ヴィンテージ・トラブル (4月5日 名古屋・ダイアモンド・ホール)
前回のライヴから1週間と置かずに、またライヴ(嬉)。今度は大注目のヴィンテージ・トラブル(Vintage Trouble)。会場は新栄のダイアモンド・ホール。ビルの5階にあり、キャパはそう大きくない(スタンディングで1,000名だそう)。入場者は階段に並ぶので、売れ行きの状況は会場入りするまで分からないが、中に入ってみると、うーん、ちょっと少なめ。自分も去年までは知らなかったので偉そうなことは言えないが、注目株でも洋楽はこの程度か…。ポスターとかフライヤーとか全然見なかったもんなァ(呼び屋はもっと努力しろっ)。開演までのBGMはマディ・ウォータース(Muddy Waters)やジミー・リード(Jimmy Reed)のブルースや、アイク&ティナ・ターナー(Ike & Tina Turner)などのR&B中心(ちなみに追い出しはレッド・ツェッペリン)。これで大体のテイストが分かるというもの。
この日は前座(サポート・アクト)があり、日本のバンド「Scoobie Do」が演奏。若く見えてキャリアは長いらしく、ヴィンテージ・トラブルの面々と以前の来日時に面識もちゃんとあるそう。このバンドの演奏がなかなか良かった。骨のあるファンキーなロックで、演奏も小気味良く、ヴォーカルもしっかり会場を盛り上げていた。音作りやステージ・スタイルのセンスも良く、ヴィンテージ・トラブルの前座にぴったり。
時計の針が8時半を指した頃、やっとメインのヴィンテージ・トラブルがタイトなスーツをビシッと決めて登場し、開演。いきなりギアをトップまで上げて、大丈夫かというくらいの高いテンション。桜の花を胸に飾ったタイ(Ty Taylor)のヴォーカルは、生で聴くとやはり凄い。狭いステージを駆け回り、アクションもド派手。JB(James Brown)とリトル・リチャード(Little Richard)を合わせた感じって言ったら言い過ぎだろうか。だがこのバンド、バックの3人が負けず劣らず良かった。3ピースなので持ち玉は多くないだろうに、タイトな演奏で、バンド・アンサンブルが素晴らしい。そして何よりファッションを含めた立ち姿がめちゃくちゃかっこいい。
MCの内容からも分かるがこのバンド、「音楽の力」を信じ切っていて、ピュア過ぎて眩しいくらい。今どき珍しい。でなきゃ歌詞知ってるかも分からず、誰も歌わないかもしれないのにマイクをオフにして観客にシンガロン(sing-along)させないよなァ、日本人に…(過去にうっかり日本人に歌わせて、盛り下げてしまったバンド数知れず)。もちろん盛り上げ方も上手いのだが、日本人が英語で上手く歌えないなんて、全く気にせず、強引に勢いで口を開かせてしまうのだからエライ。観客も多くないのに(フロアーで他の客と体が触れない…)客席の後ろまで全身汗だくで駆け回り、観客の中にダイヴしてサーフィンするんだから勇気ある。またそれをスーツでやるからかっこいいのだ(知らなかったが彼、なんと現在46歳!)。なんだか清々しい。
時にジミー・ペイジ(Jimmy Page)を思わせるようなギターを弾くナル・コルト(Nalle Colt)、クラシックな低いドラム配置でビシビシ決めるグッドルッキンなドラマー、リチャード·ダニエルソン(Richard Danielson)、ノッポで存在感ばっちり、このバンドの音が好きでしょうがないといった風情で微笑ましいベースのリック·バリオ·ディル(Rick Barrio Dill)、そして全身エネルギーの塊のようなタイ・テイラー。バンドの一体感が完璧。演奏時間は1時間20分くらいと長くはないが、濃密な楽しい時間だった。エエもん見た。