ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

つたや @岐阜県各務原市

2014年02月13日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

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東京や名古屋などの大都市なら午後4時の開店時に行列が出来る名居酒屋があると言われても有りうる話。実際に「大甚本店」のように経験もある。でも岐阜県の地方都市でというと、それは事件です。JR鵜沼(うぬま)駅前に店を構える豚(とん)焼きで有名な居酒屋「つたや」。昭和27年の創業とのこと。何を隠そうここがそんな店。開店と共に希少な部位の串を求めて人が集まり、あっという間に席が埋まるそうだ。自分は実際にその光景を見た事はないが、7時過ぎ頃に店に入ると、ほとんどの串が無くなっていたりする超人気店なのだ。それでもネット上では意外なほど情報が少ない。

JR鵜沼駅前は近年、区画整理され、駅舎含めて綺麗に生まれ変わったが、以前はよくある地方のJR駅前の風景だった。前から人はまばらで、南側にある名鉄新鵜沼駅の方がまだ活気があるように見える(それでも人は少ないが)。たくさんあった駅前通りの飲食店も今は数が少なく、周囲が整備された分、昔よりも寒々しい風景だ。そこにこの店の赤提灯が光っている。特に古い建物という訳ではない。外から店内は伺い知ることが出来ないが、引戸を開けて一歩店に入るとコの字カウンターがたくさんの人で埋まっており、大賑わい。外とのギャップがすごい。

ベンチ式の椅子なのだが、少しだけ空きがあったので席に座る。メニューは壁に掛かった木札に書いてある物のみで種類は多くない。串類は90円~160円と安い値付け。酒類も安い。こぶくろ、たん、カシラ、心臓、きも、皮つき、あぶらなどのホルモンの他に、ししとうやネギマなどの串や、八丁(豆)味噌で煮込んだこの地方独特の味噌おでんがある。

日本酒はアルミの小さめのチロリに入って出てきて、自分でコップに注いで飲む。これがなんと300円(!)。お店の人に燗で注文し、木札から串を注文。ただし、自分が行けるような遅い(まだ7時過ぎだけど…)時間にはすでに無いものも多い。主人や若い店員に聞けば教えてくれる。串は「タレ」か「塩」で注文出来る。コの字カウンターの真ん中に飛び火ガードで囲った炭の入ったコンロと、味噌おでんの入った大鍋が置いてあり、主人が団扇片手に焼いていく。ホルモンはどれも大きく新鮮で、プリッとした食感と、部位に応じた味わいがある。塩は強めだし、タレの時も幾度か漬けては焼くので味はけっこう濃い目。ビールにも日本酒にもあうが、どちらかというとここではビールの方がいいかな。焼きたての串を頬張ると口中に旨味が広がり、これを冷たいビールで流し込む。旨いなぁ。こぶくろなんてプリップリ。「どて」と総称する味噌おでんは、モツ、豆腐、ごぼ天、はんぺん、玉子などがあり、濃い色と甘めの味が名古屋を含むこの地方の名物。味はどこもたいてい濃いめの甘めだが、店によってその味わいはいろいろ。しっかり味の浸み込んだこちらのどては、味の傾向としてはやや甘めくらいか。

いつも行く度に店内はすでに「戦のあと」みたいな感じで(←まだ7時過ぎですよ)、店の人も「あぁ、今日も終わった」みたいな雰囲気なので(笑)、一度、開店してすぐの「戦場」の雰囲気を味わいに行ってみたいな。ここが通勤拠点の人が羨ましい。勘定は自分の場合サッと出るので、いつも1,000円ちょっと。安い。

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つたや

岐阜県各務原市鵜沼山崎町3-146-2

 

(JR鵜沼 かかみがはらし かかみがはら かがみはら 各務ヶ原)

コメント (2)
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