ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

桃乳舎 @東京・日本橋 (※閉店)

2015年06月05日 | 東京都(老舗)

銀行や証券会社など金融関係の大きな建物が立ち並ぶ日本橋兜町界隈。そんな界隈にひっそりと佇む2階建の風格ある近代建築。しかもそこが創業明治22年(1889)の喫茶・軽食「桃乳舎」と知っては行かずにはいられない。路地を曲がってその建物が見えると、まるで時空を飛び越えた感じ。変わった店名からも分かる通り、牛乳販売→ミルクホール→洋食屋、という変遷があったのだとか。スクラッチタイル壁の小さいながらもどっしりとした建物の上部には桃の形をしたレリーフまで彫ってある。入口の左側には小さいながらもサンプルケースがあり、建物は昭和8年(1933)建造とのこと。いやぁ、素晴しい佇まい。着物と草履にハンチングを被った株屋の小僧でも出て来そうな雰囲気。

 ↓ 建物上部にある桃のレリーフ。ちゃんと最初から「桃乳舎」っていう名前だったんですね。

店の前には昼どきとあって数人の待ち客が居たが、すぐに店に入る事が出来た。もちろん相席。土間にテーブル席があるだけで、奥に厨房があり、コック帽を被って調理する人の姿が見える。店内は近所のサラリーマン、OL、年輩の方など様々。給仕を任されているのは女性で、満員の店内をテキパキと捌いている。日替わりのランチをはじめとして、ほとんどのメニューがワンコインという驚きの安さ。ちなみにこちらの最高額メニューがエビフライ(3本)ライスで700円(笑)。近辺に居たら全メニュー制覇は間違いのないところ。いろいろ迷ってハヤシライスをご飯少なめで注文した。カツハヤシにしても値段が100円も変わらないのですごく迷ったんだけど…。最近は古い建物でも中が綺麗にリノヴェーションされている事が多く、近代建築好きにとっては良し悪しなんだけれど、ここは中も往時を彷彿とさせる雰囲気。ワクワクして待つ。

程なくしてハヤシライスが登場。少なめで頼んでも盛りがいいのは老舗ではよくあること。福神漬が添えられているハヤシのドミグラス・ソースは見た目の色濃いもの。玉葱の甘味が充分に出ているが、甘ったるいだけでなく、しっかりと苦みとコクがある。いやァ、ウマイなー。あっという間に完食。カツのせてもよかったかな…。この味をワンコインでお釣りがくるってスゴイ。毎日通いたい。近くの方が羨ましいです。次は日替わりのランチか、ハンバーグか…。昔懐かしいクリームソーダも捨てがたい。(勘定は¥470)

 

 


 

  ↓ 近くには大正11年(1922)建造の「山二証券(旧・山二片岡商店」。壁に配された丸窓の周りにも凝った装飾がされていたりして素晴しい。威厳ある店舗入口(下右)。

 

 ↓ そのすぐ隣は「フィリップ証券(旧・成瀬証券)」(昭和10年・1935)。意匠は違うが、実は上の「山二証券」と設計者(西村好時)が同じだそう。

 


 

喫茶・軽食 桃乳舎

東京都中央区日本橋小網町13-13

※臨時休業されていましたが、令和5年2月を以って残念ながら閉店されました

 

( 日本橋 小網町 兜町 茅場町 とうにゅうしゃ 洋食 ミルクホール 西村好時 閉店 廃業 )

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