大阪短期滞在。天気も悪いし、歩き疲れてひと休みしたのは、創業大正10年(1921)という大阪で現在最も歴史のある喫茶店「平岡珈琲店」。店は御堂筋から入ったビルが立ち並ぶ地域にある。最近まで知らなかったが、初代があの銀座の「カフェー・パウリスタ」でコーヒーとドーナツに魅了され、教えを乞うて誕生した店なのだとか。まだ御堂筋が出来る前の話だという。凄いナ。店に入ると主人とアルバイトの若い女性が1人。先客は1組。テーブルが4つほど並ぶこじんまりとした店内はカウンター席もあるようだが使っていない様子。内装は新しく造作されているので古さはあまり感じさせない。お願いしたのは「百年珈琲」と「百年ドーナツ」。物腰優しい主人が淹れてくれる。
こちらで焙煎もやっているというコーヒーが運ばれた。濃いめの色付きで苦味もしっかりとあるタイプ。グァテマラ産が主体なんだそうだ。たいていどこの店もスタンダードなメニューはバランスのとれた、言わば無難なブレンドが多いが、こちらはしっかりと特徴が出ている。ドーナツは表面が硬めの素朴なもの。開業以来変わらないという、つまりパウリスタ直伝のドーナツ。まだ温かく、旨い。甘さは少ないが、コーヒーの供としてピッタリ。外は雨がパラついてきたのでもう少しゆっくりしていようとは思うのだが、やっぱり長居出来ない性質(たち)。たっぷりの「百年珈琲」を飲み干したらすぐに勘定してもらった。次に機会があれば、シェイカーを使うという「冷製コーヒー」を是非飲んでみたいナ。(勘定は¥720)
↓ 店から1ブロックしか離れていない吊り庇のカッコイイ「清水猛商店」(大正13年・1923・建造◇)を再訪。表は重厚だが実は木造3階建て。とても綺麗に維持されているので古さを感じさせない。
↓ 北浜駅近くの「伏見ビル」(大正12年・1923・建造)◇。長田岩次郎設計で、当初は「澤田ビル」という名前だったそう。ホテルとして利用されたのだとか。なるほど飾り窓があったり角が丸くデザインされていたりと洒落ている。現在は商業ビルだそうなので中に入ってみればよかった…。国の登録有形文化財に指定されている。
↓ 「伏見ビル」のすぐ隣にある蔦の絡まった「青山ビル」(大正10年・1921・建造)◇。現在はオムライスで有名な「北極星」などがテナントで入っている。地下もあるのだそう。内部の見学には許可が要るようだ。圧巻の蔦は甲子園球場から株分けされたものだそう。こちらももちろん登録有形文化財に指定されている。凄い並びだ。
平岡珈琲店
大阪府大阪市中央区瓦町3-6-11
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