“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「LIFESPAN(ライフスパン)」(デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント著/東洋経済新報社)

2021-01-08 09:35:27 |    生物・医学

 

<新刊情報>

 

書名:LIFESPAN(ライフスパン)~老いなき世界~

著者:デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント

訳者:梶山あゆみ

発行:東洋経済新報社

 人生100年時代とも言われるように、人類はかつてないほど長生きするようになった。だが、より良く生きるようになったかといえば、そうとはいえない。私たちは不自由な体を抱え、さまざまな病気に苦しめられながら晩年を過ごし、死んでいく。だが、もし若く健康でいられる時期を長くできたらどうだろうか?いくつになっても、若い体や心のままで生きることができて、刻々と過ぎる時間を気に病まずに、何度でも再挑戦できるとしたら、あなたの人生はどう変わるだろうか?ハーバード大学医学大学院で遺伝学の教授を務め、長寿研究の第一人者である著者は、そのような世界がすぐそこまで迫っていることを示す。同書で著者は、なぜ老化という現象が生物に備わったのかを、「老化の情報理論」で説明し、なぜ、どのようにして老化を治療すべきなのかを、最先端の科学的知見をもとに鮮やかに提示してみせる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●大阪市立大学、スピン状態間のエネルギー差を直接求めることができる新規量子アルゴリズムの開発に成功

2021-01-08 09:34:58 |    化学

 大阪市立大学 大学院理学研究科の杉﨑 研司特任講師、佐藤 和信教授、工位 武治名誉教授らの研究チームは、量子コンピュータを用いて、スピン量子数が異なる電子状態(スピン状態)間のエネルギー差を直接計算することができる新規量子アルゴリズムの開発に成功した。

 これまで、スピン状態間のエネルギー差を求めるには、たとえ量子コンピュータを用いたとしても、異なるスピン状態の全エネルギーをそれぞれ求める必要があったが、同成果はそのような量子化学計算の常識を覆すもの。

 量子コンピュータを用いると、原子・分子のエネルギーを精密に求める量子化学計算が超高速で実行できる。分子は「スピン量子数」が異なると化学反応性なども異なるため、エネルギーが最も低い基底状態のスピン量子数を決定すること、および「スピン量子数」が異なる電子状態(スピン状態)間のエネルギー差を正確に求めることは極めて重要である。

 これまでは、スピン状態間のエネルギー差を求めるには、それぞれのスピン状態の全エネルギーを計算する必要があった。

 今回、同研究チームは、量子力学の根本原理である「量子重ね合わせ状態」を上手に利用し、ベイズ推定による機械学習と組み合わせることにより、従来法よりも容易に量子コンピュータに実装でき、スピン状態間のエネルギー差を直接計算できる新規量子アルゴリズムの開発に成功した。(科学技術振興機構<JST>)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「計測技術の基礎<改訂版>」(山崎弘郎、田中 充 著/コロナ社)

2021-01-08 09:34:34 |    機械工学

 

<新刊情報>

 

書名:計測技術の基礎<改訂版>~新SI対応 ~

編者:計測自動制御学会 

著者:山崎弘郎、田中 充 

発行:コロナ社(計測・制御テクノロジーシリーズ 1)

 同書では、科学技術の一つとしての計測技術の基本的な方法論を述べるとともに、社会の要請に応じて日々発展を遂げる計測技術が社会基盤となる要素をあわせて横断的に記載した。計測技術開発の目標は計測結果の信頼性の向上にあるものの、結果を得るまでの時間、結果を得るためのコストも同様に重要となる。同書を通して信頼性は不確かさを指標として評価することとし詳説し、また時間、コストは、計測技術を広く社会へ普及するための社会制度とのかかわりの点から計量標準供給、トレーサビリティーの説明を重要視した。これらを計測技術の方法論と併せて読むことにより、読者は社会の様々な局面で計測課題に柔軟に取り組むことができるだろう。計測技術の全体を記し、2019年のSI改訂による再定義と測定精度の向上等を説明した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする