の鰹節、「本枯れ節」を買ってくださる、
と言う話だった。

「この仕事をやり続けてきた私には、
 ほんとに嬉しいことです。」(下巻 p57)



偉いな~、そのお母さん。

そして、そのためのお金を稼いでくれている人。

私も 出汁にはけっこうお金を使っているつもりだったが、
「かつお・ふし」だったし(涙)。

「本枯れ節」を使い続けるとなると、
やはり けっこうな出費になるはず。

おひたしや オニオンスライスならそうでもないが、
毎日の出汁となると、
ひと手間かかる。

私も引き出しのついた逆さまカンナの鰹節削りを買って
「本枯れ節」を削るかな。







以前使っていた鰹節削り器。 「オカカ」という名前(笑)。 
これだと、指を削る心配がないが、削りにくい時がある。
すごく便利なのだが、色だけはどうにかしてほしいと思っていた。
最近はもう少し進歩しているらしい(→オカカ7型






ところで、鰹節製造業、というか、
カツオという食材そのものが危機にある、
という事はご存知だろうか?

鰹節としては枕崎市が有名かと思うが、
その枕崎の鰹節の業者が 
今年は5、6軒も 営業を止めてしまった、
と言う記事を新聞で読んだのは もう一昨年の事になったろうか。

切り抜きもなく、ネットで調べても 
誰かが新聞に寄せたその文章は見つからないのだが
確かに 手間がかかってたいへんな仕事は全般、
現在の日本では冷遇されている。



だからこそ、若いお母さんたちに期待しなくてはならないのだが、
材料のカツオそのものが、減っているらしい。

原因は 日本食・健康食がブームで 
海外のカツオの需要が高まったためというから、
うらめしい。

2007年7月18日 読売新聞

品薄は 当然高値を呼ぶ。

美味しい鰹節を どっさりふりかけて
義さんの白菜漬けを食べたい私は、
やはり 削り節ではなくて、 
「ルビー色」の、
打ち合わせるとカンカンと高音の音がする鰹節を、
カシュカシュと削る方が安いかな、という気がする。



また、忙しい方々にも、
「だしパック」という簡便なものもあるのだから、
ぜひ 白い粉や顆粒状のものではなく、
ホンモノのお出汁をとることをお勧めしたい。

何故なら、
化学的に合成されたものの影響は
まだ(本当には)どうなるか わからないから。

科学はこれまで 
古来からの人間の智恵を裏付けることはしてきたが
姑息な手段の安全性を完璧に保障できるところまでは
発達しきっていないから。

古くからのやり方が間違っていた、ということは
‘食’に関しては
今までほとんどなかった、と思うから。



私はこれからも、大好きなカツオのお出汁の味噌汁を飲むつもり。

鰹節業者の方々も、頑張って!



                      完(笑)



9 コメント

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鰹節 ()
2009-01-21 14:54:24
オカカ、ほんまにねえ。どうしてこんな色にしたろうかと思うけんど、7型はおとなしい色になっちゅうねえ。
鰹節の本枯れカビ色のを昔はよく見ていたように思いますが、最近そんなんのは見ません。というか気にしてないのかもしれません。

カビを振りかけてない?ただ乾燥させただけのは真空パックしてよく売っています。
私は花かつお小さなパックのより大きな「かんなくず」みたいな花かつおが好きですが、これって袋を開けると日に日に味が落ちてどうしようもないですねえ。(酸化する?)ちなみに実家の我儘チビ猫はキャットフード以外に花かつおもねだるんですが、開封して日が経つたのや、残った粉のようなのは食べません。

確かに食の安全という点では、昔の方法で間違いはないように思いますよね。

醤油だって味噌だって完全手作り、添加物いっさいなしでもカビルこともなかったし、
漬物も塩や糠それに自然のものを入れて工夫しただけで適切な重しを利かせておけば味も狂わなかった。当座食べるのと梅雨を越すまで開けない樽では塩加減を違えていた。

書き出せばきりがないですねえ(笑)

私もこれから鰹節の表示気にしてみてみましょう。
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鰹節 ()
2009-01-21 21:58:03
鰹節のこと、とってもよく分かりました。
値段がお高い理由も。。。

>引き出しのついた逆さまカンナの鰹節削り
私、持っているのですよ、これ。
実家ではお味噌汁は大鍋で作るので煮干し出汁でしたが
鰹節はいつも祖母が削っていました。
お手伝い少しはしたかなぁ~。
私が持っているのは、祖母が使っていたのではなくて
たぶんストックとして買い置いていたもの。
倉庫を片付けた時に出てきたので、貰ってきたのですが、
鰹節が高くて手が出ず、綺麗なままです(苦
その時一緒に貰ってきた圧力鍋は、犬の餌作りに大活躍で、不肖の孫です、私(汗

化学調味料は、舌に気持ち悪くまとわり付くようで結婚した当初は全く受け付けられませんでした。
今は。。。粉末のは夫が買ってきます。
作って貰った時は、私も有難くイタダキマス(笑

ジョルジュさんの話題は、懐かしい記憶に繋がって、私も大事に生活しなくちゃなぁ~と思うのです。
四度カビ付けした鰹節、今度、探してみます。
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Unknown (ジョルジュ)
2009-01-21 22:32:24
風さん、オカカ、おすすめです!(笑)
オドロキです! チビちゃん、なんというグルメなネコなんでしょう!
味がわかるネコちゃんというわけですね!
実家の母は 手抜きが好きで お漬物もその他の保存食も どんどん作らなくなったので 
梅雨明けまで保存するかどうかで 
樽の塩加減を変えた、などということは全く記憶にないのです。
風さんの記憶を羨ましく思います。
昔ながらの「食」で 間違いはなかったのですよね。
塩だって 専売公社ができて 均質な塩化ナトリウムを買わされることがなかったら
どんなふうになっていたのか?と いつも想像します。

結さん、ホンモノの鰹節、ぜひ探してみてください。
ね!鰹節、高いわけですよね!?
でも好きだから、止められないのです。
おまけに、身体にいいのだったら、本枯れ節を使うっきゃないでしょう!(笑)
私が化学調味料を嫌うようになったのは 
実家の父が 昔 脳梗塞で倒れて入院した病院で
化学調味料を使わないようにと言われた、と姉から聞いてからなんです。
(ナトリウムが入っているから、減塩の妨げになる、という理由だったと思います。)
それ以来、親の敵(笑)で、恐ろしい毒薬と思ってきました。
そうして ケミカルなものを取り除いてみると、味が舌に触るというか、トゲトゲしい味になるというか、気持ちの悪い味が混じるというか。
舌に気持ち悪くまとわり付く、まったくその通りだと思います。
でも 私も 亭主が作ってくれるなら 異議は申しません(笑)。
そういえば 実家の味噌汁も 母の実家の味噌汁も 大鍋でどっさりと煮込んだものでした。
何日も温め返して 何日も同じものを飲んでいました。
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本枯れ (scops)
2009-01-23 11:52:09
昔って、決して食生活は貧しくなかったということがよくわかりますね。
今はおかずの種類は増えたけど、本当においしいものっていうんでしょうか、そういうものが少なくなってきたと思います。画一的になったというんでしょうか…。

本物?のおいしいものもありますけど、なかなか手が出ないものになってますよね。昔の人は、今じゃ手が出ないものを毎日食べてたわけですから、今よりある意味、豊かだったと思います。
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scopsさん、昔の人の生活の方が (ジョルジュ)
2009-01-23 12:16:21
ずっと豊かで 贅沢だった、と つくづく思うこの頃です。
キーワードは「本物」だと思います。
貧乏人には味わえないものになってしまいました。
ということは、
モノは大事に使う、
食べるものは手作りにする、
ここら辺が なんとか頑張れる贅沢かと思うのですが、
仕事で時間に余裕のない人には やはりムズカシイのが現状かと思います。
そして カナシイ事に、
国籍不明の「○○ふう」という食べ物の数々、これからも食べ続けたいと思う私なのです。
フレンチもイタリアンもエスニックもいいです!(笑)
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共感! (通りすがりの一年生)
2009-01-24 09:27:31
いきなりコメント失礼します!鰹節で検索したら出会ってしまいました。僕は高知県民です。高知にはカネヒコ森田とゆう美味しい鰹節があります。おっしゃる通りです。僕も子供ができて顆粒の出汁ではなく天然素材の鰹節で出汁をとるようにしてます。安全、安全、とゆわれる昨今そうした身近なとこから見なおしていくと食のクオリティーも高まり食育にもつながりますね!貴重なお話をきけてよかったです。また機会があれば高知の鰹節もご賞味くださいm(__)m
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通りすがりの一年生さま、 (ジョルジュ)
2009-01-24 13:57:11
いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
やっぱりあるんですね! 
高知県に美味しい鰹節のお店がないはずはない、と思っていました(笑)。
高知県産鰹節、探してみます(笑)。
毎日、ご飯と漬物とお味噌汁をいただきたいと思っています。
おかずがどうこう、と言う前に、出汁は毎日口に入れるものですから、
安心・安全、しかも美味しいものにしたいと思っています。
たとえおかずを一品少なくても、
毎日使う調味料にお金をかける生活を心がけているのです。
(できたらお肉をもう少し減らして お魚を増やしたいのですが、なかなかです。。。)
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読み終えました (きらら)
2009-01-28 18:27:28
偽装のこと、何故か我が夫が怒っていたのですが(関西人にとってダシは命?!文化?!)
私だって~と、(2)まで読んでいた鰹節の記事を今(4)まで読みとおしました。
長編を書き上げて、ジョルジュさん、おつかれさまでした。それだけ興味があって熱心に注目していたのですよね。
ああ、この報道にはビックリしています。
技術や伝統を大事に仕事をしていると思い込んでいるのがアホみたいで悲しいー。
けど、そうだったとしても、味をみやぶれる自信もないです。そこも悲しいかなー(;;
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命ですとも! 文化ですとも! (ジョルジュ)
2009-01-28 23:25:18
書きたいとずっと思っていた内容だったのです。
書き始めたら 書き終わんなくて・・・達成感、ありましたよ!(笑)
そうしたら、偽装事件でしょ。
タイムリー? いえいえ、ムカッとしました。
ご主人によろしくお伝えください!(笑)

私も熱々の時は化学調味料を見破れません(汗)。
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