ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

蕎麦 伊とう @名古屋市中村区・大門

2016年08月16日 | 名古屋(中村区・西区)

久しぶりに名古屋駅の西、かつては中村遊郭として名を馳せた大門(おおもん)の近代建築を巡ってみた。修復されて「名古屋市都市景観重要建築物」にも指定され、今後間違いなく保存されていくと思っていた「長寿庵」(大正12年・1923・建造)の建物があっさりと壊されていて、面白くも何ともない住宅に建て替えられていたのを目撃して衝撃を受けながら、たどり着いたのは蕎麦屋「伊とう」。ここ大門は、他所からくるとかなりぶっ飛んだ場所で、この店も向かいこそショッピングセンターだが、隣はソー〇・ランドだ(笑)。

以前も何度か暖簾をくぐったが、いつも客が多くて見送っていた。この日も寄ってみたが少し並びがあるようす。でもこのままではいつまでもチャンスがないと、珍しく待ってみた。店員に名前を告げ、建物の外周りを見物。そう、この建物は大正時代の妓楼建築(屋号:「牛わか」)を改修して使ってあるので風情が素晴らしいのだ。ただし、よく見るとかなり手が入っていて、腰壁を含め、基本的な柱以外は全てやり替えてあり、枯れた色も塗料で塗装してあるところが多いようだ。

もう止めようかなァと感じるギリギリ15分くらい待って、やっと名前を呼ばれたので席に着く。席は入口近くのテーブル席で、待っている客と目が合う落ち着かない席だ。奥には風情ある庭の見える席もあるから、あちらだと満足度も上がるだろう。女性のグループ客が多く、店内は賑わしい(必然的に回転も悪い)。もう少し落ち着いた店だと思っていたが、店員全員で大声出して挨拶しちゃうような居酒屋っぽい接客で、ちょっと資本の香りがするかな。個人的にはこういう接客は苦手だ。最近多いけれど、みんなああいった接客が好きなのかな…。蕎麦は「二八そば」を注文。置かれたお茶と、蕎麦切りを揚げたものをつまみながら待つ。

少ししてから蕎麦が運ばれた。切りは細く、艶やか。つゆは辛汁で好み。つゆの量もしっかりある。手繰った蕎麦はコシが強く、やや硬いと感じるくらい。アシ(伸び)もあるにはあるが、二八で期待するようなしなやかさ、のど越しの良さはあまり感じられない。もう少し茹でると大きく印象が変わるような気がするが(もちろん責任は持てない)。とろみのある蕎麦湯をいただいて勘定をしてもらった。(勘定は¥860)

 


 

↓ 朱の壁(べんがら塗り)が目を引く「べんがら亭(旧・稲本楼)」(大正12年・1923・建造)。今はデイケアサービスの施設なのだとか。中華風の反りの強い屋根の門が珍しい。

 

↓ その向かいにある「松岡健遊館(旧・料理旅館 松岡)」(大正元年・1912・建造のち修復)。こちらもデイケアサービス施設として利用されている。

 

↓ 「伊とう」の西隣の建物(写真下左・建築詳細不明)。丸窓と明るい色のタイル壁が面白い。カフェーか何かだったんだろうか。他にも屋号の残ったそれらしい住宅が。

 

↓ 和風の建築に洋風の待合をくっつけた「旧・春福」と「旧・ツルノヤ」(大正12年・1923・建造)。壁にはローマ字で「TSURUNOYA」と描かれている。

 

↓ 現在は一般住宅となっているようだが、こちらも明らかに往時の名残りがある(建築詳細不明)。2階が大広間だったのだろう。

 

↓ 上記の「料理旅館・松岡」に分店(「松岡西店」)があったのが見て取れる看板。他にも名残りのある建築が一般住宅に化けて残っている。往時の賑わいは毎晩すごかったんだろうなァ。

 

 

 


 

蕎麦 伊とう

愛知県名古屋市中村区大門町13

 

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