●科学技術書・理工学書＜新刊情報＞●「量子コンピュータの頭の中」（束野仁政著／技術評論社）

＜新刊情報＞

書名：量子コンピュータの頭の中～計算しながら理解する量子アルゴリズムの世界～

著者：束野仁政

発行：技術評論社　

　量子コンピュータの説明では、量子力学について言及されることが少なくない。そこではしばしば、「量子とは粒でもあり波でもある」「結果は観測するまで確定しない」など、面白くも不可解な説明がなされている。しかし，量子コンピュータもアルゴリズムにもとづいて処理を行っている。量子アルゴリズムという「計算ルール」を理解できれば、量子コンピュータの理解にも近づけるのではないか？同書では、行列と確率を中心とした数学を用いて、量子アルゴリズムを解説する。量子コンピュータのハードやビジネス活用に関する話はしていない。また、量子力学にも触れない。そのかわり、高校数学の知識さえあれば、その延長で量子アルゴリズムを理解できるよう、たっぷり解説。解説は、同書に出てくる計算のルールからはじめるので、難しそうと感じるかたでも、ぜひ読んでみてほしい。また、Qiskit（量子コンピュータ用のオープンソースのフレームワーク）を用いた量子プログラミングの初歩にも触れる。量子プログラミングに興味があるプログラマのかたにも役立つ。この本を片手に手と頭を動かしながら、量子コンピュータの「頭の中」をのぞいてみよう。